柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』第3話「トジな兄貴さ」感想

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『男!あばれはっちゃく』3話より

脚本・山根優一郎松生秀二監督

アバンタイトル

五輪のマークに重量挙げの選手の格好をした長太郎が鉄アレイや重量あげをしています。その後、木と格闘。

『男!あばれはっちゃく』の放送が開始した1980年はモスクワ五輪開催の年でした。それにちなんでの五輪ネタです。

しかし、ご存知の通り、日本はモスクワオリンピックをボイコットしました。私にとって一番古い夏季オリンピックはこの4年後のロサンゼルス五輪なのですが、それはモスクワオリンピックが日本では幻のオリンピックになってしまったからなのですね。この時点では、オリンピックがあると思っていて、マスコットキャラクターこぐまのミーシャのアニメなどもあったと思うのですが、結局、日本は不参加だったために記憶から薄れてしまったのだなって思います。

40年前と状況は全く違うのですが、今年、開催予定だった東京オリンピックが新型コロナの影響で延期になってから、このアバンタイトルを見直すと、なんとも言えない気持ちになりました。

本編

下校の場面から。昇降口の入り口で寺山先生がみゆきちゃん達に気をつけて帰るようにと言っているところに長太郎が奥から走ってきて、転び、みんなから笑われてしまうと、長太郎のようにならないようにと言われてしまいます。

長太郎はここで、寺山先生にも猪みたいだと言われてしまいます。長太郎がみゆきちゃん達を遊びに誘っても、塾があるから無理と断られてしまいます。

落ち込む長太郎に声をかけたのが、5年1組の森田テツヤ。

この森田テツヤを演じているのは、初代『男!あばれはっちゃく』38話に登場した三太を演じた藤森政義さんです。気弱だった三太とは同一人物とは思えない堂々とした態度。

演じている人が同じでも、別人を演じているのですから、違う人間に見えるのは当たり前なんですよね。でも、本当に雰囲気が違うのだから驚きです。

後、ずっと気になるのが、テツヤのいう「笑わせるぜ」って言葉、これ、何度か繰り返し出てくるのですが、なんか、こういう言葉って流行していませんでしたか。

テツヤは自分の姉の千春が、長太郎の兄、信一郎に惚れられて迷惑していることを長太郎に話します。ここで、信一郎の中学校の名前が分かります。テツヤと長太郎は、その中学校に向かい、校門で千春を待っている信一郎を見つけます。ここで、信一郎の中学校が「世田谷区立 ちとせ第三中学校」と判明します。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

長太郎は、テツヤから千春を好きな信一郎が、千春にアプローチ出来なくて情けないかと長太郎に言い、長太郎に「弟ならなんとかしろ」と檄を飛ばします。

長太郎は、この時にテツヤが信一郎を情けないと言った事に腹を立てて怒鳴ります。

 あれでも、俺の兄貴だぞ!

長太郎は、信一郎が秀才と言われた時は鼻高々で、貶されると怒る。これだけでも、長太郎が信一郎を好きなのが分かるのですが、今回は長太郎が信一郎を兄として好いているんだって分かる行動が多いなって感じました。強烈なインパクトがあるのではなく、少しずつ自然に好きだからこそ出来る態度が薄く積み重なって、段々と、ああ、長太郎は理由なんて関係なしに、自分のお兄ちゃんだから信一郎が無条件で好きなんだなって感じることをしていくのですね。

テツヤはなんとかしないと警察に言うって長太郎を脅します。信一郎の千春さんに対する行為は現代の視点から見ると信一郎の行為はストーカーです。

40年前の本放送当時は「ストーカー」の概念がまだなかった時代なので、当時はテツヤの言葉に大袈裟だなって思いましたが、今見ると、時代を先取りしていたんだなって、感じ方が変わりました。

テツヤは信一郎に悪気がなく、勇気がないゆえの付きまといだと分かった上で長太郎言っていて、これは、信一郎も声がかけられなくてモヤモヤしていると同時に、森田姉弟側でも信一郎の態度にモヤモヤしているから、はっきりさせたい為に行動力があり、自分の気持ちを躊躇うことなく出す長太郎に力を出して欲しいという気持ちからの「警察」の言葉だったと思います。

長太郎より先に帰っていた信一郎は部屋で思い人の千春さんの名前をノートに書き連ねて、ため息をついては千春さんの姿を思い浮かべます。この場面、初代『俺はあばれはっちゃく』33話で長太郎が学校を辞めてしまう佐々木先生を思って佐々木先生がくれた万年筆でノートに佐々木先生の名前を書く場面と重なりました。思い人の名前をノートに書く、溢れる気持ちを書く事で心の整理をする場面なんだな、それだけ、気持ちがその人で支配されていて、それが外に出て、目に見える形で表現されたんだって思いました。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

今回の3話の監督は松生秀二監督なのですが、松生監督は先に書いた初代『俺はあばれはっちゃく』でも監督をされています。初代33話の脚本は安藤豊弘さんで、今回、レビューしている『男!あばれはっちゃく』3話の脚本は山根優一郎さんですから、このノートに溢れる思いを書いていく演出や場面は、松生監督独自の表現方法の1つなのかなって思いました。

信一郎が千春さんのことで物思いにふけっていると、長太郎が帰ってきて、隣のみゆきちゃんの部屋に声をかけます。信一郎はそれをみて、隣の子が好きなのかと尋ねると、長太郎は迷いなく、そうだと答え、兄貴にも好きな人いるだろ、と水をむけます。そこで、口ごもる信一郎。好きな女の子の気持ち一つでも対照的な兄弟。

信一郎は「僕の恋人は東大なんだ」と言いきります。信一郎は中学1年生。まだまだ、東大受験まで時間がありますが、早めに取り組むのがいいのでしょう。信一郎の東大受験の為に群馬県から一家で上京してきたのですから。東京にきた理由はそれだけではなくても、信一郎の東大受験は引っ越し理由の大きいところを占めています。

中一の信一郎に合わせての引っ越し、これなら、転校生でもほぼ同じ新入生として扱われて転校生という印象は薄くなると思うのですが、学区外から入学すると、同じ小学校や近所の小学校で知り合いだった新入生達から見ると、よそ者の転校生という意識はあるだろうなって思います。私が中学1年生の時に、その中学に入学する2つの小学校以外の小学校から入学してきたクラスメイトがいたのですが、転校生までは思わなかった者の、あ、よそから来た人って認識がありました。

ドラマの中の時間は現実の世界と同じだと思うので、3話は放送日の4月と同じ4月になっていて、信一郎は中学1年生として、ちとせ第三中学校に入学していると思います。でも、信一郎は千春さんと同じ新入生ではなく、転校生扱いなので、ま、転校生でいいのかなって思います。春休み中の1話と2話は3月に放送されていても、通常に学校があって、カレンダーは3月だったけど、もう、実は1話と2話も4月の1学期だった。桜間兄弟は1学期に転校してきたって思った方が早い気がしました。

私は父親が転勤族で転校を数回経験しましたが、学期の途中で転校してしまうと、前の学校と授業速度が違うために、先に勉強が住んでいたり、逆に遅かったりして、勉強を転校先の内容に合わせるのに苦労したことがあります。父も子どもの頃に転校を経験し、いきなりテストがあって、まだ前の学校で習ってない範囲で困った話をしてくれた事があります。信一郎の東大受験の目的で東京の中学に来た桜間家は、勉強の足並みを揃えるために中学一年生の1学期が始まるのに合わせてきたと私は思ったのですが、3話を見てぴったしに揃わなかったんだって思いました。

信一郎は恋煩いで、テストで25点を取ってしまったのを長太郎が答案を見つけて驚きます。これは、そのものズバリ信一郎の恋煩いで勉強が手につかなかった結果だと思うのですが、転校で前の学校と転校先の学校の授業内容の違いに翻弄された身としては、それだけではないのでは、と、いらない推測をしてしまうのです。

さて、信一郎の25点の答案を見た長太郎はどうしたものかと考え、夜に二段ベットの上から信一郎の顔を覗き込みある事を閃きます。

初代の長太郎もそうでしたが、長太郎は必ずしも逆立ちをして閃くのではありません。この時も逆立ちをせずに閃きました。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

翌朝、学校に向かう長太郎と信一郎。理容サクラマのお店の扉から出てくるのですが、ここでかかったBGMが2代目『男!あばれはっちゃく』のエンディングの『そいつぁだれだ!』のアレンジです。これまでは、初代で使われていたBGMが使われていましたが、2代目のエンディングは2代目用に新しく作られたエンディングなので、このBGMも2代目のオリジナルになります。これは次の代にも使われていくBGMにもなるのですが、エンディングだけでなくBGMとして使われた最初の場面になるのですね。

長太郎が閃いたアイディアはラブレターの代筆。長太郎は学校に行く前に千春さんに自分が書いたラブレターを信一郎からだと言って渡します。場面は変わって国語の授業中の長太郎達の教室。

ここで、使われている国語の教科書は初代と同じ教科書。

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『男!あばれはっちゃく』3話より
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左『俺はあばれはっちゃく』1話より、右『俺はあばれはっちゃく』37話より

この『男!あばれはっちゃく』3話の国語の授業で取り扱っていた作品について、YouTubeで『あばれはっちゃく』の事を語っている万江仁士さんが自分も同じ教科書を使っていて、その作品を覚えていること、それに伴う思い出を語っていました。


男!あばれはっちゃく 第三話『ドジな兄貴さ㋪作戦』について

それを手掛かりに、調べてみると椋鳩十の『大造じいさんとガン』という童話に辿りつきました。この作品は小学5年生の国語の教科書にも採用された作品なので、まさにこの話で出てきたのと一致するのです。ちなみに『大造じいさんとガン』初出は昭和16年(1941年)『少年倶楽部』11月号。現在も作品を本で読む事が可能で、国語の教材としての研究書、指導書もある作品でした。

初代の国語の授業では、『父の勉強』という作品を取り扱っていたのですが、こちらについての情報は今も分かりません。これを機に『父の勉強』についても分かるといいな。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

『男!あばれはっちゃく』3話の内容に話を戻します。国語の授業中でも長太郎は授業そっちのけで国語の千春さんの名前をノートに書き連ねています。

これは、信一郎の時とは違っていて、長太郎が千春さんを思って書いているのではなく、信一郎と千春さんを結びつける作戦が上手くいくかと思った上での行為だと思います。学校に行く前に千春さんに渡した長太郎代筆のラブレターが功を奏すかどうか。信一郎の名前ではないのは、渡したラブレターで千春さんの心がどのように動いたかが一番、気がかりだったから。それが表面に出てきたからこそ、千春さんの名前を書き出していたのかなって思いました。

この長太郎が気にしている千春さんの気持ちは、長太郎が渡した後の千春さんの態度で既に見ている私は知っているのですが、長太郎は知らず、自分の作戦が上手くいく事を妄想しているので、そのズレがおかしさを伴いました。

初代長太郎や信一郎の思い人への溢れる感情、2代目長太郎の信一郎の為に心を動かした人への関心、そういうのを表に出すのに、名前を書く事で、その人の事に集中し、その人ならどんな事を思うか、どのような態度に出るか、考える事が出来るのではないかなって、書かれていく字を見つめながら、不思議とその名前の主の事を視聴していた私も考え出していて、人の事を考えるのに名前を書いていくって、案外、有効かも!って思いました。

でも、国語の授業中でのそれは、単なる落書きで、授業を聞いていないこと。寺山先生の目に止まり、長太郎は千春さんの名前を書き連ねていたことを暴露され、クラスメイトに笑われ、みゆきちゃんからもきつい言葉をもらいます。

私も経験があるんですが、こういう時ってものすごく恥ずかしくて、プライドが傷つくんですね。悪い事をしたのは長太郎なんですが、なんだか、公開処刑のような、晒しもの扱い。今回の話は、後半でも長太郎の心を抉る場面が登場してきますが、そういう、プライドや心を丈夫に持つ場所を傷つける、グサッと突き刺す言葉があって、そのショックって小さくても心に結構ダメージくるなーって。

廊下に立たされた長太郎は、テツヤのクラスに言ってテツヤに自分が考えた作戦を見届けるために行く場所を伝えます。放課後、2人はその場所に行って、信一郎と千春を見守りますが、案の定、長太郎の代筆ラブレターは大失敗。最初にちょっと期待を持たせた後の、ドン落としなので、もう、信一郎のハートはグダグダです。

家に帰って、その顛末を知った父ちゃんは大激怒。

次男坊なのに、長太郎なんて名前をつけたのが間違っていた。こんなふうに育つなら、生まれて死んじまったほうが良かった、と、長太郎に怒鳴ります。

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『男!あばれはっちゃく』3話より
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『男!あばれはっちゃく』3話より

これは、本当にきつい。勢いで父ちゃんが言ったのは分かるけれど、それはあんまり。母ちゃんもカヨちゃんもこれには猛抗議。長太郎のショックも計り知れません。

ショックを受けた長太郎は家を出て洋一の家の銭湯を通りかかり、洋一とテツヤに声をかけられ、2人が幼稚園の頃からの友人だと知ります。長太郎とテツヤは洋一の家にあがり、長太郎が父ちゃんに言われたこと、次男なのに長太郎なのはなぜかと話しているところに、洋一の母親が登場します。なぜか、関西弁なのですね。これは、洋一の母親を演じた西岡慶子さんが大阪の出身だからでしょう。洋一は母親の影響を受けずに標準語ですが、母親は大阪弁のままのようです。

3話は信一郎の恋話というよりは、この長太郎の次男なのに長太郎という名前の謎の方がメインのように思います。

原作と初代は長太郎が長男なので、何の問題も疑問もないのですが、2代目では次男になっているので、どこか変な印象を受けます。それは、2代目で設定の変更をしたからですね。初代から引き続き見ている子ども達の中には、なんで変えたんだろ?って矛盾が生まれているって感じていた子もいたんじゃないかって思うんです。

それに対する言い訳というか、2代目長太郎が、長太郎である理由が今回の話の肝になっていると思います。

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今回、登場した千春さんを見ていると、千春さんを演じた荒井玉青さんが2代目桜間てるほを演じても良かったのではと思うのですが、それぞれに事情があるのでしょうね。

ちなみに千春を演じた荒井さんは、石原まき子さんの姪御さんです。

次の日の学校で信一郎は、校門まで来たものの引き返し登校しませんでした。千春さんが校門で待っていた信一郎を無視していて、信一郎が校門に入らずに去っていくのを気配で感じ取って振り向いているのですが、それって、後ろに目がないのに、気づくのかなって不思議に感じました。結局、信一郎は登校せず、心配した千春さんから連絡を受けたテツヤが長太郎に報告に来ます。この時のテツヤの背景は絵ですね。マットペイントかな。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

テツヤが長太郎を呼びに来る前の場面で、

テツヤは信一郎が学校に来なかったのは、手紙が信一郎が書いたものじゃないって分かった後も、みんなに見せびらかして笑ったからだ、そんなことがあれば俺でも嫌になる!と千春さんを責めます。

「姉ちゃんがいけないんだ。ラブレターが偽物だって分かっても、しらんぷりしるからさ」

「だって」

「姉ちゃん、言ってたじゃんか、あの手紙、みんなに見せたら笑っていたって。そんなことされりゃ、誰だって学校に行くのが嫌になるぜ」

これって、長太郎が国語の授業で受けたのと同じ辱めなんですよね、それも信一郎の場合は自分に全く非がない状態での辱め。これは、心が深く傷つきます。今回は、こういう目には見えないけど、深く心を傷つけ、プライド、尊厳を踏みにじる場面があって、心理的にかなり堪えるなって思いました。それって、それをしている加害者が笑い者にしている自覚はあっても、相手の心を深く傷つけている自覚ないだけに質が悪いです。

寺山先生にはその気持ちはなく授業に集中していないから注意したとしても、書いている内容にみんなの前で踏み込み、デリケートな感情を逆なでる言葉を続けてしまったのは問題だったと思います。千春さんも同じ。でも、これは、テツヤのいう一言で、人を傷つける行為だってことが、この話を見て知った人もいたと思います。中にはそうでない人もいるのかな、どんなふうに思うか人それぞれだけど、私はそう思いました。

テツヤの言葉に千春は反省し、信一郎に謝ることを話すと、長太郎は調子に乗って友達になる事も約束させます。

長太郎がここでも、信一郎の事を考えていることが分かります。自分よりも信一郎を大事にする父ちゃんの暴言を聞いた後なのに。

そこへ、洋一が走ってきて、信一郎がボートに流されていることを知り、駆け付ける長太郎達。学校をさぼってボートで寝ていた信一郎は流されていき、オールがなくて岸にいけないと叫ぶと長太郎が迷うことなく、ボートで信一郎に駆け付け助けます。最後は2人仲良くバランスを崩して、川に落ちてしまいますが、無事に助け出すことが出来て、洋一の家の銭湯で濡れた体を温めます。

その帰り、長太郎は信一郎から、長太郎の名前の由来の話を聞かされます。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

「なあ、兄ちゃん、俺の『長太郎』っていう名前のことだけど」

「まだ、気にしているのか」

「やっぱり、本当の子じゃないのかな、俺」

「違うよ、ずっと前、田舎の祖父ちゃんに聞いたんだけど、お前が生まれた時は未熟児でね、お医者さんも匙を投げたんだって」

「ふぅーん」

「それで、親父、気になって、お前にも長男の名前をつけたんだ。長く、太く、生きるようにって」

「なあんだ」

長太郎が未熟児で生まれて、死んでしまうかもしれない、だから、長く、太く生きるようにと「長太郎」の名前にしたと。

ここで、設定を変えて次男にした長太郎の名前が長太郎であることの言い訳というか、断りが視聴者に向けてアナウンスされたのです。

信一郎が長太郎の肩を引き寄せて歩いているのを見ると、信一郎が実は長太郎を大事にしているんだって、それだけで分かるのがいいですよね。

そこへ、みゆきちゃん達がきて、洗ってまだ濡れている服を木にかけて担いでいる信一郎と毛布に包まって歩いている長太郎に声をかけてきます。

長太郎が毛布の下が裸じゃないかと疑うみゆきちゃん達に毛布を広げて裸じゃないことを見せつける長太郎。確かに、パンツは一枚履いているけど、邦彦のいうように品がないかな。

父ちゃんの長太郎への思いを込めた名づけの話を聞いて元気を取り戻した長太郎で締め。

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『男!あばれはっちゃく』3話より

まとめ

感情や考えをまとめる時に文字に書いていく事で、考えや気持ちがまとまり落ち着くことがあります。今回は、そういう場面が多くあって、字を書いていく、それも考えや思いを整理する有効な方法で表現なんだと、信一郎と長太郎の書いた「千春」「千春さん」「千春ちゃん」「千春さま」を見て思いました。

後は、万江さんのお陰でドラマ内で取り扱っていた国語の授業の作品が分かったのが嬉しかったです。後は、初代の『父の勉強』が誰の作品か探すだけ。

それと、人前で恥をかかすのって、精神にかなり大きなダメージを与えます。晒しものって居たたまれない気持ちになりますもの。

後ね、父ちゃんは勢いで言ったと思うけど、生まれてこなきゃ良かったとか、死んでしまった方がいいって言葉は凶器だからね。ましてや、親が子に言うのは他人が言うよりも重い言葉。それにショックを受けたのは長太郎だけじゃないだろうな、子どもでも傷つくし、きっとそれを見てショックで覚えている人が親になった時に、子どもに対してそういう感情が出てきたら、その時のショックを思い出して、思いとどまった人もいるかもしれない。もう、40年も経ったのだから。私は子どもがない独身女だから分からないけれども。

この3話は原作、初代のファンに対しての新しい『あばれはっちゃく』の長太郎はこういうことで、次男ですが長太郎ですっていうお披露目でもあったなって思います。

長太郎の名前の由来を信一郎が言うことで、父ちゃんの本当の気持ちを知って、長太郎の中で父ちゃんの暴言が中和されたのが、本当に良かったって思いました。

父ちゃん、この話が終わった後に長太郎に父ちゃんの言葉で謝ったかな。きっと、父ちゃんなら照れくさそうにでも、「悪かったな」って謝っていそう、そんな風に思った3話でした。

3話のゲスト子役について(前回2話のゲスト子役も含む)

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収録DVD紹介