今日は、初代はっちゃく『俺はあばれはっちゃく』の主演を務めた吉田友紀さんの50歳の誕生日です。
長太郎で吉田友紀さんを知った私からすると、なんだか、とても不思議な気がします。人間、生きていれば年齢を重ねるのですから、50歳になるのも当然なことなのですが、自分も4日後には42歳になるというのに、なんだか、本当にあの頃から見たら、遠い未来に来てしまったのだなって思ってしまうのです。
吉田友紀さんがDVDBOX2の解説書のインタビューで、ご自身と長太郎の共通点を述べていましたが、私が少しだけ伺い知ることが出来る吉田さんと長太郎の共通点は「気骨がある」ところだと思います。ただ、吉田友紀さんと長太郎が同一人物だとは思えないのですね。『俺はあばれはっちゃく』を見ていると、吉田さんと長太郎が引っ付いていて、同じ人間、素のままで演じている錯覚に陥るのですが、よくよく二人を見ていると、似ている部分はあっても(容姿以外ですよ)、違う人間だなってことを感じます。
それは、私が吉田さんが演じた長太郎以外の役を知ることができたから。
『荒野の素浪人』の男の子役、(1972年〜1973年)
『飛び出せ青春!』の宇野トモヒロ君、(1972年日本テレビ)
『鉄人タイガーセブン』の次郎君役(1973年〜1974年フジテレビ)
映画『教室205号』の明君、(1974年10月公開 監督:橘祐典)
木下恵介アワー最終作『わが子は他人』のあきら君、(1974年4月〜10月TBSテレビ)
『ウルトラマンレオ』の桃太郎君、(1974年)
『破れ傘悪人狩り』の三吉役、(1974年〜1977年NET(現テレビ朝日))
『それ行け!カッチン』のキヨシ君役、(1975年TBSテレビ)
『すぐやる一家青春記』の智之役、(1977年TBSテレビ)
『気まぐれ本格派』の新太役、(1977年〜1978年日本テレビ)
『東映スパイダーマン』の良一君役、(1978年〜1979年)
火曜サスペンス劇場『蝶たちの殺意』の明君役、(1983年日本テレビ)
『男!あばれはっちゃく』(1980年〜1982年テレビ朝日)『痛快!あばれはっちゃく』(1983年〜1985年テレビ朝日)の島津隼人役、
『電脳警察サイバーコップ』の武田役、(1988年日本テレビ)
『刑事貴族2』の2話のゲスト役(1991年日本テレビ)、
映画『さまよう刃』の制服警官役、(2009年公開)
等々、当時テレビで、映画館で、DVDで、CSの放送で、吉田さんが演じてきた様々な役を見てきて、長太郎に近い役柄も演じているけれども、それぞれが別人として私には見えたから、吉田さんは長太郎を演じている時も、長太郎という自分と別人をしっかり演じていたのだな、ということが分かったからです。
それは、役者としては当たり前のことなのだと思いますが、吉田さんの場合、特に『俺はあばれはっちゃく』の長太郎は、素のままに見えてしまうと、見た人の殆どが錯覚してしまうほどなのです。これは、芝居が巧いというのを超えていて、もはや、皮膚感覚でそう思わせてしまうだけの、吉田さんの超越した役者としての力量がなせる業なのだと思います。
私は2年前に『俺はあばれはっちゃく』のメイン監督である山際永三監督とお会いして、お話をさせて頂きましたが、山際監督は、とても吉田さんのことを褒めてました。それは、決してリップサービスではなく、本当にこれだけの子はいない素晴らしいと褒めてました。そして、それだけ凄く功績を残しながらも、吉田さんが今でも謙虚であり、自分だけの力だけで『俺はあばれはっちゃく』を人気ドラマにしたと思ってはなく、周囲に対してとても感謝しているということも話されました。
私が聞いた限りでは、山際監督が手放しで褒め、手を合わせて感謝しているのは、ちゃこ姉ちゃんの四方晴美さんと、長太郎を演じた吉田友紀さん、それと、長太郎の親友公一を演じた妹尾潤さんでした。(『それ行け!カッチン』のDVDBOX2の解説書にあるインタビューで冨永美子さん(現:冨永みーなさん)と上野郁巳さんのことも褒めています。上野さんは、『俺はあばれはっちゃく』に山際監督の回の16話にゲスト出演しています)
私は、島田歌穂さんのてるほも好きなのですが、山際監督のお言葉を借りると、『俺はあばれはっちゃく』当時の島田さんは、まだまだお嬢様気質が抜けなくて、いまひとつという印象だったそうです。「それでも、今も活躍してるから、凄いよね」と言われていました。私には、てるほを演じていた時点で、島田さんにも充分な演技力があると思ったのですが、それだけ、山際監督の要求が高いということなのか、と思いました。
残念ながら、四方さんも妹尾さんも芸能界を既に引退され、それぞれに違う道で活躍されています。四方さんは、よくテレビで取り上げられているので、現在ユニクロで働いていることをご存知の方は多いと思いますが、妹尾潤さんは、ブリヂストンゴルフクラブで、ゴルフを教えるレッスンプロになられています。吉田友紀さんも、現在は芸能界から距離を置き、2009年公開の映画『さまよう刃』を最後に、所属されていた芸能事務所を辞めて、役者の仕事をされていません。それは、ファンとしては、正直、残念で悲しい気持ちがあります。
ただ、それは、吉田友紀さんがご自身で決めたことであり、ファンとはいえ、他人の私が口を出すことでもなく、また、私の我侭を押し付けて、役者復帰してくれ、と言えることではありません。吉田さんは平和に幸せに日々を送られていて、それが、私は一番嬉しい。私の感情を綺麗事のやせ我慢に見える人もいるかもしれませんが、私の本音は、吉田さんが日々、幸せにくらしてくれていることなのです。吉田友紀さんは、役者「吉田友紀」を演じ終えて、本来の「鴨志田友紀さん」に戻ったのかもしれません。それでも、吉田友紀さんが演じてきた役は、出演された作品は、私の中に大切な存在として、生き続けています。そして、そうした役のおかげで、今の私があります。だから、私は、今も役者吉田友紀さんのファンのままです。
吉田友紀さん、お誕生日おめでとうございます。どうか、いつまでも、お元気でいてください。あなたは、私の子どもの頃の、そして今も憧れの大切なヒーローです。今までも。これから先も、ずっと。