私は吉田友紀さんの目が好き。もっと言うと目の演技が好き。あそこまで目で感情を表せるものかと思ってしまう。『俺はあばれはっちゃく』以外の吉田友紀さんが出演した作品『東映スパイダーマン』『破れ傘刀舟悪人狩り』『ウルトラマンレオ』『すぐやる一家青春記』『気まぐれ本格派』『ウルトラマンダイナ』とかを見てきて、益々その思いが募った。
あの目に魅力を感じる。中山千夏さんの『ぼくらが子役だったとき』の本の中で浜田光夫さんが演技に目力がいるというのを言っていたが、吉田さんの演技を見ていると確かにそうだと思う。
演技が上手いなとか好きだなと思う役者さんは他にもいるけど、目に魅力を感じて惹かれたのは吉田友紀さんが初めてかもしれない。
吉田友紀さんの演じてきた少年は微妙に似ていて微妙に違う。全てが別個人の人格で明確に演じ分けている訳ではないのだろうけど、印象が違って見える。役者として違う個性の役を演じるのだからそれが当たり前なのだろうが、そういう風に思わせてしまう所が彼がかつて名子役と呼ばれた所以なのだろうと思う。
大人になった吉田友紀さんの演技をみたのは『電脳警察サイバーコップ』と『ウルトラマンダイナ』だけなのだが、きっと今だって子役時代に負けない演技力を身につけていると思う。最近だと『臨場』の第2話に出ていたみたいだが残念ながら何処に出ていたのか分からなかった。悲しい……。
今もバイトをしながら役者を続けていて来年で芸歴40年を迎える吉田友紀さん。子役は大成しないとかいろいろ言われるけれど、決して楽な道ではない役者の道を歩み続けている吉田友紀さんを私は尊敬する。
吉田友紀さんは桜間長太郎役を疎ましく思った時代もあったという。確かに印象の強い嵌り役はそれまでの実績を全て塗り替えてしまい、またそれ以後その役のイメージがしつこくついてまわるのは役者としては辛いだろうというのは素人でも容易に想像できてしまう。
それでも、4年前のインタビューや5年前のDVDの解説書のインタビューで語っているように今では「『あばれはっちゃく』を覚えていてくれてありがとう」と言えるのが凄い。そうした心境になるまでどれだけの葛藤があったのだろうかと考えてしまう。考え過ぎだろうか?
最近でこそ去年のテレビのように『あの人は今』的な番組に出てきてくれたが、それまでは(10年前や9年前)どうして出てきてくれないのだろうとファンが思うくらい出てきてくれなかった。その理由を4年前のインタビューで知った。吉田友紀さんにとっては過去ではなく現役で役者を続けている訳で過去の人として扱われるのに抵抗があったのかもしれない。
それが初代桜間長太郎役だった人として出てきてくれたのは、背に腹はかえられないとか尻に火がついたのかとか失礼な事を考えてしまったりしたが、私はやはり吉田友紀さんの中で『俺はあばれはっちゃく』という作品に対しての心の整理がある程度出来て昇華する事が出来たからではないかと思う。
吉田友紀さんは頑張っているから頑張ってとは言わない。今の吉田友紀さんの演技もたくさん見られるようにまたなればいいなと思う。
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