長太郎が聴いているのは
『俺はあばれはっちゃく』32話の一家団欒の場面で、長太郎が片耳にイヤホンをして父ちゃんの話を聞いている場面があります。
長太郎はイヤホンで落語を聴いていたのですが、私はずっとカセットテープで落語を聴いていると思ったいたのですね。
32話の放送が1979年9月22日。
過去記事でも書きましたが、『俺はあばれはっちゃく』の撮影は1978年12月の暮れに始まっていて、初回の放送が1979年2月3日。
1979年8月11日放送の27話には、当時は7月15日に行われていた浜降祭の風景が撮影されているところから、8月分の放送は7月には撮影していたと考えられるので、放送日の一ヵ月前には撮影が終わっていると推測できます。
だから、9月22日放送の32話は8月中に撮影されたと考えられるので、7月に発売したばかりのウォークマンを小道具に使って撮影は可能だったのかなって思いました。
で、長太郎が持っていたのって、ウォークマンだったかしら、と確認してみたところ、はて、これはウォークマンだろうか、と疑問が浮かんでしまったのです。
私は後からDVDを見返したことで、既にウォークマンが当たり前になっている今の感覚で作品を見て、勝手にウォークマンだと思い込んで32話を見ていたのではないか?と感じてしまったのです。
前に書いたように、撮影された時にはウォークマンが入手可能だったとしても、まてよ、と。
もしかしたら、長太郎が聴いていたのはカセットテープの落語ではなく、ラジオ番組の落語だったのではないか?と。
問題の本体には赤いカバーがあって、長太郎が持っているのはウォークマンなのか、ラジオなのか、ちょっと分かりません。
多分、当時、長太郎と同じウォークマンなり、小型ラジオを持っていた人は大勢いると思うんですよ。
そこでSONYの公式HPで初代ウォークマンTPS-L2の写真を見てみると、長太郎が持っているのとはデザインが違います。
ということは、ラジオだったのかな。
厚みはウォークマンというか、ポータブルカセットプレイヤーの厚みがあるけど、丸く開いた穴のデザインからは初代ウォークマンとは違いますし、1979年8月時点でSONY以外でポータブルカセットプレイヤーは発売されていないはずだから、やっぱり40年後の私が見たことで、当時の時代にはなかった知識で見てしまった誤った思い込みで、小型ラジオをウォークマンだと思い込んでいたんだなって確認しました。
当時の感覚と今の感覚
子どもの頃に見ていた時は、その日常や当たり前の生活が普通なんですが、現在、過去の作品を見る時に、当時にはなかった当たり前が普通になって生活に馴染んでいて、その今の感覚、これまで得た知識や体験した事を基準にして作品を見てしまう事があります。
当時にはなかった感覚で見て、その時代の普通を忘れてしまっていることに気付かないまま作品を見てしまうのは、作品を正しく見る目を見失ってしまう事なんだと、反省しました。
さて、私が出したウォークマンかラジオか問題はラジオということで、かたをつけましたが、それが本当に正しいかどうかは分かりません。
ああ、なんて無責任な。
それでも、ここに訪問してくれた方々が、それぞれに正解を知っているだろうなって思っています。
40年前の日常の普通を思い出して、『俺はあばれはっちゃく』を見返すのは、簡単そうで意外に難しい事かもしれませんね。