柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』第6話「掃除はプロだぜ」感想

 

脚本・市川靖さん・山際永三監督

アバンタイトル

洋一と二人、屋外で鍋の前に立つ長太郎。ガスボンベにガスコンロ。サツマイモをガツガツ食べて、お尻には白い風船を仕込んでいる。どうやら、サツマイモを食べてガス(おなら)を出して何かをしようとしている様子。おならが出そうになったタイミングで洋一に声掛け、マッチを擦って火をつける洋一。途端に爆発。真っ黒けっけの2人。

本編

ドンペイを連れて合気道の稽古にお寺に来た長太郎。みゆきちゃんに手ほどきをお願いしますが、初心者の長太郎と合気道歴5年のみゆきちゃんでは、実力に差があり過ぎて相手にされません。長太郎のレベルにあった方で練習をすることに、真面目にやっているかと思えば、ちょっと居眠り。そんな中、連れてきたドンペイが暴れ始めます。

これ、前回のみゆきちゃんのママに足を踏まれたとか、そういうきっかけがなくて、ドンペイが暴れているので、ちょっと、ドンペイどうしちゃったのかなって、見ていてハラハラ。ドンペイが暴れまくって、長太郎が止めに入って、お地蔵さんが倒れそうになり、なんとかそれを止めるも、合気道の師匠でお寺の住職の和尚さんが地蔵の下敷きになって足を骨折。

長太郎は責任をとって、お寺に住み込みで和尚さんの面倒を見る事に。

長太郎は朝早起きをして、掃除をして食事を作ってと、まるで寺で修行する小坊主のように雑用をすることに。

朝早くからの仕事で目覚ましをかけても、それを止めて起きない長太郎の頭に、鹿威しの仕掛けのような道具で、眠りを覚まされます。それは、和尚さんが使った長太郎起こし機。鹿威しのような仕掛けで、木魚のように長太郎の頭を叩いて起こすのがコミカル。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

長太郎の掃除は結構、雑。動きもコミカルでチャカチャカ早送りした感じで、ポンポン進みます。

長太郎は朝早くからのお寺の仕事で、算数の授業中に居眠りしてしまうのですが、ここでも罰として掃除を言い渡されてしまいます。この時に、また、掃除かというのが畳みかけてきて、笑いました。

この学校の掃除でもチャカチャカした動きで雑に掃除をしていく長太郎がテンポよく流れていくので、長太郎が本当に掃除が嫌なんだなって感じました。やらないといけないからやっていくけど、さっさと終わらせたいという気持ちが見えてくるんですよね。

学校に行く前に長太郎が作った和尚さんへの食事もカップ麺でしたし、こういうの笑えます。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

学校の掃除が終わって、長太郎がお寺に戻ってきて、またお寺の庭掃除をしていると、ある男性が長太郎に声をかけます。先代の時代から頼まれていたものがあるから、和尚さんを読んで欲しいと。

どうやら、お寺は元々は四谷にあったものの、江戸時代に火事で焼けてその時に紛失したお寺にある仏像と対になる仏像が手に入ったということ。その仏像を持ってきたタニオカさんは、その仏像が200万すると和尚さんに言います。

長太郎はこんな汚いのが200万もするのか、と思いますが、和尚さんは亡くなった先代の時代から探していた仏像の為に欲しいと思うものの、買うお金が50万足りず、ため息。

掃除をしながら、それを聞いていた長太郎は、和尚さんの為にとあることを閃きます。

それが、お葬式の呼び込み。

長太郎は看板を持って町内を歩くのですが、寿司屋の前では効果がないと気づき、ある場所で呼び込みを始めます。それが、みゆきちゃんのおうちのちとせ医院。

それは、もう、みゆきちゃんも止めに入るし、みゆきちゃんのママも怒鳴りこんでくるわけです。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

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『男!あばれはっちゃく』6話より

まあ、そんなわけで長太郎は父ちゃんと信一郎に絞られます。長太郎としては和尚さんの役に立てという言葉を守っただけなのにって思うわけで、なかなか、この和尚さんが困っている、お寺の収入源のお葬式が少ない、お金が足りない、お葬式をして収入が入れば和尚さんの欲しい仏像が手に入る。葬式が必要な人は病院にいるから、みゆきちゃんの家の前でお葬式の呼び込みをするっていう、それだけをみてしまうので、みゆきちゃんの家でやられる迷惑を考えないとこが、長太郎の1つのこと、優先すること以外はあまり目に入らないとこが騒動を引き起こすのかなって思いました。

お葬式も大事なものなんですが、やはり病院の前で「死」を連想させるのは縁起でもないというか、それは切り離せないものではあるんですが、ちょっと、それはって思ったりするのです。

決して悪い事ではなく、いずれ、お世話になることではあるんですけど、こういうのって難しいですよね。

長太郎が河原で拗ねていると、カヨちゃんがきてカヨちゃんが和尚さんの髭剃りに行って長太郎の見張り役としてくる事に、でも、カヨちゃんは長太郎の味方。

お寺に行くと、和尚さんがタニオカさんから仏像を買ったことを知り、合気道の稽古に来ていたみゆきちゃんもカヨちゃん長太郎が看板を持ってお葬式の宣伝、呼び込みをした理由を知って納得。

長太郎はまた掃除をすることになって、和尚さんが買った汚い仏像を石鹸で洗い始めます。仏像を洗う長太郎を見て慌てる和尚さん、そんな和尚さんに長太郎が仏像の木材の事を話し、さらに合板ということまで話します。

和尚さんはそれを聞いて目を回し、カヨちゃんは偽物だと言い、みゆきちゃんは江戸時代にそんな木材はないと言います。

和尚さんはタニオカに騙されてしまった。長太郎とみゆきちゃんは売ったタニオカを追いかけてます。途中で本屋で立ち読みしている弘子ちゃんと和美ちゃんの間を長太郎が割り込んできて、続いてみゆきちゃん。

長太郎が来た時は文句を言っていた和美ちゃんがみゆきちゃんが飛んで来た時には、大変な事が起きたと、一緒になって追いかけるところが面白く、弘子ちゃんと和美ちゃんの中で、まだ長太郎よりもみゆきちゃんに対する信頼度が高いんだなって感じました。

同じ行動をしているのに、みゆきちゃんの時には文句がなく、なんかとんでもないことが起きたんだと心配して、一緒に駆け付けるところが、みゆきちゃんの信頼度の高さに繋がっていると感じました。

長太郎が追いかけて、洋一の家の前に来て、長太郎は着物を着た人を知らないかと聞くと銭湯の玄関にはタニオカが履いていた下駄があり、洋一がその人は一番風呂にくる常連だと教えてくれます。

弘子ちゃんと和美ちゃんは特に何もしないんですが、みゆきちゃんが長太郎と洋一の後を追いかけて男湯に入ろうとした時に、止めていたので、2人はこの為に来たのかなって思いました。

長太郎はタニオカの服を取って、お寺までタニオカを誘導します。

タニオカはカーテンを腰に巻いて長太郎を追いかけます。この時にみゆきちゃん達の悲鳴が上がるのですが、みゆきちゃん一人だけでなく、弘子ちゃんと和美ちゃんの声も加わるとパニックの度合いが大きくなって、インパクトが強くなるなって思いました。

また、このタニオカの誘導の作戦の途中で仕事帰りの父ちゃんがそれを見かけて、みゆきちゃん達と共に長太郎、洋一、タニオカを追いかけていきます。

お寺について、和尚さんがカヨちゃんの肩を借りて、長太郎達を迎え入れます。長太郎は和尚さんを騙したことタニオカに和尚さんに謝って欲しかったと思いますし、和尚さんに文句やタニオカを懲らしめて欲しかったと思いますが、和尚さんの言葉は意外なものでした。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

 「この仏像ね、偽物だったんですよ。あんたも悔しいでしょうな。こんな偽物、掴まされて」

「え、ええ」

「何言ってんだよ、和尚さん、そいつはな、騙したんだよ」

「騙したんじゃない!この人も騙されたんだ」

 こんな言葉が騙された和尚さんから出てくるとは思いませんでした。長太郎の納得がいかない様子にカヨちゃんが声をかけますが、長太郎が解せない顔をしていると、全てを見ていた父ちゃんが、和尚さんの気持ちを「分かってやれ」と諭します。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

こういうのが仏の心なんでしょうか。タニオカさんが和尚さんに素直に200万円を返したのも、その優しさに触れて、騙した自分が恥ずかしくなり、タニオカさんの中にある良心が素直に罪を認め、申し訳ない気持ちが和尚さんに対して素直になれたのかなって思いました。

全てが終わって、和尚さんの足も治り、長太郎も家に戻る事に。長太郎が壊した縁側の板も新しいのになったのに、調子に乗った和尚さんが壊してしまい、また、足を痛めてしまったけれども、もう、長太郎は自由の身。「あしたもあばれるぞ」で締め。

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『男!あばれはっちゃく』6話より

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『男!あばれはっちゃく』6話より

まとめ

初代から書いている5人の脚本家の5人目市川靖さんの2代目の初の脚本です。市川さんは初代『俺はあばれはっちゃく』の最終回を書いて以来の『あばれはっちゃく』の話。

ドンペイが暴れた理由は分からないものの、それ以外は単純明快で分かり易い話でした。

長太郎が3回ほど、閃ていくんですが、どれも逆立ちはなし、殆ど目を瞑って閃くことが多かったですね。また、長太郎がお葬式の看板を持って歩く姿は、初代長太郎が37話「父ちゃん社長だ」で看板を持って父ちゃんの仕事を宣伝していたのを思い出しました。この初代37話も脚本は市川靖さんです。

長太郎が罰で掃除をさせられるという、畳みかけが面白いのと、長太郎の掃除の映像がチャカチャカしているのが面白い話で、また、掃除以外の長太郎の食事の適当さや一つの事に集中したら、他の迷惑を考えない長太郎の長所と短所が同時に分かる演出というか、長太郎の行動が面白い話でした。

掃除のプロの長太郎がプロとしての力を発揮したのは仏像を洗った時でしたね。父ちゃんが大工で長太郎が木材に詳しかったのもプロならでは。お掃除の関連で古い汚い仏像を綺麗にするのがプロの力の見せどころになっていました。

私がこの話で好きなのは、和尚さんがタニオカさんを許す場面です。それも、「許してやる」というのではなくて、仏像を探して見つけてくれたタニオカさんも騙されて悔しいというように、上から目線でもなく、自分と同じ被害者として、相手を責めるでもなく、タニオカさんを許していること。

自分を騙した人を憐れむとか可哀想とかという高みからではなくて、同じ位置で同じ目線で許すというか、うまく伝えられないのですが、こう人を糾弾するだけが解決の道ではないんだなってのがあって、こういうのって本当に一番、難しいことだと思います。

自分を裏切り騙した人を責めずに悪者にしないで、許すとこと。

相手を悪者にするのは簡単だけど、それは相手に新たな憎しみを与えて、終わりない戦いに繋がっていくのかなって。

後は許された相手にも良心があることが大事で、それがないと味をしめて、また人を騙す人はいるんですけど、タニオカさんはそうではなかった。

まだ、恥を知っていたんですね。長太郎に服を取られて裸で追いかける時に、恥ずかしさを感じてカーテンを巻いて追いかけたタニオカには「恥」があった。

裸で出る事も、人を騙すことも恥ずかしい事。

恥というのは、忘れてはいけないし、かかないにこしたとはないんだなって思いました。

人を許す優しさ、恥を知る事の大切さをしみじみ感じた話でした。市川さんの話は破天荒な中にこうしたホッとする温かさを感じる話が多くて、私はとても好きです。

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