『俺はあばれはっちゃく』の長太郎は自分に対して物凄く自信を持っている。なにしろ、自分に欠点というものがないと思っている。それが、はっきり分かるのが第11話。佐々木先生に欠点があるか?と聞かれた長太郎の答えがこれ。
「勉強出来ないのは親譲りだろ。後は欠点なんて何にもないな」
他にも第5話で隣りの小学校の番長がヒトミちゃんとの仲を取り持って欲しいと長太郎に頼みに来た時もこう言って断っている。
「お前なぁ、自分の顔を見た事があるのか?彼女はな面食いなんだぞ。俺みたいな男が好きなんだよ」
ヒトミちゃんが面食いで自分みたいな男が好き。と言い切るからには長太郎は自分がそれに見合う顔の持ち主だと思っている訳である。しかし、番長はそんな長太郎の自信を一笑する。
「お前、その顔で?鼻が胡坐をかいてら」
鼻が胡坐をかいている。これは、初代長太郎の顔の容姿を表すのによく使われていて、第32話でも父ちゃんが言っている。(もっとも当時のプロデューサが初代長太郎役を吉田友紀さんに決めた理由がそれだったのだから、それが初代長太郎の顔の特徴になるのは当たり前だ)
当然、長太郎はこの番長の言葉に怒る訳だが、残念なことに長太郎の自信とは逆に劇中の中で長太郎の意見に賛同してくれるものは少なく長太郎をハンサムだと思ってくれる人はいない。(少なくとも顔に関しては)長太郎をかっこいいと思ってくれるのは年下の子(第9話のマサミ、第36話のアユミ)で、それも長太郎の行動や態度に対してである。
考えてみると初代長太郎の顔をかっこいいと形容した言葉は劇中にはなかったような気がする。後に2代目になる栗又さんが第49話にゲスト出演した時演じた五郎の顔をヒトミちゃんはこんなふうに評している。
「顔もまあまあ」
少なくとも劇中の中では長太郎(吉田友紀さん)より五郎(栗又厚さん)の方が顔がいいという認識なのだろう。
ちなみに2代目に吉田友紀さんがゲスト出演した時に演じた島津隼人さんは洋子さんからこう言われている。
「いかにも意地悪そうな顔をしてるでしょ」
意地悪そうな顔って…。(洋子さん役だった浅川薫さんは初代のヒトミちゃんのオーディションに最終まで残っていたので、ひょっとしたらヒトミちゃんを演じていた可能性もあった訳で、隼人さんと洋子さんはパラレルワールドの長太郎とヒトミちゃんだったかもしれない。)
第20話で劇の主役を長太郎か正彦に決める時に明子のこの言葉に誰も反論しなかった。
「でも、正彦君の方がかっこいいわ」
第52話でも明子と小百合を助けた時に長太郎は、助けたのにも関わらず明子からこんなことまで言われている。
「もっとかっこいい人に助けて欲しかった」
顔に関しては劇中の中であまりいい評価をもらっていない初代長太郎。だが、本人はどこ吹く風。常に自信に溢れていて元気で顔も性格も自分でいいと思って生きている。
なんだか羨ましい。
私は吉田友紀さんの顔はかっこいいと思っているんだけどな。