柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』71話「天才マンガ家」感想

『男!あばれはっちゃく』71話より

1981年8月15日放送・脚本・三宅直子さん・磯見忠彦監督

再び登場

過去記事でも書きましたが、この話には初代『俺はあばれはっちゃく』52話で少女漫画家三ツ色すみれ役で登場した紅理子さんとその担当役で登場した藤岡洋佑さんが名前は違いますが同じ役柄で登場します。今回、紅理子さんが演じる少女漫画家の名前は桜井亜子、藤岡洋佑さんは夫で桜井先生のマネージャーの一也です。

初代では2人は夫婦ではなかったのですが、話のラストで2人は結婚をすることになっていて、それが2代目で別人設定とはいえ、同じ少女漫画家とその担当として同じ俳優が夫婦になって登場してきたことに少し繋がりを感じてしまいます。

それでいて、話の結末は過去記事にも書きましたが、スランプだった少女漫画家が出した結論が正反対になっているところに、初代の時代と初代52話を書いたのが男性作家の市川靖さんであり、2代目の時は女性の三宅直子さんであるところに、時代と男性と実際に作家として仕事をされている女性の三宅さんとの意識の差があったのかなって(それこそ思い込みの偏見かもしれませんが)思ってしまいました。

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はなえについて

この話では漫画家志望の長太郎のまたいとこ(母方の親戚)のはなえが登場して、紅理子さん演じる少女漫画家桜井亜子先生に弟子入り志願する話です。はなえの漫画家への熱意は熱く本物で真剣です。実際に憧れの桜井亜子の原画展にきて、それだけでなくアシスタントになるために桜井亜子先生の仕事場に来ています。さらに持ち込みの原稿まで持ってきます。

はなえは漫画家になる為に努力をしてきて、さらにその夢を実現させるために行動を起こしています。そこは、さすがに長太郎と血の繋がったまたいとこのはなえならではの実行力だと感じました。

はなえの漫画家に対する思いとその行動力と本気の熱意を見ていると、長太郎が自分の漫画を描いて、はなえの漫画の代わりに桜井亜子先生に見せ、それを見た桜井亜子先生がはなえが描いた漫画だと思ってはなえに会いに来て、長太郎の漫画を褒められた時、はなえが自分の漫画を褒められたと思って喜び、その後自分の作品じゃないと知って、がっかりした姿を見た時に可哀相に思いました。

その後でちゃんとはなえの描いた漫画を読んでくれた桜井亜子先生の態度と漫画に対する評価、また、まだ小学生であるはなえに対して、いろいろな経験をつむこと、絵が巧いだけでは漫画家になれないことを告げてくれたことは救いでした。ただ、桜井亜子先生が去った後のはなえの落ち込みとそんなはなえを気遣うみゆきちゃんに対して、さらに気遣うはなえの姿に、すぐには夢が叶わなかったはなえの胸の内はどんなものだったのだろうか……と考えてしまいました。

『男!あばれはっちゃく』71話より

はなえの思いが真剣で本物だからこそ、その姿がとても胸に刺さったのです。今は夢は叶わなくても、はなえならばいつかもっと経験や力をつけて、素敵な少女漫画家になるんだろうなって、そんな思いを感じました。

桜井亜子先生が長太郎の漫画を褒めて長太郎が調子に乗って母ちゃんのお店で原画展を開いて漫画家気取りになっていたのを見て、はなえが飛び出して河原まで走り出してしまい、長太郎達がそのはなえを追いかける展開になるのですが、この時の飛び出したはなえの表情を見るとある意味、はなえはこの時に漫画家として長太郎に負けたという思いを抱えていたのかなって感じました。

長太郎達は桜井亜子先生のアシスタントを断られたはなえがショックを受けて逃げたと勘違いしましたが、はなえは長太郎に負けない漫画を描くと宣言して笑います。私は恐らくは長太郎の漫画にショックを受けたことは事実で、一時はそのショックから衝動的に逃げたはなえでも、そのショックから立ち直って、未来に向かって頑張ろうと切り返したはなえの心の強さに心を打たれました。

桜井亜子先生の原画展

さて、こちらも過去記事で書きましたが、桜井亜子先生の漫画、原画として登場してくるのは、いがらしゆみこ先生の作品です。ドラマの原画展で飾られているのは、当時月刊『なかよし』で連載されていたいがらしゆみこ先生の『メイミー・エンジェル』です。

『男!あばれはっちゃく』71話より

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この話のエンディングには、イラスト協力として、いがらしゆみこ先生の名前がしっかりと書かれています。この放送は8月15日でしたが、撮影はその一カ月前の7月中旬ぐらいだったのだろうと思います。この原画展ドラマの為のものだったのか、或いは実際にあった原画展をロケ地にしたのかは分かりませんが、もしかしたら実際にあったいがらしゆみこ先生の原画展の会場だったのかもしれないなって思ったりもします。

下記の引用画像は群馬から出てきたはなえを長太郎が原画展の会場に連れて行って、その中に入っていくものですが、1981年の7月~8月の夏休みにかけて、その場所でいがらしゆみこ先生の原画展があり、それを見に行った覚えのある人はいるのでしょうか。もしも、その原画展がなければ、数点撮影の為にいがらしゆみこ先生の原画を借りてきたことになって、それはそれでとても贅沢なことだったなって思います。

『男!あばれはっちゃく』71話より

『男!あばれはっちゃく』71話より