脚本・山根優一郎・山際永三監督
アバンタイトル
川でドンペイをつれて手製の釣り竿で魚釣りをしている長太郎。釣り上げるのはゴミばかり、そこへ大物の手応え。ドンペイが一吠え。長太郎が釣り上げたのは、人体の白骨。他のもいろいろな動物の頭の骨がとんできてオチ。
本編
長太郎達の朝の登校場面から。カヨちゃんに見送られて、長太郎と信一郎が理容サクラマから登校。信一郎はカヨちゃんに挨拶すると、そのまま単語帳を見ながら登校していきますが、長太郎はみゆきちゃんと登校しようと、隣の家のみゆきちゃんに声をかけに戻ります。
この時に、みゆきちゃんの家のお医者の看板が見えるのですが、ここでみゆきちゃんのお父さんのフルネームがはっきり確認することが出来ます。この看板からみゆきちゃんのお父さんの名前が「大島英介」と分かります。2話では、まだ姿がないみゆきちゃんのお父さんですが、ここまでの段階で職業とフルネームが判明していることで、ドラマ内において、重要な役割をもらっていると推測出来ます。
ヒロインの父親ですから当然なのですが、初代のヒトミちゃんのパパと比較すると、よりドラマ内での重要度が高くされたのかなって思います。ヒトミちゃんのパパもフルネームはヒトミちゃんの家のポストに書かれた名前で判明しますが、それは良く見ないと分からない小道具の部分であり、同じ小道具でもちとせ医院の看板程には目立っていません。
家も隣であり、ドラマの話に多く、大きく関わる立場として、ヒロインの父親として初代のヒロインヒトミちゃんのパパよりは、作品内でヒトミちゃんのパパよりももっと多く大きく話に関わらせていこう、そんなに出番はなくても、しっかり記憶せていこうと思ったのかな、と思いました。
出てきたみゆきちゃんのきつい言葉と表情に、長太郎はみゆきちゃんがまだ、1話でのことを怒っているのかなと心配します。でも、長太郎に後ろを見せた後で、微笑むみゆきちゃんが優しく、それでいてちょっと楽しそうな表情に変化していくんです。それを見て、私はみゆきちゃんが長太郎を許していると感じました。
このきつい顔からのみゆきちゃんの表情の変化はとても絶妙で、表情だけでみゆきちゃんの気持ちが手に取るように分かっていったので、すごいなって思いました。
最初の表情から次第に変化して、心の動きを見せていくのは、このみゆきちゃんだけに限らず、洋一や邦彦、今回の話の発端を作るゲストキャラ、川上シゲオにも見られました。
洋一や邦彦、シゲオに関しては、該当する部分でまた述べますが、総じて言える事は、表情の変化がとても自然な流れで見えてくるので、不自然さを感じないのですね。見ている方も感情の波に乗って見ていくので、気持ちがシンクロしていくんです。
登場人物の言動が話の流れの中で自然に見えるのは、当たり前のようでそうではないんだなって、最近になって強く思うようになってきました。作品の人物の感情と見ている側の気持ちを溶け合わせていく『あばれはっちゃく』はそんな時代のドラマでした。
長太郎が学校に行くと、5年3組で飼っているリスの小屋の周りにみんなが集まり、長太郎が群馬にいた時に、山で大きな日本リスを捕まえたことを話すと、みゆきちゃんが一言。それを受けて、邦彦が長太郎を猪だと言い、和美ちゃんが同意します。
「そんな大きいリスがいるようじゃ、長太郎君、きっとすごい山ん中にいたのね」
「どうりで猪みたいだと思ったよ、な」
「なにぃ」
「あーら、その顔、猪、そっくり」
これって、長太郎を「猪」に例えた邦彦が酷いって、最初は思うんですが、その発言のきっかけを作りだしたのは、みゆきちゃんの「すごい山ん中にいたのね」言葉なんですよね。この時に思い出したのは、初代の14話「泳げ鯉のぼり」の回です。ヒトミちゃんがこの話で長太郎の事を「吹き流し」って言うんですが、この時もその発言の後の正彦の言葉で正彦が酷いって印象は受けるのですけど、よくよくDVDで見返すと、先に失礼な事をいっているのはヒトミちゃんだったのです。
ヒロインの方が長太郎に酷い事を言いながら、その後の正彦や邦彦の言葉や態度で正彦や邦彦の方が酷いって瞬間的にも思わせてしまう。今は、DVDで何回も見直すことが出来ますが、本放送当時はそんなことは出来ませんでしたから、見ている方にはヒロインがちょっと長太郎にきつい事を言っても、その傷を自覚するよりも前に、自覚したとしてもすぐに忘れる段階で、素早くそれでいて、スムーズに正彦や邦彦といった、長太郎のライバルに長太郎を怒らせる事をさせる事で、長太郎と正彦、長太郎と邦彦の対立を仄めかしていて2人の人間関係を端的に表現しているなって思いました。
この2話の脚本は1話に続き、山根さんなのですが、山根さんは初代14話も書かれているので、山根さんは長太郎、ヒロイン、長太郎のライバルの人間関係を見せるのに、こういう形のひな型を持っていらっしゃったのかなって思いました。ちなみに、長太郎がリスを捕まえたことを話した時に、最初に反応したのは弘子ちゃんで、次が洋一。この2人はとても素直に長太郎の話に感心しています。
「本当?」
「すげーな」
ここで、2人がそんなに長太郎に悪意を持っていない人物だと感じられます。すぐにみんなの意見に流されてしまいますが、1話で長太郎にコテンパンにされた洋一、みゆきちゃんの隣の席に座ろうとして席から離れさせられそうになった弘子ちゃんの2人が長太郎の言葉に素直に反応したのを見ると、本来、2人が優しい子なんだろうなって思わせるのです。
校庭で長太郎を抜かしてドッジボール。みゆきちゃんの投げたボールが通りかかった6年生の番長、川上シゲオの頭に当たります。怒ったシゲオは誰が当てたかを聞いて凄んできます。この時に、邦彦が真っ先に否定して逃げています。でも、その前のドッジボールではみゆきちゃんの背後にいて、守ろうとしているんですね。
また、邦彦がドッジボールに強い場面もドッジボールをしている場面では見せています。スポーツのルールの上では、強い邦彦が暴力や喧嘩になると及び腰になってしまうっていうところが、邦彦の性格を表していると思いました。
邦彦が逃げて、みゆきちゃんがシゲオにボールを当てた犯人だと知ると、みゆきちゃんの謝罪に対して、シゲオが納得がいかず、みゆきちゃんがピンチになります。それを木の上から見ていた長太郎。みゆきちゃんを助けるためにシゲオの前に出てみゆきちゃんを庇います。シゲオは子分2人に長太郎の相手をさせ、長太郎は1対2で振り回されます。先に逃げた邦彦達に呼ばれてきた寺山先生が駆けつけて、シゲオ達が逃げて騒動は治まります。
ここで初代9話「けとばせ過保護」の話を思い出しました。長太郎が中学生にいじめられていたマサミを助けに行った時に、正彦の機転が長太郎を助けましたが、邦彦も同じ事をこの時はフリではなく、実際に先生を呼んできたのですね。初代9話の脚本は山根さんではないのですが(初代9話の脚本は市川靖さん)、監督が今回の2話と同じ山際監督です。
この『男!あばれはっちゃく』2話では、寺山先生を呼びに行った邦彦、洋一、弘子ちゃんの台詞がないので、この3人が先生を呼びに行ったという場面を用意しなくても、寺山先生が通りかかったとかで気づいて止めに入っても場面は成立すると思います。
ですが、邦彦達が呼びに行ったという映像場面を入れ、一番先に逃げた邦彦が真っ先に長太郎に駆け寄った場面を見せる事で、すぐにみゆきちゃんを見捨てて逃げた卑怯者な邦彦!という印象を消し、喧嘩や暴力ではなく、初代正彦と同じように頭を使ってみゆきちゃんを助ける方を選んだ邦彦の頭の良さを視聴者の意識に少し植え付けたのではないかと思いました。
長太郎がみゆきちゃんに合気道でシゲオ達を倒さないことを尋ねると、みゆきちゃんは「合気道は喧嘩の道具ではない」と言い、暴力を振るう人が嫌いだと答えます。後に分かっていきますが、邦彦はずっとみゆきちゃんの事が好きでみゆきちゃんの事をこの時点で長太郎よりよく知っています。
邦彦が暴力や喧嘩をさけ、それ以外の方法で問題を解決するのは、このみゆきちゃんの考えが影響しているのかもしれません。そうなると、1話でのドンペイへの暴力はどうなんだって思うんですけど、みゆきちゃんのいる前といないところでは態度が違っていたのかもしれませんね。
長太郎はみゆきちゃんの言葉を聞いて、みゆきちゃんの習っている合気道を習いたいと母ちゃんにお願いします。カヨちゃんの後押しもあり、母ちゃんは父ちゃんの会社に電話をします。ここで、父ちゃんの会社が判明します。
初代の父ちゃんの職場もよく登場し、勤務先が実在した向ヶ丘遊園のダイエーだったので、ファンの記憶に大きく残っていますが、その勤務先がダイエーであると分かるものの、ドラマ内での父ちゃんの会社の名前は最終回までは視聴者にははっきり分からなかったので、2代目では2話で明確に分かるように出ていたのを見ても、設定の段階ではっきりさせていたのだろうなって思います。これは、みゆきちゃんの家の看板にも通じますね。
母ちゃんからの電話に職場に私用の電話を控えるようにという佐藤部長の言葉に父ちゃんが恐縮して、佐藤部長の言葉をそのまま母ちゃんに言うのが面白い。最初は合気道を習いたい長太郎が何かを企んでいると警戒していた父ちゃんが、佐藤部長の言葉でそうそうに電話を切りたい気持ちが芽生えて、長太郎の好きなようにしろって事で、合気道入門を許可してくれる。父ちゃんの会社での立場と家庭での立場が同時に見られる場面です。父ちゃんの調子の良さというか、テンポの良さがいいですね。電話越しに合気道入門を許可されて喜ぶ長太郎、次にリスを盗む場面が出てきます。
この流れだと、長太郎が父ちゃんから許可の電話をもらった同時刻にリスが盗まれていた事が直感で分かり、後に疑いをかけられるリス泥棒が濡れ衣だと視聴者は知った上で話を見ていく事になります。
また、許可をもらった同じ日にさっそく、長太郎は合気道に入門して、みゆきちゃん達に紹介され、稽古をするので同時にアリバイも手にしているのです。このことは、長太郎が犯人だと決めつける邦彦の発言の時にみゆきちゃんが言うのですが、邦彦は「その気になればいつだって盗めるさ」と一蹴します。
時間を戻して、長太郎が合気道を始めた翌日、5年3組のリスが盗まれたことが発覚します。最初に気がついたのは餌をやりにきた弘子ちゃん。泣く弘子ちゃんに声をかける和美ちゃん。ここで、弘子ちゃんの名前が分かります。
今は、登場人物の名前が全て分かった状態でこの記事を書いていますが、初めて見た時は弘子ちゃんに声をかけて慰めている女の子が和美ちゃんだとは分かりません。この2話でみゆきちゃん以外に登場したオープニングで登場した女の子のうちの1人、ふくよかな方が弘子ちゃんだと視聴者は知るのです。泣き出した弘子ちゃんを見て、洋一が怒り、邦彦がリス泥棒を捕まえようと集まったみんなに声をかけます。
ここで、長太郎を「猪そっくり」と賛同していた和美ちゃんが弘子ちゃんを気にかけ、しゃがんで慰める姿に意地悪なだけでない優しさがあるということ、「ちくしょう、酷い事するな」と憤った洋一の優しさと正義感、リス泥棒を捕まえようと言った邦彦のリーダーシップを見る事が出来ます。この2話でレギュラー同級生の性格やポジションをある程度明確にしているなって思いました。
校庭でみんながリス泥棒が誰なのか話し始めます。その場には寺山先生もいたのですが、なんだか難しい顔をします。すると、邦彦が立ち上がり「僕には見当がついているんだ」と独自の推理で長太郎が犯人だと理論を展開します。それに洋一が長太郎を犯人とする証拠を聞くと、邦彦は動機の点だけで長太郎が犯人だと言います。
みゆきちゃんも納得していきますが、昨日の放課後には合気道の道場来ていた事を話しいつ盗んだのかと邦彦に投げかけ、邦彦の「その気になればいつでも盗める」という言葉にみゆきちゃんも納得してしまいます。
この時に、洋一は邦彦に長太郎が犯人だとする証拠と根拠を求め、邦彦の言葉から長太郎が犯人だと言った弘子ちゃんに「まさか」と言い、合気道に来ていたというみゆきちゃんの言葉に驚いていますが、この時の洋一の顔を見ると、周囲が長太郎のアリバイを知っているみゆきちゃんでさえ、邦彦の言葉に長太郎が犯人だと思い込んでいる中で、1人、洋一がそれを疑っている事が分かります。
後に、長太郎にみんなから疑われていることを教えて、リス泥棒の真犯人を探すことになる洋一ですが、この段階で既に長太郎の味方になっているのです。
弘子ちゃんの言葉に「長太郎」と疑問の言葉で返した洋一を見る邦彦の目が冷ややかですね。自分の推理に疑問を持つ洋一に対して少しの敵意を感じます。邦彦と洋一は仲が良いからこそ、洋一が邦彦に長太郎を犯人とする根拠と証拠を聞いているんだと思います。邦彦の洋一を見る目は自分の意見を受け入れないというよりは、長太郎の肩を持つような声のトーンと表情に対して一緒に痛い目にあったのに、長太郎に肩入れしている友人に対して、不満というか疑問を感じているようです。
長太郎が犯人だとされたところで、長太郎がみんなに駆け寄ってくるんですが、校庭でゴム跳びをしている女子の間を長太郎が駆け抜けてきます。このゴム跳びって地域や年代によって遊び方が違ってくるのですが、ここで見るゴム跳びは私が小学生の頃にやっていたゴム跳びによく似ています。
長太郎が来ると蜘蛛の子を散らすようにみんなが去ります。長太郎は不満を抱えながら1人下校し、陸橋の下に来ると声が聞こえ、その声は長い管から出ていました。
長い管は長太郎にリス泥棒の容疑がかかっていることを伝えると、上に引きあがっていきます。引きあがる管を追いかけて、陸橋の外に出ていく長太郎、引き揚げた先には洋一の姿。長太郎はみゆきちゃんも疑っていることを尋ね、みゆきちゃんも疑っていることを知ります。
長太郎が陸橋の下にきたところで、反響する声が聞こえ、上から管が降りてきて長太郎に疑われている事を伝え、上に戻っていく上下運動が生まれます。長太郎が下で走ってくる姿、上に引き上げられた管の導線で洋一の姿が見えて、長太郎に伝えたのが洋一だと分かっていく。
始めは反響した声と言い方でまるで神様が長太郎に教えているのかと思わせておいて、洋一が手の込んだ方法で長太郎に疑われていることを教えてくれたのが分かるのが、楽しさを感じます。
帰って来た長太郎が2階の部屋の窓越しに隣の家のみゆきちゃんに話しかけると、疑いを晴らしたいのなら、犯人を見つける事ねときつく言われてしまいます。みゆきちゃんそう言われた長太郎はドンペイを使って、犯人を捜し始めます。犯行現場の飼育小屋でドンペイに匂いを嗅がせ、犯人のいる場所に。そこは、銭湯で洋一の家。ここで、洋一の家と家業が分かります。
長太郎はそこで、洋一に猪だって言われても平気だけど、泥棒にされるのは我慢が出来ないと言い、洋一はそんな長太郎を変な奴だといいながらも、受け入れ、一緒に犯人を捜します。ドンペイが次に行ったのは、ある家。そこの庭には白い袋が干してあり、それが犯行に使われた袋だったために、視聴者には犯人がこの家の人間だと分かります。ここで、その家の主が帰ってきて、長太郎を追い払います。その家の主が6年生の番長川上シゲオ。その前に、家のポストの名前で視聴者はここが「川上」の家だと知っているのです。
犯人がシゲオであることは、視聴者にはこの時点ではっきり判明するのですが、シゲオはとぼけて長太郎と洋一を追い払います。この時にリスの事を聞かれて、シゲオが部屋の中を気にしていて、その部屋にいる家人にリスの事を知られたくないのが分かります。リスの事を聞かれて、いぶかしみ、次に家にいる家人の事を気に掛ける表情は、シゲオがリスの事に関しての話題を聞かれてたくない事を語っています。
これが一連の表情と動作の中だけで行われているのですね、長太郎達を怒鳴り追い払う荒い言葉と言動との前と合わさり、シゲオの焦りを感じます。先に書いたみゆきちゃん、洋一、邦彦もそうなんですが、こういう微妙な表情、視線の動きで心の中を見せるのって、そんなに簡単ではないと思うんです。
それが自然の感情の発露として表に出せている。感情の流れによって台詞が演じている役の言葉として出ているのが自然で、本当にある小学生の日常を見ている錯覚に陥ります。これは、初代にも感じていた事で、ドラマという架空の出来事ではなく、現実のどこかにある事実だと思うんですよね。それは、小道具だったり、演出だったりもあるんですが、演技とは思わせない子役の人達の卓越した演技力にもあると思います。
台詞の調子だけでなく、それを言う過程、言った後、言っている最中の表情や動きでも演技は出来るし、演じている役の性格を表現することが出来るんだってことが、『男!あばれはっちゃく』の2話に限らず、『あばれはっちゃく』のドラマシリーズにはあって、子役の人達の実力の高さを感じています。
長太郎は、犯人の徹底的な証拠を掴むために方法を考え、閉店して店の片づけをしているところまできて、髪の毛を蹴飛ばします。父ちゃんに怒られて、髪の毛を集めた長太郎は手にした髪の毛をヒントにリス泥棒の犯人の証拠にリスの毛を思いつきます。
翌朝、校庭では長太郎を犯人だと決めつけた邦彦達の話を聞いて寺山先生が諭していました。
「普段、気に食わない奴だからと言って、リス泥棒と決めつけるのは、間違いじゃないのかな、あいつは今、疑いを晴らそうと一生懸命真犯人を探しているんだ」
長太郎は犯人の証拠の為にリスの毛を採取し、シゲオの運動着袋の毛と照合して犯人だと突き止めますが、そこで声がして、声のする部屋にいる女の子に声をかけられ、女の子にお兄ちゃんのお友達?と聞かれます。
この女の子の名前はサチコ。シゲオの妹です。妹の話からシゲオがリスを盗んだ動機が分かります。シゲオが帰ってきて、長太郎達にサチコに気づかれないように来るように手招きします。長太郎は証拠を突きつけ、俺たちのクラスのリスだから返してもらうと言いますが、シゲオは証拠を見せてもそれを鼻で笑い、返すことを突っぱねます。
あれは自分がペット屋で買ったと、しかし、長太郎はペット屋の名前は?いくらしたんだ?と畳みかけ、シゲオを追い詰めます。追い詰められたシゲオは力づくで取り返せと長太郎に挑んできます。1対1なら負けないという長太郎は構えますが、みゆきちゃんの言葉が蘇り、躊躇いを見せます。
長太郎を応援する洋一。土手を転がりながら、泥だらけになるシゲオと長太郎。シゲオは長太郎に負けを認めてリスを持っていけと言い、サチコちゃんの事を話し始めます。サチコちゃんが心臓が悪くて本当は2年生なのに、小学校に通えないこと、サチコには兄貴が泥棒なんて言わないでくれと泣きながら、長太郎に土下座します。
それを悲しそうな目で見る長太郎、洋一に帰るというと「リスは?」と聞く洋一に「いいんだよ」と。
強いシゲオが泣いたのは、サチコちゃんに本当の事を知られたくない時でした。サチコちゃんの為にしたことが、サチコちゃんを失望させることをシゲオは分かっていた。でも、ばれずに白を切れば、サチコちゃんにはリスの友達がいて、サチコちゃんを慰めてくれる。
シゲオのやり方は間違っていて、正しい事ではありません。それでも、長太郎がシゲオを許したのは、シゲオのサチコちゃんを思いやる心と涙、その前にサチコちゃんとした会話が理由だと思います。
長太郎は貯金を集め、一緒に自分の部屋に来た洋一に貯金が足りないと顔をむけます。何かを察した洋一。洋一は勘がいいですね。翌日、長太郎達のクラスのリス小屋にリスが戻ってきます。
どこか、それまでのリスとの違いを感じた弘子ちゃんとそれに賛同した和美ちゃんの言葉に、長太郎と洋一が自分達で取り返したことを言い、みゆきちゃんが長太郎をちょっぴり見直します。ただ一人不満な邦彦が真犯人が誰だか分からないと納得できないと言います。
この時の邦彦の長太郎が手柄を立てたのが忌々しいという表情と納得できない気持ちと、みゆきちゃんにちょっぴりでも見直された悔しい気持ちがないまぜになって変化しているのが絶妙です。今回、出番が少なかった邦彦ですが、少ない中で存在感を出していましたね。
納得がいかない邦彦でしたが、寺山先生の言葉もあり、始業のチャイムがなって教室に戻ってこの話は終わり。飛び上がった長太郎の「今日もあばれるぞ」で締め。
まとめ
今回は子役の人達の絶妙な表情の変化に目が行きました。吐く息が白いので撮影した時期は、まだ、寒い時期だったと思います。また、話の内容としては、妹を思う兄の姿が印象に残ります。この2話の脚本は山根さんですが、山根さんは初代『俺はあばれはっちゃく』でもきょうだい愛をテーマにした話を書いています。それが私が一番大好きな『あばれはっちゃく』の話『俺はあばれはっちゃく』50話「クシャミ一発」です。
長太郎にてるほを大切にしろと諭す旅のお坊さんが登場して、そのお坊さんが長太郎に年の離れた姉が自分を育てくれた事、その姉が癌で死んでしまった事、生きている長太郎の姉、てるほを大事にすることを話します。てるほと長太郎、姉と弟、旅のお坊さんのお姉さんと弟の旅のお坊さん、今回のシゲオとサチコちゃん、姉と弟、兄と妹、互いのきょうだいを大切にする心を山根さんは『あばれはっちゃく』の中で書かれていたように思います。
次の3話も山根さんですが、ここでは、長太郎の兄信一郎と、長太郎の関係、長太郎と父ちゃんの関係に触れています。家族を見捨ててしまった今の私がこんなことを書ける義理ではないのですが、きょうだい、子、親を大切に思う心は温かく心に伝わり、いつまでも温かく心に残っていくのだと思いました。
2話ゲスト子役についての記事(次回3話のゲスト子役含む)
収録DVD紹介