柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

てるほ姉ちゃんの配役について

『俺はあばれはっちゃく』はテレビ朝日東映特撮が行き詰っていた頃にTBSで児童ドラマを制作していて『チャコちゃん』『ケンちゃん』シリーズで実績のあった国際放映テレビ朝日が組んで始めた作品でした。作品を放送するテレビ局と制作会社の組み合わせとして当時はテレビ朝日なら東映国際放映ならTBSというのが当たり前の図式でした。何故なら、テレビ朝日東映の相互持ち株会社であり、国際放映は、東宝から分岐した新東宝から(ざっと大雑把に説明しましたが、実際はもう少し複雑です)始まった東宝系の制作会社で東宝とTBSの出資を受けて出来た会社だったからです。

つまり、東宝系の国際放映の作品を東映テレビ朝日で放送するというのは、よその家に入れてもらうようなもの。以前にも書いていますが、『俺はあばれはっちゃく』が放送していた枠は東映特撮の枠だったのが、人気の不調で打ち切りになった為に、その東映特撮枠が一時間繰り上がった為に空いた枠でした。『俺はあばれはっちゃく』は放送開始視聴率の点では、マイナスからのスタートであり、互いに他所様の放送局、制作会社で放送、制作された成功するかどうか、分からない未知数の作品だったという事が伺い知れます。

『俺はあばれはっちゃく』の長太郎役については、吉田友紀さん自身がDVDBOX2の解説書のインタビューの中で「プロデューサーの方は主役を僕に決めていたようで、(中略)ですから、オーディションを受けていません」と答えています。作品を見ると分かると思いますが、吉田さんのアクションシーンは、吹き替えが出来ない映像の取り方が殆どで、吉田さん自身の運動能力(逆立ちができる。登り棒を一気に登っていく)をもってして「勉強は苦手だけど悪戯と喧嘩なら誰にも負けやしねぇ」という口上の長太郎を演じきる事が、出来るんだという事が分かります。

「長太郎」というガキ大将をドラマで、描こうとした時に当時活躍していた子役の中で、高い運動能力を持っていて、主演を任せられる演技力を持っていたのが、吉田友紀さんだったのではないかと、私はファンの浴目を差し引いても、『俺はあばれはっちゃく』以前の吉田さんの出演作を見て思うのです。年齢的には、少し設定年齢よりは高かった吉田さんですが、4年前に出演された『ウルトラ情報局』で司会の方に「他にも子役の方が出演されていますけど、その中でも一番小さいですね」と言われ「小さい?小さいかなあ。ああ、あんなに小さかったんですね」と答えていたり、『教室205号』や『気まぐれ本格派』の作中の中でも小さい事を指摘されていたりしてますので、その小ささも実年齢よりも下の役を演じる事に対して有利に働いていたのかもしれません。実年齢よりも下の役を演じるのは珍しい事ではありませんし、杉田かおるさんが『パパと呼ばないで』で演じた千春も実年齢よりも下の役でした。

そもそも『俺はあばれはっちゃく』は半年26回だけで、終わる予定の作品でしたので、吉田友紀さんが成長期に入る直前に終わるから、声変わりなどの心配もなかったのではないかと思うのです。しかし、残念というか幸運というか、番組は予想以上に反響を受け人気番組になり、番組の延長とシリーズ化が決まりました。予想以上というのは、後に山際監督がインタビューで「『俺はあばれはっちゃく』っていうのは山中恒原作なんだけれどもガキ大将的なものを描いているんですよ。あんなものは70年代後半でも、受けるわけないんじゃないかと思いましたよ。ファンタジー的設定があるわけでもなく、ごく当たり前なね。まぁあえていえば、小学校5年生でクラスにアイドルの女の子がいて毎回その子に惚れこんじゃ、馬鹿にされてるみたいな(笑)学校の教室の中に、そういう擬似恋愛的なものを持ち込んでるという そういうところが新しいっていやぁ新しいかなと。それが受けたのかなと思いましたよ。」と答えている事からも分かります。何故受け入れられたのか? - 柿の葉日記から。

しかも、それを結果的に東映を出す形で、外様である国際放映が制作して、売り込んだ作品の『俺はあばれはっちゃく』がそこで人気が出るか出ないかは、かなりのプレッシャーが制作側、特に表立って看板になる主役の吉田友紀さんにあったのはいうまでもないと思います。吉田さんは「子供ながらに視聴率を気にしていまして・・・ナイター中継があるとガクッと数字が下がるんです。丁度、江川が入団した年で、俺、今でも江川嫌いですもん」(DVDBOX2付録の解説書のインタビューより)と言っているくらい数字を取る事は重く圧し掛かっていたのだと推測出来ます。

吉田友紀さんは、そうした中で始まった作品の主演に抜擢されるだけの実力と実績のある方でしたが、当時はレギュラー出演は、あるものの主役としてのはまだありませんでした。テレビ朝日としてはそこで保険の為に姉役に自分の相互持ち株会社東映で実績のある子役を使いたいという気持ちが働いたのか、てるほ役に『五年三組魔法組』で小原アサコ(ショースケ)を演じた神アコさんと『がんばれ!ロボコン』でロビンちゃんを演じた島田歌穂さんを候補に挙げていたのだそうです。(島田さんは『俺はあばれはっちゃく』の前番組『宇宙からのメッセージ・銀河大戦』に少女ハナ役で出演されていました)結果的に選ばれたのはご存知のとおり島田歌穂さんでした。

私の中で『俺はあばれはっちゃく』DVDBOX2付録の解説書のインタビューで吉田友紀さんが言う吉田さんを選んだプロデューサーは、テレビ朝日の落合兼武さんか国際放映の鍛冶昇さんかのどちらのプロデューサーなのかという疑問がインタビューを読んだ時からあったのですが、てるほ役に東映の方で東映で活躍した神さんと島田さんを候補に挙げていたのを知って東映テレビ朝日の関係を考えると、吉田さんを主役に選んだプロデューサーは鍛冶さんの方だったんだなという事が分かりました。

ヒトミちゃん役もオーディションで早瀬さんに決まりましたが、その候補の中に明子役の小宮山さんがいたり、2代目で洋子さんを演じる浅川さんがいたりして、ひょっとしたら早瀬さんじゃないヒトミちゃんがいたように島田さんじゃない神さんのてるほがいた世界もあったのではないかなと思います。

『五年三組魔法組』を観ていてショースケを覚えている方々にはてるほを演じる神さんが想像がつくのだろうと思うのですが、私は残念ながら世代的にこの『五年三組魔法組』を観た事がないので想像がつきません。しかし、この作品が大好きな知り合いに聞くと「年齢的にもキャラクター的にもてるほに合っていたかもね」と言って神さん演じるショースケを見せてくれたので、ああ、なるほどと思いました。

ある意味、島田さんの起用は勿論、ご本人の演技力とてるほというキャラクターにあっていたのもある事は百も承知ですが、その一方でそれぞれ他所で作品を放送する、させてもらう。作ってもらう、作ってあげるという関係で主演が国際放映の方で決めてあるなら、レギュラーで重要な位置にくる姉のてるほ役はテレビ朝日東映)の意向を汲んでの配役だったんだと窺い知れるのです。神さんのてるほもありだったと思いますが、私は島田さんでてるほを知り原作を読んでも特にてるほのファンにならなかった私が島田さんの演じるてるほを見て『俺はあばれはっちゃく』のドラマの中で一番好きな登場人物になったので、どんな理由で選ばれたにせよてるほが島田歌穂さんで良かったなと(神さんのファンの方には申し訳ないのですが)思ったりするのです。
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