柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

第四の壁

 劇中の人物は自分が劇中の人物だという自覚がない。劇中と視聴者、もしくは観客の間にはお約束のように見えない壁があり、劇中と現実の世界を隔てている。これが第四の壁であるが、時にこれを壊して楽しむ劇やドラマ、小説、漫画作品などがある。

『俺はあばれはっちゃく』でもこうした第四の壁を壊しているんじゃないかと思われる場面がいくつかある。ただ、次回予告みたいな視聴者を相手に話すようなものは特別なので除外し、ここではあくまでドラマの中で壊しているだろうというものをあげてみる。

 まず最初に「あれ、長太郎は誰に対して言っているのだろう?」と疑問に思ったのが、第12話の場面である。

「言ってやって、言ってやって!」

 これは宿題をズルした長太郎に佐々木先生が毎日ドリル5ページの特別宿題を出した時に長太郎が言った台詞なのだが、この長太郎が言った言葉を受ける相手は劇中では誰もいなかった。強いて挙げればテレビの前の視聴者としか言いようがない場面だった。長太郎自身が視聴者を意識しその視聴者に向かって言った台詞だと考えればしっくりくるのだ。

 次に第36話のラストいつも通り長太郎が締めの決め台詞を言う言う前にヒトミちゃんが長太郎を促している。

「今日も暴れるぞ!」
「はい、どうぞ」

 前の例に比べると柔らかいが、これもヒトミちゃんがドラマのお決まりを知っていて締めに持っていこうとしていると受け取る事が出来る。
そして、ヒトミちゃんが視聴者の代表として長太郎に決め台詞を言うように促しているようにも見えるのである。実際の生活の場面では、そこで決め台詞を言ったところで日常は続いていくわけでこうした場面は不自然に感じてしまう。しかし、これがドラマのラストで出てくるとそうは思わない。これも、積極的ではないが第四の壁を壊している一例だと思う。

 今、確認してみたら第12話と第36話の2作品は同じ脚本家の作品で田口成光さんの脚本だった。役者のアドリブという可能性もあるが、もしかすると田口さんという脚本家の方はこうした遊びが好きだった人なのかもしれない。

追記

この考察に関しては後に、田口さんだけの遊びではなかったと分かりました。(2014年8月5日追記)