柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』38話「笑顔だみゆきちゃん」感想

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『男!あばれはっちゃく』38話より

1980年12月13日放送・脚本・安藤豊弘さん・川島啓志監督

ヒロインのママの個性

みゆきちゃんの両親の結婚記念日は毎年ふらんす亭で食事をしていて、みゆきちゃんはとても嬉しそうに今日がその日だと言います。それを聞いた長太郎は学校から帰ってくると、母ちゃんに自分の両親の結婚記念日を聞きますが、10月10日で既に過ぎていてがっかり。

来年は忘れないでくれよ、と母ちゃんに言うと、母ちゃんの方から母ちゃんとの約束を忘れないでくれよ、とふられて、尋ねると、物置小屋の片づけのことを言われ、長太郎はしぶしぶ物置の片づけを始めます。ここで、長太郎は物置小屋の片づけをするとともにいらないものを捨てるために外に出て、ふらんす亭に行こうとするみゆきちゃんとみゆきちゃんのママに遭遇するんですね。

で、ここで乱暴に物置のガラクタを捨てた長太郎に対して、いつものようにみゆきちゃんのママが嫌な顔をして文句を言うんです。そんなみゆきちゃんのママを見て疑問を呈します。

「あんなおばさんから、みゆきちゃんが生まれたんだろう?世界の七不思議のひとつだ」

これは、初代の長太郎もヒトミちゃんのママを見て、同じようなこと(初代4話で言った「カラスがクジャクを生んだ」)を言っていましたね。初代長太郎の方が言い方が強烈でしたけれども。

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3代目の『熱血あばれはっちゃく』のヒロインあけみちゃんのママ、アサコさんもかなり強烈な人でしたけれども、ヒロインのママの個性の強さは2代目のみゆきちゃんのママまでが一番強かったんじゃないかなって思います。

4代目『痛快あばれはっちゃく』のまゆみちゃんのママは歴代のヒロインのママの中では目立ってなかったかな。4代目はヒロインの父親の春日教頭、信彦の母親の方が目立っていましたし、5代目『逆転あばれはっちゃく』のヒロインのあかねちゃんのママも歴代の中ではあまり目立っていなかったように思います。

長太郎がみゆきちゃんのママを見て、文句を言ったのは、勝手に身に覚えのないゴミ捨ての犯人されるわ、頭を小突かれたからもあるんですが、この長太郎を疎ましく思う言動が、この話の後で、ああ、みゆきちゃんのママってなんだかんだ言っても、いいなあ、いい人だなあって思ってしまうんですよ。

みゆきちゃんのママはこの話に限らず、長太郎のことは疎ましく思っていて、それがこれまで描かれてきて、今回もいつも通りに長太郎をやっかんでいるなあ、いつも通りだなあって、いつも通りに見ていて、最後まで見て、ああ、いい人なんだなあ、だからやっぱりみゆきちゃんのママなんだって納得出来ちゃうところが、私はいいなあって思います。

恋愛結婚

長太郎はみゆきちゃん達が立ち去った後で、もう一度、自分が出した物置小屋のガラクタを見直して、そこで古い手紙を発見します。この手紙の封筒を見てみると、父ちゃんの名前が書いてあるんです。宛先を見ると、「佐野」という文字。この封筒から、母ちゃんの旧姓の表記が明確に「佐野」だと分かるんですね。

この後で長太郎は群馬のお祖父ちゃん宛のお歳暮を贈ってきてくれって母ちゃんから頼まれて、13話で登場した母方のお祖父ちゃんの名前を改めて母ちゃんが言ってくれるので、間違いなく長太郎が見つけた手紙が父ちゃんが母ちゃんに送った手紙だと分かるんです。

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『男!あばれはっちゃく』38より

これで、母ちゃんの結婚前の名前が「佐野和子」だと分かり、36話では推測ですが母ちゃんの誕生日が11月30日だということが分かりました。母ちゃんのプロフィルが少しずつでも分かっていくのは楽しいですね。

それと、ちょっと読みにくいんですが、結婚前の父ちゃんの住所も分かって、父ちゃんが「群馬県高崎市谷野六三の二」に住んでいたことが分かるんです。ここで、父ちゃんもまた群馬の人で父ちゃんと母ちゃんは群馬で知り合ったという可能性が生まれてくるんですね。

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『男!あばれはっちゃく』38話より

長太郎はこのラブレターを見つけて、夕食の時に読み上げるんですけれども、その時に父ちゃんが自分が昔に書いたラブレターだと気づかずに、漢字が読めなくて変な読み方をする長太郎から取り上げて、自分でラブレターを読んでしまうという。

途中まで読んで、母ちゃんと父ちゃんが気が付いて、読むのをやめて長太郎を怒るんですけれども、その隙に信一郎が父ちゃんからラブレターをとっちゃう。信一郎にしては珍しい行動。長太郎、信一郎、カヨちゃんの3人で父ちゃんと母ちゃんをからかう。

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『男!あばれはっちゃく』38話より

父ちゃんと母ちゃんが恋愛結婚だっていうのは、初代『俺はあばれはっちゃく』の最終回でも判明して、てるほが父ちゃんと母ちゃんをからかっているんですけれども、2代目の父ちゃんと母ちゃんも熱烈な恋愛結婚で子ども達にからかわれていますね。

今回の話の冒頭でみゆきちゃんの両親が結婚記念日ということで、和美ちゃん達が寺山先生に結婚は恋愛がいいか、お見合いがいいかって尋ねていて、寺山先生は「恋愛がいい」って答えていて、なんかこうしてみると『あばれはっちゃく』は恋愛結婚を推奨しているようです。今回の話の主役はみゆきちゃんの両親だと思いますが、この2人もなんだかんだで恋愛要素が強い夫婦だなあって思います。

初代や2代目の長太郎の両親の時代は恋愛結婚がお見合い結婚を少し上回り始めた時代だったのかもしれないなあってことを思いました。

巡り合わせ

少し話を戻して、長太郎は母ちゃんにおつかいを頼まれて、大丸デパートでお歳暮を頼みに行きます。そこには、結婚記念日のプレゼントを買うみゆきちゃんのパパもいて、同じデパートに長太郎とみゆきちゃんのパパがいたことによって、ある事故で怪我をした人を助けたことで、みゆきちゃんのパパがみゆきちゃん達が待つふらんす亭に行けなくなったという事態が発生してしまいます。

長太郎が事故現場に居合わせたこと、みゆきちゃんのパパがたまたまそこを通りかかったこと、そしてここで遅刻以外に、みゆきちゃんのママが怒る理由、大切なプレゼントがなくなってしまう原因が生まれていて、なんとも言えない不幸の連続がさりげなく続いてしまいます。本当にそこには、何の悪意も工作もないのに、何も知らないみゆきちゃんのママから見たら、わざとやられたと思ってしまってもしょうがないことの連続。

長太郎が荷物を片付けていたのも、そこで声をかけて指示を出したみゆきちゃんのパパも悪くない。それにこの時点で後に問題となる長太郎の行動が自然の流れの中で映されていて、後で長太郎がその場面を思い出す時にその場面が出てきた時に、「あ、あの時か!」って見ている方も分かる演出がいいなあって思いました。

みゆきちゃんのママの父(みゆきちゃんのお祖父ちゃん)の存在

結婚記念日にふらんす亭で食事が出来なかったことで、みゆきちゃんのママはカンカンに怒り、みゆきちゃんのパパを強く責めます。プレゼントを渡そうとした時にみゆきちゃんのパパがプレゼントをなくしたことに気づき、一生懸命に探しますが出てこない。みゆきちゃんのママは買ってないからないんだと悪態をつきます。段々とみゆきちゃんのパパも腹を立て始め、みゆきちゃんが止めに入っても2人の喧嘩は収拾がつかず、ついには、みゆきちゃんのママが父の家に帰るという始末。

ここで注目したいのは、みゆきちゃんのママが実家ではなくて、「(自分の)父の家に帰らせていただきます」とみゆきちゃんのパパに言っているところなんですよね。これって、みゆきちゃんのママの実家は今住んでいるところで、それとは別にみゆきちゃんのママの父親の家があるってことになるのかなって思ったんです。

そこで考えられるのは、例えば、娘夫婦に家、大島医院を引き渡して、別居している可能性とみゆきちゃんのママの父親も婿養子で別に実家のある可能性が考えられるんじゃないかなって、そんなことを思いました。

私は『あばれはっちゃく』の設定資料を持っていませんし、ドラマの映像や台詞やこれまでの話を見て推理するしか術はないんですけれども、そんな風にドラマでは明確に描かれていない部分も出てくる情報で推理していくのもドラマの楽しみ方の一つだなって思っています。

長太郎への悪印象を持っているからこそ

さて、話を戻して、みゆきちゃんのパパは遅刻の理由やプレゼントのことは長太郎に聞けば分かると話しますが、長太郎のことを信じていないみゆきちゃんのママはそんな言い訳に対しても腹を立ててしまいます。

ここでも、みゆきちゃんのママの長太郎に対する悪印象が強く出ていて、嫌だなって思って見てしまうのですが、こうしてふらんす亭に行く前の長太郎への悪態、ここでの長太郎に対するみゆきちゃんのママの信頼度を見ていると、本当にみゆきちゃんのママは長太郎が嫌いなんだなって思ってしまうんですね。

けれども、長太郎がみゆきちゃんが元気がないのを気にして、みゆきちゃんのパパに事情を聞いて、なくしてしまったプレゼントを探すために奔走を始めて、ちゃんとプレゼントを見つけてくる。そのプレゼントが見つかったのは、長太郎とみゆきちゃんのパパが助けた青年が荷物の中に紛れ込んでいたプレゼントをレシートナンバーを頼りにして、売り場に届けに来たのに出くわしたから。

助けられた青年はちゃんと届けにきて、長太郎も諦めずに探していたから、青年が届けた時に出くわした。丁度良いタイミングで、それは確かにドラマだからだけど、ちゃんと届けにきた青年と諦めないで探していたから巡り合えたという。悪いことも連鎖するけれども、良いことも連鎖していく、そんなことを思いました。

長太郎はそこで、プレゼントがなくなったタイミングを思い出すんですね。自分の行動に原因があったと。長太郎は最初はそれを誤魔化すために、アイディアを出して長太郎は見つかったプレゼントを取りにきたみゆきちゃんのパパをデパートの屋上に誘導して、みゆきちゃんにみゆきちゃんのママを屋上に呼び出してもらって、2人を合わせて仲直りしてもらおうとします。

けれども、2人は意地を張って悪態をつくから、みゆきちゃんがたまらなくなって飛び出して、見つかったプレゼントを渡すように促して、そのプレゼントを渡しても、みゆきちゃんのママは「今さっき買ったって遅いんだ」と悪態をつくから長太郎も見ていられなくなって、飛び出してきて、正直に自分のせいでなくしたことをみゆきちゃんのママに言うんです。

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『男!あばれはっちゃく』38話より
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『男!あばれはっちゃく』38話より

みゆきちゃんのママは呆れて、長太郎を追い払うんですけれども、ちゃんと長太郎が言ったことを信じて許してくれるんです。なんというか、あんなに長太郎を信じていなかったのに、ちゃんと長太郎の話を聞いて信じて、しっかり謝った長太郎を許してくれる。その許し方も、ものすごい優しいものではなかったし、その後で長太郎をおいはらってしまうんですけれども、それもみゆきちゃんのママらしいなって思ってしまうんですね。

ああ、なんだかんだ言って、口悪くいっても長太郎のことを信じているんじゃん。迷惑だと思っても、心底嫌だとは思っていないんだなって、みゆきちゃんのママの態度を見て思うんです。長太郎が去った後で、みゆきちゃんのパパにプレゼントのネックレスをつけてもらう時のみゆきちゃんのママが幸せで楽しそうで良かったなって思いました。去っていく長太郎の晴れ晴れとした笑顔もとても気持ちが良かったです。

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『男!あばれはっちゃく』38話より

ほっぺにキス

今回の騒動が収まって、改めて結婚記念日を祝うことになった大島家。長太郎は自転車の籠に赤い薔薇の花とプレゼントを入れて走っているみゆきちゃんに声を掛けます。みゆきちゃんは長太郎にとても感謝していることを伝え、長太郎がこのくらいと手を広げえて、みゆきちゃんの感謝の大きさを例えていくと、みゆきちゃんは次々と否定していくので、長太郎がどのくらいってきくと、自転車を降りてみゆきちゃんが長太郎の頬にキス。

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『男!あばれはっちゃく』38話より

「このくらいよ」

いいですねぇ、長太郎。今回は大島家と桜間家の夫婦の愛の形を見た話でしたけれども、長太郎の恋の話も見ることが出来て、それぞれ3組の恋愛を見たような気がしました。そういえば、最近、このブログ内の注目記事で過去記事にかなり昔に書いた「ほっぺにキス」という記事が上がってきて、びっくりしました。

あの11年前に書いた記事の時は、初代『俺はあばれはっちゃく』しかDVDが発売されていなかったので、初代を見返しただけで書いた記事なんですが、改めて2代目を見返してみて、2代目長太郎は初代長太郎が空想の中でしかもらえなかった好きな子からのキスを貰えていたんだなあ。いいなあ、羨ましいななんて思いました。

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