『気まぐれ本格派』第30話で医者嫌いで注射が怖い一貫が町内会の健康診断に行くのを嫌がった時に新ちゃんは「中叔父ちゃん、健康診断に注射はないよ」と言い、ウィンクをして小太郎に合図を送って一貫が怖がっている健康診断の恐怖を取り除いてくれます。それでも、「嫌だよ嫌だよ」と嫌がる一貫に新ちゃんは「ヨウスケおじさんが胃潰瘍で倒れちゃったんだぜ」と教えそれに驚いた一貫が「ヨウちゃんが?いつ」と聞き返すと「一昨昨日だって」と教えて一貫に健康診断へ行くようにと促します。子どもみたいな一貫と大人みたいな新ちゃんのやりとりはほのぼのとして可愛いです。
この場面を見た時に思い出したのが『俺はあばれはっちゃく』第46話。自分だけ除け者にされたと思い込んだ長太郎が佐々木先生の家に怒鳴り込んで正彦に食ってかかり、正彦達が事の成り行きを説明し、バツが悪くなった長太郎に対してヒトミちゃんが「長太郎君、誰もあなたを仲間外れなんかにしないわ」と優しく微笑んだ場面でした。このヒトミちゃんの言葉を聞いて、ちょっと照れくさそうにでも嬉しそうに「じゃあ、許す」と答えた長太郎の顔が本当に心底安心して嬉しそうに見え、それを見て、ああ良かったなとホッとした場面でした。以前にも書きましたが、第11話で本当に仲間外れにされた話を思い出すと本当に良かったと安心したのです。
『気まぐれ本格派』第30話の一貫をなだめた時の新ちゃんと『俺はあばれはっちゃく』第46話で長太郎を安心させたヒトミちゃんの雰囲気が私には似ていると感じます。また、子どものような(といっても長太郎はこの時本当に子どもなんですが)一貫と長太郎も自分の中では重なります。また、ちょっと前になだめる側だった新ちゃんを演じていた吉田友紀さんが今度はなだめられる側になっているのも見ている方としては面白く感じます。
新ちゃんと長太郎のキャラクターは明るさと優しさ以外は正反対なキャラクターでしたが、それは学校の成績の良し悪しや喧嘩の好き嫌いだけでなく、こうして相手をなだめる、なだめられる立場になっているという点でも正反対なキャラクターだったんだなと思います。直情的で突発的で感情的に動いてしまうけれど、その原動力は人としての義理や人情に基づいて動いてしまう長太郎と一貫。その人の良さや子どもっぽさを分かった上で優しく見守ってくれる新ちゃんとヒトミちゃん。そんな温かい人間関係が大好きです。
付け足し。3年前の『大胆MAP』で吉田友紀さんと早瀬優香子さんが再会した時に、早瀬さんの娘さんが来ていると聞いた吉田さんが「子どもいるの!?」と驚き、早瀬さんが優しく笑って頷いたのを見た時も『俺はあばれはっちゃく』第46話の場面を思い出しました。早瀬さんのヒトミちゃんの時に感じた温かい優しい母性と吉田さんの素直さを見た時にいいなあと思いました。