柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』45話「転ぶぞスキー」感想

『男!あばれはっちゃく』45話より

1981年2月7日放送・脚本・市川靖さん・松生秀二監督

スキーと寺山先生

今回は、次の回(46話「走れ!白い風」)と合わせた新潟県の石打後楽園スキー場を舞台にした話。45話と46話は寺山先生を通じて繋がっている話になっています。スキーに行く人達を見て、スキーを滑る真似をするな寺山先生は、スキーが好きな様子。そんな姿を長太郎達に見られて、恥ずかしく思いながらも学生時代はスキー部のキャプテンとして活躍していた話を長太郎達にしています。

『男!あばれはっちゃく』45話より

『男!あばれはっちゃく』45話より

今回の45話と46話を通じて、不自然だなって感じたところは、この寺山先生がスキーについての自慢を長太郎達に話しているところですね。後で、父ちゃんの代わりに長太郎達のスキーの引率につれていくことになった時も、長太郎達にスキー場でスキーを教えることになった時も、寺山先生はスキーをやることに対して消極的で、その理由は次の46話で判明するのですが、そこで理由が分かると、尚をのこと、最初のところで長太郎達にスキーの腕の自慢をしていたのが、変に感じるんですよ。

まあ、長太郎達をスキーに連れて行ったり、スキーを教えることもないと思っていたからこそ出来た自慢で、それが、まさか散髪に長太郎の家に行ってみたら、父ちゃんの仕事先の招待でスキー場に招待されて、群馬の法事と重なったことで、母ちゃんと父ちゃんが喧嘩している場面に出くわして、さっき自分がスキー自慢をしたばかりに、長太郎にそれを利用されて、父ちゃんの代わりに長太郎達をスキーに連れていくことになるなんて、さすがの寺山先生も思いもしなかったでしょうね。

『男!あばれはっちゃく』45話より

それに、そこに佐藤部長から話を聞いたと思われる邦彦がみゆきちゃん達を連れてお願いにくるというタイミングも寺山先生にとっては、最悪のタイミングだったんだろうなって思います。また、行先の石打後楽園スキー場も寺山先生にとっては、この表情を見ると何かしら因縁があるようです。

『男!あばれはっちゃく』45話より

この寺山先生の態度が寺山先生の過去になにかあるのかなっていう不安というか、疑念が生まれてきて、スキー場での寺山先生の態度に対して、寺山先生はスキーが好きなのに、どうしてこんなに乗り気ではないんだろうという疑問が話を見ている間、ずっとつきまとっていきます。

長太郎と共闘する恋のライバル

スキー場について、長太郎達は特訓をしている人達を見つけます。長太郎達は彼らが何をしているかと寺山先生に尋ね、スキーの特訓をしていることが分かります。長太郎達が尋ねたのは、男の子がスキーをしていなくて、タイヤを引っ張っていたからで、一見見ただけでは、スキーの特訓だと分からなかったからですね。スキーをする足腰を鍛える基礎の特訓で、寺山先生も学生時代はよくやっていたと言います。

長太郎達は、寺山先生にスキーを教えてもらおうとするのですが、先生は準備体操だったり、実際にスキーを履かずにエアスキーみたいにして、好きのフォームのやり方しか教えてくれず、スキーを滑って教えてくれないので、長太郎達は退屈し、寺山先生が嘘をついたと呆れて、それぞれに散っていきます。

そんな中で、さっき特訓をしていた男の子、ミムラ ヨウイチロウ君が長太郎達に声を掛け、スキーを教えてくれることに。ただ、長太郎達男の子はそれを断り、みゆきちゃん達女の子達が教わることに。みゆきちゃん達に教えるヨウイチロウを見て、長太郎と邦彦が嫉妬するんですが、それを見て初代『俺はあばれはっちゃく』の27話「はっちゃく祭りだ」で長太郎と正彦がヒトミちゃんの従弟のサトル君に嫉妬する場面を思い出しました。

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共通の敵に対して長太郎と正彦、長太郎と邦彦が共に怒りを持つのは同じなんですが、2代目の長太郎と邦彦はあっさりとすぐに仲違いをしてしまうんですよね。共闘の持続が続かない。初代の27話も今回の45話も共に脚本は市川靖さんなので、長太郎と恋のライバルである正彦と邦彦の共通の恋敵を出して、共闘させて見せるっていうのは、市川靖さんなりの話の面白さの一つなのかなって思いました。

普段、ヒトミちゃんやみゆきちゃんを巡って、長太郎よりも有利になろうと頑張っている正彦や邦彦が長太郎と意気投合して、ヒトミちゃんやみゆきちゃんの関心を惹く相手を嫌うというのは、目新しく、そこに冷静な公一や章の意見や長太郎達を冷静に見る公一や章の目がまた面白さを醸し出しているなって思いました。

特訓

みゆきちゃん達にスキーを教えてくれたミムラヨウイチロウを特訓していたのは、彼の父親。このミムラ親子が今回と次回のゲストの登場人物です。みゆきちゃん達にスキーを教えたことで、ヨウイチロウがスキーの楽しさに気づいて、それを口にした時に、スキーの特訓をしているのに、楽しさを知らなかったことを指摘されているのですが、ミムラ親子の特訓を見ていた寺山先生の表情も含めて、次の話に繋がっていて、また、この話だけでも、充分に考えさせられるものでした。

スキーが好きで才能があったとしても、その好きなものを嫌いにさせるほどの、苦しいだけの特訓とは、果たして意味があるのだろうか?また、第三者から見たらどうでもいいことに命をかけている姿というのは、どういうものなのか、嫌いになり切れない好きで命がけで頑張っていることに対して、思い通りにならなくなった時に、好きな気持ちが少しでもあるのに、それを隠して嫌いで、もうどうでもいいと投げうった時、その大切にしていたものを奪われることになった時に、どんな態度を人はとっていくのか、そうしたことを考えさせられた話でした。

また、熊本の高校のサッカー部でのコーチの過剰な指導というよりは、暴力があったニュースを最近知った後で見たこともあって、スポーツにおける指導、特訓とは本来、どういうものなのかということも考えさせられた話でした。

話の本筋から外れて

ところで寺山先生は学生時代にスキー部だったそうですが、寺山先生は和歌山の出身だと考えるとスキーが得意というのは、私はちょっとびっくりしました。いや、和歌山の人だってスキーが得意な人はいると思うんですが、スキーというのは雪国のイメージがあるので。

私は小学2年生から高校卒業まで長野県で生活をしていて、冬の体育にはスピードスケートの授業が当たり前にありました。私が住んでいた長野県松本市は長野県の中信地区で冬はスキーよりはスケートをしていました。大町市に住む従兄達は、スキーでした。私も高校でスキーを体育の授業でするのですが、スケートのように滑ることが出来ず、なんとかボーゲンがやっと、転んだら人の手を借りないと起き上がれない始末で、スキーって難しい!スケートの方がいいと思いました。

だから、今回の話を見ていて、長太郎達が初めてスキーをした設定になっているけれども、あれだけ滑れる長太郎達ってすごいって思ってしまいました。なんというか、栗又さん達ってスキーをしながら演技をしているんですよね、それって2代目だけに限らず歴代の長太郎達もスケートをしたり、スキーをしたりしながらやっている訳で、子役に限らないんですけど、役者の人達ってある程度、運動神経が良くないとダメなんだなって、そんなことを思いました。

それと、寺山先生がスキーの代わりにしていたスポーツ。最初、見た時はスノーボードだと思ったのですが、寺山先生が長太郎に「ザッパという面白いもんがあるんだ」と説明してて、スノーボードじゃないのって驚きました。一応、調べてみたんですがザッパというウィンタースポーツって的確な説明が出てこないんですよね。「ザッパ」についてご存じの人はいますか。下記の引用画像が寺山先生が遊んでいたザッパです。

『男!あばれはっちゃく』45話より