1981年8月29日放送・脚本・市川靖さん・松生秀二監督
不自然
この話は簡単にまとめると、泳げないカナヅチの長太郎が隼人さんの特訓によって泳げるようになり、海でみゆきちゃんを助けるお話なのですが、話のところどこで不自然なとこがあって、細かい粗が目立ってしまって、少し残念に感じた話でした。
まず、長太郎が泳げないと分かる場面では、克彦の嫌がらせでボートに乗っていた長太郎が水の中に転落し、続いて長太郎と一緒に乗っていたみゆきちゃんもバランスを崩して転落してしまうのですが、それがみゆきちゃんが先に落ちた長太郎を助ける為に自分から水の中に飛び込んだように見えてしまいました。
見返してみると、そうではなかったこと、その後でみゆきちゃんだけを助けるために克彦が飛び込んだことも分かったのですが、久しぶりにこの話をDVDで見た時は、長太郎を助ける為にみゆきちゃんが飛び込んで、みゆきちゃんが飛び込んだのを見て慌てた克彦が飛び込んで助けるのかと思ったら、そもそも助けようとした長太郎を置き去りにしたように見えたので、変だなと感じてしまいました。
見返してみてみゆきちゃんも誤って落ちてしまったのだと分かると、一連の流れが自然になって、しっくりきました。私の見方、理解度が悪かったのかもしれませんが、私にはこの場面の一連の流れ、表現が少し分かりにくい、間違いやすくなっていると思いました。
泳ぎの成果が出ていないのに
この話の基本的な筋は泳げなかった長太郎が隼人さんの特訓で泳げるようになって、みゆきちゃんを助けるというものでしたが、その肝心な長太郎が泳げるようになってみゆきちゃんを助けることになった時に、その時点で長太郎が泳げるようになったという結果が出ていない、表現されていなかったのは残念でした。
隼人さんにしごかれている場面はありますが、そこで長太郎が少しでも自力で泳ぐことが出来たという場面がありません。長太郎は少しでも泳げるという感覚を感じる前に、章から克彦の企みを知って、隼人さんの特訓から逃げて、みゆきちゃんと克彦のいるところまで駆けつけています。
長太郎が隼人さんから逃げ出す場面はとても面白かったのですが、その前に少しでも長太郎が隼人さんの特訓で、泳ぎの感覚を掴んでいて、もう少しで泳げるようになるぞというところで、隼人さんから逃げて、隼人さんから「もう少しで泳げるようになるんだぞ、ここでちゃんと覚えないとダメだぞ」と言われる状態で逃げ出していたのなら、みゆきちゃんを助ける時に躊躇っていた長太郎に言った隼人さんの言葉に説得力があったのではないかと思いました。
ちなみに、実際にドラマでみゆきちゃんを助けにいくのに躊躇っていた長太郎に隼人さんがかけた言葉が次の言葉です。
『男！あばれはっちゃく』73話より 「いいか、お前は泳げる。自信を持て」
この時点では、長太郎が泳げるようになったという確かな描写はありませんでした。ほんの少しでも長太郎が泳げる感覚を掴んだ場面があれば、引用場面での隼人さんの言葉にも説得力があったと思います。ほんの少し、長太郎が泳ぎの感覚をつかんだ場面を入れるだけで、この話は説得力が増していたのではと思うと、少し残念に感じました。
小さなことが気になって
全体的にこの話はお約束の笑いがあって、長太郎が苦手だったことを乗り越え、みゆきちゃんの為に必死に頑張る姿に好感が持てるものの、ちょっとした細かい表現の粗が、話の魅力を損ねてしまって、勿体なく感じた話でした。話の効果をより大きく、深く心に残すには、丁寧な表現や細かいシークエンスの積み重ねの重要度、大切さが大事なんだということを学びました。
お約束の笑い・信一郎の受難
この話でのお約束の笑いだなって思ったのはいくつかあったのですが、中でも面白かったのは信一郎と洋子さんが仲良くしているところを邪魔されてしまうものですね。この信一郎と洋子さんが邪魔されてしまうのは、ゴールデンウイークの時の57話「富士が笑うぜマル秘作戦」の話でもあったのですが、こうして旅先の2人の思い出を邪魔されて、しかもそのとばっちりを受けるのは殆ど信一郎というのは、気の毒だなって思いました。
いつの話
この73話は映像の中で、何月何日の話であるか分かります。それが分かるのは信一郎が洋子さんと記念撮影をする場面です。ここでも、記念撮影をことごとく邪魔されてしまいます。先にここで邪魔をされて場所を移すのですが、その移した先で先の引用画像のように再び邪魔をされてしまったのです。さて、下記の引用画像でこの話が8月29日の話だと分かります。長太郎達は翌日、船で東京に帰ってしまうので、この話が8月29日～30日の話だったと分かるのですね。
