最初に昔のドラマでの『スピンオフ』の定義について
以前、前番組に出演していた俳優を次回作に別役で出す事を昔のテレビの用語で「スピンオフ」と呼んでいた事を過去記事で書きました。例を挙げると『ウルトラQ』(1966年・TBS)に江戸川由利子役で出演していた桜井浩子さんが、次の『ウルトラマン』(1966年)でフジ・アキコ役で出演していたり、『ウルトラマン』にアラシ隊員で出演していた毒蝮三太夫さん(当時・石井伊吉さん)が次の『ウルトラセブン』(1967年)にフルハシ隊員で出演されていた事を「スピンオフ」と呼んでいて、日本テレビで放送された『おひかえあそばせ』(1971年)から『気まぐれ本格派』(1978年)までのユニオン映画シリーズのドラマでも、このブログでも扱っている『あばれはっちゃく』(1979年~1985年)シリーズでも、前作に出演していた俳優が別役、前作に近い役柄で次回作に続投していました。
かつては前作でレギュラーで出演していた俳優が次回作でも別役で続投するのが当たり前で、それを「スピンオフ」と呼んでいましたが、段々とそういう風習が廃れ、「スピンオフ」についても、作品に登場する脇役を主役にした作品の意味になり、前作に出演した俳優が休む間もなく、次回作に出演する事がなくなっていきました。間をおいて同じ時間帯のドラマ枠に出演するケースはありますが、前作で主要人物を演じた俳優が、前作が終わった直後に始まるドラマに別役、しかも話に関わる目立つ役で出演していくというのは減りました。
令和に蘇ったスピンオフ
こうして廃れてしまい、かつての意味とは違う言葉になってしまった「スピンオフ」が、令和の時代に復活するなんて思いもよりませんでした。何の話かと言うと、現在放送中の戦隊『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(2025年)の第1話で、前作の『爆上戦隊ブンブンジャー』(2024年)の主人公範道大也を演じた井内悠陽さんが、『ゴジュウジャー』に出演したのです。
しかも、新しい主人公遠野吠よりも先に変身してしまうという驚きの展開。それも変身したのが、前々作の『王様戦隊キングオージャー』(2023年)のレッド、クワガタオージャーだったから更にびっくり。当時、放送を見ながらXをしていましたが、タイムラインは大混乱。また、そんな配役や展開をファンの人達は楽しんでいたように感じ、実際に私はとても楽しく感じました。
これを見た時に、あ、令和の時代で昔のドラマで言われていたスピンオフをやったんだって思いましたが、かつての意味でのスピンオフが消えた今の時代に、作り手も受け手もスピンオフだと思った人は少数だっただろうなって感じました。
スピンオフについての説明で、ウルトラシリーズ、ユニオン映画シリーズ、あばれはっちゃくシリーズでの例を挙げましたが、かつては戦隊でも同様に前作に主要登場人物を演じた俳優が次作にも出演する事がありました。
有名なのは、『バトルフィーバーJ』(1979年)でバトルケニア・曙四郎を演じた大葉健二さんが、続く後番組の『電子戦隊デンジマン』(1980年)でデンジブルー・青梅大五郎を演じた事、『電子戦隊デンジマン』でへドリアン女王を演じた曽我町子さんが次の『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)に同じくへドリアン女王で出演を続投された2例だと思います。
前作『ブンブンジャー』の主役井内さんを別役で、今作に出演させたのは、驚きと面白さを狙ったのかなって思いました。実際にそうした反応がXで見られましたし、1話の掴みとしては印象に残る物でした。かつてのドラマでは当たり前だったスピンオフを知らない人達には混乱と衝撃と面白さを強く感じたと思いますし、私のようにかつてのスピンオフの意味を知っている人達には、とても懐かしい気持ちになったんじゃないかなって思うんです。この視聴者の受け止め方は私個人の気持ちとXで見た視聴者の人達の反応を見た私の憶測に過ぎませんが……。
前例のスピンオフを知ってのキャスティングだったのか、知らずに面白さと驚きを狙ってのキャスティングだったのか分かりませんが、令和の時代に廃れ意味が変わった(本来の意味に戻ったともいえるかも)スピンオフが見られたのはとても楽しかったです。
井内さんが『ゴジュウジャー』で演じた堤なつめは2話で退場しましたが、また、再び登場する可能性を残しての退場に感じたので、中盤から終盤にかけて再登場するんじゃないかなって思ったりしています。