柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』10話「ザリガニ捕りだ」感想

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『男!あばれはっちゃく』10話より

脚本・田口成光・山際永三監督

アバンタイトル

ターザンのような原始人のような格好の長太郎。弓矢で狩りをしたり、木をこすって火を起こし、その火でホタテを焼き、肉を食べる。そんな長太郎の目の先に自転車で塾に行くみゆきちゃん達の姿。そんなみゆきちゃん達を見て、自分が勉強出来ないわけだと納得、そこに後ろから竜が出てきてオチ。

本編

走ってくる長太郎。ペットショップの前にいるみゆきちゃん達に声をかけます。ペットショップには亀やザリガニが売っていて、長太郎達よりも幼い男の子が1匹200円のザリガニを5匹買い上げてました。

邦彦が200円もするザリガニを5匹買ったことを長太郎に話すと、長太郎はザリガニを捕まえれば、タダで手に入ると話します。それを聞いたみゆきちゃんは、この辺にザリガニが捕れる場所なんてないと言うと、長太郎は分かっていないと話し、ザリガニを捕ってきたら信じるという和美ちゃん。

そこへ、ザリガニを買った男の子の母親が来て、ザリガニを捨てるように言い、男の子は母親の剣幕に負けてザリガニを捨てると、そこに車が来てザリガニを袋ごと轢いてしまいます。

男の子の名前はショウイチ。母親は今日は英語の塾の日だと、男の子が首から下げている塾のスケジュールを書いたカードを示してショウイチを叱るのですが、この母親も男の子と同じカードを持っていて、この母親が男の子のスケジュールをしっかり管理していることが分かります。母親の乱暴なやり方に長太郎が腹を立てて、母親に食って掛かろうとするのですが、それを洋一と邦彦が抑えます。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

カードを見ると月曜日が英語塾なので、この日は先の母親の言葉から、月曜日の出来事だと推測が出来ます。それにしても、洋一はともかく邦彦が長太郎を抑えるのは珍しいと感じました。邦彦も騒動を嫌う方ですが、長太郎が騒ぎを起こして、評価を落とせば邦彦は喜ぶ感じだったのが、今回はそれを事前に止めている。これは、前回(8話)の長太郎の粋な計らいが邦彦に影響を与えているのかなって思いました。

今回の脚本は田口成光さんで、前回は三宅直子さん。それでも、ドラマとしては繋がりがありますから、前の話の影響はその後の人物関係に影響されていて、見ている方もその繋がりを感じ取ります。

今回はこのショウイチ親子に長太郎達が翻弄されていくので、長太郎だけの敵、長太郎対他の人達の図式ではなく、ショウイチ親子対長太郎達になっていて、この話で長太郎がみゆきちゃん達の仲間の一員に入っているという印象を受けました。

長太郎は家に帰ってくると、バケツを持ってザリガニを捕りに行き、次の日学校に捕ってきたザリガニを学校に持っていて皆に見せます。たくさんのザリガニを前に買ってきたのではと疑うクラスメイトに約束通りに捕ってきた事を話す長太郎にショウイチが来て、ザリガニを500円で売って欲しいと長太郎に申し出ます。長太郎は、またショウイチの母親に捨てられると渋りますが、洋一がけしかけ商談が成立。しかし、そこへ校長先生がやってきて、校内での売買を叱責。長太郎は校長室に呼ばれ、寺山先生も呼ばれて注意を受けます。

ショウイチがザリガニを買うために取り出した500円は岩倉具視500円札。今なら、500円玉なんでしょうが、500円玉が登場したのは2年後の1982年。10話が放送された1980年当時はまだ500円札の時代。ちなみに当時5歳だった私は500円札に縁がなく、こんなお金があるのかという感じで、ペットショップで1000円札でザリガニを買っていたのを見ても、ショウイチって大金をもっているんだなって感じました。当時、生きていた私が500円札を見てそんな風に思うのですから、もっと若い人には500円って硬貨じゃなくてお札だったんだ!って驚くのではないでしょうか。

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『男!あばれはっちゃく』10話より
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『男!あばれはっちゃく』10話より

長太郎が校長室で校長先生に叱れ、寺山先生にショウイチの事を話していると、そのショウイチが母親と一緒に校長室にやってきます。長太郎が話す時に、校長先生の机の盆栽に手を出すのですが、4話で長太郎に盆栽の枝を折られている校長先生が盆栽を避難させているのが面白かったです。4話の脚本は安藤豊弘さん、邦彦が長太郎の味方をする流れもそうですが、今回の10話はそれまでの人間関係や出来事の流れを汲んで人物の行動に繋げていますね。

長太郎が寺山先生にショウイチの母親がとんでもない事を話している時にショウイチの母親の姿を先に見た校長先生がすごく焦っていて、何も知らずに話している長太郎に校長先生同様、冷や冷やしました。

ショウイチの母親が来た理由について校長先生が寺山先生と長太郎に説明をします。校長先生によると、ショウイチの母親は神保いずみという教育評論家。それも、本校の先輩でと紹介しているので、ちとせ第一小学校の先輩ということになるのですが、これがちとせ第一小学校のOGという意味なのか、校長先生にとっての先輩になるのかがちょっと分からない。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

校長室には3代までの校長の写真が飾ってあるのですが、そこに神保さんはいないし……。だから、多分、ちとせ第一小学校の卒業生なんでしょうね。それで、教育評論家として講演をする為に打ち合わせに来たという。ザリガニよりも勉強が大事だという神保さんにザリガニに興味を持つのも大事だと反論する寺山先生。そんな寺山先生を止めて、校長先生が講演の打ち合わせの為と神保さんを連れ出します。

神保さんは勉強よりも夢中になるものは、勉強の邪魔になるという考えの持ち主で、将来、幸せになるためには勉強が一番大事だという考え。寺山先生はいろいろなことに興味を持って夢中になれるものがあるほうが良いという考えがあると感じました。

多分、極端に子どもを管理して縛り付けてしまうのが、子どもの自由を奪い、好きなことを抑圧された不満が子どもに閉塞感を与え、無理やり押し付けられた事に嫌悪感を感じてそれをやる事への意欲を後退させているのではないか、と、ショウイチの不満そうな顔を見て思いました。

母親の神保さんに言いたいことがあっても、言うことが出来ずに、悔しい顔をするのが精一杯で、言葉は母親の望むことを言うショウイチを見ると、もの凄い吐き出せない不満がショウイチの心に渦巻いているように見えました。

教室に戻った長太郎と寺山先生は長太郎の捕ってきたザリガニを見て、ザリガニの説明をする長太郎に長太郎を先生にして、ザリガニの事を勉強しようと提案。ザリガニがどんな餌を食べているか図鑑で知っているという邦彦に、実際には見ていない事を言う長太郎に言い返せない邦彦。

勉強が出来る邦彦が知識のあるのを見せるも、実体験と本で得た知識の差がここでつけられていて、本で学べることと実際にザリガニを捕まえて本物を飼うことで得る知識の差がある事が示され、体験する大切さが示されます。

今回は、勉強以外の事に興味を持ち、夢中になる事を否定する教育ママの神保さんが登場してきて、長太郎が遊びの中で獲得していった知識と本で得て、試験に出る問題を解く知識が比較されていて、遊びから得る知識も馬鹿に出来ないということも示されます。

人間の時間は有限ですから、体験する事は限られていて、本で知る知識も大事になります。それで、有限の中でいろんなことを子どもに体験させるにもやりくりが難しい。また、させるよりも自発的にいろんな事に興味や好奇心を持って勝手にやって体験していく事の方が積極的に取り組んでいくんじゃないかなって思いました。

興味や好奇心、好きな事はいろんな事を知る原動力になり、それは、知識が増える事に繋がる。ただ、子どもが興味を持つことが必ずしもいい事だと限らないので、そこの見極めを大人がしっかり見ていないといけないと感じました。神保さんは、ショウイチがザリガニに夢中になるのを良くないとしていましたが、それはちょっとって思ったものの、子どもが勉強以外で興味を持ち、夢中になるのはザリガニ以外にもあって、それはゲームだったり、漫画だったり、スポーツだったり、ネットだったり他にもたくさんあります。中には、殺人に興味を持つ子だっている訳で、そういう犯罪に全く興味を持たない子はいないと言い切れないところはあります。

そう考えると対象がザリガニだったから、神保さんが大袈裟に見えましたが、心配する気持ちやザリガニに夢中になるショウイチを心配する気持ちも分かる気がします。

私には子どもはいませんが、それでも大人になって神保さんの心配に思いを馳せる事が出来たのは、40年経って大人としての視点を持つことが出来たからだと思います。

長太郎達は放課後、長太郎を先生にしてザリガニ捕りに行きますが、その途中でショウイチに会い、ショウイチもザリガニ捕りに加わります。長太郎は塾に行かなくてもいいのかと尋ねますが、ショウイチは、もう塾は終わったと塾のスケジュールカードを投げ捨て長太郎達についていきます。

長太郎はザリガニ捕りの方法やコツをみんなに教えて、ザリガニを捕っていきますが、途中でみゆきちゃんがザリガニに手を挟まれ、長太郎がそれを助け、みゆきちゃんの手から離したザリガニを投げたら、それがショウイチの方へ飛んで耳を挟み、痛みでショウイチがオタオタして転んで足を擦りむくと、長太郎は河原に生えていたヨモギをむしって、ヨモギを揉んでショウイチの傷口につけて、止血をします。

長太郎はザリガニだけでなく、ヨモギを使った応急手当まで知っていて、これが遊びから学んだ長太郎の知識。邦彦が試験に出ないことをよく知っていると長太郎に言うのですが、試験問題だけでない問題の対処や知識が生きる事に役に立っていくというのも、この話の中での、神保さんの教育論に対しての反証のように思いました。

ショウイチの傷の手当てをして、たくさんのザリガニも捕って楽しくその日は終わるのですが、次の日ショウイチが神保さんとタクシーで登校。

神保さんは長太郎達が塾に行くショウイチを無理やりザリガニ捕りに連れていって、怪我をさせたた校長室に文句を言い、寺山先生の責任を取れと迫ります。

神保さんが来たことで心配した長太郎達が校長室に来て、事の成り行きを見守っていましたが、ショウイチが嘘をついた事をきっかけに、長太郎達が校長室になだれ込み、ショウイチが嘘をついてると抗議します。

この時は寺山先生が責められているというのもあったのですが、長太郎がみゆきちゃん、洋一、邦彦、和美ちゃん、弘子ちゃんと一丸になって校長先生と神保さん、ショウイチに抗議しているので、前にも書きましたが、長太郎がみゆきちゃん達の仲間になったと強く感じました。

教室に戻った長太郎達は、寺山先生の事を心配し話し合います。邦彦が向こうには診断書があると、こちらが不利なことを話すと、みゆきちゃんが何かを思い出し、神保親子が自分の病院に診察にきたことを話します。みゆきちゃんのパパが診断したのなら、間違いがないんじゃないという和美ちゃん。

そこへ寺山先生が来て、授業を始めますが、1時間目は国語なのに算数の授業を始めるという寺山先生に邦彦が訂正を入れます。

寺山先生が先ほどの神保さんとのことでショックを受けていると心配する長太郎達。

時間割を間違えた寺山先生を正すのが邦彦のあたり、邦彦が優等生だというのが端的に分かります。また、寺山先生を長太郎達が心配する場面で黒板の日付とその横の壁に授業の時間が書いた紙があります。

それを見ると、この日は5月14日の月曜日だと分かるのですが、本放送された1980年の5月14日は水曜日なので、これは日付が間違っているか、曜日が間違っている事になりますね。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

時間割を間違えた寺山先生がショックを受けている事を洋一が長太郎に囁き、家に帰って来た長太郎は寺山先生の事を心配します。

2階のベランダでドンペイと寺山先生の事を心配していると、隣のみゆきちゃんがパパから聞いた話から自分達が神保親子に騙されている事を長太郎に伝えます。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

みゆきちゃんはみゆきちゃんのパパが寺山先生にその報告をしに行ったことを伝え、みゆきちゃんと長太郎は神保さんの家に向かいます。

ここで、みゆきちゃんのパパが寺山先生のアパートを訪ねる場面が出てきて、寺山先生のフルネームが「寺山健一郎」だと分かります。

みゆきちゃんのパパが寺山先生に話している時、長太郎とみゆきちゃんは神保家に到着。

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『男!あばれあはっちゃく』10話より
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『男!あばれはっちゃく』10話より

そこでは、無理やり塾に行かされるショウイチの姿が。前よりももっと大きいスケージュールカードというより、表をぶら下げています。

しかも、ザリガニを焼却炉に捨てられるショウイチを見たみゆきちゃんがそんなショウイチを可哀想と言い、長太郎がショウイチを助けるために飛び出し、みゆきちゃんもそれに加勢します。ザリガニが捨てられるはずだった焼却炉にスケジュール表を捨て、ザリガニを持って長太郎とみゆきちゃんの逃げるショウイチ。それを追いかける神保さん。その4人を道路を挟んで反対側の歩道から見つける寺山先生。

みゆきちゃんのパパの話を聞いて、神保家に向かった寺山先生が長太郎達を見つける場面は奥で走っている長太郎達と間を挟んだ車道の車が行きかう道とその向こう側で長太郎達を見つけた寺山先生の三層の画面になっていて、それぞれが同時進行しています。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

これ以前にも、神保さんが初登場した時に手前の長太郎達の奥で神保さんの姿が見えたり、寺山先生を心配して文句を言いに来た神保さんが来た時に校長室を見ていた長太郎達の姿など、奥行きを使って同時にその場にいながら、別々の行動をしている人物の動きを同時に見せていますが、今回の監督である山際永三監督は、こうした一場面に何層も情報を詰め込む手法で話を見せる事が多いです。

一場面の流れの中に多層に情報を入れますが、見せ方に無理がなく自然に入ってくるので見ている方の情報処理もスムーズで話が圧縮されて短い時間ながらも、それ以上の内容がこちらに伝わってきます。

声をかけても距離と車の音で寺山先生の声がかき消され、寺山先生が長太郎達を追いかける展開に。長太郎達は角材のある場所に逃げ込み、自分達が囮になってショウイチを逃がします。長太郎とみゆきちゃんの陽動作戦につられて、へとへとになりながら2人を追いかける神保さん、その時、奥からショウイチの悲鳴が。

その声の方へ神保さん、長太郎、みゆきちゃんが駆けつけると、崩れた角材の下敷きになったショウイチの姿が。必死で角材をどける神保さんですが、ショウイチの言葉に動きが止まります。

来るな!来るな!ママなんて大嫌いだ! 

 それまで、どんなに不満があっても母親の神保さんのいいなりだったショウイチがはっきり、「ママなんて大嫌いだ」と言ったことで、神保さんはショックを受けます。

ここに逃げてくる前にもショウイチは自分だってザリガニで遊んでもいいじゃないか!と反論していますが、はっきりと母親が嫌いだと意思表示してはこなかったので、神保さんのショックは大きかったと思います。

何よりショウイチの悲鳴を聞いて一番に駆け付け、我先にとショウイチを助けるために取り乱し、必死で角材をどける神保さんには子を思う母親の姿がありました。

神保さんはショウイチが持っていたザリガニに手を挟まれるのですが、そこもザリガニの反撃に見えました。ショウイチの言葉にショックを受け、ザリガニに手を挟まれてもショウイチを助ける神保さん。

寺山先生が駆けつけ、男の力で角材をどんどんどけていきます。長太郎もみゆきちゃんもその前に角材をどかしていますが、やはり成人男性の力は頼りになります。

無事に角材の下敷きからショウイチを助けると神保さんは泣いてショウイチに謝ります。

全てが終わり、迷惑をかけたことを神保さんが謝り、今回は長太郎があの親子を治療したと褒められ、みゆきちゃんのパパからも長太郎は名医だと褒められて円満解決。

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『男!あばれはっちゃく』10話より

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『男!あばれはっちゃく』10話より

まとめ

今回は初代『俺はあばれはっちゃく』9話「けとばせ過保護」(脚本・市川靖、監督・山際永三)を思い出す内容でした。「けとばせ過保護」で登場したマサミの母親はPTAの会長でしたが、今回はそれ以上の教育評論家の神保女史が登場。

今回マサミの母親役で2代目ではみゆきちゃんのママ役でレギュラー出演している藤江リカさんが出演されていなくて、新旧教育ママの夢の共演は叶いませんでしたが、これはちょっとキャラが被るから今回みゆきちゃんのママはお休みしたのかなって思いました。その代わり、みゆきちゃんのパパが再登場。ショウイチの足の怪我の件もあるので無理のない再登場でしたね。

診断書の問題点を邦彦がついて、そこからみゆきちゃんの病院に神保親子が来て、ショウイチの怪我の実態を知れて真相が分かったという話を解決するキーワードを担っていたこと、神保家の問題が旦那を亡くして異常に教育に力を入れ過ぎた神保さんにあることをみゆきちゃんのパパが寺山先生に話しているのも、解決への糸口になっていて、嘘をついて寺山先生を窮地に追い込んだショウイチの母親に無理強いさせられる姿を見たみゆきちゃんが怒りよりも憐れみをショウイチに感じ、長太郎も同じように思い、また、長太郎は神保さんのやり方にも腹を立ててショウイチを救ったのが、ショウイチに母の神保さんに立ち向かう気持ちを与えたように感じました。

勉強というのが、本で得る知識と好きな事からの興味や好奇心から得る両方があってどちらも大事というか、好きな事から得る知識を蔑ろにする傾向にある事への、そうじゃないよっていうメッセージが強く込められた話だと思いました。

また、ショウイチの言葉にショックを受けて考えを改めた神保さんを見ていると、神保さんは自分の言いなりになるショウイチじゃなくても、自分の子としてショウイチを大事にしていることが分かりました。

スケジュールの管理をしてショウイチを思い通りに動かそうとしているように見えていたのも、ショウイチの将来の事を考えて管理していたもの。それはショウイチを子として思いやってのこと。でも、そのやり方が強引で、ショウイチの気持ちを無視して、苦しめていた事に気がついた神保さんの顔はとても淋しそうで、自分がショウイチにしてきた酷い事を自覚された瞬間で、この人は本当はとても子どもを思う優しい母親なんだなって思いました。

人を自分の思い通りに管理して動かして、それが少しでも想定と違うと文句と言ったり殴ったりする親や配偶者もいたりしますが、神保さんはそうではなかった。なかなか、自分の為に支配下に人を置きたい人と、そうでない人の区別はつきにくく難しいと思いますが、今回、話がうまくまとまって落ち着いたのは、神保さんが本来優しい人だったからだと思いました。

現実は中々、そういう優しい人が少ないんだなってことが分かってきましたが、相手も自分の意思がある人間だということを忘れないで生きたいなってそんなことを感じた10話でした。

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