柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

もしかして市川靖さんが原作『あばれはっちゃく』から読み取った核はこれかな?

『痛快あばれはっちゃく』のDVD1枚が駄目になってしまったので、今回の給付金で中古品を買いなおしました。

そこで、改めて『痛快あばれはっちゃく』ディスク1枚目をチェックを兼ねて1話から7話まで見返しました。

見返してみて、ふと、気が付いたことがあったので、ちょっとしたメモ書きとして書き記しておきます。

 

個人的見解

『痛快あばれはっちゃく』4話を見て、私が思い出したのは初代『俺はあばれはっちゃく』5話と2代目『男!あばれはっちゃく』9話でした。

この3話を書いた脚本家が市川靖さん。

私はこの3話に共通点を見ました。

長太郎がどういう人物かということを市川さんなりに解釈して決定づけている話だからです。

私は過去記事で、『男!あばれはっちゃく』9話は『俺はあばれはっちゃく』5話のセルフリメイクだと推測しました。

さらに、『俺はあばれはっちゃく』5話は原作『あばれはっちゃく』の「のしイカ作戦」を下敷きに、話の肝を変えずに分解してドラマ用に組み立てたのではないかと推測しました。

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その市川さんが組み立てなおした話は、長太郎が曲がったことが許せない正義感、自分に疑いがかけられる悔しさを感じながら、相手のために自分が折れること、自分の主張を下げることを選択する、好きな人のために悔しさを押し込め、歯を食いしばる男の辛さ、やり切れなさが書かれています。

初代ではヒトミちゃんに喧嘩も暴力もしないと約束し、それを守るためにヒトミちゃんに誤解されても、茂たちに殴られ、馬乗りをされて犬の鳴きマネを強要されても、我慢をし、ボクシングというスポーツで茂と決着をつけました。

2代目は邦彦がついた嘘を暴き、邦彦のせいで悪者扱いされていた長太郎は邦彦を追い詰めようとしましたが、みゆきちゃんの言葉やカヨちゃんの言葉で思いとどまり、事情を知らない同級生達から嫌味を言われても、邦彦を追求せず、さっぱりとそういうのに興味がないと邦彦を立てました。

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4代目の4話はまゆみちゃんが作ったお料理クラブに入部した長太郎の作った料理を食べた信彦が食中毒を起こし、お料理クラブが廃部になる危機になりました。

実は長太郎とまゆみちゃんが仲良くクラブ活動をしているのを嫉妬した信彦が長太郎が食べている料理を長太郎が作ったものだと勘違いして自分から食べてしまい、長太郎を陥れるために食中毒をでっちあげたのです。

信彦が食べたのはクラブの終わりにまゆみちゃんが作ったシチューを長太郎にタッパに入れて渡したもので、信彦が食べたのはまゆみちゃんの作ったシチュー。

信彦はそうとも知らずに、長太郎が作ったと思い込み、予想に反して美味しいシチューを「まずい、まずい」と言いながら全部食べてしまって、悔し紛れに長太郎に無理やりに食べさせられて、お腹を壊したと嘘の報告を広田先生とまゆみちゃんのお父さんの春日教頭先生に話したのでした。

その嘘の報告を聞いた広田先生と春日教頭先生とまゆみちゃんが桜間家にきて、信彦の食中毒を報告し、例によって長太郎は父ちゃんに張り倒されてしまいます。

長太郎は信彦の嘘を言おうとしますが、まゆみちゃんがその場にいた為に、まゆみちゃんの作ったシチューを信彦が食べたということを話すことが出来ません。

長太郎はまゆみちゃんのために口をつぐみます。

まゆみちゃんは長太郎のそんな様子と長太郎がクラブの時間に自分で作って失敗した料理をドン平の餌にしていたのを見て、信彦が食べた料理が自分が長太郎にあげたシチューだということを察します。

現実の理不尽さを味わう長太郎

本来の長太郎ならば、自分に身に覚えのないことで責められたり、怒られたりすると無実を主張して反論しますが、今回はまゆみちゃんのせいにされるくらいならと、自分の無実を主張しません。

この自分に反論するだけのものがあっても、約束したから、人のためにと、自分がいいように言われた悔しさや、疑われた悔しさ、理不尽さを押し殺して、本来の自分の主張を出来ない悔しさに耐える長太郎の姿を市川さんは書いています。

それは、市川さんが初めて『あばれはっちゃく』の脚本を書いたときに原作を読んで自分なりに長太郎像を読み取り、その読み取った長太郎を核として、ドラマの脚本を書いたから、シリーズが新しくなっていっても、その核になる長太郎像をぶれることなく、最初のドラマで書いた長太郎を書いてきたのではないか、その長太郎像を必ず各シリーズの自分が担当する初期の方に書いていたのではと思ったのです。

市川さんが2代目『男!あばれはっちゃく』で最初に書いた話は6話ですが、この6話も長太郎が正しいことだけを主張すれば解決というのではなく、和尚さんの優しさに合わせて、本当のことだけを追求するのが必ずしも解決に結びつかないという長太郎にとって理不尽な形での決着でした。

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こうした割り切れない綺麗ごとだけでは片付かない、すっきりしないモヤモヤを長太郎に体験させるのが市川さんの脚本から私は感じ取れます。

4代目『痛快あばれはっちゃく』4話で市川さんの話を見たときに、市川さんは長太郎に常に割り切れない悔しさを体験させ、現実がなんでも自分の思い通りにならない、妥協点を見つけないといけないという話を作ることを念頭に置いて『あばれはっちゃく』を書いていたんだなって思うのです。

それは、市川さんが原作の『あばれはっちゃく』から読み取った長太郎像であり、作品世界だったのだと思います。

現実はなんでも子どもの思う通りにはならない、子どもは大人の都合に振り回される、その理不尽に耐えなければならないということは、原作を読むと確かに感じ取れます。原作のみに登場する苫村清二が長太郎に言う言葉の中に、子どもの力だけではどうにもならない現実があることを伝え、早く大人になることという言葉があります。

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だからこそ、市川さんはどうにもならない悔しさ、耐える辛さを長太郎に経験させる話を書いてきたのだろうと思います。

それでいて、最後に長太郎にその耐えただけの褒美を与えています。

初代はヒトミちゃんの誤解が解け、クラスメイト達から理解され、2代目では和尚さんや父ちゃんから理解され(6話)、みゆきちゃん、カヨちゃん、邦彦、ゆかりさんには理解され(9話)、4代目もまゆみちゃんが分かってくれて、信彦も最終的に自分の非を公に認めました。

書いている途中で思い出しましたが、信彦が自分の非を認めたのは、原作の正彦が長太郎に謝ったことと重なります。

完全に長太郎の思い通りの解決にはならないのですが、長太郎が耐え忍んだだけの救いがあるのは、辛い現実と100点ではなくても80点くらいの報いはあるというのが、児童ドラマとしてのバランスを保っているように思いました。

3代目と5代目もみかえしてみよう

今回はディスクのチェックを兼ねて4代目を1話から7話まで見ましたが、それで市川さんが原作の『あばれはっちゃく』から何を読み取り、ドラマの脚本に生かしてきたのかを感じ取れました。

それは、きっと今回取り上げた初代、2代目、4代目だけでなく3代目、5代目でも書かれているはずなので、また、改めて市川さんの脚本に注目して見ていきたいと思います。

今回は、こんなところです。

荒木直也さんが歌った田淵幸一選手の応援歌とその他いろいろ

お久しぶりです。こんにちは。

まだ、私生活がドタバタしていて、さらにはスランプもあってブログはまだ休止中なのですが、今回、質問を頂きましたので、それについて簡単に分かっている情報を書きます。

 

 

『ブッチィ―音頭』

 

今回、こちらの記事のコメント欄にて、こうさんから3代目長太郎役荒木直也さんが歌った『ブッチィ―音頭』について質問を頂きました。

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発売日に関しての質問で、問われてから発売日について調べていなかったことに気づき、改めて調べてみました。

すると、『ブッチィ―音頭』が発売されたのは、1983年であることがhigehenさんのブログから分かりました。

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私は当初、『ブッチー音頭』と表記していましたが、higehenさんのブログで正しい表記を確認したので、『ブッチィ―音頭』に直しました。

荒木さんが長太郎を演じた『熱血あばれはっちゃく』は1982年4月10日~1983年3月26日まで放送されたので、1983年に発売され、レコード発売記念として田淵選手のサインプレゼントの締め切りが昭和58年10月31日消印有効とあり、ジャケットの荒木さんを見ても、『ブッチィ―音頭』は荒木さんが3代目長太郎を演じ終えた後に発売されたレコードということになります。

私の過去記事にも書いていますが、『ブッチィ―音頭』の作詞は荒木さんの実父である作詞家の荒木とよひさ先生ですので、その縁で荒木さんが歌われたと思います。

田淵選手は『がんばれ!!タブチくん!!』という漫画がアニメになり、人気の高かった選手で、野球に疎い私でも知っている人気選手でした。

 

youtu.be

あばれはっちゃく』シリーズの出演者情報

『俺はあばれはっちゃく』30話出演岡田真明さんについて

休止中に頂いた出演者の情報、また出演者に関して私が得た情報をお伝えします。

まず、一つはエルビスさんから頂いた『俺はあばれはっちゃく』30話に出演した岡田さんに関する情報です。

岡田さんは『ふしぎ犬トントン』(1978年10月30日~1979年4月23日)12話に中野カズ夫役で出演されていました。ただ、この時の名前表記が『俺はあばれはっちゃく』(1979年2月3日~1980年3月8日)の時の「岡田真明」ではなく、「岡田正明」表記だったそうです。

あわせて下記の記事を更新しました。

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『俺はあばれはっちゃく』26話出演加藤茂雄さんについて

もう一つは、『俺はあばれはっちゃく』26話に出演した加藤茂雄さんについてです。

過去に加藤さんについて書いた記事です。

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 加藤さんは上記記事にあるように、1950年に東宝に入社されました。

上記の4年前の記事内では、このような失礼なことを書いてしまいました。

 加藤さんは、1925年6月16日生まれ。ご存命であれば、今年で91歳になります。

 加藤さんは4年前の2016年の段階ではご存命でしたが、今年、6月14日に誕生日2日前に94歳で他界されました。

www.jiji.com

加藤さんは東宝の専属俳優として、『七人の侍』『ウルトラマン』シリーズや『ゴジラ』シリーズなど東宝関連の作品に脇役として数多く出演されました。

長年、脇役として活躍されてきましたが、上記の訃報記事にあるように、昨年2019年に93歳で『浜の記憶』(大島拓監督)で初主演を務めました。

『浜の記憶』は、加藤さんの俳優生活70周年を記念した作品で、映画作品のあらすじを読むと漁師生活をされながら俳優活動をされていた加藤さんをあてがきした作品だと思いました。

同じ作品内で複数の役を演じ、主演やメインキャストより目立たなくても、作品世界を壊さない演技力、さりげなくても確かな実力があってこそ、作品世界を支える陰の実力者は視聴するだけの一般人には分かりにくいものですが、職人の世界である映画やテレビドラマ世界のスタッフの皆様には分かる信頼があり、それが加藤さんにとって最初で最後の主演作へと繋がったのだと思います。

93歳で初主演されていたことも知らずに、「生きていれば」などという失礼なことを書いたことを大変恥ずかしく思い、と同時に加藤さんの訃報を知り、大変悲しく思いました。

遅くなってしまいましたが、加藤さんのご冥福をお祈りします。

ブログについて

感想レビューは再開の目処が今はありませんが、『あばれはっちゃく』に関する情報が入り、それがいくつか纏まった時は、今回のように記事をUPします。

あばれはっちゃく』の出演者についても、調べている最中です。『男!あばれはっちゃく』12話あたりまでは調べています。

吉田友紀さん出演作ドラマ発売

最後に『あばれはっちゃく』とは関係ありませんが、初代長太郎役吉田友紀さんが出演されていた『パパは独身』(1976年12月6日~1977年9月5日TBS系『ブラザー劇場』)のDVDが9月に発売されますので、吉田友紀さんファンの方々にお勧めします。

 

お知らせ

お休み

しばらくの間、更新をお休みします。

追記

住んでいるアパートの取り壊しが決まり新たな住処を探すことになったり、それ以外でもいろいろとあって心落ち着けて生活する心のゆとりが現在はありません。

それ以前よりも、作品を見る気力が『男!あばれはっちゃく』に限らず、お休み宣言を書いた時期はあらゆる媒体でなくなりつつあった時期でなんとか当時の放送日に見て感想を書いてきたのですが、記事内容の質が悪くなっているというお声も頂き、当初の目標を断念することになってしまったのは悔しく、心残りでしたが、改めてお休みの時間を頂き、心機一転して充実し楽しんで作品を見て語れるようになるまで(新居が決まるまで?)、作品の各話感想はお休みにしています。

ただ、リハビリを兼ねて自然と沸き起こった作品に関する気持ちや気づいた点は今後も突発的にブログに書いていくつもりです。

当初のお約束を果たすことが出来ずに申し訳ありません。また、それでも待っていてくださる皆様に感謝しています。

どうしたら『あばれはっちゃく』を見てもらい、語り合えるか?

あばれはっちゃくについて語りたい

子どもの頃に『あばれはっちゃく』が大好きで、大人になってDVDを買って見返して、あまりの楽しさと面白さに思うままに、『あばれはっちゃく』についてブログに書くようになり、いろいろと原作やコミカライズ作品にまで手を伸ばし、『あばれはっちゃく』のドラマについて、出演者、スタッフについて調べて11年程、このブログに書き綴ってきました。

たまたま、『あばれはっちゃく』関連で検索されてきた人達が足を止めて、このブログを読んでくださり、感想や『あばれはっちゃく』についての情報を教えてくれたり、私が幼過ぎてしっかり覚えていない事を年上のお姉さん、お兄さん方々が教えてくださり、同世代の方々と思い出を語り合ったり、新たな情報を頂き、はたまた、出演者の方やスタッフの方にもコメントを書き込んで頂いたりして、一般人の無名ブログにも関わらず、かなり濃い内容のブログになっていったと自負しています。

これは、私一人で出来た事ではなく、読んでくださり、足を止めてコメントを書いてくださった皆様のお陰であって、その交流はとても楽しく貴重な宝物です。

しかし、11年休みなく書き綴っていたのではなく、私生活が忙しかったり、気分が落ち込んでいて更新がない時もあり、そこから少しずつ常連さんが来なくなってきて、交流の場も少し途絶えてしまいました。

そうすると、もっと頻繁に更新しとけば良かったと思うのですが、無理して書いても良い記事が書けず、素人の私はアウトプット出来るだけのインプットと気力を取り戻していかないとダメなんだと痛感しました。

私が『あばれはっちゃく』についての記事を書く理由についても、11年の間に少しずつ変化していきました。ここに『あばれはっちゃく』関連で来た人達は、当然、『あばれはっちゃく』について知っている前提で、思い出話に花を咲かせたい、同じ話や登場人物にどんな気持ちを持ったか、持っていたか語り合いたいというのが最初の理由だったのに対して、今は『あばれはっちゃく』を知らない人達、知らない世代にどうやって『あばれはっちゃく』の面白さを伝える事が出来るかに変化していきました。

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一時期、上記の記事へのアクセスが多かった時期がありました。

原因を調べてみると、Twitterで数人の方がツイートで拡散されていました。

アニメックがドラマに登場したことが注目されて拡散されたのだと分かりましたが、その数人の中に『あばれはっちゃく』を全く知らない人がいて、アニメックが登場する2代目の9話だけを見たいとツイートされていました。

その人のフォロワーさんの中に『あばれはっちゃく』を知っている人達がいて、ツイート主に作品について教えていたのを見て、それで『あばれはっちゃく』を知らない人が興味を持たれたのを目にした時に、理由が私の記事であっても、『あばれはっちゃく』を知り、見たいと思う人がいてくれたというのがとても嬉しく思いました。

しかし、レンタル出来るのは初代だけ。現在、『あばれはっちゃく』シリーズの再放送は望みが薄く、2代目の9話だけを見たい人は初代『俺はあばれはっちゃく』をレンタルするまでにはいかず、ましてやDVDを買ってまで見るところまではいかない状態だと知って、複雑な気持ちにもなりました。

確かに、それまで知らなかった作品の1話分だけを見るために、高いお金を出すのは躊躇います。

その人は配信を待つしかないとツイートされてましたが、ここ11年以上どこにも配信されていない現実を知っている身からすると、それも無理な話だと肩をすくめるしかありませんでした。

CSやBSでは放送されることもあったりしますが、全く『あばれはっちゃく』を知らなかった人達が『あばれはっちゃく』に興味を持って見るには、現在、ハードルが高いと思います。

現在は、新型コロナウィルスの影響でドラマの再放送が盛んですが、さすがに41年以上前のドラマ、現在では表面上の乱暴な父ちゃんの暴力に対してクレームがきそうな『あばれはっちゃく』シリーズのドラマの再放送は望めません。

あばれはっちゃく』シリーズ(1979年2月~1985年9月)よりも新しいドラマであっても、例えば、『人間・失格~たとえば僕が死んだなら~』(1994年)『家なき子』(1994年)もいじめの描写の問題で再放送が無理だとされています。

www.msn.com

作品の内容を見れば、『あばれはっちゃく』シリーズも『人間・失格』も『家なき子』も非難される作品ではないことは分かるハズですが、様々な規制から再放送が出来ないドラマが多くある現実の中で、再放送が無理ならネット配信をと考えるも、ネット配信も難しい『あばれはっちゃく』を知らない世代に知らせ、関心を持ってもらうにはどのように私は発信していけばいいのか、そんな事を考えるようになりました。

もちろん、『あばれはっちゃく』を既に知っていて、思い出を共有されている皆さまとも思い出を語り合いたいです。

私の一方的な感想ばかりのブログですが、『あばれはっちゃく』シリーズの話に関して感じた事や私とは違う見方、感想ががあったら、気が向いた時にでもいいいので教えてください。

大層な使命感を持って書いているようですが、単に『あばれはっちゃく』で盛り上がりたいなっていう気持ちが大きいです。

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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あばれはっちゃく ‐ワンぱく編‐ (角川つばさ文庫)
 

 

 

 

『男!あばれはっちゃく』第12話「強いゾ弱虫」感想

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『男!あばれはっちゃく』12話より

脚本・市川靖さん・松生秀二監督

アバンタイトル

珍しく洋一から。洋一が松の木に縄でタイヤを括り付け、地面にあるタイヤにも縄をつけている。川辺でその地面に置いてあったタイヤをスーパーマンの衣装を着た長太郎が腰につけ、良く伸びるゴム紐を使って、洋一が巨大なパチンコのようにして長太郎がつけたタイヤの縄を洋一が引っ張り「出発ちてん」から川の向こうにある「着陸ちてん」を目指す。途中で落ちていた百円玉に洋一が気を取られ、充分ゴム紐が伸びきっていない段階でパチンコ発射。洋一は余った縄に足をとられて、長太郎と共に川向うに飛んでいく。長太郎は川に飛び込んでしまうが、洋一だけが川岸の「着陸ちてん」に無事到達してガッツポーズ。悔しがる長太郎でオチ。

今回のアバンタイトルは本編で主役になる洋一と貧乏くじを引いた長太郎を端的に表現したアバンタイトルになっている。

本編

登校中、みゆきちゃん、和美ちゃん、弘子ちゃんの3人がブラウンのサンバイザーを被りながら歩いています。

そこへ洋一が後方からやってきて、3人に挨拶をすると、サンバイザーを取って被り、3人に似合うかどうかを聞きます。すると、風が飛んできて、3人の女の子のスカートを捲り、それをみて洋一は喜ぶが、洋一が被っていたサンバイザーも風に飛ばされてしまいます。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

風に飛ばされたサンバイザーは土手で寝ていた顔が傷だらけのおじさんの足元に落ちてしまい、拾ったおじさんはサンバイザーを頭につけてしまうのです。

サンバイザーを追ってきた洋一はおじさんが怖くてサンバイザーを取り戻せません。そこへみゆきちゃん達が来て、サンバイザーを返してと洋一に言いますが、サンバイザーがおじさんに取られたことを知り、洋一がそのおじさんを怖がって取り返せないことを知って、洋一を責めますが、洋一は弱腰。見かねた和美ちゃんがおじさんのとこへ行って、取り返そうとしますが、睨まれてしまい和美ちゃんも取り返せません。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

洋一は残ったみゆきちゃんと弘子ちゃんの陰に隠れてしまうだけ。場面が変わってそんなことは何も知らない長太郎が教室に元気よく入ってきます。みゆきちゃんと弘子ちゃん、和美ちゃんに挨拶をするも冷たい態度、洋一に挨拶をしても洋一も不機嫌。

何があったのかさっぱり分からない長太郎。

下校時間、洋一に声をかけるも無視。その後からきたみゆきちゃん、弘子ちゃん、和美ちゃんも自分達はもう男の子を信用しない言う。

今朝、この4人に何があったか知らない長太郎は首を捻るばかり。そこへ、邦彦がやってきて、長太郎に4人に起きた出来事を説明。長太郎は洋一がみゆきちゃんにした事を怒って帰宅。

長太郎はみゆきちゃん達から冷たくあしらわれていますが、長太郎には全く関係のないことで冷たくされています。

洋一のとばっちりを受けていて、これはみゆきちゃん達が、洋一が男だということから、自分達「女」と洋一が属する「男」で仲間分けをして、洋一と同じ「男」にカテゴリーされる長太郎も洋一と同じ仲間として分けて、差別したからです。

肝心な時に助けてくれなかった洋一に失望した怒りが、洋一個人だけでなく、洋一が属する男全般に広がってしまったと言えます。また、サンバイザーを結果的にとって返してくれなかったおじさんも「男」であり、和美ちゃんに与えた恐怖も「男」に対しての怒りを大きくさせてしまったのではないかなって思いました。

今回の話の中で、この女対男の図式は次第に大きくなっていきます。サンバイザーを取り戻せなかった洋一は、サンバイザーを弁償するといいますが、そのサンバイザーはフランスのお土産で簡単には手に入らない品だと言われてしまいます。

あばれはっちゃく』を見ていると、フランスに関連した品が出てくることがあります。初代『俺はあばれはっちゃく』では、21話「切手コレクション」でフランスの古い切手が登場しました。47話「エミリー台風」ではアメリカ人のエミリーが登場してたりもしますが、『男!あばれはっちゃく』8話「母ちゃんのためなら」でも、フランス料理のお店が出てくるなど、なぜか「あばれはっちゃく」の場合、西洋の外国というとフランスの方がアメリカよりも多く登場しているような気がします。

さて、本編の話に戻ります。長太郎が家に帰ってくると、理容室のお客さんとして、洋一のお母さんがいて、長太郎の元気の良さを褒め、洋一の情けなさを嘆き、洋一のおじいさんが強かったことを話している。

奥の部屋でおやつのアンパンを食べていた長太郎は洋一を鍛えようと考えて、洋一を呼びに行く。洋一は家の銭湯にあるインベーダーゲームで遊んでいると、母親に八百屋へお使いを頼まれるが、途中に大きな犬がいるのが嫌でお使いを渋っていると、タイミングよく長太郎が来て、長太郎と遊んでくると家を出ていく。

長太郎は洋一を鍛えるために、鉄アレイや剣道着や竹刀などの荷物を持って、洋一にスパルタ特訓。うさぎ跳びやボクシング、剣道等を竹刀で叩きながらやらせる。なんとか、長太郎に付き合っていた洋一は終に根をあげて、防具を少しずつ脱ぎ捨てて帰っていく。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

その日の夜、一家団欒で夕食をしている桜間家に洋一の母親が怒鳴り込んできます。

長太郎が洋一にした事に激怒する洋一の母。

洋一の母親の怒鳴り声が聞こえた瞬間の父ちゃんの顔と父ちゃんの怒りの顔に縮こまる長太郎の顔というか、父ちゃんと長太郎の間に流れる空気と二人の目だけによる会話(会話と言っても父ちゃんと長太郎が言葉を交わすのではなく、目の表現だけで語り合っている)がなんとも言えない緊張感を表していて、長太郎の気まずさと父ちゃんの怒りがしっかり伝わっていて、見応えがあります。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

初代長太郎の吉田友紀さんも目で語る演技がずば抜けて素晴らしかったのですが、東野さんの演技を受けて、目の演技で返した2代目長太郎の栗又厚さんの演技もかなりのもので、流石だなって思いました。

ところで、洋一の母親は怪我をして包帯と絆創膏、ガーゼだらけの洋一と既にサクラマ理容店の店内にいるのですが、洋一達が来たのは夕飯時。

つまりは理容店が閉店している時なんですね。それなのに、母ちゃんが開ける前に店内に入っていたということは、お店の鍵が閉まってなかったということ。

これはとても不用心だと思います。まさか、洋一の母が合鍵を持っている訳はないし、無理やりこじ開けた様子もない。母ちゃんにしてもカヨちゃんにしても店の戸締りはちゃんとした方がいいんじゃないのって、思わず突っ込んでしまいました。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

長太郎はこの後、父ちゃんに例のごとく怒られるのですが、洋一を男らしくしようと鍛えていたのにと長太郎は反発。どうしたら、洋一を男らしく出来るかを考え、レコードプレイヤーとヘッドフォンを見つけて閃きます。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

多分、長太郎が部屋で見たレコードプレイヤーとヘッドフォンは同室の兄、信一郎のものではないかなって思っています。

レコードプレイヤーは高いし、長太郎のお小遣いでは買えそうもないし、どっちかっていうと、信一郎の持ち物だと解釈した方がすんなりいくのでは?という私の偏見です。

長太郎が考え出したのは、暗示。自分は強いんだと繰り返して聞くことで強いと思うという方法。長太郎はカセットに「俺は強いんだ」と繰り返し吹き込み、それを翌日、登校中の洋一に聞かせることにします。

長太郎はその前に洋一に謝っていて、いきなり準備もなしにやったのがいけなかったと言っています。

始めは嫌がる洋一も、長太郎のアイディアにのり、ヘッドフォンで長太郎が吹き込んだカセットを聞きながら、意気揚々と登校します。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

ところが、その行く先でサンバイザーを取ったおじさんと遭遇。洋一は逃げてしまいます。何も知らない長太郎はそれを追いかけてしまうのですが、それを目撃したのが弘子ちゃん。弘子ちゃんはサンバイザーを取ったおじさんを見て洋一が逃げて、長太郎も逃げたと思い込んで、2人に失望します。

長太郎と洋一が学校に着くと、邦彦がクラスが君たちのせいで大変な事になっていると伝えます。

教室に入ると女子と男子に分かれていて、対立状態。弘子ちゃんが洋一と長太郎がおじさんを見て逃げた事を話し、みゆきちゃんが男子とは絶交だと宣言。長太郎は誤解を解こうとしますが、聞く耳も持ってもらえず、洋一は逃げ出してしまいます。

長太郎はサンバイザーの件を邦彦から聞いていますが、今朝、洋一が逃げ出した理由がそのサンバイザー事件のおじさんを見たからだというのを知りません。

長太郎も邦彦もサンバイザーのおじさんの姿を見ていないからです。サンバイザーのおじさんの容姿を知っているのは、洋一、みゆきちゃん、弘子ちゃん、和美ちゃんの4人だけ。長太郎はおじさんの姿を知らないから、おじさんを見て長太郎も逃げ出したというのは、弘子ちゃんの間違いです。

邦彦からサンバイザーの話を長太郎が聞いていたとしても、邦彦だってみゆきちゃん達からこんなことがあって、洋一を含む男を信用しないと聞かされても、邦彦もおじさんの姿を見ていません。長太郎も邦彦もおじさんの姿を知らない、説明が出来ない状態な訳です。

そこで自分が目撃したのと、長太郎も邦彦もサンバイザー事件を知っているという前提で、サンバイザーを取ったおじさんの容姿も知っていると思い込んでいて、おじさんが怖くて長太郎も逃げたと判断して失望しているのは、弘子ちゃんがちょっと勝手過ぎると思いました。

洋一は教室を飛び出して、寺山先生とぶつかり、寺山先生は階段から転げ落ちてしまいます。

寺山先生がここで怪我をして腰を痛めてしまうのは、話のラストに関係してくるのですが、寺山先生にはとんだ災難です。というか、今回は洋一の起こした騒動で、男性陣がかなりのとばっちりを受けています。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

長太郎は教室に来た寺山先生に洋一を連れ戻してくるように言われ、文句を言いながらも洋一を連れ戻しに行きます。この時、ランドセルを邦彦に預けていて、邦彦が文句も言わずに長太郎のランドセルを受け取ります。

寺山先生が目の前にいるから素直にランドセルを受け取ったと思いますが、サンバイザー事件の事を長太郎に話す時に、邦彦は長太郎の事を「長太郎君」と呼び、洋一がみゆきちゃん達にしたことを話すと時に「洋一がね」と話しかけていて、長太郎に対する態度が初めよりも優しくなってきたと感じました。

初代『俺はあばれはっちゃく』でも、26話「モヤシも男だ」で公一と長太郎が喧嘩をした時、正彦が間に入りましたが、この時に正彦は公一の事も、長太郎の事も、君付けで呼んでいたのに対し、今回の邦彦は長太郎は君付け、洋一が呼び捨てだったのが気になりました。

洋一と邦彦は長太郎が来る前から仲が良かったりもしていて、長太郎よりも洋一の方が邦彦には親しみやすさがあったにしても、それまで気に入らなかった長太郎を君付けで呼んだというのは、邦彦の中に長太郎への気持ちの変化があったのかな、とか、単に今回は洋一のせいでとばっちりを受けていたので、洋一を呼び捨てにしただけなのかなって、いろいろと考えてしまいました。

長太郎は次に信一郎の3人の同級生にお願いして、みゆきちゃん達に絡んでもらって、それを洋一が助けるシチュエーションを用意しましたが、洋一が来る前に合気道歴5年のみゆきちゃんが3人の中学生をやっつけてしまって、おじゃん。

信一郎の勉強ノートを報酬に3人に以来した長太郎は3人の中学生に怒ってしまいます。この時に登場した3人の中学生役の1人が八幡洋之さん。八幡さんは初代『俺はあばれはっちゃく』24話「やったぜデート」に登場した北野を演じています。2代目に登場した場面でいうと、下記の画面右にいるのが八幡さんです。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

八幡さんの情報は下記の記事に少しですが書いてあります。

kakinoha.hatenadiary.

ちなみにこの3人の中学生にみゆきちゃん達が絡まれる場面の直前で、みゆきちゃん達の後方に邦彦の姿を見る事が出来ます。

この後、邦彦は話に絡んでこないのでこの場面では登場がないのですが、大好きなみゆきちゃんが中学生に絡まれた事は目にしているハズなので、邦彦が出てこなかったということは、特にみゆきちゃん達を助けようとはしなかったという事です。大人達も来ませんでしたし、大人を呼んで助けようとか、初代『俺はあばれはっちゃく』9話の正彦のように先生を呼ぶふりをして助けようともしなかったと言えます。

今回、出番の少ない邦彦ですが、こうした細かい部分でマイナス面を出してしまっています。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

場面が変わり、写生の授業で長太郎達が外に出て写生をしています。長太郎はみゆきちゃん達の近くに来ますが、みゆきちゃん達は別の場所に移動。

洋一に声をかけるも洋一も長太郎を冷たくあしらいます。長太郎が持っている絵の具の道具が洋一達と同じなのを見て、いいなって思いました。

私は福島県から長野県に転校してきましたが、福島県の学校で使っていた学校用文房具、楽器(絵具セット、習字セット等)が全く違っていて、それを馬鹿にされたりしたのですが、群馬県から東京に転校してきた長太郎は、転校先の学校のみんなと同じ道具を持っていて、きっととうちゃん達がちとせ第一小学校の道具と同じに買いそろえたんだろうなっていうのが分かって、転校生だからと1人違う道具を持っていない長太郎が羨ましく思ったのです。

長太郎は洋一にも冷たくされて、1人で絵を描いていると、寺山先生が声をかけ、もう少し丁寧に描きなさいと言われてしまいます。

そこへ、落ちた絵具セットを取ろうとして、足を滑らせた洋一の悲鳴が。

長太郎と寺山先生、クラスのみんなが悲鳴のした方へ駆けつけます。木の根元に辛うじてぶら下がっている洋一を見て長太郎が助けに向かいます。

本来は寺山先生が助けに行くべきですが、前に書いたように洋一とぶつかって階段を転げ落ちて腰を痛めた寺山先生は助けにいく事が出来ません。長太郎が縄を使って洋一を助けにいくのですが、長太郎は足を滑らせ、洋一より下に落ちてしまいます。

そこで、長太郎は洋一に自分を助ける番だと洋一に言い、洋一は最初は尻込みをするも、なんとか長太郎の言う通り縄を取り、自分の体に括り付け、長太郎にも括り付けて、長太郎を助けます。上の方ではその縄を邦彦達が持って、全員で長太郎と洋一を引っ張り上げます。

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『男!あばれはっちゃく』12話より

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『男!あばれはっちゃく』12話より

長太郎を見事助けた洋一はみゆきちゃん達に見直され、逆に長太郎は情けないと言われてしまいます。今回のアバンタイトルで、長太郎が失敗して洋一が着陸ちてんに到達したかのような結末。長太郎は寺山先生から指示された邦彦が肩を貸すのを拒んで、みゆきちゃんに迫りますが、みゆきちゃんから肘鉄を食らってしまいます。

それもでもめげない長太郎で締め。

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『男!あばれはっちゃく』12話より
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『男!あばれはっちゃく』12話より

まとめ

今回、気になった事は、結局、サンバイザーをおじさんから取り返さなかった事。後は、場面転換が多かった事でした。

サンバイザーを取られて後の教室の場面、そこから下校の校門の場面。学校から戻ってきてサクラマ理容室の場面から、洋一の家の銭湯の場面と、場面の切り替えが多かったように思います。

その為、時間がショートカットされて、どんどんドラマの中の時間が早く流れているように感じました。サンバイザーを取ったおじさんも、サンバイザーを取った以上の行動はしておらず、ちょっともったいないなって思いました。

今回の話は、洋一が長太郎の親友の立場であり、この話の主役で洋一はひ弱で頼りがないけど、洋一の母曰く、洋一のおじいさんは武道の達人でとても強かったというのを見ても、初代『俺はあばれはっちゃく』26話「モヤシも男だ」(脚本・安藤豊弘さん、監督・山際永三監督)の長太郎の親友、公一が主役の話を思い起こさせる話でした。

公一の場合は母子家庭で、死んだ公一の父親がとても強い人間であったことが、公一の母親の口から出てきています。

初代26話と共通点を見つける事が出来ますが、それ故に比較してしまい、この2代目の12話の粗が目立ちます。

この12話では最後に洋一が男を見せましたが、全体の話の繋がりが場面転換が多いせいか薄く、また、それぞれに配置された人物、サンバイザーを取ったおじさん、長太郎に頼まれて絡んだ3人の中学生、伝言するだけの邦彦が取ってつけたように見えて、全体としてのまとまりが欠けていたと思います。

気弱な洋一が見せる男気、勇気を見て女の子達が洋一を見直すというプロットは良いのですが、その間の繋ぎがイマイチに感じてしまいました。

また、小学生時代にありがちな男対女の図式も、もっと盛り上げることが出来たのではないかと思います。本編の中でも触れましたが、自分達が体験して知っている事と後から聞いて知った人との知った出来事に対する情報に差がある事を承知していないと、自分が知っている事を基準にして、人の行動の良し悪しを決めつける乱暴な差別に繋がると思いました。

弘子ちゃんは長太郎もサンバイザーをとったおじさんを知っていると思って、おじさんを見て逃げた洋一を追いかけた長太郎にも失望していますが、長太郎はおじさんのことを知っていても、おじさんの姿を直接見ていない事を、なぜか知っているからその姿を見ているにすり替えて長太郎もおじさんの姿を知っていて逃げたと決めつけて責めているように見えました。

洋一1人の行動を男全般に広げて怒ったみゆきちゃん達のやり方は、大雑把なグループ分けが関係のない人達を巻き込む差別に繋がるのだという事が改めて分かった話でした。

グループに所属する1人の行動を見て、グループ全体を否定するというのは、1人1人の個人を認めて見る事の放棄です。

私は中学生時代にアニメ雑誌を買うほどのアニメオタクでしたが、中学3年生の時に宮崎勤事件が起きて、アニメ誌を買うアニメオタクは全員、殺人者と扱われ、入学した高校で徹底的な差別にあって、登校拒否になり高校を辞めてしまいました。

アニメが好きということで、殺人者でもないのに幼女誘拐連続殺人者と同じ扱いを受けたのです。だから、何か1つ共通点があるだけで、そいつらも同じ奴らだと差別する人間を許すことは出来ません。

洋一が男だからと、男全員に失望して無視をし冷たくあしらったみゆきちゃん、和美ちゃん、弘子ちゃんの気持ちは分かるにしても、やはり見ていていい気持ちはしませんでした。

最後に洋一の勇気と頑張り、長太郎を助けた結果を見て見直してくれたのが、この話の救いでした。

 収録DVD紹介

 

『男!あばれはっちゃく』11話「ダメパパ返上」感想

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『男!あばれはっちゃく』11話より

脚本・安藤豊弘さん・松生秀二監督

アバンタイトル

琴の音色。着物を着て琴を弾くみゆきちゃん。そこへ居合をしにきた長太郎、着物をきて、大きな藁人形を刀でバッサリ。と、同時にみゆきちゃんの悲鳴。藁人形と一緒に、自分の着物の下の方まで切ってしまった長太郎はふんどしが見えてしまって、それにみゆきちゃんの悲鳴で気がついて藁人形の陰に隠れてオチ。

本編

元気に登校する長太郎。今日は余裕で間に合って、洋一、目がけて後ろ向きでランドセル投げ。洋一もそれを待ち構えて、受け取ります。

このあたりとても息があっていて、仲がいい。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

長太郎はすぐさまみゆきちゃんのとこへ行き、挨拶をしますが、みゆきちゃんは元気がない様子。寺島先生が来て、邦彦が号令をかけます。

早速、国語の授業が始まり、寺島先生が宿題をやってきたかを確認。宿題を忘れた人と手を挙げたのは、いつも通りの長太郎とこちらは意外なみゆきちゃん。

長太郎は宿題を忘れて廊下に立たされるのが自分一人ではなく、大好きなみゆきちゃんと一緒だと大喜び。

しかし、みゆきちゃんは泣いてしまいます。そんなみゆきちゃんを見て、長太郎はみゆきちゃんの分まで廊下に立っている、と言いますが、寺島先生は長太郎に今日は立ってなくてもいいと言います。

休み時間の校庭。落ち込んでいるみゆきちゃんに邦彦達が声をかけ、ソフトボールに誘いますが、みゆきちゃんは断ります。宿題を忘れたぐらいで落ち込まないでと弘子ちゃん、和美ちゃんがみゆきちゃんを気遣い、洋一も長太郎を持ち出して励ましますが、みゆきちゃんは落ち込んだまま。そこへ、長太郎がボールを持ってやってきて、サッカーをやろうと言いますが、みゆきちゃんが落ち込んだままなので、長太郎の無神経さがみゆきちゃんを傷つけたと邦彦が長太郎を責めます。

この時に、話の本編とは関係がないのですが、邦彦の手に包帯が巻かれているのが見えます。これは、前回の10話でザリガニ捕りに行った時の邦彦が途中から同じ手に包帯を巻いているので、邦彦ではなく邦彦を演じた長野昇一さんが 怪我をされていたのだと思います。どちらも話に関係がなく、邦彦が怪我をする場面はありませんでしたから。

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左『男!あばれはっちゃく』10話より、右『男!あばれはっちゃく』11話より

あばれはっちゃく』では話に関係がなくても、子役の人達が怪我をしている場面を見かけます。たいていは、話に絡ませることはありませんが、初代『俺はあばれはっちゃく』41話「正義のワナだ」では公一が目に物貰いが出来て眼帯をしていたとして、しばらく眼帯をしていました。この時は怪我や病気を話に組み込んでいますが、この場合は顔に眼帯があって目立つために話に組み込んだのではないかなって思ったりします。今回の邦彦の手や10話ではみゆきちゃんの膝に絆創膏が貼ってありましたが、話の中で怪我をする流れがない場合、話に障害がない場合は怪我に触れないで話を進ませているようです。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

さて、本編の話に戻ります。邦彦達にみゆきちゃんが落ち込んでいて、それが長太郎のせいだと言われた長太郎はみゆきちゃんに声をかけ謝ります。でも、返ってきたみゆきちゃんの返事は

「あんたなんか大嫌い! 」

 長太郎は自分のせいかと落ち込み、学校から帰ったらみゆきちゃんを遊びに誘おうと思います。学校から帰ってきて、早速、隣の家のみゆきちゃんを呼びに。

みゆきちゃんの家は病院。いつもなら、やっている病院は休診で長太郎はちょっと首を捻ります。

出てきたのはみゆきちゃんのママ。長太郎は冷たくあしらわれて追い返されてしまいます。

長太郎を追い返したみゆきちゃんのママが家の中に戻ると、釣り竿の手入れをしているみゆきちゃんのパパの姿。

そんなみゆきちゃんのパパをみゆきちゃんのママが責め立てています。みゆきちゃんのパパは今年も博士号が取れず、それをみゆきちゃんのママが責めていました。

みゆきちゃんのパパが初登場した5話「ヒゲが消えたよ」で出したみゆきちゃんのパパの5年かけた論文で博士号がとれるかどうかの話がありましたが、どうやらそれがダメだったようです。

5話でもそうでしたが、今回もみゆきちゃんのママはうちは私のひいじいさん、おじいいさん、父が博士号を持った由緒ある医院だから、みゆきちゃんのパパにも博士号をとって欲しいと責め立てます。

5話で登場した歴代のちとせ医院の院長達の写真。立派なお髭で威厳のあるその写真はみゆきちゃんのママの言葉と相まって、みゆきちゃんのパパには大きな重圧になっています。みゆきちゃんのパパもみゆきちゃんのママに言い返していますが、みゆきちゃんのママに圧倒されてしまい、持っていた釣り竿をとられて、軽く足を叩かれてしまっています。

そんな夫婦喧嘩のところにみゆきちゃんが来て、塾の月謝の事を言い、みゆきちゃんのママが月謝を用意する為に部屋を出た後で、みゆきちゃんのパパも部屋を出て診察室に、そこへみゆきちゃんが来てみゆきちゃんのパパを励まします。

場面が変わって塾帰りのみゆきちゃんの姿。みゆきちゃんはその先に長太郎の姿を見つけてちょっと渋い顔をします。

最初は長太郎の姿が見えず、歩いていたみゆきちゃんの様子に警戒している感じが出ています。行く手にみゆきちゃんにとって障害がある印象でした。すると、やがて長太郎の姿が見えてくるので、みゆきちゃんが警戒した障害の正体が長太郎だと分かります。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

長太郎は塾帰りのみゆきちゃんに声をかけ、釣りに誘いますが、みゆきちゃんはそんな気分ではないと断ります。

塾に行く前のみゆきちゃんの両親のやり取り、そこからちとせ医院が休診している理由がみゆきちゃんのパパがみゆきちゃんのママから執拗に博士号をとれなかったことで連日責められたことで体調が悪くなってしまったこと、そんな夫婦関係を見ていてみゆきちゃんのパパが元気がない事がみゆきちゃんにとっての悩みの種であることが推測出来ます。

それは、みゆきちゃんと別れた後で、ドン平に引きずられて入った酒屋で長太郎が父ちゃんとお酒を飲んでいるみゆきちゃんのパパに会って、みゆきちゃんのパパが帰った後で父ちゃんからみゆきちゃんのパパが具合が悪く、診察をする時に手が震えてしまうんだとみゆきちゃんのパパから聞いた事を長太郎に話した場面ではっきりします。

ちなみにみゆきちゃんのパパと父ちゃんがいる酒屋には、なんと、毒蝮三太夫さんのサイン色紙があるのです。もしかして、今もTBSラジオで放送中の『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』の中継が来た時に書いたサインなのでは!と思ってしまいました。いや、他の番組の時かもしれないけれど、なんだかびっくり。サインの下の日付を見ると「1970 11 26」と読めますので、この話が放送された1980年より10年前に書かれたサインだと思われます。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

長太郎は父ちゃんからの話を聞いて、みゆきちゃんが落ち込んでいる理由を知って、みゆきちゃんの元気を取り戻す為に、逆立ちをしてアイディアを出します。

そこで出したのが、看板をつけてのちとせ医院の宣伝。犬猫、妊婦もなんでも治すと吹聴して町内を練り歩き、休診の札もとってお腹に隠して長太郎はちとせ医院に大勢の患者を連れてきてしまいます。

しかし、休診だから看護婦さんはお休み。体調が悪く診察が出来ないみゆきちゃんのパパは大勢の患者にパニック状態。

もし、診られたとしても動物や妊婦さんまできて、それは内科と小児科のみゆきちゃんのパパには専門外なのだから、診られないわけです。

そこへみゆきちゃんのママが帰ってきて、当然、長太郎は大目玉。怒ったみゆきちゃんのママは隣の桜間家に怒鳴り込んできます。

これはもう、みゆきちゃんのママが正論。父ちゃんは長太郎を張り倒し、母ちゃんは長太郎と一緒に謝りに行こうと言いますが、信一郎は長太郎を甘やかすなといい、父ちゃんも長太郎自身が始末をつけろ、それまでは晩飯抜きで物置きにいろと怒鳴ります。

長太郎は晩飯抜きで物置で寝ていると、隣のみゆきちゃんの部屋から長太郎にサンドイッチが入ったバスケットが差し入れされます。そのバスケットにはサンドイッチとジュースと一緒にみゆきちゃんからの手紙が。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

長太郎は翌日、みゆきちゃんとみゆきちゃんのパパの三人で江ノ島へ海釣りに行きます。ちなみに、この11話は冒頭の教室の日付から5月30日金曜日から話が始まっているのを確認出来て、長太郎が騒動を起こしたのが次の日の土曜日と推測できるので、長太郎がみゆきちゃんと江ノ島に釣りに行ったのは、6月1日日曜日だと推測出来ます。

長太郎達が江ノ島に行ったというのは、会話や手紙からは分かりませんが、長太郎達が乗った電車に「えのしま」の文字が確認出来るので、江ノ島へ釣りに行ったと分かります。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

 長太郎達は船に乗って沖に出て他の釣り客と一緒に釣りを楽しみますが、一緒に乗り合わせた男の子、ユウイチ君がお腹が痛いと苦しみ出します。

それを見た長太郎がユウイチ君のお父さんに声をかけ、みゆきちゃんのパパがお医者だと伝えます。少し見てみぬふりをしていたみゆきちゃんのパパは長太郎が自分をお医者だと紹介したのと、ユウイチ君のお父さんの頼みから、ユウイチ君を診察して、急性盲腸炎で手術が必要だと診断します。

船頭さんがあの島に手術の出来る診療所があると言い、診療所のある島まで行き、ユウイチ君を運びます。

そこで診療所の先生に引き継いで終わる予定が、診療所の先生が出張中で留守、救急艇に連絡をしますがそれもすぐには来ないとの連絡にみゆきちゃんのパパは

「長引くと腹膜炎を併発して命に関わる」

と言い、ユウイチ君のお父さんは不安になります。長太郎はみゆきちゃんのパパが手術をすればいいと言いますが、みゆきちゃんのパパは昔やったことはあるが、専門外で自信がないと言っていたので、ユウイチ君は自信がない人よりも救急艇を待って、ちゃんとした医者に手術をしてもらった方がいいと言ってしまいます。

それに怒ったのが長太郎。

「おじさん、みゆきちゃんのパパがちゃんとした医者じゃないって、言うのかよ!」

長太郎も怒りましたが、この時、みゆきちゃんのパパの顔つきも変わります。それまで、自信なげだったみゆきちゃんのパパはユウイチ君のお父さんの言葉に医者としてのプライドが傷つけられたのか、キリっとした鋭い顔になっています。

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『男!あばれはっちゃく』11話より

みゆきちゃんのパパは手術をすることを決意。看護婦さんに手術の準備をお願いして、手術を始めます。メスをもらった時に、手の震えが止まり、自信を取り戻したみゆきちゃんのパパは手術を成功させます。

後は、救急艇で病院に運べばOK。みゆきちゃんのパパはユウイチ君のお父さんから感謝されます。

全てが終わって海に向かって走る長太郎、みゆきちゃんとみゆきちゃんのパパの3人。長太郎がみゆきちゃんのパパは世界一の名医だと褒め称え、みゆきちゃんも大袈裟と言いながらも嬉しそう。そんな2人にみゆきちゃんのパパが晴れ晴れとした表情で語りかけます。

 「おかげで私は悟ったよ。医者は患者を治してやることが大切なんだ。博士号や名誉なんかは必要ない」

 

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『男!あばれはっちゃく』11話より

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『男!あばれはっちゃく』11話より

みゆきちゃんのパパが自信を取り戻し、みゆきちゃんも元気になって長太郎も大喜び。

まとめ

前回もそうでしたが、今回も以前の話の流れを汲んだ話になっています。今回の脚本は安藤豊弘さん、監督は松生秀二監督。今回の話は、5話「ヒゲが消えたよ」(脚本・田口成光さん、監督・山際永三監督)の話が前提になっている話です。

5話で大学に論文を出したみゆきちゃんのパパですが、それで博士号は取れずに、そのことでみゆきちゃんのママからネチネチいびられていたようです。

5話での騒動を知っていると、あれだけ大騒ぎして論文を出したのに、その結果が出なかった事、ひいおじいさんから続くちとせ医院の権威を気にしているみゆきちゃんのママにはショックが大きかったと思うんですが、5話の大騒動の元はみゆきちゃんのママだし、診察が出来ない程、みゆきちゃんのパパを追い詰めたのはみゆきちゃんのママなので、もう少しみゆきちゃんのママも寛容になってくれたらいいのになって思いました。

みゆきちゃんのパパは穏やかで優しいのですが、気弱だったり、不安で自信のないことは避けてしまうところがあって、それが危険を回避することもあるのですが、一歩前進する力を失わせてしまうのだと思います。

父ちゃんと酒を飲んでいる時にみゆきちゃんのパパは長太郎の事を話していて、父ちゃんは長太郎を貶していますが、みゆきちゃんのパパは長太郎を褒めています。これは、みゆきちゃんのパパにはない長太郎の恐れを知らずに前に進んでいく力を褒めているようにも感じました。

実際に長太郎は人を信頼すると、その人がダメだとか、失敗するという考えを持たないようで、盲腸の手術をする時も他に医者がいないのなら、みゆきちゃんのパパがいるんだから大丈夫だという考えで、ちっとも心配をしていないんですね。

強引に患者を呼び寄せてきて、みゆきちゃん達が不安になっても長太郎は大丈夫だと言っていて、そういうのでもみゆきちゃんのパパを医者として信頼してるんだって分かります。長太郎は大好きなみゆきちゃんのパパだから信頼しているんですが、それが揺るがない。

根拠はともかく、これだけ他人を信用出来る強さは並みじゃないなって思います。

みゆきちゃんのパパはたまたま釣り船に乗り合わせたユウイチ君の盲腸手術を成功させたことにあるのですが、その手術をするまでに決意を固める事が出来たのは、医師としての信頼をユウイチ君のお父さんから得れなかった悔しさと、微動だにさず自分の事を医者として信頼していた長太郎の態度と言葉にあったように思います。

長太郎が閃いてした患者集めはみゆきちゃん達を困らせましたが、長太郎の強い信頼がみゆきちゃんのパパに手術をさせるきっかけを与えて、前に一歩動ける自信を与えたのだと思います。

長太郎の言動が自信を無くした大人に自信を与えて前に進む力を与えた話は、初代『俺はあばれはっちゃく』33話「やめるな先生」の話でもあって、この時、佐々木先生が母ちゃんに長太郎のことをこんな風に話しています。

「なんて言うか、長太郎君は自分を偽らずに進んでいく、つまり私の憧れている生き方をしているのかもしれません」(『俺はあばれはっちゃく』33話より)

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『俺はあばれはっちゃく』33話より

この33話も今回の11話と同じ安藤豊弘さんと松生秀二監督の話でした。

長太郎の生き方が自信を無くした大人達に力を与える、前に進む力を与えるというのが、初代33話と2代目11話でも書かれていて、長太郎、「あばれはっちゃく」がどのような存在であるかを2代目の11話でさらに明確にしたと思います。

診療所のカレンダーは5月のままだったのですが、本編の項で解説したように長太郎達が江ノ島に海釣りに行ったのは6月1日日曜日だと推測出来ますので、今回は一足早くみゆきちゃんのパパを主役にした父の日ネタも兼ねていたのかなって思います。

たまたまカレンダーの都合、学校が休みの日曜日に海釣りに朝の7時から行ける都合もあったのだと思いますが。

長太郎のアイディアは騒動を起こしただけですが、長太郎の生き方、考え方がみゆきちゃんのパパを助けた話。また、初代から続く長太郎の生き方を示した話だったと思います。

また、40年後の新型コロナウィルスに苦しんでいる未来からこの話を見直して見ますと、みゆきちゃんのパパが自信を取り戻して長太郎とみゆきちゃんに言った言葉にお医者さんが患者に向き合う気持ちに改めて気づかされた気になりました。

また、お医者さんも一人の心を持った人間で、周囲の心ない言葉に傷つき、診療、仕事に悪影響が出るのだという当たり前の事に気づかされました。

みゆきちゃんのパパはみゆきちゃんのママの執拗な叱咤に傷つき、ユウイチ君のお父さんのちゃんとした医者じゃないと取れる言葉にも傷ついています。

人の心を傷つけて気力をなくしてしまう言葉は、言った本人には自覚がなくても、人の心を深く傷つけ、それまで出来ていた仕事や日常生活を出来なくさせる力を持っているのだと今回の話のみゆきちゃんのパパの姿から分かりました。

これは、誹謗中傷で命を落とした木村花さんのことを思い出して、言葉の鋭さ、怖さを再認識しました。

この話は今から40年前に放送されたドラマの話ですが、こうして40年後の2020年の現実と照らし合わせて私たちの生活や生き方を考え、振り返ることも出来るんだって思いました。

収録DVD紹介

 

厄介さん

サイコパス

人当たりがよく、話が面白く、情に優しい、人情のある言葉や声掛けをする人はとても聞き上手で人から信頼され、また適切なアドバイスを求められ、そのアドバイスが常識的であり、常識のある人間として大きく信頼を得ます。

でも、そんな人の中に相手が自分の敵だと認識したり、人格者の自分の評判を落とす人を見つけると、敵認定した相手を貶め、自分の信頼を武器にして、自分の悪い部分、都合の悪い分を隠し、或いは一部を誤魔化して事件の詳細を知らない人間に吹聴して味方を増やし、敵認定した気に入らない相手を孤立させ、悪者にして、その人の社会的地位を奪い、さらには生活が出来ないように追い詰めていく人がいます。

その人にとっては正義の行動であり、1人の人間を追い詰めても罪悪感は全くなく、というよりも善悪の概念がなく、ただ、自分が生きやすい、称賛を浴びていたい気持ちを満足させるためだけに、邪魔な人をどかす感覚で頭を働かせて動いていくのです。

こんな人に目をつけられては、こちらはたまったものではありません。

そういう人に気にられていたとしても、いつ何時、その人の胸先三寸で敵認定され、その人に細かい人生の相談をしていた秘密を利用されて、攻撃される材料にされてしまいます。

残念な事にこういう人が多く、そういう人ほど、人がどういう言葉や態度で信頼をするか、どんな言動が人格者だと思われるか熟知していて、心の奥底ではそう考えていない思ってもいなくても、人が喜ぶことを人前では演じる事が自然に出来てしまいます。

そういう人だと知らずに、そういう人の味方になって、人を追い詰めることを正義だと思って人を成敗して正義の味方になってご満悦な人達が増えてきて、そういう人達に苦しめられている人を見ていると、とても気の毒でなりません。

加害者の方が人格者に見られ、被害者が常識のない酷い人って思われる構図はDVの関係にも似ているように思います。

加害者と被害者の判別がつきにくい時代。LINEの会話の切り貼りで簡単に捏造が出来たり、口裏を合わせて1人を悪者にすることは簡単に出来てしまう世の中。

こんなのは、ネットがない時代からあって、罪のない人が罪人にされたりもしました。

いい人に見せかけて、心の中では自分だけがいい人になるために人を裏切り、人を悪者にする人間だっていて、ネットの時代にそういう厄介さんに出会う確率も増えてきました。

とても見分けがつきにくいのですが、厄介さんには気をつけないと、こちらの人生が破綻します。

利益になる人にはゴマをすり、見限った人間を損切りする人には関わり合いにならない方がいいと思います。

難しいですね、そういう人を見分けるのは。