柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』75話「特訓!鬼コーチ」感想

『男!あばれはっちゃく』75話より

1981年9月12日放送・脚本・市川靖さん・磯見忠彦監督

はっちゃくクイズ初登場

私が勝手にこのブログでやっている「はっちゃくクイズ」。それとは、また違った形で、はっちゃくクイズは『男!あばれはっちゃく』の2年目から、アバンタイトルの題材の1つになっています。このアバンタイトルの「はっちゃくクイズ」は、わらさんの動画で特集があるので、わらさんの動画の特集を見て欲しいです。このはっちゃくクイズが初登場したのが、この75話のアバンタイトルからだったんですね。

『男!あばれはっちゃく』75話より

時が戻る

さて、本編の感想なんですが、今回は何よりも、この話の時が戻っていることがとても気になりました。前回の74話は夏休み明け、2学期初日からのお話で、放送も9月になっていましたから、その後に続くこの75話も9月以降の話だと思っていたわけです。ところが、話を見ていくと、人物の会話やカレンダーの小道具から、この75話が夏休み中の8月の話なんだということが分かってきます。

この話が8月の話だと確認出来る一番分かりやすいのが、長太郎と信一郎の部屋にあるカレンダーと時計にある日付です。参考に下記の引用画像がカレンダーと時計の日付が分かる場面です。

『男!あばれはっちゃく』75話より

『男!あばれはっちゃく』75話より

75話は洋子さんからソフトボールのコーチを頼まれた信一郎が、運動音痴の為にソフトボールの練習でボロボロになり、洋子さん達から笑われ、失望されたことをきっかけに長太郎にトレーニングをお願いして、次の日の早朝からトレーニングを始めることになります。その時に、目覚まし時計をセットしていた時計から、その日の日付が分かります。それを見ると、その日が14日の金曜日だと分かります。そして、部屋にある8月のカレンダーから、14日の金曜日が8月14日だと分かります。

また、この話は14日の長太郎のトレーニングで、また、ボロボロになり、勉強をしていた方がマシだと考えるようになった信一郎にもう一度やる気を出させるために、洋子さんと洋子さんの男の先輩のマキノさんに協力を得て、信一郎の嫉妬心を引き出して、再びトレーニングで体を鍛えるようにさせようとします。次の日に、長太郎の話から翌日、洋子さんがマキノさんと一緒にトレーニングをすることを聞いた信一郎は、目覚ましをかけて、2人のトレーニングの様子を見に行くことになるのですが、この時にも、その日の日付を確認することが出来ます。

『男!あばれはっちゃく』75話より

ここから、この75話は8月13日~8月15日までの話であると断定出来ます。これで、この話が夏休み中の話であり、前回の話が9月、2学期の話だったことを踏まえると、時間が遡っている、時が戻っていたと言えるのです。もしかしたら、この話は本来は、8月中旬に放送される予定の話だったのかもしれませんね。台本を見れば、脚本ナンバーが分かると思うのですが、放送順と脚本話数って必ずしも一致していなくて、初代の脚本を見ても、話数と放送順が違っているのが確認出来ます。

ただ、ここまで話の中の日付が前回の話と合っていなかったり、本来の放送日とズレているのは、珍しいなって思いました。昔のドラマとは言っても、既に1981年の時代ですし、その時代ではちょっと珍しいと私は思うんですが、テレビドラマ業界の中では、こういうことはそんなに珍しいことでもないのでしょうか。お蔵入りにならずに、時期が少しずれて、時空の歪みが生まれても、放送されたのは、信一郎役の須田庄治さんの頑張りがあったからかなって思いました。

ソフトボールの練習でボロボロ

信一郎は洋子さん達の依頼でソフトボールの練習を手伝って、ボロボロになって帰ってきます。その時の信一郎はまるでボクシングの試合をした後のような姿になっていて、どうして、ソフトボールの練習でこんな姿になるのか、最初は分からないんですが、洋子さん達の回想の説明で、ありえないことが重なって、信一郎がボロボロになっていくのが分かるのです。

バッターボックスでボールを打とうとして、自分の膝をバットで叩いたり、飛んできたボールを取ろうとしてボールが頭に当たったり、塁に出て走った時に転んで、そばにある石に頭をぶつけたりして、信一郎は満身創痍の姿に。これを見ながら、自分の膝を意図しないでバットに叩く演技をしないといけない須田さんのことを思うと、痛さが想像できる中で、それをすることの怖さがあったのではないかと思いました。

『男!あばれはっちゃく』75話より

子どもの時は、運動神経のない信一郎が自然にやってしまったことに見えていたのが、これは演技で自分の膝に自然に事故のように当てることをしていたんだなって分かると、信一郎がソフトボールの練習で傷ついていく過程を演じるっていうのは、かなり大変なことなんだなって思うようになりました。もちろん、充分に安全は確保していて、その強さの加減はあったかもしれませんが、それでも、叩く痛みの恐怖を乗り越えていたのではないかと思います。

ここまでやって、お蔵入りになったのでは、たまったものじゃありません。この頑張りもあって、8月の話でも9月に放送されたのかなって、勝手に想像しました。裏を取っていないので、これは、あくまでも私の憶測、妄想に過ぎないのですが、私はそんなふうに考えました。

ボロボロになって、自分のベットで休んでいた信一郎が下が気になって、階段から長太郎達の姿を見て話を聞く場面があるのですが、その時に信一郎の目線のアングルで階下の様子をしばらく見る形になっているので、ここで私は信一郎の気持ちと自分の気持ちが重なって、信一郎の辛さと悔しさを強く感じることが出来ました。

『男!あばれはっちゃく』75話より

自分を基準に

この話は信一郎の話の前に、長太郎がみゆきちゃんを釣りに誘ったのに、克彦にテニスの特訓を受けていたみゆきちゃんに断られ、さらに克彦に嫌味を言われてしまうエピソードがあり、また、信一郎の話の合間に長太郎がみゆきちゃんをジョギングに誘って、克彦との約束が先にあると断れる話が挟まれていて、それが、長太郎の負けん気と克彦に対する嫉妬心が出ていて、長太郎はその自分の感情の経験から、信一郎にやる気を出させる方法として、嫉妬心を使うことを思いつくのです。

ここから、長太郎は自分の感情を基準にし、また、弟として兄の性格を理解している長太郎ならではのアイディアを出したのだなって思いました。人って、物事を考えたりする時は、自分の経験から始まるのは、当然と言えば当然ですし、長太郎が自分と兄の信一郎の考えの根本は自分に近いと考えている、自分と兄は得意分野は違うけれども、基本的には考え方や感じ方の近い人間なんだと、無意識に思っているのかなって思いました。

良い人達に恵まれて

長太郎はその嫉妬心を出すために、洋子さんとマキノさんに協力を仰ぐことになるのですが、洋子さんは自分が原因を作った責任を感じていたので、協力するのは自然な流れなのですが、マキノさんの場合は全く無関係なのにも関わらず、夏休みの早朝から、長太郎と洋子さんの頼みを聞き、信一郎の為に憎まれ役を買って出てくれるたのです。なんというか、こんなに人のいい人っているのかなって思います。また、それを依頼できる人脈と信頼がある、洋子さんと長太郎の人間性も、さりげなく凄いなって思いました。

おまけ・今回のゲスト登場人物について

マキノさんはこの話しか登場しないのですが、とても、感じのよい先輩でした。この75話のオープニングテロップでレギュラー以外で出ていたのが、井上恭宏さんなので、マキノさんを演じたのは、井上恭宏さんだと思います。洋子さんの友人である数人の女の子達に該当する人達の名前は見当たらず、おそらくはレギュラー子役が所属する児童劇団所属(劇団いろは、東俳等)の人達なのではないかと思います。

『男!あばれはっちゃく』75話より