柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

原作を読んでいるとより面白い5話

市川靖さん登場

 第5話でまた新しい脚本家市川靖さんが登場します。
第5話では、以前にも考察しましたが、原作にあるエピソードを解体して組み立てなおし、長太郎の男らしさをより引き出す構成の脚本だと思います。
kakinoha.hatenadiary.com

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 以前に山際監督にインタビューをさせて頂いたときに、脚本家の中では市川靖さんが一番が一番しっくりくるとおっしゃっていました。
詳しくは、こちらの記事をお読みください。

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『俺はあばれはっちゃく』の脚本家は全員で5名の先生方で書かれていますが、市川靖さんが一番若手だったようです。
山中恒先生の『あばれはっちゃく』を読んだ上で、第5話を見てみると市川靖さんがものすごく原作の『あばれはっちゃく』を読み込んでらしたのではないか?と私は思うのです。

 長太郎のおっちょこちょいの勘違い、男としてのやせ我慢、自分に対する自信の大きさなどの、私が感じる長太郎らしさの真っ直ぐさが一番出ていると感じるのが、この第5話にはあって、その後の市川靖さんの書く脚本の特徴になっていると思います。会社で嫌なことがあって、長太郎に八つ当たりをした父ちゃんに張り倒されても、言い返すだけのパワーがあるのも、うるさくて勉強が出来ないと部屋から出てきたてるほの気の強さも短い場面の中で、しっかりと詰め込まれていると思います。

 この話では長太郎がヒトミちゃんに暴力を振るわないと手紙を書いて届けるのですが、ここでも手紙を使うのを見ると初期の長太郎というか『俺はあばれはっちゃく』では、手紙が話を動かす重要な小道具として働いていますよね。この手紙、学校のクラスのみんなにも、佐々木先生にも見せびらかしていて、話の最後でも効果的に使っているので、うまいあなって思います。

 さて、暴力、喧嘩をしない約束をした長太郎ですが、ヒトミちゃんにちょっかいを出してくる第二小学校の茂を倒すために、長太郎がひらめいたのが、ボクシングで決着をつけること。このボクシングが何故出てきたかといえば、ドラマでは長太郎の部屋にボクサーのポスターがあったからですが、原作を読んでみると正彦の得意なスポーツなんですね。

ドラマ5話のベースは原作の「のしイカ作戦」

この第5話のベースになったと思われる原作の「のしイカ」の話は、卒業式が終わった6年生に長太郎、ヒトミちゃん、正彦が絡まれていて、長太郎がボクシングの覚えのある正彦に加勢を頼むという流れになっているのです。この原作の要素をドラマにいかして、喧嘩ではないスポーツのボクシングで戦うというように話を運んだのも、違和感がありませんでした。

 長太郎の隠しておきたい秘密を見たのが親友の公一というのも、情報屋の役割を少しずつ見せていた公一が長太郎と茂の決闘のことをヒトミちゃんに知らせていくのも、それでクラスの皆が応援に駆けつけるのも長太郎があばれはっちゃくでも、クラスメイトから嫌われていないことが伝わってきていいなって思います。第11話で正彦たちから、仲間外れ宣言をされる長太郎ですが、勉強が出来なくても、あばれはっちゃくでも実は嫌われていないポジションにいて、愛されているんだなって感じます。

出演者の方々が語ってくれる5話

 この第5話は茂役の葺本さんが思い出を多く語れていて、長太郎役の吉田さんも思い出を話されているので、一番作品の裏側が分かりやすい話でもあります。この話は、長太郎のおっちょこちょいの正義が話の発端になってますが、出来事の通り一遍だけを見て人を悪者扱いする危うさを、サラリと描いていて、ああ、人がする行動の原因をちゃんと確かめないと、悪くない相手を責めてしまうのだなって感じました。ここでは、ヒトミちゃんと正彦の余裕のある対応で、長太郎が救われていると思います。

 ドラマを見ていて、給食当番の正彦が給食を配って歩いているのを見て、不思議でした。
私が小学生の時には、配って歩くことをしなかったので、これは地域や年代にとって違いがあるのかなって思ったのです。
市川靖さんの参加で、あばれはっちゃく、長太郎の印象が大きくなり定番のあばれはっちゃくの人物像が出来上がってきたと思います。