柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』10話「ザリガニ捕りだ」感想

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『男!あばれはっちゃく』10話より

脚本・田口成光・山際永三監督

アバンタイトル

ターザンのような原始人のような格好の長太郎。弓矢で狩りをしたり、木をこすって火を起こし、その火でホタテを焼き、肉を食べる。そんな長太郎の目の先に自転車で塾に行くみゆきちゃん達の姿。そんなみゆきちゃん達を見て、自分が勉強出来ないわけだと納得、そこに後ろから竜が出てきてオチ。

本編

走ってくる長太郎。ペットショップの前にいるみゆきちゃん達に声をかけます。ペットショップには亀やザリガニが売っていて、長太郎達よりも幼い男の子が1匹200円のザリガニを5匹買い上げてました。

邦彦が200円もするザリガニを5匹買ったことを長太郎に話すと、長太郎はザリガニを捕まえれば、タダで手に入ると話します。それを聞いたみゆきちゃんは、この辺にザリガニが捕れる場所なんてないと言うと、長太郎は分かっていないと話し、ザリガニを捕ってきたら信じるという和美ちゃん。

そこへ、ザリガニを買った男の子の母親が来て、ザリガニを捨てるように言い、男の子は母親の剣幕に負けてザリガニを捨てると、そこに車が来てザリガニを袋ごと轢いてしまいます。

男の子の名前はショウイチ。母親は今日は英語の塾の日だと、男の子が首から下げている塾のスケジュールを書いたカードを示してショウイチを叱るのですが、この母親も男の子と同じカードを持っていて、この母親が男の子のスケジュールをしっかり管理していることが分かります。母親の乱暴なやり方に長太郎が腹を立てて、母親に食って掛かろうとするのですが、それを洋一と邦彦が抑えます。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

カードを見ると月曜日が英語塾なので、この日は先の母親の言葉から、月曜日の出来事だと推測が出来ます。それにしても、洋一はともかく邦彦が長太郎を抑えるのは珍しいと感じました。邦彦も騒動を嫌う方ですが、長太郎が騒ぎを起こして、評価を落とせば邦彦は喜ぶ感じだったのが、今回はそれを事前に止めている。これは、前回(8話)の長太郎の粋な計らいが邦彦に影響を与えているのかなって思いました。

今回の脚本は田口成光さんで、前回は三宅直子さん。それでも、ドラマとしては繋がりがありますから、前の話の影響はその後の人物関係に影響されていて、見ている方もその繋がりを感じ取ります。

今回はこのショウイチ親子に長太郎達が翻弄されていくので、長太郎だけの敵、長太郎対他の人達の図式ではなく、ショウイチ親子対長太郎達になっていて、この話で長太郎がみゆきちゃん達の仲間の一員に入っているという印象を受けました。

長太郎は家に帰ってくると、バケツを持ってザリガニを捕りに行き、次の日学校に捕ってきたザリガニを学校に持っていて皆に見せます。たくさんのザリガニを前に買ってきたのではと疑うクラスメイトに約束通りに捕ってきた事を話す長太郎にショウイチが来て、ザリガニを500円で売って欲しいと長太郎に申し出ます。長太郎は、またショウイチの母親に捨てられると渋りますが、洋一がけしかけ商談が成立。しかし、そこへ校長先生がやってきて、校内での売買を叱責。長太郎は校長室に呼ばれ、寺山先生も呼ばれて注意を受けます。

ショウイチがザリガニを買うために取り出した500円は岩倉具視500円札。今なら、500円玉なんでしょうが、500円玉が登場したのは2年後の1982年。10話が放送された1980年当時はまだ500円札の時代。ちなみに当時5歳だった私は500円札に縁がなく、こんなお金があるのかという感じで、ペットショップで1000円札でザリガニを買っていたのを見ても、ショウイチって大金をもっているんだなって感じました。当時、生きていた私が500円札を見てそんな風に思うのですから、もっと若い人には500円って硬貨じゃなくてお札だったんだ!って驚くのではないでしょうか。

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『男!あばれはっちゃく』10話より
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『男!あばれはっちゃく』10話より

長太郎が校長室で校長先生に叱れ、寺山先生にショウイチの事を話していると、そのショウイチが母親と一緒に校長室にやってきます。長太郎が話す時に、校長先生の机の盆栽に手を出すのですが、4話で長太郎に盆栽の枝を折られている校長先生が盆栽を避難させているのが面白かったです。4話の脚本は安藤豊弘さん、邦彦が長太郎の味方をする流れもそうですが、今回の10話はそれまでの人間関係や出来事の流れを汲んで人物の行動に繋げていますね。

長太郎が寺山先生にショウイチの母親がとんでもない事を話している時にショウイチの母親の姿を先に見た校長先生がすごく焦っていて、何も知らずに話している長太郎に校長先生同様、冷や冷やしました。

ショウイチの母親が来た理由について校長先生が寺山先生と長太郎に説明をします。校長先生によると、ショウイチの母親は神保いずみという教育評論家。それも、本校の先輩でと紹介しているので、ちとせ第一小学校の先輩ということになるのですが、これがちとせ第一小学校のOGという意味なのか、校長先生にとっての先輩になるのかがちょっと分からない。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

校長室には3代までの校長の写真が飾ってあるのですが、そこに神保さんはいないし……。だから、多分、ちとせ第一小学校の卒業生なんでしょうね。それで、教育評論家として講演をする為に打ち合わせに来たという。ザリガニよりも勉強が大事だという神保さんにザリガニに興味を持つのも大事だと反論する寺山先生。そんな寺山先生を止めて、校長先生が講演の打ち合わせの為と神保さんを連れ出します。

神保さんは勉強よりも夢中になるものは、勉強の邪魔になるという考えの持ち主で、将来、幸せになるためには勉強が一番大事だという考え。寺山先生はいろいろなことに興味を持って夢中になれるものがあるほうが良いという考えがあると感じました。

多分、極端に子どもを管理して縛り付けてしまうのが、子どもの自由を奪い、好きなことを抑圧された不満が子どもに閉塞感を与え、無理やり押し付けられた事に嫌悪感を感じてそれをやる事への意欲を後退させているのではないか、と、ショウイチの不満そうな顔を見て思いました。

母親の神保さんに言いたいことがあっても、言うことが出来ずに、悔しい顔をするのが精一杯で、言葉は母親の望むことを言うショウイチを見ると、もの凄い吐き出せない不満がショウイチの心に渦巻いているように見えました。

教室に戻った長太郎と寺山先生は長太郎の捕ってきたザリガニを見て、ザリガニの説明をする長太郎に長太郎を先生にして、ザリガニの事を勉強しようと提案。ザリガニがどんな餌を食べているか図鑑で知っているという邦彦に、実際には見ていない事を言う長太郎に言い返せない邦彦。

勉強が出来る邦彦が知識のあるのを見せるも、実体験と本で得た知識の差がここでつけられていて、本で学べることと実際にザリガニを捕まえて本物を飼うことで得る知識の差がある事が示され、体験する大切さが示されます。

今回は、勉強以外の事に興味を持ち、夢中になる事を否定する教育ママの神保さんが登場してきて、長太郎が遊びの中で獲得していった知識と本で得て、試験に出る問題を解く知識が比較されていて、遊びから得る知識も馬鹿に出来ないということも示されます。

人間の時間は有限ですから、体験する事は限られていて、本で知る知識も大事になります。それで、有限の中でいろんなことを子どもに体験させるにもやりくりが難しい。また、させるよりも自発的にいろんな事に興味や好奇心を持って勝手にやって体験していく事の方が積極的に取り組んでいくんじゃないかなって思いました。

興味や好奇心、好きな事はいろんな事を知る原動力になり、それは、知識が増える事に繋がる。ただ、子どもが興味を持つことが必ずしもいい事だと限らないので、そこの見極めを大人がしっかり見ていないといけないと感じました。神保さんは、ショウイチがザリガニに夢中になるのを良くないとしていましたが、それはちょっとって思ったものの、子どもが勉強以外で興味を持ち、夢中になるのはザリガニ以外にもあって、それはゲームだったり、漫画だったり、スポーツだったり、ネットだったり他にもたくさんあります。中には、殺人に興味を持つ子だっている訳で、そういう犯罪に全く興味を持たない子はいないと言い切れないところはあります。

そう考えると対象がザリガニだったから、神保さんが大袈裟に見えましたが、心配する気持ちやザリガニに夢中になるショウイチを心配する気持ちも分かる気がします。

私には子どもはいませんが、それでも大人になって神保さんの心配に思いを馳せる事が出来たのは、40年経って大人としての視点を持つことが出来たからだと思います。

長太郎達は放課後、長太郎を先生にしてザリガニ捕りに行きますが、その途中でショウイチに会い、ショウイチもザリガニ捕りに加わります。長太郎は塾に行かなくてもいいのかと尋ねますが、ショウイチは、もう塾は終わったと塾のスケジュールカードを投げ捨て長太郎達についていきます。

長太郎はザリガニ捕りの方法やコツをみんなに教えて、ザリガニを捕っていきますが、途中でみゆきちゃんがザリガニに手を挟まれ、長太郎がそれを助け、みゆきちゃんの手から離したザリガニを投げたら、それがショウイチの方へ飛んで耳を挟み、痛みでショウイチがオタオタして転んで足を擦りむくと、長太郎は河原に生えていたヨモギをむしって、ヨモギを揉んでショウイチの傷口につけて、止血をします。

長太郎はザリガニだけでなく、ヨモギを使った応急手当まで知っていて、これが遊びから学んだ長太郎の知識。邦彦が試験に出ないことをよく知っていると長太郎に言うのですが、試験問題だけでない問題の対処や知識が生きる事に役に立っていくというのも、この話の中での、神保さんの教育論に対しての反証のように思いました。

ショウイチの傷の手当てをして、たくさんのザリガニも捕って楽しくその日は終わるのですが、次の日ショウイチが神保さんとタクシーで登校。

神保さんは長太郎達が塾に行くショウイチを無理やりザリガニ捕りに連れていって、怪我をさせたた校長室に文句を言い、寺山先生の責任を取れと迫ります。

神保さんが来たことで心配した長太郎達が校長室に来て、事の成り行きを見守っていましたが、ショウイチが嘘をついた事をきっかけに、長太郎達が校長室になだれ込み、ショウイチが嘘をついてると抗議します。

この時は寺山先生が責められているというのもあったのですが、長太郎がみゆきちゃん、洋一、邦彦、和美ちゃん、弘子ちゃんと一丸になって校長先生と神保さん、ショウイチに抗議しているので、前にも書きましたが、長太郎がみゆきちゃん達の仲間になったと強く感じました。

教室に戻った長太郎達は、寺山先生の事を心配し話し合います。邦彦が向こうには診断書があると、こちらが不利なことを話すと、みゆきちゃんが何かを思い出し、神保親子が自分の病院に診察にきたことを話します。みゆきちゃんのパパが診断したのなら、間違いがないんじゃないという和美ちゃん。

そこへ寺山先生が来て、授業を始めますが、1時間目は国語なのに算数の授業を始めるという寺山先生に邦彦が訂正を入れます。

寺山先生が先ほどの神保さんとのことでショックを受けていると心配する長太郎達。

時間割を間違えた寺山先生を正すのが邦彦のあたり、邦彦が優等生だというのが端的に分かります。また、寺山先生を長太郎達が心配する場面で黒板の日付とその横の壁に授業の時間が書いた紙があります。

それを見ると、この日は5月14日の月曜日だと分かるのですが、本放送された1980年の5月14日は水曜日なので、これは日付が間違っているか、曜日が間違っている事になりますね。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

時間割を間違えた寺山先生がショックを受けている事を洋一が長太郎に囁き、家に帰って来た長太郎は寺山先生の事を心配します。

2階のベランダでドンペイと寺山先生の事を心配していると、隣のみゆきちゃんがパパから聞いた話から自分達が神保親子に騙されている事を長太郎に伝えます。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

みゆきちゃんはみゆきちゃんのパパが寺山先生にその報告をしに行ったことを伝え、みゆきちゃんと長太郎は神保さんの家に向かいます。

ここで、みゆきちゃんのパパが寺山先生のアパートを訪ねる場面が出てきて、寺山先生のフルネームが「寺山健一郎」だと分かります。

みゆきちゃんのパパが寺山先生に話している時、長太郎とみゆきちゃんは神保家に到着。

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『男!あばれあはっちゃく』10話より
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『男!あばれはっちゃく』10話より

そこでは、無理やり塾に行かされるショウイチの姿が。前よりももっと大きいスケージュールカードというより、表をぶら下げています。

しかも、ザリガニを焼却炉に捨てられるショウイチを見たみゆきちゃんがそんなショウイチを可哀想と言い、長太郎がショウイチを助けるために飛び出し、みゆきちゃんもそれに加勢します。ザリガニが捨てられるはずだった焼却炉にスケジュール表を捨て、ザリガニを持って長太郎とみゆきちゃんの逃げるショウイチ。それを追いかける神保さん。その4人を道路を挟んで反対側の歩道から見つける寺山先生。

みゆきちゃんのパパの話を聞いて、神保家に向かった寺山先生が長太郎達を見つける場面は奥で走っている長太郎達と間を挟んだ車道の車が行きかう道とその向こう側で長太郎達を見つけた寺山先生の三層の画面になっていて、それぞれが同時進行しています。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

これ以前にも、神保さんが初登場した時に手前の長太郎達の奥で神保さんの姿が見えたり、寺山先生を心配して文句を言いに来た神保さんが来た時に校長室を見ていた長太郎達の姿など、奥行きを使って同時にその場にいながら、別々の行動をしている人物の動きを同時に見せていますが、今回の監督である山際永三監督は、こうした一場面に何層も情報を詰め込む手法で話を見せる事が多いです。

一場面の流れの中に多層に情報を入れますが、見せ方に無理がなく自然に入ってくるので見ている方の情報処理もスムーズで話が圧縮されて短い時間ながらも、それ以上の内容がこちらに伝わってきます。

声をかけても距離と車の音で寺山先生の声がかき消され、寺山先生が長太郎達を追いかける展開に。長太郎達は角材のある場所に逃げ込み、自分達が囮になってショウイチを逃がします。長太郎とみゆきちゃんの陽動作戦につられて、へとへとになりながら2人を追いかける神保さん、その時、奥からショウイチの悲鳴が。

その声の方へ神保さん、長太郎、みゆきちゃんが駆けつけると、崩れた角材の下敷きになったショウイチの姿が。必死で角材をどける神保さんですが、ショウイチの言葉に動きが止まります。

来るな!来るな!ママなんて大嫌いだ! 

 それまで、どんなに不満があっても母親の神保さんのいいなりだったショウイチがはっきり、「ママなんて大嫌いだ」と言ったことで、神保さんはショックを受けます。

ここに逃げてくる前にもショウイチは自分だってザリガニで遊んでもいいじゃないか!と反論していますが、はっきりと母親が嫌いだと意思表示してはこなかったので、神保さんのショックは大きかったと思います。

何よりショウイチの悲鳴を聞いて一番に駆け付け、我先にとショウイチを助けるために取り乱し、必死で角材をどける神保さんには子を思う母親の姿がありました。

神保さんはショウイチが持っていたザリガニに手を挟まれるのですが、そこもザリガニの反撃に見えました。ショウイチの言葉にショックを受け、ザリガニに手を挟まれてもショウイチを助ける神保さん。

寺山先生が駆けつけ、男の力で角材をどんどんどけていきます。長太郎もみゆきちゃんもその前に角材をどかしていますが、やはり成人男性の力は頼りになります。

無事に角材の下敷きからショウイチを助けると神保さんは泣いてショウイチに謝ります。

全てが終わり、迷惑をかけたことを神保さんが謝り、今回は長太郎があの親子を治療したと褒められ、みゆきちゃんのパパからも長太郎は名医だと褒められて円満解決。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

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『男!あばれはっちゃく』10話より

まとめ

今回は初代『俺はあばれはっちゃく』9話「けとばせ過保護」(脚本・市川靖、監督・山際永三)を思い出す内容でした。「けとばせ過保護」で登場したマサミの母親はPTAの会長でしたが、今回はそれ以上の教育評論家の神保女史が登場。

今回マサミの母親役で2代目ではみゆきちゃんのママ役でレギュラー出演している藤江リカさんが出演されていなくて、新旧教育ママの夢の共演は叶いませんでしたが、これはちょっとキャラが被るから今回みゆきちゃんのママはお休みしたのかなって思いました。その代わり、みゆきちゃんのパパが再登場。ショウイチの足の怪我の件もあるので無理のない再登場でしたね。

診断書の問題点を邦彦がついて、そこからみゆきちゃんの病院に神保親子が来て、ショウイチの怪我の実態を知れて真相が分かったという話を解決するキーワードを担っていたこと、神保家の問題が旦那を亡くして異常に教育に力を入れ過ぎた神保さんにあることをみゆきちゃんのパパが寺山先生に話しているのも、解決への糸口になっていて、嘘をついて寺山先生を窮地に追い込んだショウイチの母親に無理強いさせられる姿を見たみゆきちゃんが怒りよりも憐れみをショウイチに感じ、長太郎も同じように思い、また、長太郎は神保さんのやり方にも腹を立ててショウイチを救ったのが、ショウイチに母の神保さんに立ち向かう気持ちを与えたように感じました。

勉強というのが、本で得る知識と好きな事からの興味や好奇心から得る両方があってどちらも大事というか、好きな事から得る知識を蔑ろにする傾向にある事への、そうじゃないよっていうメッセージが強く込められた話だと思いました。

また、ショウイチの言葉にショックを受けて考えを改めた神保さんを見ていると、神保さんは自分の言いなりになるショウイチじゃなくても、自分の子としてショウイチを大事にしていることが分かりました。

スケジュールの管理をしてショウイチを思い通りに動かそうとしているように見えていたのも、ショウイチの将来の事を考えて管理していたもの。それはショウイチを子として思いやってのこと。でも、そのやり方が強引で、ショウイチの気持ちを無視して、苦しめていた事に気がついた神保さんの顔はとても淋しそうで、自分がショウイチにしてきた酷い事を自覚された瞬間で、この人は本当はとても子どもを思う優しい母親なんだなって思いました。

人を自分の思い通りに管理して動かして、それが少しでも想定と違うと文句と言ったり殴ったりする親や配偶者もいたりしますが、神保さんはそうではなかった。なかなか、自分の為に支配下に人を置きたい人と、そうでない人の区別はつきにくく難しいと思いますが、今回、話がうまくまとまって落ち着いたのは、神保さんが本来優しい人だったからだと思いました。

現実は中々、そういう優しい人が少ないんだなってことが分かってきましたが、相手も自分の意思がある人間だということを忘れないで生きたいなってそんなことを感じた10話でした。

 収録DVD紹介

 

間違いを訂正しました。

訂正、更新のお知らせ

エルビスさんからのご指摘で、『男!あばれはっちゃく』97話にゲスト出演した島田歌穂さんの役名の間違いを訂正しました。

これまで、島田さんの役名を山口カヲルと間違って伝えていましたが、正しくは山吹カヲルでした。

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『男!あばれはっちゃく』97話より

エルビスさんのコメントで間違いに気づくことが出来ました。

また、これまで間違った情報を書いてしまってごめんなさい。

エルビスさん、コメントでのご指摘ありがとうございました。

これから先、なるべく間違いや勘違い、ミスをそれを減らしていきたいと思いますが、人間なので間違いや勘違い、ミスが出てくるときもあると思います。

その時は、また教えて頂けると嬉しいです。

世話が焼けるブログですが、読んでくださる皆さま、これからもよろしくお願いします。

kakinoha.hatenadiary.com

『男!あばれはっちゃく』9話「あばれアニメだ」感想

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『男!あばれはっちゃく』9話より

脚本・市川靖さん・山際永三監督

アバンタイトル

時代劇。忍者たちにさらわれたみゆき姫を助けた武士長太郎。刀で立ちまわって忍者を倒し、みゆき姫に感謝されるも自分の腕を切り落としていて痛がるオチ。

本編

遅刻しそうになった長太郎は近道をします。その途中で水溜りにはまって往生している赤い自動車に遭遇し、自動車の運転手の女性から助けを求められます。渋る長太郎でしたが、お礼に車で送ってもらうということから、自動車を後ろから押して助けます。

自動車に乗り、学校へ向かった長太郎は寺山先生とみゆきちゃん達の姿を見つけて、そこで止めてもらいます。自動車の女性は長太郎にお礼を言って、お礼を長太郎に渡します。

長太郎が助けた女性の姿を見て、声を聞いたみゆきちゃんと和美ちゃんからその女性が人気テレビアニメ『紅の騎士』に出演している声優の米倉小夜子だと分かります。長太郎がお礼にもらったのは、その米倉小夜子が出ている『紅の騎士』のセル画。

この絵が動くのが不思議だと言う、長太郎に寺山先生はアニメーションの動く仕組みを授業で教えることにします。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

馬の少しずつ違う絵を連続で見せることで、走る馬を見せた寺島先生が残像の説明をして、題材はなんでもいいから、やってごらんと宿題を出します。見ていてこれはフルアニメーションの説明に近いのかなって思いました。

班ごとで寺島先生が説明で出した残像を使った動きのある絵を作る事になり、長太郎はいつものメンバーみゆきちゃん、洋一、邦彦、和美ちゃん、弘子ちゃん達と課題のアニメを作る事になります。

長太郎は『紅の騎士』のセル画をもらったことで、みゆきちゃん達から一時的にアイドル扱いされているわけですが、面白くないのが邦彦。1枚だけのセル画でいばるなんて、僕はもっと持っている、うちのパパは顔が広いからセルに色を塗っている人と知り合いだと言いだします。

当然、みゆきちゃん達は食いつき、邦彦に見せて欲しいといい、宿題も邦彦の家に集まってその時に見せてと言いだしますが、なぜか邦彦は渋ります。長太郎が自分の家なら大丈夫と言い出し、邦彦は渡りに船と言わんばかりに、長太郎の家に集合してやろうと決めます。

弘子ちゃんは走り去っていく邦彦にセルを忘れないでねと声をかけます。帰って来た長太郎はみゆきちゃん達が来るので大はしゃぎ。部屋を片付けようと、部屋で勉強していた一番邪魔な兄の信一郎を片付けてしまいます。

信一郎と長太郎の部屋は一緒。長太郎に片付けられた信一郎を見て、1話で別々の部屋が良かったと言っていた信一郎の気持ちが改めて分かりました。母ちゃんも長太郎の友達がくることで、ケーキを買ってきていて、そのケーキがこれもまたおいしそうで、なかなか。

あばれはっちゃく』シリーズの消え物の食べ物って結構、豊かだと思うんですよね。庶民的ではあるんですけど、少しだけ格上なブルジョワな感じがします。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

準備万端で待っていても、みゆきちゃん達が来ないので、長太郎は隣のみゆきちゃんに声をかけます。すると、みゆきちゃんが邦彦君から連絡が来ていないの、邦彦君、幼児があるから取りやめになったと長太郎に伝えます。

がっかりする長太郎。その夜、長太郎は『紅の騎士』をテレビで見ますが、女の子の漫画のどこがナウくて面白いのか、さっぱり理解出来ていません。そこへ父ちゃんが漫画なんて見てといい、セル画について信一郎に聞きます。

どうやら、父ちゃんは会社で佐藤部長からセル画について聞かれ、父ちゃんも佐藤部長もセル画のことを知らず困っているとのこと。佐藤部長は邦彦からセル画のことを聞いて、困って父ちゃんに相談していたとのこと。それを聞いた長太郎は邦彦の話との食い違いに気づき、邦彦が嘘をついたこと知ります。

すると、佐藤部長から電話がかかってきて、急に父ちゃんが長太郎を怒り始めます。父ちゃんが怒ったのは邦彦が長太郎にいじめられて食事もしないという電話を受けたから。長太郎は身に覚えがなく抗議しますが、父ちゃんは長太郎以外なら信じるが、そうもいかないと。

父ちゃん、酷い。邦彦が元気がないのは嘘をついてしまったから。今日は誤魔化したけど明日の学校では誤魔化せないから。それを長太郎のせいにしてしまう邦彦。邦彦は次の日、学校を休んでしまいます。その前に長太郎は邦彦の家に行き、邦彦を訪ねますが、既に邦彦が学校へ行ったことを邦彦の姉、ゆかりさんから確認しています。

しかし、邦彦は学校には来なかった。そこで、長太郎は邦彦がズル休みをしたと休み時間にみゆきちゃん達に話すのですが、それまで一度も休んだことのない邦彦のズル休みをみゆきちゃん達は信じません。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

「調べもしないで勝手に思い込んで人のことを悪く言うなんて、嫌な性格ね」

「そうだよ」

「邦彦君に何か事情があるに決まっているじゃない」

「そうよ」

「そうよ」

「いない人の悪口いうなんて、長太郎君、男らしくないわ」

 前回、8話では長太郎と母ちゃんの誤解を敢えて解かなかった邦彦を責めたみゆきちゃんは、今回は邦彦を一方的に悪く言う長太郎を責めます。

みゆきちゃんが長太郎だけにも、邦彦だけにも肩入れしていない公平な目を持っているのが分かります。みゆきちゃんは、一方だけの情報だけを見ることなく、また、一方しか情報がない場合は断定を避けます。自分の母親が相手でも、どちらがいいか悪いかというのを、中立の立場で双方の動きを見て人の噂だけで、人のいい悪いを決めません。

私はこういうみゆきちゃんの公平さがとても好きです。

初代『俺はあばれはっちゃく』のヒトミちゃんも2話で正彦を悪者にした長太郎を叱っていますが、初代2話時点のヒトミちゃんは長太郎と正彦に対するそれぞれの印象からくるイメージで善悪を決めて長太郎を責めているのに対して、みゆきちゃんの方がもっと客観的に見ているように感じました。

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以前にも書きましたが、次第に優しさと公平さが出てきたヒトミちゃんの後を継いで登場した新ヒロインのみゆきちゃんは、2代目『男!あばれはっちゃく』のスタート時点からより公平で優しい性格を持ち合わせたヒロインだったように思います。

邦彦は学校をさぼって、アニメショップに行きセル画を手に入れようとしますが、どこにも売っていなくて、自分でセルを描く事にします。

文房具屋で道具を買って出た時に、買い物帰りのカヨちゃんとぶつかり、そこへ長太郎が来て邦彦はカヨちゃんと長太郎から逃げて、隠れてセル画を描くのですが、うまく描く事が出来ず失敗してしまいます。そして、カヨちゃんに見つかり、長太郎にも見つかってしまいます。

長太郎はみゆきちゃんに邦彦の嘘を言いつけてやろうと、合気道の稽古場にいきますが、その日の合気道は休み。長太郎を追いかけてきたカヨちゃんに長太郎は責められます。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

嘘をついた邦彦は確かに悪い、けれども、邦彦は本当に困っている。その困っている人を長太郎君は笑うのかと。長太郎がそれに対して不満な顔をすると、カヨちゃんはそんな長太郎をみゆきちゃんがどう思うかと問いかけます。

長太郎は、学校で言われたみゆきちゃんの言葉を思い出します。この時、長太郎がみゆきちゃんの姿を思い浮かべるのですが、それが学校でのみゆきちゃんの映像回想シーンではなく、別撮りしたスナップ写真風のみゆきちゃんの画像だったのが印象的でした。

それまでの映像の流れで出てこなかった画像、写真を何枚か出して印象に残す手法はモンタージュコラージュと言うと知り合いから教えてもらいました。

この回を監督された山際永三監督は『ウルトラマンタロウ』(1973年)39話「ウルトラ父子おやこ餅つき大作戦」で同じ効果を使われています。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

長太郎はみゆきちゃんに軽蔑されたくないと、邦彦を助けられないかというカヨちゃんの言葉に邦彦を助けるためのアイディアを考え出します。

そこで自分の部屋で逆立ちをして、「ひらめけ、ひらめけ」。

長太郎はもらって机の上に置いたセル画の入った封筒を見て、小夜子さんに言われた言葉を思い出し、小夜子さんの仕事場アフレコスタジオに向かいます。

そこで、ファンの人達から追い出された長太郎は、小夜子さんの住んでいるマンションへ。一方、父ちゃんは気持ちの良い日曜日だと体を延ばしていると、母ちゃんがマラソンでもして、その出ているお腹を引っ込めたらどうですか、と。

父ちゃんはジョギングへ長太郎は小夜子さんのマンションに向かい、長太郎はまた助けてお礼でもらった方が良いと小夜子さんのマンション近くを水浸しにして、泥を作って初めて小夜子さんと出会った場面を再現し始めます。

そこにジョギングで来た父ちゃんが合流。父ちゃんが来たとこに、小夜子さんが自動車で帰ってきて、長太郎が作った水溜りに自動車が入って、父ちゃんと長太郎が泥だらけ。雨も降っていないのに、なんで水溜りがと自動車から出てきた小夜子さんに泥だらけの長太郎が迫って、セル画をくれと懇願。

その後ろで泥で滑って転んで、1人でどんどん泥だらけになる父ちゃん。

長太郎の迫力にセル画をくれた小夜子さん。

父ちゃんが小夜子さんに事情を話そうとした時に、長太郎が父ちゃんの足を踏むのをみても、父ちゃんはとんだとばっちり。

戻ってきた父ちゃんは母ちゃんに事情を説明するも、母ちゃんは呆れ気味。泥だらけでお店にいたら、困るからと風呂に入って綺麗にしてと父ちゃんに言います。そこへ、お客としてカヨちゃんに髪の毛をセットしてもらっていたみゆきちゃんが父ちゃんの話から、長太郎が何をしたのか理解した模様。同じように事の成り行きをしているカヨちゃんも長太郎が考えた事を理解します。

この時のみゆきちゃんとカヨちゃんの表情がいいんです。

邦彦は自分の部屋でセル画を描いていましたが、ことごとく失敗。心配したゆかりさんが声をかけますが、邦彦は投げやり。その部屋に「ちょうせん状」と書かれた封筒が窓から見えてます。

それは長太郎からのもの、それを受け取ると『紅の騎士』のセル画入っていました。

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『男!あばれはっちゃく』9話より
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『男!あばれはっちゃく』9話より

翌日、邦彦はそのセル画を持って、学校に行きます。

僕は嘘をつかない、とみんなに自慢して。そこに長太郎が来て、邦彦は不安そうな顔をしますが、長太郎は興味がないと言うと、邦彦は安心した顔をします。

集まって邦彦の話を聞く人達の中にみゆきちゃんがいて、みゆきちゃんは全てを知った状態で邦彦と長太郎のやり取りを聞いているのですが、その時にみゆきちゃんが長太郎の取った態度に対して優しい微笑みをしていて、何も言わずに2人を優しく見ている姿と一瞬、気まずい顔をしてその顔の表情の中に、申し訳ない気持ちと安堵の気持ちが混ざった顔をした邦彦が印象的でした。

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『男!あばれはっちゃく』9話より

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『男!あばれはっちゃく』9話より

 まとめ

以前にも書きましたが、この話は初代『俺はあばれはっちゃく』5話「無抵抗」のセルフリメイクだと私は個人的に思っています。

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確証はありません。見ていて話の共通点を感じるだけです。初代5話「無抵抗」の脚本と監督が2代目9話「あばれアニメだ」と同じ市川靖さんと山際監督であるというのも強く私がセルフリメイクだと思う要因です。

また、この話が原作の「のしイカ大作戦」を下敷きにしているというのも、原作を読んでの私の推測でしかありません。

今回は邦彦がついた見栄と嘘が騒動を引き起こします。長太郎は嘘をついた邦彦をみゆきちゃんに軽蔑させようとしますが、みゆきちゃんの言葉やカヨちゃんの言葉からそれを思いとどまり、邦彦を助ける方向へ動きます。それまで、散々、邦彦にいじめられた長太郎が邦彦を助ける。前回、邦彦が母ちゃんに謝りに行った時もそうですが、長太郎は邦彦を助けるよりもみゆきちゃんに軽蔑されたくない気持ちから邦彦を助けていて、それはちゃんとカヨちゃんにも話しています。

長太郎のええかっこしいだけでなく、素直な欲望からの行動だとしても、その後でも邦彦の嘘に付き合って何も言わないところが、男らしいと私は思いました。みゆきちゃんも全て分かった上で、長太郎のことも邦彦のことも受け入れて許しているのがラストの表情で分かります。

この回はアニメの当時のブームと盛り上がりが分かる回でもあり、これも以前に記事にしていますが、『男!あばれはっちゃく』の放送が始まった1980年の2年前には、アニメ専門誌『アニメージュ』等が創刊していて、その1年前の1977年にアニメブームが起きて2年経った1980年だとすると、アニメが一般的に認知されてきた時代だったなと分かりますし、私自身も子どもの頃に肌でその雰囲気を体験していたのを思い出します。

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アニメのセル画1つで人気者になれる、一目置かれる。尊敬のまなざしで見られる。それも大好きな女の子からというのは、長太郎や邦彦にとっては一大イベントだったように思います。

いいところを見せたい。それで嘘をついて、どうにもならなくなってしまった邦彦、それをいい気味だと思った長太郎も、どちらも自分の気持ちに素直だなって感じました。

初代の5話「無抵抗」の時も原作の「のしイカ大作戦」を読んだ時も思った事ですが、本当の事情を知らない人間って分かる範囲で物事を判断して、好き勝手な事を言って、人の事を勝手にジャッジしてご満悦になる輩が多いんですが、ちゃんと真相を知っている人は知っていて、その人の立場を思いやってくれているんだって、それってとても救いになるなって思いました。

そういう存在がいないと辛過ぎて生きていけない。

邦彦が長太郎からセル画をもらった時に「長太郎のやつ」と言ってほほ笑んだ時に、邦彦の中で長太郎の粋な計らいに気持ちが良くなり、長太郎の存在を受け入れたように思えました。

邦彦は簡単に長太郎を認めていく事はないのですが、少しずつ長太郎の良さを受け入れだしてきたと思います。

また、みゆきちゃんが自然と長太郎がしたことの真相を知って、邦彦を追求しない気持ちよさと優しさを知ってくれたのも心が救われます。

物事の全てを知る事は出来ないけれど、知る事が出来ないのなら、偏った一方的な情報だけで人の善悪を決めつけるなんてやめた方がいい。フラットに人を見る事の大切さが伝わるとても気持ちの良い話だったと思います。

また、個人的にこの話にゲスト出演された米倉小夜子役の松原愛さんがこのブログを訪ねてきてくださり、2、3度コメントでやり取りをさせて頂きましたが、とても温かく心の優しい方で、子どもの頃に見ていたドラマの女優さんと短いながらも交流出来た事がとても嬉しく、それも加わってとても思い出深い話になりました。

収録DVD紹介

 

『男!あばれはっちゃく』8話「母ちゃんのためなら」感想

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『男!あばれはっちゃく』8話より

脚本・三宅直子さん・松生秀二監督

アバンタイトル

時代劇のセットの風景、着物を来た長太郎達がかごめ、かごめ、目を瞑りながら、みゆきちゃんの顔を触っていた長太郎。いつまにか、みゆきちゃんとカツラを被ったドンペイが入れ替わって、オチ。

本編

朝、母ちゃんが開店の準備を始めると、邦彦達が集まり理容サクラマを無視して、みゆきちゃんを誘って学校へ行くのを目にします。

桜間家の食卓では信一郎が放課後、友達と図書館に寄るから遅くなるとの事。

一方、長太郎の方は学校に一緒に行く友達も出来ない状態で、鮮やかに長太郎が無視されたのを目にした母ちゃんは、長太郎には友達がまだいないことを嘆きます。

長太郎はそれでもかまわないとおどけてみせますが、父ちゃんは友達がいないのは、とんでもないことと咎めます。

親は子どもに友達がいるかどうか、気になるようで私の親もそうだったなって思います。

長太郎は積極的な性格ですが、積極的な性格だからと簡単に友達が出来る訳でもなく、人間関係は相手もあってのことですから、相手がこちらに苦手意識があると、避けられてしまって、友達を作ろうにも距離を置かれてしまうってことはあると思います。

長太郎の場合は、まさにそれだなって思います。

みゆきちゃんに理解されてきた長太郎ですが、2話で仲良くなったと思った洋一も、まだまだ長太郎に対しては好意的ではなく、また、弘子ちゃん、和美ちゃんも同じで、邦彦にいたっては、長太郎を毛嫌いしています。

これまでの中で、みゆきちゃんを除く、邦彦達の長太郎の印象が良くないのが薄く積み重なっているのが、長太郎を無視する行動に出ています。

長太郎を抜かして学校に行く途中で、邦彦は今度の日曜日に「ちとせパーラー」で誕生日パーティを開くから、みゆきちゃん達に来て欲しいと言います。

この邦彦の誕生日パーティが今回の話の中心になります。

桜間家では信一郎を送り出した後、長太郎が今日の授業参観日に来る母ちゃんに、綺麗にめかしこんで来てとリクエスト。

初代『俺はあばれはっちゃく』15話「アイラブ母ちゃん」も、授業参観日の話で、それは母の日の前日に放送されましたが、2代目『男!あばれはっちゃく』8話も母の日の前日に放送されました。

これは、母の日が5月の第2日曜日で、『あばれはっちゃく』が毎週土曜日に放送されていたためですね。

今回も初代と同じく母ちゃんがメインで話を書くのは、『あばれはっちゃく』シリーズ唯一の女性脚本家、三宅直子さん。

三宅さんは主婦から脚本家になられた方で、母ちゃんや初代では長太郎の姉、てるほをメインにした女性視点の話を多く書かれました。

今回も、母親の立場や気持ちを分かった上で書かれていて、母ちゃんの感情が伝わってくる話だったなって思いました。

学校の給食の場面、長太郎の食べ方に冷ややかな目が向けられます。 給食が終わり、窓から授業参観に来た親たちを教室の窓から長太郎達がそれぞれ見つけて声をかけていく場面で、誰が誰の母親か分かっていくのは、初代15話と同じです。と同時に長太郎のクラスメイトの名前と親はどんな仕事をしているのか、家族構成もこの話で判明します。

これまで分からなかった和美ちゃんの名前が分かったのがこの話。また、和美ちゃんのとこが母子家庭だというのが、和美ちゃんの母親と洋一の母親の会話から分かり、邦彦のとこが父子家庭だというのが、母ちゃんと邦彦の父親、佐藤部長の会話から分かります。

仕事を父ちゃん達に任せて、邦彦の授業参観日にタクシーで来た佐藤部長は、母ちゃんの姿を見て声をかけていて、佐藤部長の親切さ、優しさを感じました。

授業参観の授業は国語。川上善兵衛の話について。川上善兵衛は実在した人物で「ワインの父」と呼ばれた人。長太郎達の国語の教科書のページに写真がありますが、その写真は現在、ウィキペディアにある川上善兵衛と同じもの。

3話の時もそうでしたが、実際の教科書を小道具に使っていたのが分かります。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

長太郎はこの授業で母ちゃんの紹介を寺山先生に要求し、寺山先生が快諾して長太郎の母ちゃんがみんなに自己紹介。そこをつかさずフォローしたのが佐藤部長。

その前に長太郎が父ちゃんが邦彦の父親と同じ会社で働いていると説明しているので、佐藤部長もフォローに入ったのだと思います。母ちゃんはとても恥ずかしかったと思いますが、佐藤部長のフォローのお陰で助かったと思いました。

その後にみゆきちゃんのママが入って、弘子ちゃん、洋一、和美ちゃんの母親達が自己紹介。先の校庭で親の姿を見つけて声をかけていた答え合わせの感じで、親子の組み合わせや更に詳しい家庭の事、住んでるところが分かります。

一通り、レギュラーの子役の親たちの紹介が終わったところで、授業に戻るあたり、これがレギュラー子役とその家族のお披露目、紹介の場面だったんだなって思いました。

授業が終わって、佐藤部長が邦彦に長太郎も誕生日パーティに呼ぶようにと言います。邦彦は嫌がりますが、父親に言われたなら仕方がないと長太郎を呼ぶことにします。

長太郎は母ちゃんと理容店のお客さんに聞いた、フランス料理レストランちとせパレスに行きますが、長太郎はそこよりも北海道のラーメンを食べたいとラーメン屋へ。

ラーメン屋の前に「ちとせパレス」へ行ったのも、この話の騒動の布石になっています。

邦彦の誕生日パーティの場所は「ちとせパーラー」、母ちゃんと長太郎が事前に情報を入れたのが「ちとせパレス」。

佐藤部長に言われて長太郎の家に来た邦彦が誕生日パーティの場所を言おうとして「ちとせパ」まで言ったところで、母ちゃんが最後まで聞かずに「ちとせパレス」だと思い込み。邦彦は母ちゃんに押し切られる形で、不安を感じながらも、桜間家を後にします。

邦彦から誕生日パーティに呼ばれて、浮かれる母ちゃん達。冒頭で長太郎を無視して学校に行った邦彦達を見ている分、母ちゃんの喜びは大きく、フランス料理レストランのちとせパレスで出るフランス料理の話で盛り上がり。

現代からこの話を見ると、2代目長太郎役の栗又厚さんがホテルオークラで調理師として働いているのを知って見ると興味深く思います。

長太郎は朝食も、給食も、ラーメンもガサツに食べていて、それぞれの食事の場面でガサツな食べ方がインパクトを残しています。

給食で冷ややかな目を向けられた時は弘子ちゃんや和美ちゃん達に嫌がられ、ラーメン屋でも母ちゃんが恥ずかしく思い、その食べ方が長太郎に邦彦の誕生日パーティに来て欲しくない原因の1つにされていました。

長太郎が一方的に理由なく、邦彦達に嫌われるのではなく、嫌うだけの理由があるということもえがいているというのは、邦彦達が一方的に悪いのでもないというバランスをとっているように思います。

ただ、それが長太郎を仲間外れにする正当な理由にはならないということも、この話の中では明確に伝えています。

ある人物に対して苦手意識を感じたり、嫌な面が見えて嫌な感情を持つ心の動きは自然に生まれるもので、その感情を持つ動きは止める事は出来ないし、それを否定することも出来ませんが、その感情から相手を攻撃する事は、自分の意思で止める事が出来るんじゃないかなって考える事が出来たのが今回の話でした。

長太郎は次の日の登校途中で邦彦に声をかけ、誕生日パーティの事を話しますが、この時、長太郎が話した誕生日パーティの会場が違うことに邦彦は気づきます。

また、長太郎がみゆきちゃん達に話した内容と合わせて、長太郎が誕生日パーティ会場を勘違いしていることを邦彦は確信します。

それまでは母ちゃんの早とちりで間違っていたのが、今度は意図的に邦彦によって間違ったままにされた瞬間でした。

誕生日に呼ばれた長太郎は、母ちゃんと玉川高島屋へ誕生日パーティに行くための服と邦彦のプレゼントを買いに行きます。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

1話でドンペイの頭に被せた紙袋が出てきましたが、それも薔薇の絵の高島屋のものでした。私も幼少期に横浜に住んでいた頃は、高島屋にお買い物に行った思い出がありますが、高島屋は一流の百貨店。母ちゃんの気合の入り方が並々ならぬことを感じさせました。

母ちゃんが選んだプレゼントが帆船のモデルで、それを見た時には初代長太郎が父ちゃんに誕生日に作ってもらったヨットの模型を思い出しました。

高島屋には鯉のぼりが飾ってあって、またこの回の放送が母の日の前日というのもあり、誕生日当日にパーティを開いたかは不明だけども、邦彦の誕生日が5月であることが分かりました。

長太郎はさらに母ちゃんの手で髪型をセットされて、めかしこんで邦彦の誕生日パーティに向かいます。この時に桜間家総出で長太郎を送り出しているところに、長太郎が友達が出来る事が一代イベントであることが分かります。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

長太郎は隣のみゆきちゃんを呼んで行くのですが、既にみゆきちゃんは行ったとのこと。この時に応対してくれたみゆきちゃんのママが長太郎を見て、「七五三」というのですが、その前に授業参観日に来たみゆきちゃんのママを見た長太郎が「ちんどんや」と言っているので、それが対比になっていて面白く笑えました。

みゆきちゃんが先に行ってしまったのも、長太郎の勘違いを解けない要因になっていて、みゆきちゃんもお隣だし、同じパーティに行くんだから、誘ってくれても良かったのにって思いました。

長太郎は間違った場所、ちとせパレスに行って追い出され、よく勘違いされる場所のちとせパーラーを聞いて、その場所に向かう途中で出前の自転車と衝突して、邦彦へのプレゼントが壊れてしまいます。

長太郎を待っていたみゆきちゃん達が、なかなか来ない長太郎を心配する中、邦彦がパーティを始める事を言い、長太郎を抜きにパーティが始まります。

邦彦は長太郎がこない理由を知っているのと、長太郎が万が一来た時にはパーティが終わっている状態にしたかったのだと思いますが、長太郎は間に合い、遅れたことを弘子ちゃん達に責められるも、邦彦に来たんだからいいじゃないかと言われて治まります。

邦彦の思惑はどうにせよ、ちゃんと長太郎の席を確保して開けておいたのと、遅れた長太郎を責めた弘子ちゃんや和美ちゃんを宥めたのも、邦彦の中にある僅かな良心と長太郎が遅れた理由を知っている邦彦の対応だったように思います。

長太郎は相変わらず、ここでもガサツに食べて顰蹙を買うのですが、みゆきちゃんがプレゼントを渡したことで、長太郎も壊れてしまったプレゼントを邦彦に渡して、邦彦が壊れたプレゼントなんていらないと投げ捨てた事で大喧嘩をしてしまいます。

長太郎は母ちゃんが選んだプレゼントをゴミのように扱った邦彦を許せなかったと思いますが、その大事なプレゼントを雑に扱って壊したのは長太郎です。

出前の自転車とぶつかったのは事故でしたが、長太郎は腹立ち紛れに出前の人をプレゼントを使って殴っていました。ぶつかった衝撃と殴った事で、邦彦へのプレゼントが壊れていて、壊れたものをプレゼントされてしまった邦彦から見ると、単なる嫌がらせに感じたかもしれません。

佐藤部長は邦彦に壊れたプレゼントでも受け取れと言いますが、せっかくの誕生日に我慢して嫌いな相手から壊れたプレゼントを受け取らないといけないと言われた邦彦の事を考えると、結構、厳しい事を佐藤部長は言うんだなって思いました。

と、同時に息子に甘いだけの父親ではないという印象も持ちました。

長太郎にそういう意思がないのは明らかですが、邦彦はあえて長太郎が会場を間違っていた事を訂正しなかった負い目もあって、そう思ったかもしれません。

長太郎が邦彦が場所を間違っていた事を訂正しなかった事に気づき、邦彦を責めた時、早とちりした母ちゃんを邦彦が貶したことで、長太郎はさらに怒ります。

母ちゃんの勘違いと早とちり、長太郎を毛ぎらう邦彦の気持ちが今回の騒動を引き起こしました。

他のお客さんも巻き添えにして長太郎は大暴れ。邦彦の誕生日パーティは滅茶滅茶になり、喧嘩を止めに入った洋一達も巻き添えになって、長太郎の家に邦彦達の親が怒鳴り込んできます。

父ちゃんは怒り、母ちゃんも嘆く。

一方みゆきちゃん達は、邦彦から話を聞き、長太郎が会場を間違っていた事を黙っていた邦彦を責めていました。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

「じゃあ、やっぱり、間違っているのを知ってて黙っていたのね」

「みんなだって、あいつが来ない方がいいって、言ったから、なあ」

「それは言い訳にならないわ。邦彦君、このままですますつもり?そんな邦彦君って、私、大嫌いよ」

「分かったよ、みゆきちゃん、そんなに怒るなよ」

この後、みゆきちゃんと一緒に邦彦は長太郎の母ちゃんに全て事情を話し頭を下げて謝ります。母ちゃんの為に長太郎が怒ってくれたことを喜ぶ母ちゃんの後ろで父ちゃんも喜んでいて微笑ましいです。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

河原で友達はドンペイだけでいいと言っている長太郎のとこへおにぎりを持ってきた母ちゃんがきて、邦彦とみゆきちゃんが来て謝った事、母ちゃんのそそっかしさを謝り、母ちゃんの為に怒ってくれたことが嬉しかった事、みゆきちゃんが長太郎がお母さん思いで見直した事を長太郎に話します。

みゆきちゃんに見直された事を喜んだ長太郎は「今日もジャンジャン暴れるぞ」で締め。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

まとめ

今回は母ちゃんのそそっかしさが問題を大きくしたと感じた話でした。誤解を解かなかった邦彦も問題ですが、一言も邦彦から間違った場所は話していないのですね。「ちとせパ」まで同じ店名で、「パ」まで邦彦が言いかけたところで、話が母ちゃんのとこでどんどん進んで、翌日の登校途中でも長太郎が邦彦の話を聞かずに行ってしまったのも、今回の騒動を引き起こしたと言えます。

邦彦も強く誤解を解かないのも問題ですが、話を聞かない母ちゃんと長太郎にも問題があると思いました。

だからといってみゆきちゃんの言う通り、それが長太郎にしたことの言い訳にならないのは確かです。長太郎の食事マナーを咎められるのは仕方がないにしても、長太郎を気に入らないからと、それが仲間外れにする正当な理由にはならない。

嫌な面、誤解があるのは仕方がないけど、それが人の好意や気持ちを無下にする理由にはならないということが今回の話から伝わっています。

また、今回は佐藤部長の気配りも目についた話でした。

邦彦は最後にみゆきちゃんに諭されて、謝りに行きますが、この時に邦彦がみゆきちゃんをとても好きだという事、みゆきちゃんに軽蔑される事が一番、辛い事が分かります。後々、邦彦がみゆきちゃんの事を好きでいる事、みゆきちゃんに好かれたいという考えで行動を改めることが分かってきて、邦彦が長太郎を嫌がるのも大好きなみゆきちゃんの隣の家にいる事や、みゆきちゃんの態度に左右されているんだろなって事が分かって、みゆきちゃんを巡って、初対面の悪印象だけでない複雑な感情を邦彦が長太郎に持っている事が分かると、初代長太郎と正彦の関係が逆転したのが、2代目長太郎と邦彦の関係に見えてきます。

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10年前に上記の記事でも書きましたが、2代目は初代と微妙に設定や長太郎の立ち位置がずらされていると感じます。

前作との差別化と初代の長太郎が1年かけて視聴者との間に気づいた信頼関係が長太郎を善にライバル役を嫌な奴にという図式にしたように感じました。

邦彦はその役目をおって、当初は嫌な奴として登場してきますが、次第に良い面も見せていくようになってきます。

みゆきちゃんに諭されたものの、正直に自分の悪い事も話して頭を下げた今回の邦彦はそういう良い面を見せた始まりだと思いました。

次回の9話も邦彦がクローズアップされ、彼の良い面と悪い面が見える話になっています。また、今回の監督は松生監督で、今回もまた夕日の場面が綺麗でした。

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『男!あばれはっちゃく』8話より

収録DVD紹介

 

ブログデザイン

保護されない通信

ブログデザインを変えた。デザインのソースに問題があるのか、「https://」にしたのに、保護されてなかった。

デザインの中で、保護出来ているデザインをいくつか試し、一番、オーソドックスなデザインにした。

ダイアリー時代の方が公式で使えるデザインに好みのデザインが多かったな。

文字のレイアウトもはてなダイアリー時代からの記事は、変なレイアウトになっていて、リンクもおかしいので、気になるのとか目に着いたのは少し直したけど、限界があったので、内容の間違い訂正と誤字脱字に気づけば、直すほうへ方向転換。

無料でインストールできるデザインの中には、通信の保護が出来ないのもあるので注意が必要だと勉強になった。

訂正記事・山根優一郎さんが書いた『あばれはっちゃく』の最後の話に関して

 

3代目も書いていた山根優一郎さん

こちらの記事を訂正しましたが、改めて訂正記事を挙げさせていただきます。

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上記の7年前と4年前の記事で、脚本家山根優一郎さんが『あばれはっちゃく』シリーズ最後に書いた話は『男!三人あばれはっちゃく』と書きましたが、3代目『熱血あばれはっちゃく』を見返したところ、『熱血あばれはっちゃく』26話「決闘!体力テスト」を山根さんが書かれていたので訂正します。

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『熱血あばれはっちゃく』26話より

『熱血あばれはっちゃく』は1982年4月10日~1983年3月26日まで放送されました。

『熱血あばれはっちゃく』26話は、1982年4月3日放送された『男!三人あばれはっちゃく』の後の話であり、上記の7年前の記事での『男!三人あばれはっちゃく』が山根さんの最後の『あばれはっちゃく』の話だったという情報は誤りである為、訂正します。

間違った情報を流してしまい、大変申し訳ありません。

3代目の父ちゃんの生まれ年

記事の訂正の為に、『熱血あばれはっちゃく』26話を見返しましたが、この話の中で父ちゃんが昭和19年(1944年)生まれだと判明します。

私の父も昭和19年生まれなので、3代目の父ちゃんは私の父と同い年の当時(1982年)は、38歳だったのかって思って、グッと身近に感じました。

演じた東野英心さんは、昭和17年(1942年)生まれで、初代の父ちゃんは東野さんと同じ午年という設定でしたが、3代目では実年齢よりも2歳、学年で言えば3学年下の設定で父ちゃんを演じていたことが分かりました。

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また、上記の記事で推測していますが、3代目の父ちゃんは6月が誕生月だと思われるので、3代目に限って言えば、父ちゃんは昭和19年(1944年)6月生まれだということになります。

26話は父ちゃん達が町内の体力測定をする話で、38歳の父ちゃんの体力が44、5歳だと言われてショックを受けています。

確かに38歳からの44、5歳はショックですが、実際の東野さんの当時(1982年)の実年齢は40歳だったとしても、そこから4、5歳上というのはドラマだとしても、ショックですよね。

実の父親、水島太一を演じた冷泉公裕さんは、昭和22年(1947年)生まれなので、当時の実年齢は35歳でした。

実際は5歳の差がある東野さんと冷泉さんが3代目『熱血あばれはっちゃく』の世界では同い年というのも、ドラマならではで面白いですよね。

冷泉さんは、初代『俺はあばれはっちゃく』22話で長太郎を正彦と間違えて誘拐した誘拐犯、2代目『男!あばれはっちゃく』22話で登場した寺島先生の友人役を演じた『あばれはっちゃく』シリーズではお馴染みの俳優の1人。

昨年、2019年に冷泉がお亡くなりになったことを知りました。改めて、ご冥福をお祈りします。

この話を見返している1982年は8歳だった私も現在は45歳(今年の誕生日で46歳)なので、父ちゃんが自分の前に同じ体力測定をした実の父ちゃんが体力が42、3歳と言われて、「老化現象が始まっている」と言った時には、そうか、40代は老化現象かとちょっとショックでした。

昔は40歳が初老と言われていましたし(それも平均寿命が長くなってくると、50歳、60歳、70歳と初老と考える年齢が高くなってきて、辞書でも40歳より上の年齢を初老するのがあるようです)、40代で白髪が生えてきて老眼も始まる人もいて、(管理人の柿の葉30歳になった時に白髪が生えてしまいました)そういう年齢なんだなって思い、父ちゃん達と同じ立場になったんだなって思います。 

5月5日子どもの日の空に願うこと

あれから41年

今日は5月5日子どもの日。

今から41年前、1979年5月5日に『俺はあばれはっちゃく』14話「泳げ鯉のぼりマル秘作戦」が放送されました。

私は『俺はあばれはっちゃく』全56話の中で、2番目に好きな話がこの14話です。

今から、10年前(2010年)にこの14話について記事を書き、3年前(2017年)に毎週放送日に『俺はあばれはっちゃく』の話を見て感想を書くでも取り上げ、また、それ以外にも好きな話として、度々、このブログでも語りました。

10年前の記事に書きましたが、『俺はあばれはっちゃく』14話は、原作『あばれはっちゃく』の「親父尊敬作戦」が話の下敷きになっています。

下敷きであり、ドラマ独自の展開になりますが、原作の核を大事にし、かつ膨らませた話だと個人的に思っています。

私は鯉のぼりを手に入れるために、大熊先生との約束を守って、自分の足で遠い道のりを走りつくした長太郎の姿がとても好きです。

10年前の記事ではこのような文章で締めくくりました。

明日はその放送から31年。長太郎が苦労して手に入れたあの鯉のぼりは今も元気に空で暴れているだろうか?

 それから、さらに10年経って、41年後の空は見た目は41年前と変わらないのに、新型コロナのせいでなんだか不穏に感じてしまいます。

早く平和な空に戻って欲しいです。

 人は亡くなっても、存在していた過去は消えない

この話を監督された新津左兵監督は、2013年9月3日74歳で他界されてしまい、それを5代目長太郎役の酒井一圭さんのTwitterで知り、とても残念で悲しく思いました。

新津監督は、2代目『男!あばれはっちゃく』には参加されなかったのですが、初代、3代目、4代目、5代目で監督を務められました。

5代目では新津監督がメイン監督になっており、酒井さんを見出し、指導された事が酒井さんのTwitterで書かれていて、新津監督があってこその5代目長太郎が存在したのだと思いました。

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10年前に記事を書いた時点で、父ちゃん役の東野英心さん(2000年没)、大熊先生役でゲスト出演した太宰久雄さん(1998年没)、14話の脚本を書いた山根優一郎さん(1986年没)が既に故人になられていて、記事を書いた3年後の2013年の新津監督の訃報は、また、大好きな話を作り上げてくれた方が去られてしまった事に酷く落ち込みました。

10年前、一緒にDVDで『俺はあばれはっちゃく』を見返していた両親が、大熊先生役の太宰さんを見て、

「タコ社長じゃないか」

って言っていましたが、その両親も亡くなってしまいました。

段々と41年前に当たり前にあった子ども時代の世界が消えてなくなっていく寂しさが、年齢を重なるごとに増えていきます。

それは仕方がない事。それでも、過去はちゃんと記憶に残り、思い出はいつだって再生可能で、今は、DVDで41年前の話を見返すことが可能です。

亡くなっても存在していた記憶は消えない。

この記事を書く事でその記憶を残すことが出来ると思えば、少しは寂しさも半減するかなって思います。

1979年5月5日、私はまだ誕生日を迎える前の4歳(私の生年月日は1974年8月8日)でした。あれから、41年、いろいろなこと(いい事も悪い事も)がありました。

41年後の空にも、それ以後も、元気な鯉のぼりが泳ぎ続ける平和な空であって欲しいと願っています。

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俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD