柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』34話「男の別れだ」感想

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『男!あばれはっちゃく』34話より

1980年11月15日放送・脚本・安藤豊弘さん・磯見忠彦監督

長太郎と洋一の喧嘩

洋一の父親がクラスに寄付した文学集が元で、長太郎と洋一が喧嘩をします。長太郎は軽い気持ちでいつものように洋一をからかったのですが、それに対して洋一が怒り、長太郎との間に溝が出来てしまいます。

長太郎が親友と喧嘩をしてしまい、長太郎の方が軽く考えているのに、親友の方が深刻に捉えて長太郎を許してくれず、長太郎も意地になってしまうというのは、初代『俺はあばれはっちゃく』26話「モヤシも男だマル秘作戦」でもありました。この初代26話の脚本も今回と同じく安藤豊弘さんでした。

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些細なことで長太郎と公一が喧嘩をしてしまって、互いに意地を張ってしまう展開、長太郎だけが皆の集まりに参加しない展開は、初代『俺はあばれはっちゃく』26話と2代目『男!あばれはっちゃく』34話に共通する展開です。そこに2代目ならでは、独自な設定が入って初代との違いはありますが、基本のベースは同じだと私は思います。

洋一のお別れ会の不参加と知った経緯の不自然さ

初代では長太郎と喧嘩した公一がヒトミちゃん達の家での集まりのことを教えなかったことで、ますます長太郎と公一の仲が悪化していく、長太郎がヒトミちゃんの家での集まりを知るのが公一と仲直りしようとして公一の八百勝の手伝いをしたことで分かる流れも自然でしたが、今回の2代目34話では、邦彦が長太郎にお別れ会のことを伝えなかったのが理由でした。

私には2代目の長太郎が洋一のお別れ会にこれなかった理由付けがとても希薄に感じました。邦彦が長太郎に言い出せなかったというのが一応の理由にはなっているのですが、なぜに邦彦が長太郎にお別れ会のことを切り出せなかったのか、また、お別れ会で長太郎が来ないのを洋一が尋ねた時に邦彦が適当に誤魔化して本当のことを伝えなかったのかというのが不自然に感じました。

邦彦の意地悪で伝えなかったという解釈も出来るんですが、邦彦にそんなそぶりは見えなかったし、ただ単に言いそびれてしまっただけに見えたからです。洋一の質問を誤魔化した時に決まりの悪い顔はしていましたが、それぐらいでした。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

また、長太郎がお別れ会を知ったのは、父ちゃんからの情報で、これも父ちゃんはどこで誰に聞いて知ったのかというのが不明でしたし、いきなり怒られている長太郎も訳が分からないで可哀相だなって思いました。

洋一の転校のことは、父ちゃんが洋一のお父さんから聞いて長太郎に伝えて知った経緯があるので納得できたのですが、洋一のお別れ会についてはそういうのがなかったので、見ていてしっくりこないのです。

長太郎と洋一の喧嘩やその後の休み時間での喧嘩は自然なのに、その後のお別れ会への長太郎の不参加とお別れ会の存在を知る経緯が私にはとても説明不足に感じたのでした。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

消極的な邦彦の妨害

長太郎は父ちゃんから教えられて、お別れ会が開かれている邦彦の家に行くものの、お別れ会は既に終わっていて、間に合わず。長太郎が来ないまま、邦彦の塾の時間になってお別れ会はお開き。とうとう長太郎が来ないままお別れ会は終わり、みゆきちゃん、弘子ちゃん、和美ちゃんの3人は長太郎と洋一の男同士の儚い友情にがっかりし、洋一も、また長太郎が来なかったことに落ち込みます。

気の毒だなって思うのは、洋一にお別れ会を伝えたのが邦彦の電話で、洋一が邦彦に長太郎も呼ぶことを聞いた時に邦彦が「もちろん、呼ぶつもりだよ」とつかさず言ったのにも関わらず、その邦彦が長太郎に伝えずに、来ないのも誤魔化していることで、洋一は長太郎が来ると信じて待っていたことですね。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

なんというか、長太郎のお隣のみゆきちゃんが誘ってくれても良かったのにって思ったりもしたのですが、今回の長太郎と洋一の別れをちょっとややこしくしてしまった存在が今回は邦彦だったように思います。

ドンペイが繋なぐ

邦彦の妨害は積極的なものではなく、消極的な妨害だったわけですが長太郎と洋一は互いにそれぞれが無視されていると思いこんでしまいます。2人は同じ場所で相手との出会いからの思い出を思い出していて、ドンペイがいたことで近くにいることに気が付きます。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

長太郎と洋一がいる場所は、これまでにも出てきた公園で、互いのUPの時に映り込んでいるレンガの柱から二人が、すぐ近くにいることが分かります。長太郎が用意した洋一へのプレゼントのUP、ドンペイがきて、引きの映像で2人が左右対称にいることが分かり、ドンペイによって2人がそのことに気づく。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

気づいた2人が口悪く相手を罵りながらも、2人の絆を強くしたロープの存在で素直になっていく、2人が素直になれるきっかけの12話「強いぞ弱虫マル作戦」のロープが出てきたところは少し不自然に感じてしまいましたが、遠くにいた存在が実は近くにいて同じ思い出を共有し、互いに思いあっていたこと、最後には素直な感情と気持ちを互いに見せることが出来たのは、良かったなと思いました。

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『俺はあばれはっちゃく』26話のリメイク

『男!あばれはっちゃく』12話「強いぞ弱虫マル秘作戦」の脚本は市川靖さん、監督は松生秀二監督でしたが、初代26話「モヤシも男だマル作戦」の長太郎と公一の喧嘩の一端が公一の不甲斐なさが原因であったのを踏まえると、2代目12話は洋一の不甲斐なさをきっかけに長太郎が洋一を鍛えるという展開でもあったので、回想で12話と34話を繋げて長太郎と洋一の友情の絆の深さを確認するというのは良かったなと思います。

長太郎と洋一の絆を深める回想のシーンは12話だけでなく、1話、2話、20話、21話など他にもありましたが、決定打になったのは12話でした。そうしたのも含めて、この34話は初代『俺はあばれはっちゃく』26話のリメイクだったように思います。

一つの区切り

初代『俺はあばれはっちゃく』は当初2クール全26話で終了予定のドラマだったことはこれまで伝えてきた通りです。その後、予定が変更されて放送の延長、シリーズ化されたのもこれまで書いてきた通りですが、ある意味初代26話も当初の終了予定から考えると一つの区切りの話だったとは思うのですよね。

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長太郎と公一は別れることなく最終回まで一緒でしたが、洋一と長太郎は別れることになりました。『あばれはっちゃく』シリーズの中でレギュラーの子役が途中退場することは、この後にも出てきますが、途中退場していく理由やその話をメインに描かれたのは、この洋一とこの後に転校していく邦彦だけだったように思います。

後は、気が付いたら出てこなくなってしまったというパターンが多かったと。弘子ちゃんと和美ちゃんは6年生になると登場しなくなってしまいますが、特になぜ登場しなくなったかというエピソードは存在せず、6年生になると2人の代わりにマリ子と悦子が登場してきます。

和美ちゃんと弘子ちゃんが引っ越しや転校していないのを見ると、長太郎と章、みゆきちゃんが6年生になっても同じクラスになったけど、和美ちゃんと弘子ちゃんは違うクラスにクラス替えになってしまったんだろうなっていう想像がつきます。

これは、4代目『痛快あばれはっちゃく』のとし子ちゃんが6年生になって登場しなくなったのにも同じ理由付けが出来るわけですが、問題なのは3代目『熱血あばれはっちゃく』の京子ちゃんですよね。3代目は5年生の話だけでドラマの中で進級していないし、転校や引っ越しの話もなく、ドラマに出てこなくなってしまいましたから。

進級のタイミングで登場しなくなると、クラス替えでいなくなったという説明はつくのですが、そうでない場合はそれが出来ません。

現実的に見れば、俳優の人達の出演契約が1クール単位での契約で、クールの一区切りで降板ということが考えらえれて、それによる俳優交代があるんだろうなって思うわけです。

また『あばれはっちゃく』の場合、子役が降板すると親役の俳優も降板になる。また、俳優の人達は『あばれはっちゃく』のドラマだけに出演されているわけではないので、他のドラマ出演との兼ね合いもあって、降板されていくのかなってことを思いました。

こうした裏事情は当事者でないと分からず、ドラマを見ているだけの私には憶測しかできません。ただ、ドラマを去っていく『あばれはっちゃく』の世界から途中で去っていくことをちゃんと書いてもらえた洋一と邦彦はある意味とても幸せだったなって思います。

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『男!あばれはっちゃく』34話より

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『男!あばれはっちゃく』34話より