柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』33話「あばれプロレス」感想

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『男!あばれはっちゃく』33話より

1980年11月8日放送・脚本・市川靖さん・磯見忠彦監督

小学生の恋愛相談の相手は難しい

今回は和美ちゃんの恋の話。長太郎達が河原でさつま芋を焼いて食べようとしていたところに家の仕事のお手伝い帰りの和美ちゃんを見かけて誘い、和美ちゃんは集金バッグを近くのベンチに置いて参加、さつま芋を焼いて待っている間にその集金バッグを取られ、その瞬間を長太郎が目撃して、全員で泥棒を追いかけることに。

その泥棒は、たまたま通りかかった信一郎と信一郎の通う中学の生徒会長、広田こうじとぶつかったことで、無事に捕まえることが出来て、和美ちゃんの集金バッグも無事に取り戻すことが出来ます。この時に和美ちゃんは広田生徒会長に一目惚れ。

この和美ちゃんの一目惚れから始まる今回の話。泥棒が釣り師で魚籠に鯉を入れていたり、それが広田生徒会長にぶつかった時に鯉が飛び出て、なぜか和美ちゃんがその鯉を持っていたり、後日、国語の授業中に具合が悪くなったように見える和美ちゃんを保健室で休ませ、寺山先生が様子を見に行った時に「恋」と勘違いするような寝言を言わせたりと、「鯉と恋」の聞き間違い、勘違い、誤魔化しを定番、お約束だなと見ていました。

しかし、初代『俺はあばれはっちゃく』体育の跳び箱で股間を打った長太郎が保健室で休んでいた時に佐々木先生が来て、長太郎の心配を聞いた時もそうなんですが、小学生の恋とか将来結婚できない心配とかを聞く、佐々木先生と寺山先生の気持ちってどんなんかなって思ったりします。どちらにも笑って大丈夫というか、たいしたことないという形に持って行った先生ですが、初代長太郎と和美ちゃんの態度は正反対でした。

初代長太郎の場合はストレートに結婚できない不安も口にしましたが、和美ちゃんの場合は照れくささから誤魔化してからの恋煩いの胸が苦しいことへの相談だったので、寺山先生は安心してからの無神経な言葉になったわけですが、笑って大丈夫だというにしても、なんというかちゃんと心配や不安を口にしたのと、照れくささから誤魔化した後では、同じ対応でも違ってくるのは当たり前かなあ。

男の子だからとか、女の子だからとか、初代長太郎と和美ちゃんは別人だからというよりも、それりゃストレートに不安に思っていることに対して言われた場合と、恋で悩んでいるのかな?って思ったら、鯉の夢を見ていたと言われた後で、「胸が苦しい」と聞かされたら、既に「恋」に関してのことは選択肢から消えているわけで、和美ちゃんの質問に恋以外の可能性を捨てて答えたら、単なる食べ過ぎという回答になってしまうだろうなあ、と。

でも、恋する乙女の和美ちゃんに、芋の食べ過ぎで胸が苦しいんだろって言ったら、それはデリカシーがないと和美ちゃんに嫌われてしまうのも仕方がないかなあ。小学生とはいえ女の子。寺山先生も大変だなあって思っちゃったりしました。

プロレスが好きな2代目長太郎

今回の話を見ていると、2代目長太郎はプロレスが好きなようです。初代長太郎もプロレスを見ていたわけですが、どちらかというと熱心に見ていたのは父ちゃんの方で、初代長太郎は部屋にボクシングのポスターを貼っていて、どちらかといえば格闘技のスポーツはボクシングが好きなようでした。

対して、今回はサブタイトルが「あばれプロレス」というのもあってか、長太郎がプロレスの試合を熱心に見ていたり、またプロレス雑誌を何冊か持っていたことから、プロレスファンだったのかなってことが伺い知れました。初代の父ちゃんが長太郎の動物園に連れて行ってという熱心なお願いをよそにプロレスを見ていたのに対して、2代目の父ちゃんは長太郎が熱心に見ていたプロレスのテレビを切っているところが対照的でした。

長太郎が見ていたプロレスの試合、長太郎がアントニオ猪木さんを応援しているので、猪木さんの試合だというのは分かるのですが、映像がないのでどの試合かが分からず、実況も聞こえるので、プロレスマニアの人ならその実況で分かるかもしれません。

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『男!あばれはっちゃく』33話より

2代目の場合、ここで長太郎がプロレス好きだということは、長太郎がプロレス雑誌を持っていることに繋がっていて、ストーリーにも関係してくるので、長太郎をプロレス好きにしているのかなあって思いました。また、父ちゃんはプロレスに関心がないというよりは、テレビばっかり見ていないで勉強して信一郎を見習えと言ってるので、2代目以降の教育熱心な父ちゃんの一面と話の流れからの行動だったりするのかなって。

2代目の父ちゃんも多分プロレス技だと思うのですが、長太郎に技をかけているのをみるとプロレスが全く嫌いなわけではないのかなって思ったりします。見様見真似で長太郎に技をかけているようにも見えますが。信一郎は全くプロレスには興味がなくて、それは後で、広田生徒会長からもらった文化祭の出し物のプロレスの台本に書いてあるプロレス用語が全く分からなかったことからも分かります。

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『男!あばれはっちゃく』33話よりr
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『男!あばれはっちゃく』33話より

そこで、信一郎は長太郎のプロレス雑誌を見ることになり、ここから長太郎がプロレスをテレビで見るだけでなく、雑誌を買うほどにプロレスが好きだということが分かるのですね。信一郎は長太郎から広田生徒会長からもらったプロレスの台本が自分が悪役のやられ役だということを教えられ、プロレス技を教えてもらうことになるわけです。ここで長太郎が多彩なプロレス技を知っていることで、さらにプロレス好きだということが分かると共にさり気なく、プロレスには台本があるんだよってことを示唆しているのが面白いなって思いました。まあ、子どもの頃は実際のプロレスが今回の話と同じように台本があるなんて思いませんでしたしね。

私はお笑い芸人のくりむしちゅーが海砂利水魚時代から好きなのですが、くりむしちゅーの2人はプロレスが好きなのですね。でも、海砂利水魚時代に出した本の中で、上田さんはプロレスが台本ありきだと知ってプロレス熱が冷めたのに対して、相方の有田さんはそれでもプロレスが好きということが書いてあって、プロレスも一つの芝居みたいなもんかって思ったことがあったのです。

なんというか、こう児童ドラマでプロレスに台本があるんだよってことを大体的に出しているってことは、既にプロレスはスポーツではなく、台本ありきの格闘ショーであることは公然の秘密というか、みんなが理解して見ていた娯楽、エンターティナーだったのかな、なんて思いました。

私自身としては、子どもの頃、家族や母の実家に帰省した時に祖父母や祖父母と同居していた従兄家族がプロレスが好きなので、一緒に見ることがあったのですが、プロレスが苦手でした。私の目にはとてもプロレスがスポーツに見えなかったのですね。パイプ椅子で殴って流血したりとか、リングを離れての場外乱闘が多すぎなのが見ていて嫌だったのです。でも、それもこれも計算された、ある程度台本通りの進行だと分かって見たら、また違う楽しみ方も出来たりしたのかな、なんて思うようにはなりました。

プロレスがある意味、ドラマのように台本があって、筋書きのあるものだとしたら、好きな選手に肩入れしたり、その背景を含めて楽しめるのかなと。そもそも、私はドラマや漫画、アニメ、劇が好きな人なので、プロレスもちょっと荒っぽいそれらと同じものだと思えば良かったのかなって思ったりしたのですが、まあ、子どもの頃はスポーツだと思って見ていたので、こんなのスポーツ、格闘技じゃないっていう反発心が強かったです。(プロレスファンの方ごめんなさい)

弘子ちゃんが広田生徒会長が出る出し物がプロレスだと分かって、「オーバーだわ、私帰る、趣味悪いわ」って言って帰ってしまいますが、そんな弘子ちゃんを見て、私と同じだって思いました。弘子ちゃんはプロレスが嫌いというよりは、大げさな煽りに呆れていたようですけれどね。

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『男!あばれはっちゃく』33話より

恋愛

今回は和美ちゃんが広田生徒会長に恋をして、それを心配したみゆきちゃんが長太郎に相談して長太郎が軽くあしらったことから、みゆきちゃんに怒られて、長太郎が本気を出してその恋愛問題に取り組むのですが、長太郎が出した解決法が、3話で信一郎が千春さんに恋をした時と同じ方法のラブレター攻撃。みゆきちゃんが気付いた和美ちゃんの広田生徒会長への思いの気持ちもノートに相手の名前を書き連ねているもので、信一郎の時と同じでしたね。

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『男!あばれはっちゃく』33話より

kakinoha.hatenadiary.com

長太郎がラブレター作戦を思いついた時は、また、誤字だらけのラブレターで広田生徒会長に顰蹙を買って和美ちゃんが困ったりするのかなって思ったら、そうならずにホッとしました。長太郎がラブレターを渡そうとすると、登校中に次々と女子生徒から手紙をもらっている広田生徒会長の姿、そこにみゆきちゃんが来て手紙を渡していて、それを目撃した長太郎は大ショック。それに加えて広田生徒会長はみゆきちゃんの手紙も含めてもらった手紙をまとめてゴミ箱にポイ。

長太郎はみゆきちゃんの手紙まで捨てたことに腹を立てて、その捨てた手紙を回収。そこでみゆきちゃんの手紙を探して、みゆきちゃんが自分と同じことを考えていたと知ってホッと一息。3話と同じ展開かなと思っていたところで、みゆきちゃんの登場と長太郎のプチ失恋を挟んだこと、もらった手紙を封を開けずにポイ捨てしたことで広田生徒会長の人間性を見せて、それを長太郎に回収させたことも含めて、長太郎と広田生徒会長の人の心に対する態度の違いを見せているのが面白なって思います。

長太郎も最初のみゆきちゃんの相談は笑っちゃうんですけど、その後で自分のみゆきちゃんに対するイメージ回復の為とはいえ、和美ちゃんの恋の為に考えて手紙を書いてみたりしているところは、長太郎自身がみゆきちゃんに恋をしているからこそ、恋をする人の気持ちが分かっているのかなって思ったりするんですね。自分が恋をしているから、恋をしている人が書いた手紙をポイ捨てする広田生徒会長に腹を立てるわけですし。

みゆきちゃんは恋煩いで元気のない友人の和美ちゃんを心配しての行動だから、後で長太郎からその話を聞いて、広田生徒会長に幻滅して、こんな人を和美ちゃんが好きだったら、和美ちゃんが傷つくと心配するところは、相変わらずみゆきちゃんって優しいなって思います。

長太郎はラブレター作戦以外に、洋一を和美ちゃんにあてがって、恋人同士にさせるように仕向ける作戦も立てるのですが、この場面では見ている私の心臓がやばかったですね。見ていて、とても、怖かったです。恋愛の気持ちがないのに和美ちゃんに告白させるっていうのは、洋一も嫌がってましたけど、和美ちゃんだって嫌だろうし。見ていてヒヤヒヤしました。長太郎もなあ、もう少しマシな考えがなかったのかって思いましたよ。この場面、笑いの場面だと思うのですが、今、地上波で流すと怒る人も出てくるだろうな、なんて思いましたし、私でも笑うに笑えなくて心臓に悪かったです。

スローモーション

今回の監督は磯見忠彦監督でしたが、なぜか今回はスローモーション演出が多かったですね。恋する和美ちゃんがジャンプする場面とか、信一郎が長太郎にプロレス技を教えてもらう場面とか、和美ちゃんがプロレスで活躍する場面とかで多用されていて、スローモーションが多いなっていう印象を受けました。

台本の台本

広田生徒会長が出る出し物がプロレスだと知って、弘子ちゃんは呆れて帰ってしまいますが、和美ちゃんはいいじゃないって言ってプロレスを見ているところから、恋は盲目なんだなって思いました。

長太郎とのプロレスの練習で足をねん挫した信一郎の代わりに出てきた長太郎にやりまくられている広田生徒会長を応援している和美ちゃんを見て、台本があるのになあって、冷めていた私がいました。

広田生徒会長は台本通りに長太郎が動いてくれなくて、愚痴を言い出していましたが、和美ちゃんには聞こえていなくて、長太郎は自分の目論見が外れたかなって不安になってきます。

広田生徒会長の本性を知り、自分の兄を悪役レスラーに仕立て上げて文化祭でええかっこしいをしようとした広田生徒会長を懲らしめ、和美ちゃんの目を覚ましてやろうと長太郎は考えたのだろうと思いますが、和美ちゃんはピンチになっていく広田生徒会長を応援。

しかし、あまりにもやられっぱなしの広田生徒会長を見ていられずに、和美ちゃんがいきなり着物で参戦。あっという間に長太郎を倒してしまいます。

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『男!あばれはっちゃく』33話より
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『男!あばれはっちゃく』33話より

和美ちゃん、強い。めっちゃ強い。小学生にも勝てない広田生徒会長に愛想をつかして去っていきます。しかし、これもドラマ『男!あばれはっちゃく』の台本なんですよね。

メタ的に見ると、プロレスにも台本があるように、ドラマ『男!あばれはっちゃく』にも台本がある。和美ちゃんの予想外の参戦も台本がある、答えのある行動だったということ。

子どもの頃は、そんな筋書きのあるドラマ、嫌な言い方だと「やらせ」だと思わなくても、思わぬハプニング、予想外の出来事、長太郎が描いていたのとは違っても結果的に目的を果たしたということで、「事実は小説よりも奇なり」の面白さを感じることが出来ましたが、大人になって見返すと、二重の意味で作られた台本通りの展開になっている。

台本ありきのプロレスから現実の予想外の展開も実は台本だったという二重のオチに気づくと、未来の誰にも分からないそれぞれの人生のドラマに対してのドキドキ感の方がより大きいかもしれませんよっていうメッセージになっているのかなって、深読みしてしまったりします。

この深読みは私個人の勝手な妄想なので、見当違いかもしれませんが、なんというか、恋のドキドキと何が起こるか分からない人生のドキドキをかけていたりしてって思ったり、そんで「つり橋の恋理論」なんてことも思い出したりしましたね。

肩書に弱い

和美ちゃんが広田生徒会長と初めて会った時に、和美ちゃんが一番注目していたのが、生徒会長バッチだったんですね。和美ちゃんは広田生徒会長に一目惚れしたことは確かだと思うんですが、この話を最後まで見ていくと、和美ちゃんは光り輝く生徒会長バッジに一目惚れしたんじゃないかなって思います。

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『男!あばれはっちゃく』33話より

後、和美ちゃんが惚れっぽいのって、なんか和美ちゃんのお母さんに似てるのかもって思ったりしました。だって、和美ちゃんのお母さん独身の寺山先生に言い寄っている場面があったりしたから。誰彼構わずではなくて、寺山先生だけでしたけど。

和美ちゃんは女の子のメンバーの中では、一番、恋愛感情が出ていた女の子だった思います。和美ちゃんは弘子ちゃん、邦彦と同じく1年目の5年生だけのレギュラーだったので、もう少しで出番はなくなってしまうのですが、最後までレギュラーでいて欲しかった人物の一人でしたね。

その和美ちゃんの前に次回では、長太郎の親友であり、今回和美ちゃんへの偽りの告白を強要された洋一が『男!あばれはっちゃく』の舞台から去ってしまいます。これも作られた話なのですが、それでも別れの話はつらいものがありますね。この世界から去ってしまうことには変わりはないのですから。

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『男!あばれはっちゃく』33話より34話予告

このこ(この犬)は?

桜間家の飼い犬

前の記事で『痛快あばれはっちゃく』36話「父ちゃんが犯人マル秘作戦」(脚本・市川靖さん、松生秀二監督)が少し不思議な話だと書きました。その不思議なことというのは、桜間家の飼い犬のことです。

ご存じの通り桜間家の飼い犬はドンペイ(どん平、ドン平表記がありますが、初代DVDのブックレット表記のドンペイでこれからは統一していきます)。このドンペイ、4代目『痛快あばれはっちゃく』に関してだけは、どのような経緯で桜間家で飼われるようになったかが1話で判明しています。ドンペイは、まゆみちゃんが長太郎にあげた子犬。

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『痛快あばれはっちゃく』1話より

なので、それ以前に桜間家には飼い犬がいないのですね。長太郎がまゆみちゃんからドンペイをもらったのが、つくし第一小学校に転校した小学5年生の時。4代目長太郎は学区の変更による転校なので、変わったのは学校だけ。住んでいるところは変わらず東京都世田谷区のまま。だから1年前の小学4年生の時も、東京都世田谷区に住んでいたということです。

じゃあ、この時の犬は?

さて、前置きが長くなりましたが、先に書いた4代目桜間家の飼い犬ドンペイがきた経緯と4代目長太郎が4年生の時も東京都世田谷区に住んでいたことを前提としたうえで、『痛快あばれはっちゃく』36話を見てみると、あの1年前の回想シーンで登場してきた長太郎が連れていた犬はいったいどこの犬なの?という疑問が出てくるのです。

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『痛快あばれはっちゃく』36話

36話でサンタクロースの格好をしたおじさんがドンペイをマジマジと見てある記憶を確信します。それは、1年前長太郎が犬と一緒に多摩川で落とした10枚の宝くじを探してのを見てたこと。それを長太郎に尋ねて1年前の暮れの回想が入ります。それはおじさんが宝くじを探す長太郎と犬を見ている光景。この場面は1年前だから長太郎が連れている犬はドンペイではないのです。

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『痛快あばれはっちゃく』36話より

だって、場所はともかくドンペイは5年生になった時にまゆみちゃんにもらっているのですから。けれども、回想で出てきた犬はどう見てもドンペイ。おじさんもドンペイがあの時の犬で間違いないと言っています。でも、しつこいようですが、先に説明したように1年前の4年生の4代目長太郎はまだドンペイを飼っていないのです。もしも、これが1年前で犬がドンペイだとしたら、現実にはありえない光景になってしまうのです。

さて、少し本題からずれますが、今回、登場してきたこのサンタクロースのおじさん。2代目でお馴染みのお寺の住職熊田仙海を演じた竹田光裕さんですね。なんか、竹田さんの顔を見ただけで、一瞬だけ「あれ?2代目を見ていたっけ?」って混乱しました。わらさんのとこの園児の子達も混乱しなかったかな。これも、もちろん、スピンオフなのですが、分かっていても混乱しますね。

あの犬の正体は?

話を戻して、ここに来てくださる『あばれはっちゃく』ファンの皆さんは、あの36話の1年前に長太郎が連れていたドンペイによく似た犬の正体はなんだと考えますか?これが、4代目長太郎が6年生の時の話なら、話はすんなりと通るのですが、なにしろ36話は4代目長太郎が5年生の時の話。そうなると、1年前はまだドンペイを飼っていない時期だから、辻褄が合わなくなってくるのです。

そういえば、1話でドンペイを譲る時に、まゆみちゃんと一緒に来ていたまゆみちゃんの父親の春日教頭先生がドンペイを長太郎に託す理由に長太郎が大の動物好きだからと理由を添えていましたが、もしかしたら、大の動物好きの長太郎は近所の犬の散歩の代行をしていたのかもしれませんね。そのついでに、父ちゃんのおつかいで宝くじを10枚買って帰り道で落としてしまった、と考えれば長太郎が1年前に連れていた犬の説明もつくかな。

皆さんは、4年生の時に4代目長太郎が連れていた犬の正体はなんだと思いますか?

あばれはっちゃくのクリスマス!

メリークリスマス!今日は12月25日。クリスマスですね。『あばれはっちゃく』でもクリスマスネタがありました。それも、だいたいが本編ではなくてアバンタイトルでやっていましたね。

それでは、初代『俺はあばれはっちゃく』から見ていきましょう。

長太郎サンタ

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『俺はあばれはっちゃく』45話より

初代は45話「八百勝繁盛マル秘作戦」のアバンタイトルでクリスマスネタが登場してきます。私が持っている資料によると、45話はクリスマスの3日前、1979年12月22日に放送れています。本編は年の瀬のあわただしい八百勝(公一の家)での騒動がメインですね。

アバンタイトルで長太郎がサンタクロース、公一がトナカイに扮して、ヒトミちゃん、正彦、恵子ちゃん達にプレゼントを配ったのですが、それがどれもこれもびっくり箱。最後にヒトミちゃんからサンタクロースの長太郎にプレゼントが渡されています。

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『俺はあばれはっちゃく』45話より
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『俺はあばれはっちゃく』45話より
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『俺はあばれはっちゃく』45話より

さて、長太郎サンタにびっくりさせられながらも、プレゼントを渡してくれた優しいヒトミちゃん。中身はフェルトで作った蛇のようなキャラクター。このオチはいかに。本当にヒトミちゃん達は長太郎サンタのいたずらを許してくれているのかな?なんか、この模様のような数字がこのマスコットの正体を暗示しているようですね。

タイムトンネル

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『男!あばれはっちゃく』39話より

2代目『男!あばれはっちゃく』は39話「当たれ!チャウチャウ犬マル秘作戦」のアバンタイトル。2代目長太郎サンタは地球の裏側の子ども達にもプレゼントを届けようと、井戸ようなところに飛び込みます。

そして、ついた先がなぜか地球の裏側(多分、日本の裏側と言われるブラジルに行きたかったのだと思いますが)ではなく、昔の日本。2代目長太郎サンタは怪しい人物として、囲まれてしまいます。

「サンタクロース」だと懸命に説明しているのですが、この時代(恐らく江戸時代)にサンタクロースを理解している人はなく、さて、2代目長太郎サンタクロースの運命は?

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『男!あばれはっちゃく』39話より

マッチ売りの長太郎

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『熱血あばれはっちゃく』37話より

3代目『熱血あばれはっちゃく』では37話「愛の通信簿マル秘作戦」のアバンタイトル。長太郎がサンタクロースにはならず、さながら、マッチ売りの少女のようにマッチを売っています。長太郎がマッチを売っている町の風景がクリスマスなので、3代目のクリスマスはこれ。マッチ売りの長太郎も売り物のマッチで暖を取ろうとしますが、ちっとも温まらない。そこで、マッチ売りの長太郎が用意したのが、巨大なマッチ。実は、これ、ただのマッチ棒ではなくて……。さて、この結末はいかに!

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『熱血あばれはっちゃく

プレゼントは?

4代目『痛快あばれはっちゃく』38話「焼イモケーキだマル作戦」のアバンタイトルでは、広田先生がサンタクロースに扮して、まゆみちゃん、信彦、清、マヤ、とし子達にプレゼントを渡していきます。しかし、長太郎だけプレゼントなし。

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『痛快あばれはっちゃく』38話より
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『痛快あばれはっちゃく』38話より

長太郎は広田サンタクロースが持つ袋をのぞき込みますが、あったと思っていたプレゼントが消えてしまって、広田サンタクロースは去ってしまいます。これが『痛快!あばれはっちゃく』の1年目のクリスマスネタ。2代目『男!あばれはっちゃく』のアバンタイトルでのクリスマスネタは先に紹介した1年目しかないのですが、4代目は2年目もクリスマスネタがあります。

広田サンタクロースは「また、来年」と去ってしまっていて、ある意味、これは次の年へと続きものなっているのですね。そういう訳で今回はオチまで書いています。

今年こそプレゼントを!

さて、2年目。4代目『痛快あばれはっちゃく』85話「赤い頭巾の女の子マル秘作戦」のアバンタイトル。5年生の時はサンタクロースからプレゼントをもらえなかった4代目長太郎。今度はプレゼントを貰おうと、張り切って巨大な靴下を作って、サンタクロースにプレゼントのお願いをします。

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『痛快あばれはっちゃく』85話より
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『痛快あばれはっちゃく』85話より

それにしても、長太郎のために多分クリスマスイブの夜だと思いますが、長太郎に付き合ってくれるまゆみちゃん、信彦、清、マヤ達の優しいこと。長太郎は上から降ろした巨大な靴下を4人に持ってもらって、空をかけるサンタクロースにお願いをします。そこに、なんと!父ちゃんが現れて、さて、長太郎は今度こそ、プレゼントをもらえるのでしょうか。

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『痛快あばれはっちゃく』85話より

歴代のクリスマスアバンを振り返って

なんか、こうしてみるとサンタクロースとプレゼントっていうのが多いように思います。ちょっと異色なのは、3代目『熱血あばれはっちゃっく』のサンタクロースにならないマッチ売りの長太郎のアバンタイトルでしょうか。

また、サンタクロースとプレゼントがあるものの、江戸時代の日本にタイムスリップする2代目『男!あばれはっちゃく』も異色ですね。長太郎が過去にタイムスリップしたことから、長太郎が落ちた井戸ようなものはタイムトンネルじゃないかなって思ってしまいます。

あと面白いなって思うのは、初代『俺はあばれはっちゃく』では、長太郎がサンタクロースに扮していることをヒトミちゃん達が承知していること。そこで、これは一つのイベントというかパーティのようなものなんだなって思うことが出来ます。

その初代『俺はあばれはっちゃく』とは違って、4代目『痛快あばれはっちゃく』では、広田先生がサンタクロースに扮しているということを長太郎達が知っているわけではないのですね。あくまでも広田先生とは別人、よく言えば広田先生によく似たサンタクロースのおじさんという認識なんです。その証拠に長太郎が自分のプレゼントのことを尋ねた時に「広田先生」ではなく、「おじさん」って言っているんですよ。

さらに、広田先生と別人だと裏付けているのが、長太郎が自分のプレゼントがあったと言った途端に袋の膨らみがパッと消えてしまったこと。これが一瞬で消えてしまって(よく見れば風船が割れただけだど)、それがこの広田先生によく似たサンタクロースは、偽物のようでいて、実は本当のサンタクロースなの?っていう不思議な気持ちを残していくんですね。普通の公園で小学生達と話していて、いかにも手作りの衣装と小道具で登場してきたサンタクロースはどう見ても広田先生がサンタクロースになった姿にしか見えないのに。

そして、『痛快あばれはっちゃく』の2年目のクリスマス。今度こそ、長太郎はプレゼントを貰おうと張り切って、巨大な靴下を用意して、空のサンタクロースに願いを言っています。こうしてみると、4代目ではサンタクロースは実在している存在かもしれませんよっていう扱いになっているんだなって思うのですね。

本編のサンタクロース

でも4代目『痛快あばれはっちゃく』で38話の本編で長太郎がサンタクロースの格好をしていたり、36話「父ちゃんが犯人マル秘作戦」では父ちゃんがサンタクロースの格好をして出ています。

それでも、ドラマ本編で長太郎がサンタクロースの格好をしてもパーティにおける仮装の一つだと分かるし、父ちゃんの場合はクリスマス季節に街にいるサンタクロースの格好をしてるんだって分かるようになっています。

だから、アバンタイトルに出てくる子どもが信じているプレゼントを配ってくれるサンタクロースとは違うんだってことは、未就学児でも分かると思うのですね(多分)。

それから、36話の話は考えてみるとちょっと不思議な話になっています。後は2代目ファンには懐かしい人もスピンオフで再登場していますね。それも含めて『痛快あばれはっちゃく』36話もまた別の機会に語りたいと思います。また、よくよく見返せば、他の代にもドラマ本編でサンタクロースに扮している姿があるかもしれませんので、そちらも気がついたら語りたいと思います。

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『痛快あばれはっちゃく』38話より
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『痛快あばれはっちゃく』36話より

小さい子達への配慮?

4代目『痛快あばれはっちゃく』ドラマ本編に出てきた長太郎サンタと父ちゃんサンタとは別に歴代のアバンタイトルに出てきたサンタクロースはプレゼントを配る子どもが信じるサンタクロース。

そのサンタクロースが初代では、長太郎が扮したサンタクロースになっていて実在しない架空の扱い扱いだと匂わしていたのに対して、4代目でプレゼントを配るサンタクロースは広田先生の仮装だった思っていたら、実は広田先生ではなくて実在しているサンタクロースかもしれませんよって示唆している。

初代の1979年から4、5年経った4代目の時代、1983年、1984年になると、プレゼントを配るサンタクロースは街にあふれているサンタクロースやパーティにいる仮装のサンタクロースとは別に実際しているかもって思わせている。

そういう意味でいうと、タイムスリップした2代目長太郎サンタクロースも、これが長太郎が扮したサンタクロースだというのはないのですね。だから、あくまでも長太郎によく似たサンタクロースが昔の日本に行ってしまったという形になっています。この昔の日本に行ったサンタクロースもサンタの不思議な力を感じさせますよね。本人は意図しないことで困っていましたけれど。

3代目はサンタクロースではなく、マッチ売りの少女ならぬ、マッチ売りの長太郎になっていますしね。なんか、こう初代ではある程度サンタクロースの存在を理解している子向きであったのに対して、2代目からは、まだサンタクロースの存在を信じている未就学児にも配慮してきたのかなあって思ったりしました。

あばれはっちゃく』は未就学児も見ていたドラマでしたし、私自身も初代『俺はあばれはっちゃく』や2代目『男!あばれはっちゃく』を見ていたのは未就学児の時でした。初代にも未就学児の視聴者の存在は認知していたと思いますが、代が重なるに連れてその意識は大きくなっていったのかもしれません。

また、初代のアバンタイトルは、長太郎がサンタクロースになっていて、本物のサンタクロースではないとヒトミちゃん達が分かっていたとしても、本物のサンタクロースは別に存在しているんだっていう認識はテレビで見ていてあったので、あのアバンタイトルでも問題はなかったのかなって思ったりもするのですが、まあ、そんな子ども達ばかりではないし、作り手がサンタクロースの存在をぼかすようになっていったのは、ぼかす方向へいくだけの意見があったのかもしれませんね。

全ては私の妄想

まあ、でも、少しはサンタクロースがいるかもって思わせてるようにしていったのかなっていうのは、これもあれも、なんとなく、わらさんから頂いたコメントを読んだり、アバンタイトルを見返しての私の想像、妄想に過ぎないのですけれども。歴代のクリスマス季節のアバンタイトルを見るだけでも、いろいろと考えることが出来て面白いです。

残念なのは、5代目『逆転あばれはっちゃく』は9月に終わっていて、かつアバンタイトルがなくなっているので、アバンタイトルのクリスマスネタがないことです。今となっては、仕方がないと分かっていますが、こうして歴代のクリスマスアバンタイトルネタを並べていくと、5代目もせめて1年間放送されて、アバンタイトルはなくても、クリスマスネタがあったら良かったのになって思いました。5代目に関してもいろいろと思うこと書きたいこともありますが、長くなって内容が脱線していくので、この辺で。

とにもかくにも、今日はクリスマス。皆様、良いクリスマスをお過ごしください。

ロールケーキが大嫌い

味の問題ではありません

私はロールケーキが大嫌いです。味の問題ではありません。なぜ嫌いかというと、高校時代にいじめで登校拒否になった時、調理室が新しくなったことだしと周囲から説得されてとかなり無理をして登校しました。

そこで、調理実習でロールケーキを作ったのですが、その時に私をいじめていた同じ班の女子3人がロールケーキでちゃんと巻けずに変になった端っこの部分を私にくれたのです。

「柿の葉さんはこれでいい」って。

自分達は仲良くきれいに巻けた部分を楽しそうに食べていました。私はこの時からロールケーキが大嫌いになりました。ロールケーキやロールケーキの文字を見るだけで、31年経った今でもこのことを思い出して、すごく辛いのです。

他の人達にとっては、なんてことのない出来事でしょうし、それだけで?って思うかもしれませんが、この出来事は私の人生を大きく変えて、現在にも響く悪影響を与え続けているのです。高校でのいじめの出来事はこれだけではありません。思い出したくもない大なり小なりが重なって、今も私の心を傷つけ続けています。

ロールケーキはそんな私の一番嫌いで嫌な時代を思い出させるものなのです。私はロールケーキを勧められても断ります。また、理由を聞かれて仲の良くなった人にこの話をしますが、些細なこと過ぎて忘れてしまうのか、私がロールケーキが嫌いなのは、味の問題だと変換している人がいるのですが、そうではないのです。

長く生きていると、いろいろなものが嫌な出来事を思い出す引き金になってしまいます。なんか、こう長生きするのも良し悪しですね。

気づいたいろいろ(ドラマを見て分かる設定111)

カヨちゃん

『男!あばれはっちゃく』32話を見ながら、以前に記事でカヨちゃんが中卒だと書いたのですが、32話ではカヨちゃんの高校時代の友人のヨウコさんが登場しているので、カヨちゃんは中卒ではなく、高校を卒業してから理容専門学校に入って、理容師見習いをしていることになるのか、と。

kakinoha.hatenadiary.com

カヨちゃんは『男!あばれはっちゃく』の1年目、1980年の時点では19歳なのですね。それで既にサクラマ理容店で理容師見習いとして働いていて、高校卒業後で理容師の専門学校に1年通っているとなると、19歳の時点では、まだ専門学校生だと思うのですけれども、ここが計算が合わないなって思っちゃうんですね。現にヨウコさんは32話で東京デザイン専門学校に通っているわけですから、と考えながらも、自分が出した結論にも疑問を感じて改めて考え直してみました。

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『男!あばれはっちゃく』32話より・ヨウコさんの通う東京デザイン専門学校

確か、年明けの話ではカヨちゃんの成人式の話が41話であった思うんですが、成人の日が1月15日から第二月曜日になるまでは、1月15日までに20歳になっている人達が成人式を迎えるようになっていて、例えば、私は成人式に参加していないのですが、1974年8月生まれの私の場合は、1995年1月15日の成人式。(私自身が成人式をしていないので、間違っているかもしれませんが)

すると、1981年にカヨちゃんの成人式の話があると、カヨちゃんは23話~41話までの間に、カヨちゃんが19歳から20歳になっていたという推測が出てきます。ヨウコさんが通学していた東京デザイン専門学校は今も存在する実在の学校で2年制(一部3年制)。

カヨちゃんは高校を卒業して1年間理容専門学校に通い、ヨウコさんが2年制のデザイン専門学校に通っていたのなら、辻褄があうなってことで、カヨちゃんが中卒だというのは私の間違いなんだなって思いました。よって上記の23話の一部を訂正します。

那由他

さて、このブログを読んでくれている皆さんは、漫画家の佐々木淳子先生をご存じですか?1976年小学館の『週刊少女コミック増刊号』で『キムのゆうれい』でデビューされて、『少女コミック』や『プチフラワー』で活躍されていた漫画家です。代表作に『ダークグリーン』があります。また、OVAになった『那由他』も代表作の一つです。

私は佐々木淳子先生のSFというか、ちょっと不思議で怖い話、輪廻転生というかそういう漫画が好きなのですね。で、かなり前に好きな作品や漫画家さんについて調べていた時に、『那由他』が好きという人の呟きを見たことがあって、で、それが3代目『熱血あばれはっちゃく』(1982年4月~1983年3月)でみどりちゃんを演じていた浅井星光さんのツイートだったので、なんか、こう私とは全然関係がないのに、自分の好きな漫画を自分が好きなドラマに出ていた人も好きだったんだって知って、めちゃめちゃ嬉しかったんです。

那由他』は『週刊少女コミック』1981年16号~1982年19号まで連載していたので、浅井さんがみどりちゃんを演じていた時期と少し被るのですね。だから、そうか、浅井さんは『那由他』を読んで、みどりちゃんを演じていたのかって思うと、なんか、こうより身近な存在に感じました。

ちなみに浅井星光さんは1997年に宝塚歌劇団月組公演の『All for one』で擬闘をされていました。

ダークグリーン』も『那由他』も現在は電子書籍kindleで購入可能なので、興味のある人は読んでみてください。夢の中の話だったり、超能力者、宇宙人の話だったりするので、苦手な人は苦手かもしれませんが、そういう類が好きな方には楽しめる作品だと思います。

kageki.hankyu.co.jp

 

『男!あばれはっちゃく』32話「伸びろ!竹の子」感想

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『男!あばれはっちゃく』32話より

1980年11月1日放送・脚本・安藤豊弘さん・監督・松生秀二監督

カヨちゃん可哀相

この話の前半は親友のヨウコさんに本当のことを話してもらえなかったカヨちゃんが可哀相に思いました。5万円を貸したことよりも、本当の話をしてもらえなかったことが私には可哀相に感じてしまって、それは5万円という大金に対してもショックではあるんですけれども、本当のことを話してくれなかった方が、信用されていなかったのかなとか、隠し事をされていたことの方が悲しいなって。

カヨちゃん、学校のことについてもヨウコさんが嘘を言っていたことを怒っていたし、自分を見て逃げ出したのを見てもショックな顔をしていたし、自分がヨウコさんに信用されていなかったと感じたことが悲しかったんじゃないかなって、私はそう感じたのですね。ヨウコさん後で、カヨちゃんに心配させないためって言ってたけれども、それでも、やっぱりヨウコさんを訪ねて行って、話と違っていたらカヨちゃんはショックだろうなって私はカヨちゃんの表情を見て思うわけです。

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『男!あばれはっちゃく』32話より

この話の冒頭でカヨちゃんの高校時代の友人のヨウコさんが訪ねてきて、ヨウコさんが絵が得意でファッションデザイナーを目指していて、ヨウコさんのお兄さんが伊勢崎銘仙の織り手であることが分かります。

銘仙は平織した絣の絹織物の総称で、伊勢崎銘仙の他に埼玉の秩父銘仙、群馬の桐生銘仙、栃木の足利銘仙が有名です。伊勢崎銘仙の歴史も古く、「伊勢崎絣」の登録名で国の伝統工芸品の指定を受けています。後継者問題などはあるようですが、現在もファッションショーや小物、ぬいぐるみなどに使われて受け継がれているようです。

伝統の織物の兄と最先端のファッションデザイナーを目指す妹。群馬で伝統を守る兄と東京でファッションデザイナーを目指す妹の対比は、古い物と新しいものの対比になっています。

数日後にヨウコさんのお兄さんから電話が来て、ヨウコさんに連絡が取れるようにとお願いされて、カヨちゃんがヨウコさんのアパートを訪ね、通っている専門学校を訪ねたことで、ヨウコさんの嘘がカヨちゃんに分かって、先ほどの私のカヨちゃん可哀相の感想に繋がるわけですが、この話が親友に騙された可哀相なカヨちゃんの話で終わっていないのが、すごいなって見終わった後に思いました。

当時の流行りを取り入れながら

この32話のサブタイトル「伸びろ!竹の子」の「竹の子」というのは、放送当時に流行していた竹の子族からきていることは、カヨちゃんが長太郎と一緒にヨウコさんを探していた時に登場してきた若者やヨウコさんの姿を見れば一目瞭然です。

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『男!あばれはっちゃく』32話より

当時の若者の流行りと伝統工芸の対比はとても分かりやすいのですが、この話はそこに新しいものと古いものを対立させるものではなく、互いに生かしあい融合して、次世代に繋がらせていくという展開になっていると私は感じて、そこに懐の広さと無限に未来に広がる可能性を感じることが出来て、それが素晴らしいと感じました。

ヨウコさんがカヨちゃんに5万円を借りたのは、専門学校をさぼって竹の子族で遊んでいる姿を見て遊ぶ金欲しさかなって思いましたが、後でヨウコさんが言った言葉では跡を継がせたいお兄さんの意見を押し切って上京してきて、バイトをしながら専門学校に通っていたもののバイト先がアルバイト代を出してくれなかったからとのことで、ヨウコさんがデザイナーになろうと必死なのは、ヨウコさんが専門学校に講師に来てくれた有名なデザイナーバロンフジヤマ先生に自分のデザインを見てもらおうとバロンフジヤマを訪ねていたことからも分かります。

ヨウコさんはバロンフジヤマのアシスタントにあしらわれデザインを見てもらうことはかなわないのですが、バロンフジヤマのところにヨウコさんのお兄さんの伊勢崎銘仙が届いている場面が出てきて、これを見ると、いずれ話の終わりでヨウコさんが伊勢崎銘仙の山川明さんの妹だと分かって、ヨウコさんがバロンフジヤマに認められるのかなって思ったりもしたのですが、そういう展開にはならず。

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『男!あばれはっちゃく』32話より

そんな簡単な話ではないのですね。それに、サブタイトルの「伸びろ」の方は長太郎の習字の授業での「伸びる力」の文字にあって、そこでの寺山先生の言葉がこの話の帰結にも繋がっていったんだと思いました。

お前たちには明日がある。もっと大きく伸びようとする力、自分自身の力でドーンとぶつかっていけば、自ずからチャンスは開かれていくもんなんだ。

多分、ヨウコさんも明日がある若者で、どんなに困難にぶつかって、憧れの人に拒絶されても、ドーンとぶつかっていけば道が開けるというのがあって、今度はその寺山先生の言葉を聞いて信じた長太郎と一緒にヨウコさんはバロンフジヤマ先生の所に行って、長太郎の熱意にフジヤマ先生がヨウコさんに会って、そのデザインを見てくれる展開に。そこで、ヨウコさんのお兄さんの伊勢崎銘仙が出てきて、それがヨウコさんだけが分かる話になるのですね。

ここで、ヨウコさんがそれが自分のお兄さんの作品であることを言わずにいて、それでいてフジヤマ先生のアシスタントが仕立てた服の縫製が不充分だったことでアシスタントが怒られる場面があって、フジヤマ先生が物作りに対する姿勢と考えをヨウコさんと長太郎に話していて、ヨウコさんのお兄さんの伊勢崎銘仙を見ながら、この伊勢崎銘仙の作りから自分のデザインの閃きを得ることを話されていて、それがヨウコさんの心に響く。

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『男!あばれはっちゃく』32話より

このバロンフジヤマ先生の物作りに対しての考えを聞きながら、私は『あばれはっちゃく』を作り上げた人達の心にも通じていると感じました。なぜなら、こうしてブログで『あばれはっちゃく』シリーズを振り返りながら、見ていて思うのは、子どもの頃には気づかなかったドラマの作り手の人達の見えない部分の細かい拘りや細部までしっかりと世界観を生み出していることが分かってきたからです。

あばれはっちゃく』は架空の話であるんですけれども、その時代や小道具、人の心には嘘がないのですね。それは、見えないところやちょっと見ただけでは分からないところにまで気を配って、このドラマの世界を構築するもの全て、それが建物であったり、小道具であったり、人の感情であったり、その時代の風俗や文化を誤魔化すことなく、丁寧に作り上げているからこそ、時代を超えても、その時代を知らない子ども達にも受け入れらるし、何度見ても見飽きることがないんだなって思いました。

新しい物古い物

ヨウコさんがバロンフジヤマ先生の話を聞き、兄の明さんの仕事の偉大さ、その中で自分の夢を叶えようと考えを少し変えるという結末は、単純に兄の力を使ってバロンフジヤマ先生と懇意になって終わるのではない広がりと深さを感じました。新しい物の中に伝統を生かす、伝統の中に新しい文化を生かすことが、さらに次の時代へと続くものを生み出していくのではないか、そんなことを思いましたね。

折しも、私が現在(2021年)の流行についていけないと、ぼやいた後で見返したこの話が、私の流行についていけないことに対する気持ちへの一つの答えになっていて、なんか私の気持ち的にタイムリーだなって思いました。

それと調べてみると、伊勢崎銘仙は今も残っている一方で、新しい若者文化の顔としてこの話で登場した竹の子族は消えてしまったというのも、なんというか、象徴的に思いました。江戸時代から続く古い物でも現在に残り、1980年代に生まれてきた竹の子族はその当時を知っているものしか分からないという。でも、もしかしたら、私の知らない形で竹の子族も残っているかもしれないんだろうなって思ったりします。

カヨちゃんの部屋

以前、5代目で桜間家の長子が姉に戻って、長太郎とカオルの部屋が二つに分かれてセットが桜間家のセットが豪華になったなっていう記事を書きましたが、2代目の場合、カヨちゃんの部屋が長太郎と信一郎の部屋とは別にちゃんとあるので、何も5代目で部屋が増えたとは言えなかったなって思って、ちょっと訂正です。

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『男!あばれはっちゃく』32話より

栗又さんの誕生日

そういえば、今日は2代目長太郎役の栗又厚さんの誕生日ですね。昔、調べた時に栗又さんは1969年12月2日、もしくは12月12日生まれだって知ったんですが、日にちが2日と12日とあって、どっちかなって思ってはいるんですけど、多分、12月12日生まれではないかなって。とりあえずは、12月生まれということだけは間違いがないと思います。栗又さんは私の5歳年上だから、今年で52歳になるのですね。栗又さん、お誕生日おめでとうございます。

そのうち上がるかな

国際放映の公式YouTubeチャンネルにて

今日の日付から、国際放映の公式YouTubeで『あばれはっちゃく』シリーズの2代目から5代目のOPが視聴できるようになりました。中身はベストフィールドの公式YouTubeと同じです。

今の時点(2021年12月10日午前11時18分)で確認した限りでは、初代『俺はあばれはっちゃく』だけがありませんが、以前のベストフィールドのチャンネルとは違い、今度は国際放映のチャンネルなので、ひょっとしたら、可能性は低いかもしれませんが、初代『俺はあばれはっちゃく』のOP動画が上がるかもしれません。

私としては、一番大好きな『あばれはっちゃく』が初代『俺はあばれはっちゃく』ですし、現在では一番DVDが入手困難な『あばれはっちゃく』ですので、やはりここで制作会社の国際放映の公式YouTubeで見ることが出来たら嬉しいなって思います。

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