柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

友情

 

アバンタイトル

風鈴から、長太郎が小さなプールに入ってますね、お風呂のように。

赤ふんどしまでして、てるほが熱いお湯をいれて突っ込みをいれています。

本編

脚本は安藤豊弘さん、監督は山際監督です。

この話は、長太郎と公一の友情にクローズアップした話で、大好きな話の一つです。

公一のてるほへの仄かな恋心はこれまでにも、少しずつ見せてきましたが、今回はかなりはっきりと描かれています。

てるほへのスカートめくりをする悪ガキ達が登場してくるのですが、公一の目の前でやられたことに助けにきた長太郎が怒るんですね。

公一のひ弱さが出ていて、公一が「モヤシ」って言われているところが出ています。

この後で公一が家の配達をしていところで、悪ガキのリーダーの五郎にまた嫌がらせを受けています。

そこにヒトミちゃんが奥から駆けつけてきてくれていますね。

こういう、さりげなく長太郎が知らないところで、公一の周りに起きた出来事を他のみんなが分かっていることが、長太郎と公一の二人で起きた問題を周囲が理解して見守っているという構図が出来上がっています。

また、父ちゃんが帰ってきて、てるほから公一と長太郎の喧嘩のことを聞いた父ちゃんが、割れた皿を例えに出して公一との仲が割れた皿と同じになる前に謝って来いと言われます。

素直に長太郎は謝りに行く途中で、柔道道場の稽古を見て、五郎の強い兄を見るのですが、ここで五郎の兄が礼儀正しい柔道の少年だというのが分かるのですね。

五郎が強い兄を賞賛している姿も同時に見せて、五郎が兄を尊敬して慕っているのも分かります。

公一は五郎達に歯向かえない理由として、柔道の強い兄がいることを挙げているのですが、ここでも公一の情報屋としての情報収集能力の高さがあることが分かります。

素直に謝りに来た長太郎ですが、公一は母親にも気弱な性格を死んだ父親の比較されて責められたのもあって、謝りにきた長太郎に対して許さない態度をとります。

ここから、すぐに仲直り出来ると思っている長太郎と、許さないと決めた公一との温度差が生まれてきます。

だんだんと公一に感化されて長太郎も公一を許せないという気持ちになってきます。

決定的なのが、公一がヒトミちゃん達に頼まれていた長太郎への伝言を言わなかったことです。

長太郎が公一の店に来て、ヒトミちゃんの家への配達物を見て配達したことで、公一が黙っていたことが分かって、長太郎が公一がその気ならと絶交を言い放ちます。

その前に公一があまりの悔しさに悶えていると、五郎たちが目に入り、公一は石を投げて五郎の頭に当ててしまっています。

石を当てることはいけないことですが、公一のどうしようもない何処にもぶつけられない悔しさ、自分に対する惨めさはかなり大きく伝わってくるのです。

公一と長太郎の仲を心配する正彦とヒトミちゃん。

五郎に石をぶつけたことで五郎の兄が落とし前をつけるというので、公一が自分がしたことだからと一人で解決にいくといいますが、正彦とヒトミちゃん、てるほは長太郎に助けに行くことを促します。

意地を張っていた長太郎にてるほが言う言葉が長太郎の意地よりも義理を呼び起こします。

長太郎も公一も相手に腹を立てて、喧嘩をしたり、意地悪をしたりしても、相手が本当にピンチになって大変な場面に立たされると、いてもたってもいられなくなって自分の身よりも相手の身のことを思って、怖さよりも助けたいという気持ちが強くなって助けに行くところが、二人の仲の良さを感じます。

長太郎が自分がやってないことを一言も言い訳もせずに認め、相手の気が済むまで殴ることを受け入れ、公一がそれを見て自分がしたことを言って、長太郎の代わりに殴られると言う。

臆病で、気弱な「モヤシ」と言われてる公一が、それまで自分の弱さに悔しさを感じていたモヤシ、公一が長太郎のために殴られるのを覚悟で、出てくることがどれだけの勇気が必要だったかと思うと、公一の勇気と強さに「すごい」と感じてしまいます。

それまで、弟を傷つけて逃げた長太郎を卑怯者と呼んでいた五郎の兄が、

 五郎は黙ってろ。二人とも、もういい。謝ってくれればそれでいい。見ろよ、お前のへなちょこの腕じゃたいした怪我してないよ。もう、いいんだよ。いい友達持っているな。羨ましいぜ。おい、見ろ。この二人は立派じゃないか。本当は悪いのはお前たちじゃないのか?

五郎の兄がむやみな乱暴者ではなく、ちゃんとした人であるのは、長太郎がみた柔道の稽古の様子からも分かりましたが、それがここの最後の結末でちゃんと生きているんですね。

物分りのいい年配者が出てきて、急速に平和に解決するというのは、安直に見える人もいるかもしれませんが、五郎の兄が急にいい人として出てきたのではなくて、ちゃんとその前に礼儀正しい面を少しでも出しているところが話に説得力を持たせています。

五郎の兄が出てくる場面は少ないのですが、その少ない中でも結末に納得させるだけの人物をしっかり出しているのですね。

公一の気持ちを中心にその気持ちに影響されて変化する長太郎の心と、父ちゃんの登場は少しだけでしたが、友情が割れた皿のように修復不可能になる前に、長太郎も公一も勇気を出して一番大事な友達を守ったのを見て、心配して駆けつけた公一の母ちゃんと同じくホッとしました。

帰り道の二人はいつもの二人に戻っていて、お互いに好きな女の子について、からかわれていました。

ここで、長太郎は公一が姉のてるほが好きなんだってことに気がついたようですね。

長太郎にからかわれて、公一も長太郎をヒトミちゃんのことでからかっています。

でも、相手を傷つけるものではないもので、二人の相手の気持ちを図る匙加減が心地いいラストです。

今回は、完全に夏の暑い日の撮影だったのだなって感じたのが、公一や長太郎の汗ですね。

また、正彦の髪の毛がすっきりしていたこと。

思い出深い夏の日の出来事の話だったなって思います。

収録DVD紹介

 

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD
 

 

夏休み

 

アバンタイトル

長太郎の蕎麦屋の出前から。

何段も重ねて、倒れそうで倒れないバランスで公道を自転車に乗って配達しています。途中で自転車を降りてヨタヨタと。

後ろでは公一がいて道を案内している感じです。

車の運転している人も巻き込んで、ちょっとしたドッキリの仕上げになっています。

本編

アイスを食べてドンペイの散歩をしている長太郎が本屋で地図を見ているヒトミちゃんと正彦を見つけて声をかけます。

夏休みに伊豆にヒトミちゃんと正彦が遊びにいくというのを聞いて、「自分も伊豆に行くから向こうで会える」っていう長太郎。

しかし、喜ぶ長太郎とは裏腹にヒトミちゃんと正彦は戸惑い顔。

長太郎が去った後で、正彦が言うですが、伊豆と言っても広いから必ず会えるわけでもないんですよね。

でも、ドラマだから会えちゃう。

で、ヒトミちゃんと正彦と別れた後で、公一に会って夏休みのうさぎ当番を変わってって言われて変わって上げるんですが、明日から伊豆に旅行に行くのに、なんで明日からの当番を変わるのよって、家で旅行の仕度をしているてるほと母ちゃんに言われてしまうんですよね。

さっき、公一に会う直前にヒトミちゃんと正彦に、自分も伊豆に旅行しに行くって言っていたくせに、困っている親友を見て、煽てられると自分の都合も考えずに引き受けてしまう長太郎は、馬鹿なのか、お人よしなのか。

長太郎は連絡網で電話をかけて、自分の代わりの飼育当番をしてくれるクラスメイトを探しますが、夏休みで留守の家が多くてつかまりません。

連絡網、懐かしいですね。

今の小学生の子達は知らない存在になっているのではないでしょうか?連絡網。

何年か前に小、中学校の連絡網が廃止されたことを耳にして、時代は変わっていったんだなって感じたことがあります。

馬鹿なのは長太郎だけではなくて、帰ってきた父ちゃんも仕事を引き受けてしまって、母ちゃんとてるほに怒れてしまいます。

いきなり旅行は延期だって言って、てるほはこの日程でないと夏期講習が始まって夏休みに旅行は出来なくなるし、母ちゃんは新婚旅行以来の旅行で楽しみにしていたのにって。

しかも、この旅行は父ちゃんの独断で、父ちゃんが大好きな鮎釣りも出来るからって決めた旅行なので、またまた父ちゃんの勝手な判断で延期なんてされたらたまったもんじゃないのです。

しかし、会社も明日から誰も職場にいなくなってしまうから、みんな夏休みの家族との予定があるからって、父ちゃんが休みの予定を変えて職場に出てくるっていうのも、そこで即時に判断して出勤することもあったのは分かるのですが、父ちゃんにも予定があって、それも家族と一緒なのに勝手に決めるのは、いくらなんでも勝手だなって思います。

ただ、私も仕事をするようなって分かったのですが、他の人達が休みたいという希望を優先して自分を後回しにして、仕事のシフトに入ったり、休みの日に急に休んだ人の代わりに仕事に入ることがあって、父ちゃんはデパートに勤めているので、カレンダーの祝休日通りに休めなくて、シフト勤務だと思うのですが、職場を回すために誰かが出勤してないと駄目ってことがあるのは仕方がないとも思うんです。

ただね、みんなの休みが集中してしまうところは、シフトを立てるのが難しいっていうのは分かるんですが、これはシフト表を作った人のミスだと思うんですよ。

部長がな、自分が休むことを計算にいれてなかったって、言うんでぃ

冒頭で、正彦も長太郎と同じ日に旅行に行くって会話をしていますが、正彦の父親は父ちゃんの上司の部長。

正彦の父親がシフトを作って自分が休むことを忘れてシフトを作った結果が父ちゃんに降りかかってきたんでしょうね。

普通だったら、職場の責任者で作った人が責任をとって出勤するもんだと思うんですが、父ちゃんのお人よしが出て、

「旅行を中止してしまったら正彦おぼっちゃんが可哀相です。あっしが代わりに出やしょう」

って引き受けてしまったんじゃないかなって、ドラマにはないけれどそんな父ちゃんの会社での姿が目に浮かびます。

翌日、うさぎの餌やりに学校へ行った長太郎。

佐々木先生は長太郎の話を聞いて長太郎を褒め、うさぎ当番を代わってくれるといってくれます。

父ちゃんも代わりに仕事をしてくれる人が出来て、二人は明日から伊豆に行くことに。

さあ、伊豆にやってきましたよ。

伊豆のロケは、当時、新聞の取材が来てロケの様子が記事になってました。

新聞の記事の切り抜きを『あばれはっちゃくデーター』さんのファンサイトで紹介されていたのを見て知ったのですが、夜中まで続いた収録の様子や子ども達のファンの様子が写真付で紹介されていて、『俺はあばれはっちゃく』の人気の高さ、注目度を改めて知りました。

『俺はあばれはっちゃく』は、元々全26話、2クールで終わる予定のドラマだったのです。

これは、DVD特典のブックレットにある長太郎役の吉田友紀さんがインタビューで話されています。

ロケでは伊豆(25話)が印象に残っていますね。はっちゃくはもともと26本だったんです。子供ながらに視聴率を気にしてまして、1話目が5.4%で第2話が5.0%で…それが10話を超えるあたりから10%に届いて、20話の頃には20%をうかがえる位置に来たんです。何しろ「クイズダービー」が36%あった時代だし、江川が巨人に入団した年でしたから…オレ今でも江川嫌いですもん(笑)江川が登板すると数字がガクッと下がるんです。

それでも10%を切ることはなかったんですね。それで番組延長が決まって、そのご褒美が伊豆のロケだったんです。このときは旅館にファンの方が多く集まってくれて嬉しかったですね。 

 

激戦区の土曜日の夜の時間帯で、強力な裏番組を持ちながら高視聴率を出し始めて、人気が高まり、番組延長が決まっての伊豆のロケだったんですね。

新聞記事にもなって、ファンの人達がきて、『俺はあばれはっちゃく』が1年間のドラマになって、さらにシリーズ化されて、その後子役達を代替わりさせながら、この後1985年までの6年間も続く作品となっていった『あばれはっちゃく』ですが、この25話の伊豆でのロケ決定が今後も『あばれはっちゃく』のドラマを続けていく決断の決定でもあったんだなってことが分かります。

それは、上で紹介した吉田さんの言葉でも分かりますが、この後にドラマを見ていくと、後に続く2代目『男!あばれはっちゃく』の下準備期間に入っていったことが分かってくるのです。

そのことに関しては、またそれが分かる話が来たときに。

では、25話の話に戻ります。

伊豆に来た父ちゃんと長太郎ですが、物取りにあって文無しに。

一応、警察には届けるものの、さて小銭しか持ってない状態で今日の宿をどうするか?となりホテルの案内係仕募集の張り紙見て、仕事をすることに。

ここで、父ちゃんの年齢の見当がつきます。

「案内係募集」

年令三〇~四五才男子

パート可

条件運転免許他本細面談

 ホテルサンバレー

父ちゃんは6話で午年なのは分かっているので、仕事募集の張り紙の年齢条件と照らし合わせると、37歳ってことになります。

『俺はあばれはっちゃく』は1979年の話ですから、1979年で午年の人で小学生と中学生の子どもがいる年齢を考えると、1942年生まれの37歳か、1930年生まれの49歳の可能性が高くなるのですが、募集の年齢の枠に入るのが1942年生まれの37歳だけなので、父ちゃんの年齢は演じた東野英心さんと同じ1942年生まれの37歳になるんですね。

私は『俺はあばれはっちゃく』の年齢設定資料は持っていないのですが、ドラマの中にある情報である程度の推測を立てることで、見えてくることがあります。

なんというか、今回の話は長太郎と父ちゃんの人の良さが裏目に出て、二人が辛い思いをすることが多くあって、ホテルの案内係で仕事をする長太郎と父ちゃんがそのホテルに宿泊することになった母ちゃんやてるほ、ヒトミちゃん家族と正彦親子に悔しい思いをさせられるのが、面白さよりも可哀相だなって感じてしまいました。

仕事でヒトミちゃん達を案内しながら、正彦と仲良くしているヒトミちゃんを見るしかないのって辛いですよね。

母ちゃん達は民宿をキャンセルしてホテルの一番いい部屋に泊まることになって、父ちゃんも長太郎もまさか自分達が働いているホテルに母ちゃんとてるほが泊まっているとは思ってなかっただろうし、二人が家にいると思っている母ちゃんとてるほも二人が夕食を運んできて驚いたでしょうね。

母ちゃんの言い訳も、豪華な夕食を運んできた父ちゃんと長太郎には言い訳にしか聞こえなくても仕方がないかなって思ったりして、みんなが同じホテルに集まってくるのも、このホテルでロケをしたからってことが、新聞記事を読んで分かりました。

このホテルでロケすることが決まっていたからの、張り紙仕事募集、その仕事をするための盗難被害にあうってことだったんですね。

長太郎と父ちゃんのお金と荷物を盗んだ泥棒を演じたのは、久里みのるさん。

母ちゃん役の久里千春さんの実弟です。

佐々木先生と公一はロケの伊豆には行きませんでしたが、桜間家、ヒトミちゃん一家、正彦親子が伊豆にやってきて、夏休み近くのその日の伊豆はファンの子供達にとっては、ものすごい日だったんだろうなって思います。

伊豆の風景、父ちゃんが拘った鮎釣りの風景も写り、ホテルの敷地内の池での長太郎と泥棒のアクションシーンでの体を張った夜遅くまでの収録の模様も新聞に取材されていて、夏の日の熱気を感じる話です。

長太郎と父ちゃんを面白く?使うために、父ちゃんと長太郎の人の良さをうまく使って、さらには泥棒を捕まえることの意味を持たせて、長太郎の活躍する見せ場を見せているところの見せ場があるところはいいなって思います。

長太郎と父ちゃんに突っ込みどころは満載にあるんですけれども、ああ、この二人らしいなって思えて、二人がタフなので可哀相だなって思っても、どこかで安心して見ていられるのがあるのが、半年近く長太郎と父ちゃんの強さを見てきた私達視聴者にあったんじゃないかなって思います。

父ちゃんと長太郎が気の毒だった分、後半の活躍で面目躍如になったのは嬉しく感じましたし、それまでのストレスが解消されて良かったなって思いました。

収録DVD紹介

 

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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デート

 

アバンタイトル

今回はドンペイと一緒。

これは、長太郎以外に仕掛け人がいるタイプの珍しいパターンですね。

ドンペイをつれて、宝探しです。

本編

 さて、本編はてるほの中学の登校風景から始まる24話。今回はゲストにてるほの同級生役で親友役で高見知佳さんが出演しています。役名も「タカギ チカ」で、一文字違い。

てるほに見惚れている転校生の北野君に声をかけてます。てるほに恋する転校生北野君、その転校生に積極的にアプローチしてくるチカ。今回は、このてるほの同級生の恋愛関係に長太郎が関わってくる話です。

さて、てるほの中学の登校風景から場面が変わって、長太郎たちの小学校の場面ですもうすぐ夏休みということで、佐々木先生がみんなに注意喚起をしています。長太郎は夏休みの宿題を少なくしてとリクエスト。

長太郎らしいですね。

さて、休み時間になって、長太郎がヒトミちゃんを夏休みに江ノ島にいこうと誘っています。長太郎は夏休みにヒトミちゃんと二人きりでデートするつもりで誘っているんですが、ヒトミちゃんは、正彦、公一、恵子ちゃん達にも話して、みんなで遊びにいくつもりでいます。

長太郎が二人きりでいきたいことが分かると、ヒトミちゃんが誘いを快諾したのを翻して、「考えとく」と言って、恵子ちゃんといってしまいます。さて、ここで正彦がデートの達人として、長太郎にレクチャーをしています。

東京では女の子とちょくちょくデートしていた正彦。デートをするなら、費用は全部男持ち、それだけの小遣いがあるのかいって言い切るあたり、正彦のませっぷりが分かります。

長太郎は小遣い出して、地図出して、ヒトミちゃんとのデートプランを立てています。ビフテキを食べてと、なんだか時代を感じます。長太郎の積極性、正彦のませっぷりを見ていくと、最初に出てきたてるほに恋する北野君の奥手ぶりが際立ちます。

奥手な北野君は、てるほが好きで桜間家の玄関先でうろちょろしていて、父ちゃんと長太郎に見つかって不審者扱いされています。家までくるところが積極的なのか、消極的なのか分からない北野君ですが、長太郎と正彦が恋愛に対して、進んでいるんでしょうね。

さて、北野君の登場で父ちゃんが、てるほの身の心配をしています。父ちゃんはこれまでを見てきても、てるほ贔屓ですし、年頃の娘を持つ父親としては悪い虫がつくことが気が気でなくて心配です。その父ちゃんの心配を使って、ヒトミちゃんとのデート代を稼ぐことを思いついた長太郎。

さらに、北野君のアプローチに困っているてるほと、北野君に振り向いてほしいチカにも北野君の気持ちを変えるアイディアを提供して、さらにデート代を稼ぐことを思いつく長太郎ですが、これもうまくはいきません。

北野君の立場から見ると、確かに長太郎のアイディアは、酷く北野君の感情を傷つけているんですよね。作戦が失敗して、落ち込んでいる長太郎に公一がヒトミちゃんが中学生と付き合っていると報告。

さっそく、公一に連れられてその中学生と会っているヒトミちゃんがいる公園に急行。そこにいたのは、ヒトミちゃんと北野君。なんと、北野君はヒトミちゃんの親戚。年下の小学生の親戚の女の子に恋愛相談をしている北野君。

てるほと北野君を仲良くさせてくれたら、江ノ島に行ってあげるって言われて、あっさりとそれを快諾してしまう長太郎の弱さ。

長太郎の打算的な考えが結果、人の気持ちをもてあそぶことになり、アブ蜂とらずで破綻してしまうところが、なかなか物事思い通りにはいかないんだなって思います。

今回は特に恋愛がクローズアップされていて、てるほが弟長太郎の恋心を名前を伏せて学校放送にのせて紹介していたり、ませた小学生の長太郎達の恋愛への積極性と、中学生のてるほ達の恋愛に対してのチカ以外の恋愛感情に対して戸惑っている姿が対比されて書かれているなって思います。

長太郎達小学生の方が、自分達の感情に対してとても正直にはっきりとしているんです。これは、長太郎に限らなくて、正彦も、ヒトミちゃんも、公一も同じ。

公一は恋愛関係に入ってはこないんですが、もうそういう関係の情報は迷いなく、逐一長太郎に報告して、関係を発展したり、ややこしくするのは第3話からですし、ヒトミちゃんも長太郎への好意を分かった上で、長太郎の気持ちを利用して、親戚の北野君のことをお願いしていたりするし、正彦は長太郎よりも経験の差を見せびらかしていたりして上から目線でデートのアドバイスをしてくるという、そして、長太郎はヒトミちゃんとの夏休みデートの目的のために、見境なく作戦を立てていく。

一方、北野君の気持ちに困っているてるほと、北野君に振り向いて欲しいけれど、自分とタイプの違うてるほが好きな北野君に望みなしと積極的な性格に似合わず、諦めきみなチカと、好きだけどどうやって接していけば分からないでいる北野君が、それぞれに小学生の弟長太郎、親戚のヒトミちゃんに相談をしているところが、小学生の恋愛と中学生の恋愛の違いになっているって感じます。

相手を傷つけないように穏便にすませたいという気持ちが中学生側にあるのに、それが結果的に相手を傷つけることへつながっていく、それは小学生の長太郎の作戦にのったものの、ボロを出している中学生側のてるほとチカにあったりするんですが、結局は誤魔化しや姑息な手段を使った結果なんだなって思います。

「嫌い」「嫌だ」って感情を好意を持っている相手に言うことに対して、抵抗があるというのは、優しさに見えて実は、自分のことを考えているだけなのかな?って思うんです。

ヒトミちゃんの正直に言う言葉のほうが、はっきりしていて、変な誤解を生むことはないんだなって、今回は思いました。

要所、要所で面白いところはありますが、今回は全体的にまとまりが悪いように感じます。それでも、ヒトミちゃん、てるほ、チカと水着姿が見られるところは、とても可愛いです。

結果的に長太郎のあわよくばという目論見も失敗に終わってしまい、長太郎には散々で、自分の恋路をどうにかするだけでも大変なのに、人の恋路に入り込むのは、難しいってことなんだなって感じます。

人に頼んでおいて、思い通りに行かなくて長太郎に詰め寄るのも、どうなのかなって、てるほや北野君、自分に都合よく考えるチカに対して思ったりもしました。

さて、次回は夏休み。

江ノ島ではなくて、伊豆への旅行、ロケになっています。このロケは、ご褒美ロケだったんです。

詳しくは来週で。

収録DVD紹介

 

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD
 

 

七夕

 

アバンタイトル

今回も長太郎が空を目指していくもの、今回は長太郎が今度は風船ガムで空を目指します。

今回のアバンはかなり飛躍していて、長太郎本人も突っ込みをいれています。

本編

1979年7月7日に放送された『俺はあばれはっちゃく』は、七夕にちなんで『たなばた幽霊マル秘作戦』。

父ちゃんがお寿司を買ってくるのを待っていた、長太郎、てるほ、母ちゃんですが、父ちゃんは竹林を酔っぱらって、歌を歌ってご機嫌で歩いて時に幽霊に遭遇して驚き、お土産のお寿司を落として一目散に逃げてしまいます。

てるほが一番、お寿司を期待していたようで、お寿司をあてにしてご飯を半分しか食べてなかったりしたので、食べられなかったことに対してがっかりしてます。

竹林で父ちゃんが目撃した幽霊が今回の七夕と結びついていきます。

さて、皆さんは七夕に願いを書く由来をご存知ですか?

この話では、佐々木先生が授業で七夕も含めた「五節句」について説明をしてくれています。

1月7日は七草、3月3日は桃の節句だ。5月5日は端午の節句、9月9日は重陽節句、ちょっと難しいかな。つまり菊の節句のことだ。そして、7月7日が七夕ということになる。これを五節句と言うんだな。

 この後に、天の川の説明へと繋がってから、七夕の意味を説明します。

彦星と織姫が年に1度のデートをする。この七夕の日に女の子は「裁縫が上手になりますように」と、庭にお香を焚いて五色の短冊に歌を託して、竹につけて立てて願う行事だったんだ。

 調べてみると、この佐々木先生の話してくれた話は本当のことで、合わせて五節句の説明も同じです。

『俺はあばれはっちゃく』の中では、現実の知識もこうして教えてくれます。

七夕に願い事を託すのは、本来は裁縫が得意な織姫にあやかって、裁縫が上手になるようにと願っていたのが、段々とお願いが拡大されていったようです。

長太郎の小学校では、七夕祭りをすることになっていて、クラス単位で七夕飾りをするらしく、その七夕飾りの竹の調達は、ヒトミちゃんの仕事になっていて、七夕の説明をした後で、ヒトミちゃんに竹のことを念押しします。

朝の登校から元気のないヒトミちゃんでしたが、佐々木先生から七夕祭りの竹のことを改めて頼まれて、朝以上に元気が低くなっています。

このヒトミちゃんの変化に気がついたのが、正彦。

正彦と恵子ちゃん、公一でヒトミちゃんの元気のない理由を聞き出します。

ここに、長太郎がいないのが謎です。

ヒトミちゃんの元気がないのは、惚れ込んだ竹林の竹を所有者のおばあさんに譲ってもらおうとお願いをしたら、幽霊退治を以来されたから。

正彦はそれを聞いて、幽霊退治をすると言い出しますが、公一は長太郎に話したほうがいいと呟きます。

この竹林の幽霊退治が父ちゃんの冒頭で見た幽霊と結びついています。

ヒトミちゃん、正彦、恵子ちゃん、公一の4人が幽霊退治に向かう中、桜間家では長太郎が七夕飾りをしている母ちゃんとてるほの邪魔をしています。

長太郎に短冊の願いを読まれた、てるほが怒って

願い事を口に出して言われたら、願いが叶わなくなるんだから! 

 って長太郎に言いますが、この話は私も小さい時に聞いたことがあります。

もしかしたら、4歳の時にこの「たなばた幽霊」の話を見た記憶だったのかもしれません。

願い事を口に出してはいけないっていうのは、最近では知らない人が多いのかなって思うこともあります。

動画サイトなどで、他人の願い事を紹介している人も見かけますから。

もっとも、時代や年代、土地による違いもありますし、願い事が無効になるのも確認のしようがないので、一概にダメなこと、タブーとされているとは言い切れないとも思いますが。

結局、4人では幽霊退治が出来なかったので、長太郎に幽霊騒ぎの話をして、助けを求めにきます。

ここでは、正彦の強がりの言葉がその前の幽霊に驚いた正彦の姿と対比されて、その落差が面白いですね。

竹に拘るヒトミちゃんと、竹にも七夕にも拘らずにいる長太郎。

長太郎は佐々木先生の説明から、七夕が女の子の祭りということで、男の子の自分とは関係ないと考えているので、ヒトミちゃんとの温度差があります。

ヒトミちゃんも頑固で、惚れた竹に拘っていて、その拘りに長太郎が答える形で幽霊退治をかってでます。

七夕祭りのためではなくて、ヒトミちゃんのために動くあたりが長太郎らしいのですが、今回は女の子の祭りと七夕に関心がなくても、ヒトミちゃんに元気がないのに気にしてなかったりと長太郎の行動に少し疑問が残ります。

今の時代なら、七夕を「女の子の祭り」と言って興味を示さない、一歩引いてみている長太郎は、女性差別と言われてしまうかもしれません。

ただ、ここで思うのは長太郎の場合、男女の区別をつけているだけで、女性差別はしてないんじゃないかなってことです。

10話で朝比奈の爺さんが、息子が女性の下着会社に就職したのを快く思ってなかったのを、女性の下着を作る会社がないと、ヒトミちゃんが困るって、朝比奈の爺さんに怒っているように、7話で女の子を襲う痴漢に怒り、退治しているように、女の子、特に好きな女の子は男が守るという考えが長太郎にはあるように思うからです。

人や性別によって担う能力や社会での役割の適材適所があって、男の自分は、元々が女の子が裁縫を願う女の子のためのものだった七夕を男がその領域を侵してはいけないという気持ちから、関心が低かったのではないか?と考えます。

ただ、男の人でも裁縫ができるのには、越したことがないとも思えますが。

男は男らしく、女は女らしく役割を分けることと、性別で仕事を分けることというのは、性差別に繋がりかねない危険があって、男らしい、女らしいも安易に言える社会ではなくなりました。

性別による差別は許されない差別の1つですが、なんでもかんでも男女平等というのもまた違うように思います。

体のつくりも違いますし、人間だからといって誰もの能力が平等に同じにあるとは限らないからです。

この夜に彦星になって織姫のヒトミちゃんと天の川でデートをする夢を見る長太郎。

目が覚めた長太郎が手を股間にやって、「やべぇ」って言うんですけど、この場面、天の川でデート、川、水辺という発想でって考えると、長太郎がおねしょをした場面に見えなくもないのですが、授業で長太郎は天の川の説明を佐々木先生から聞いていて、星の集まりだと知っていますので、夢の中で川で溺れていたとしても、単純に水関連の夢といっていいのかな?って考えてしまいます。

むしろ、1年に1回のデートと浮き浮きしている彦星長太郎が、大好きな織姫のヒトミ姫に会える恋心の嬉しさもあったりするのではないでしょうか?

長太郎は小学5年生なので、精通している可能性もあり、好きな女の子の夢を見ての「夢精」の可能性もないとは言い切れないのです。

ただ、ドラマを見ている限りでは、最初のおねしょ説が有力で、この話でこの長太郎の夢と夢から覚めた後のところは、七夕の話ならではサービスと息抜きの場面で、今回の話の中で、重要ではないのですが、大人になって見返してみて、夢精の可能性もあると見ると、男女の体の区別が生まれてくる小学高学年の男女差を表現していたと思えてくるのです。

そうなると、七夕を女の子の祭りと言っていて、関心がない理由と合わせて、社会での男女の役割による区別と体の仕組みの違いの区別によって、男女が分かれることが出てくるということを伝えているように思います。

幽霊の正体を見破り、幽霊騒動を起こした竹林の持ち主のミハルさんは、度胸のある子どもを探していたことを知った長太郎。

ミハルさんの言葉や求めていた子どもの姿を知ると、この時代の現代っ子に対しての年配者の意識が1話と10話に登場した朝比奈の爺さんに通じていると感じます。

あばれはっちゃく』が1970年~1972年に読売少年少女新聞に連載されてから、26年後に1996年に出版された『あばれはっちゃく』(理論社)には作者の山中恒先生の次の言葉があります。

あばれはっちゃく (山中恒よみもの文庫)

あばれはっちゃく (山中恒よみもの文庫)

 

はじめに‐‐‐作者から

あばれはっちゃく」というのは、手のつけられないあばれものという意味だそうです。知り合いのおばあさんが教えてくれました。そのおばあさんのいなかの方言だそうです。

「そういや、ちかごろはあばれはっちゃくな子どもがいないね。みんなぎょうぎがよくて、モヤシみたいだよ」

 ともいいました。でも、ぼくはそうは思いません。きっと、この物語の主人公・桜間長太郎くんのような「あばれはっちゃく」がみんなさんがたのなかにもいると思います。

この「はじめに」の作者の言葉だけは、1996年に書き足された言葉で、新聞連載の時代、ドラマになっていた時代よりも、ずっと後の時代にも、長太郎のような存在がいると信じて書いた山中先生の言葉だと受け止めました。

ドラマ化されていた時代でも、さらに「あばれはっちゃく」の数が少なくなりつつある時代だったと思いますが、破天荒だけど、義理堅くて、面倒見がよい長太郎の存在や肝が据わった度胸のある子どもの存在のあり方を、行儀がよいだけの人間だけでは足りない部分をドラマも伝えていたように思います。

長太郎が今回、興味がないことで動いたのは、ヒトミちゃんのためで、この話の中では、長太郎のような子どもを求めていたミハルさんのためにも働いてくれます。

長太郎はミハルさんの夫が生前に枯れ井戸へ捨てた物をミハルさんの頼みで、ミハルさんの庭の枯れ井戸の中へ取りに行ったのです。

優しさとともに枯れ井戸へ降りる勇気もある子を探していたんですね。

長太郎は、降りた井戸の中でミハルさんの夫が生前に口にしなかったミハルさんへの感謝を綴った手紙を見つけてきます。

死後に夫の自分への愛情を知ったミハルさんは涙を流します。

ここに夫の男ゆえの見得、意地っ張りな性格が出ていて、この時代の年代の老人が鼻の下を伸ばして妻にデレデレするのが恥ずかしいという長太郎よりも、さらにはっきりした男女の区別をつけていたのが分かります。

長太郎は、そういう男だからと感情を体面や照れで言わないことを、難しくてややこしいと言っていて、男女の区別を持っていながらも、年配の人とはその区別が違うか、緩やかになっているのが伺えます。

織姫と彦星の七夕に合わせて、夫が生きている間は素直に妻に伝えられなかった愛情が伝わったというところで、二人が生と死で分かれても、心が通じ合えて、ミハルさんは夫に心の中で出会えたように思いました。

今回は長太郎とヒトミちゃんが彦星と織姫ではなくて、ミハルさんとその亡くなった夫が織姫と彦星だったのかもしれません。

最後に長太郎がヒトミちゃんへの常日頃の思いを七夕飾りの手作りのくす玉に託して思いをみんなの前で堂々と伝えるところは、ミハルさんの夫との対比があって、同じ女性を愛する男でも、生まれて生きてきた時代の違いによる年配の男性と小学生の男の子の違いが出てるなって思います。

夏、七夕、肝試しと季節を満載に取り入れた今回の話は、男女の違いや役割、現代にも長太郎のような存在が必要で、そういう義理堅い人間が若い世代にはいないと嘆かれても、君たちの世代にも、ひょっとしたら君が長太郎のような存在でいて、そんなに人間捨てたものじゃないんだよってことが詰まっている話だと感じました。

収録DVD紹介

 

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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  • 発売日: 2005/03/25
  • メディア: DVD
 

 

移行

これまで長年使ってきた『はてなダイアリー』から、この『はてなブログ』へ移行してきました。

一度、試しに移行したことはありましたが、長年の使い勝手や愛着からダイアリーに戻ってましたが、ダイアリーでカウンターが使えなくなるということなので、これを機会に移行することを決めました。

まだ、こちらの使い方が分からない部分はありますが、12年間のはてなダイアリーの記録のインポートも全て出来たのに安心して、以後はこちらで『柿の葉日記』を継続していきたいと思います。

人を大切にしないのは、事件の種をつくること

アバンタイトル

サーフィンをしている長太郎から。夏ですね。背景の海の絵を引いていくと、「夏のバーゲンセール」という文字とヨットを引いている公一の姿が。
ヨットは簡単な作りですが、長太郎の宝物のヨットを思わせますね。

本編

今回は、長太郎を騙して佐々木先生のところに遊びにいくといいつつ、勉強をさせることにしています。
みんなに騙されて長太郎のショック。
今回は、長太郎を騙したことで、正彦、ヒトミちゃん、公一、恵子ちゃん、明子、小百合が怒られます。
ヒトミちゃんという弱みを使って、勉強だと分かった途端に長太郎を上から目線で見下している明子と恵子ちゃん。
長太郎に勉強をさせるのなら、騙してもいいと思っているところが、良くないですよね。

怒りで帰ってきて、ドンペイにクレヨンで描いたみんなの顔を見せてますが、それぞれの特徴が出ていて似てますね。この後にドンペイにいう、友達のキャッチフレーズ?が酷いんですが、こちらも的を得ています。
その後で、母ちゃんに頼まれて父ちゃんの会社にお使いにいく長太郎ですが、正彦の父親に「遅い」と怒られて、嫌な気分になります。
そこへ業者の人が来て、正彦の父親に怒られています。

この業者のおじさんが今回の話の騒動を起こすゲスト人物です。
長太郎は、みんなに騙されたこと、お使いをして届け物を届けて正彦の父親に怒られたことで、自分の気持ちを踏み握られたことで、騒動を起こして、父ちゃんたちに怒られて、正彦の家に謝りにいくことになり、正彦に間違えられて誘拐されるのですが、その誘拐した正彦の父親に怒れた人も、本人が悪くないのに一方的に悪いこと、間違っていないのに間違っていると言われて、気持ちを踏みにじられたことが事件をする動機になっています。

相手が間違っている、時間までに来てくれない、自分が正しくて相手が間違っている、自分が間違っている可能性を考えないという、絶対的に自分は正しいところにいるから、相手を見下したり、罵倒してもいいという考えが、長太郎と誘拐犯になった業者を傷つけた長太郎の友達や正彦の父親に共通した考えにあり、相手を傷つけているという共通点があります。
15話と21話でもありましたが、今回も電話口で長太郎が声真似をしていて、長太郎の声真似の特技を聞くことが出来ます。

誘拐されて、長太郎のいたずら電話だと見抜かれて、父ちゃんが山本さんと長太郎をとっちめると誘拐犯に指示された場所へ行きますが、誘拐犯がやはり出来ないと戻ってしまったのを、誘拐犯の犯行動機を聞いた長太郎が再挑戦をするように説得します。
誘拐というのは、当然悪いことですが、今回は人を傷つける可能性を認識していても、それは相手のためだったり、自分が正しければ正当化されるという人の気持ちを考えない、上位主義が長太郎のいたずら電話や誘拐という事件を引き起こしているように感じます。

理由なき犯罪もありますが、相手にいたずら電話させる、誘拐させる原因を作っているのは、正しく間違っていないと思って人を傷つけている人達の心無い行動が原因にあるように感じます。
誘拐を長太郎のいたずらだと思い込んでいて、長太郎が誘拐される訳がないと、ヒトミちゃんの目撃も一笑に付した父ちゃんや正彦、公一ですが、本当に誘拐されたのを知って、父ちゃんは慌ててしまいます。この時は、気が気ではなかったでしょうね。

今回は、途中でヒトミちゃんが、本当に長太郎が誘拐されたと知り、心配したところは、ヒトミちゃんが可哀相でしたが、冒頭の長太郎を佐々木先生の家に誘い出すヒトミちゃんの言葉とあわせて、話の最後のヒトミちゃんの言葉を聞くと、冒頭のヒトミちゃんの言葉が実は本心だったんじゃないかな?って思えてきます。

「わたし、あなたがこないとさみしいわ」「わたし、本当に心配したんだから」

相手が悪くて自分が正しい、だから、騙しても、傷つけて自分の職権、立場をつかって仕事を辞めさせても、いいんだと相手の心や社会的立場を奪ってもいいというのは、傲慢な考えだということ、その踏みにじられた相手の悲しく悔しい気持ちが事件を起こすことを見て、人を大切にする心を感じた話でした。

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俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 1

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切手コレクション

アバンタイトル

スーパーマンの格好で大砲に入って、空を飛ぶことを目指す長太郎のアバンタイトルからスタート。長太郎の空を目指す挑戦は、かなり大掛かりになってきました。

本編

長太郎がヤギを学校に持ってきて、大騒ぎ。佐々木先生の言葉も納得です。ヤギ飼いのアルバイトらしいのですが、なんでそんなイレギュラーのことをするのかと。

休み時間に、コレクションの切手を正彦に鑑定してもらっているヒトミちゃん。この2人以外にも長太郎以外のいつもの面子、恵子ちゃん、公一、明子、小百合達の間では、切手がブームになっていて、盛り上がっています。

切手一枚に高い値がついているということに、信じられない長太郎ですが、切手の価値を聞いて、ヤギのバイトよりも儲かると売ることをヒトミちゃんに勧めますが、ヒトミちゃんは拒否。

そんなことをしている間に長太郎のヤギがヒトミちゃんの切手を食べてしまうという事件が発生。もうね、今回のヤギのバイトという無茶は、ヒトミちゃんの切手を食べる事件を起こすためにあったといっても過言ではない。

ヒトミちゃんの切手は、フランスの古い切手でコレクション価値の高い貴重なものであるというのもあるのですが、ヒトミちゃんが誕生日に両親からもらった大切な幸福の切手という価値があって、ヒトミちゃんの落ち込みが大きくなっています。

長太郎は、ヒトミちゃんの切手を取り戻すために、公一と一緒に切手探しに奔走して、フランス人のフランスの大臣を務めたペペールさんが持っているらしいことまで突き止め、たまたま来日しているというぺペールさんのとこまで公一と行きますが、途中で公一は逃げてしまいます。公一の気持ちも分からなくもない、

「都合のいいときだけ、親友なんだから」

って言いながら、長太郎にここまで付き合っただけでも、えらい。しかし、長太郎はつまみ出されてしまいます。諦めかけたときに、家に戻ってヤギに餌をあげていると、首輪にヒトミちゃんの切手を発見。

喜び勇んで、ヒトミちゃんに届けにいって、めでたし、めでたしだと思いきや、返した後でヤギに食べられてしまうという展開に。ああ、ヒトミちゃんに謝るためとはいえ、またヤギを連れてくるから。

ヒトミちゃんは泣き出すし、買い物から帰ってきたヒトミちゃんのママに長太郎は大根で叩かれるし……。
幸福な切手がヤギに食べられたことを聞いて、ヒトミちゃんのママは、ヒトミちゃんを怒った後で、

「あなたに怒ってもしょうがないわ。はっちゃくのせいね、ああ、幸福の切手が食べられるなんて、不吉な出来事の前触れだわ」

なんて言っちゃうし。それに対してヒトミちゃんが

「よして、たかが切手一枚で、人が幸福になったり、不幸になったりするわけないわ。迷信よ」

ヒトミちゃんは、切手を食べられて落ち込んだり、泣いたりしたけれども、長太郎を責めることはこの話の中で一度もしていません。

それどころか、必死で切手を探してヒトミちゃんを気遣う長太郎に対して、優しさを見せています。ヒトミちゃんのママが、全部を長太郎のせいにしたら、ちゃんとママに対して怒っているし、長太郎に対しても

「切手を持ってきた自分の責任」

と言っています。ヒトミちゃんは、本当に相手が悪いことをしていて、原因の時は相手のことを強く責めますが、そうでない時には人を責めないし、なんでもかんでも長太郎のせいにする人達に対しても、反論して長太郎を庇ってくれます。

これは、原作のヒトミちゃんも同じで、ドラマもこの辺りからヒトミちゃんの優しさと正義感がより原作のヒトミちゃんに近づいてきたように思います。

この話は、ドラマオリジナルですが、ヒトミちゃんが持つ正義感というか、ヒトミちゃんが生きていくうえでのポリシー、筋の通し方、心の持ちよう、信念は原作のヒトミちゃんに近づいていると感じます。

切手一枚で人が幸せになったり、不幸になったりなんて、確かにヒトミちゃんのいうように迷信だと思いますが、この話ではそれで落ち込んだり、喜んだりしていて、ヒトミちゃんと長太郎の感情を大きく揺さぶっています。

本当に切手を食べられて、長太郎はもう一度、ぺペールさんに頼みにいきます。長太郎の宝物、父ちゃんが誕生日の時に作ってくれたヨットを持ち出して、お小遣いも全財産持ち出して、毎日、一生かけて足りない分を払っていくということまで言って、ぺペールさんにお願いします。ぺペールさんは、「困ります」と言って、車を出して去ってしまいますが……。

どんなにお金を出しても、お気に入りのヒトミちゃんと同じ切手を手放さないと言っていたぺペールさんでしたが、翌日長太郎の家にやってきます。ぺペールさんは長太郎の優しさに感動して、切手をプレゼントしますと長太郎に切手を渡します。

今回は、ヤギ飼いのアルバイトで勝手にヤギを預かったことや、今回の切手騒動でかなり長太郎に対して厳しく怒っていた父ちゃんですが、訪問してきたぺペールさんと意気投合しています。ぺペールさんは、小さな船の模型を持ち出し、亡き父親の思い出を語ります。

長太郎が父ちゃんにヨットの模型を作ってもらったのと同じように、ぺペールさんも少年時代に父親に船の模型を作ってもらって、大事にしていたのです。父ちゃんがその船の模型を見て、しっかりと細工されて作られている船に感心をしています。父ちゃんが感心するほどの精巧な模型。

「もう、父は亡くなってしまいましたが、これは(船の模型)僕の一番大事な物です。はっちゃくもこのヨットは世界に2つとない宝物といいながら、それを人のために手放そうとした。その気持ちに僕も感動しました」

ぺペールさんはお金では買えないものを長太郎にもらった事が嬉しかった。切手も、ヨットもお金では買えないもの。いや、買えるものではあっても、今では同じものが手に入りにくかったり、同じものがこの世にはないものだったり、そこに人の思いや歴史があって、市場価値でははかれない個人的な価値がある時に、かけがえのない物だったりすると、お金で買える問題ではなくて、人の心を動かすのは、人の思いやりの心や自分以外の人間のために動いた結果なのだなって思います。

「日本にきて、初めて日本人の真心に触れました」

今回は、話作りに無理を感じたりしましたが、お金では買えない大事な物の存在を教えてもらったように思います。

子どもの頃には、ぺペールさんの父親ことを話す時に、愛おしく船の模型を見つめる目が遠い昔の過去を懐かしみ、私にとってその言葉が遠い未来の言葉に感じていましたが、私自身が既に父親を亡くしていて、父との思い出も遠い昔になって、父ちゃん役の東野さんもこの世にいない今となっては、父親を懐かしむぺペールさんの言葉が身近に感じてしまって、子どもの頃には感じなかった、そこはかとない寂しさも感じます。

長太郎は、ヒトミちゃんが長太郎を気遣った言葉を思い出して、手製の芋版切手を使って、手紙と一緒に封筒に入れてヒトミちゃんの家のポストに投函してヒトミちゃんに切手を渡します。ぺペールさんの名前を使って手紙を書いた長太郎。
それをヒトミちゃんの部屋に持ってきたのは、ヒトミちゃんのママ。

「同じ切手じゃない、親切な人ねぺペールさんって、誰かしら」

字は明らかに子どもの字。ヒトミちゃんだけでなく、ヒトミちゃんのママもある程度、予測はついていると思うのですが、こうやってとぼけてくれているところに優しさを感じます。

翌朝、登校途中で長太郎に声をかけるヒトミちゃん。

「ありがとう。ぺペールさん」

切手一枚で人が幸せになったり、悲しんだり、国や年齢を超えて友情が芽生えたりした、素敵な話でした。