柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『俺はあばれはっちゃく』47話「エミリー台風」に出演したモノホンの人

『俺はあばれはっちゃく』47話より

モノホンの人

今、Twitterで「#映画に出演したモノホンの人」というハッシュタグが少し賑わっています。映画に実在の本職の人や当事者本人が出演されているのを紹介していくハッシュタグ。中には人物ではなく、あの有名な忠犬ハチ公が映画に出演していたのを紹介されていた方もいました。

さて、『俺はあばれはっちゃく』47話「エミリー台風マル秘作戦」(脚本・市川靖さん・松生秀二監督)にも、本職の人が出演している話があります。『俺はあばれはっちゃく』は映画ではないので、ハッシュタグでは紹介することは出来ませんので、こちらのブログで紹介します。

『俺はあばれはっちゃく』に登場したモノホンの人は、東京都荒川区西日暮里を拠点に置く、江戸里神楽松本源之助社中家元4代目松本源之助さんです。

『俺はあばれはっちゃく』47話より

江戸里神楽は日本の重要無形民俗文化財に指定されている伝統芸能で、「神楽」とは、簡単に説明すると、神道の神事において神に奉納する踊りや舞のこと。宮中の御神楽と民間の里神楽に大きく分けられ、松本源之助さんのは、民間の里神楽。この里神楽の中に獅子舞が含まれています。

江戸の里神楽は、松本源之助さんのところを含めて、4つの団体があり、他の3つは、台東区の蔵前の若山社中、品川区の東大井の間宮社中、稲城市矢野口の山本社中です。

現在は、4代目松本源之助さんの息子である、5代目松本源之助さんが後を継がれて、この伝統文化を守り、伝えています。

4代目松本源之助さんに関する著書

『俺はあばれはっちゃく』に出演された、松本源之助さんは大正13年1924年)生まれ。『俺はあばれはっちゃく』47話「エミリー台風」は、1980年1月5日に放送されたので、当時の松本源之助さんは55歳か56歳(撮影日や松本源之助さんの誕生日を考慮にいれて)。

現在、松本源之助社中公認HPを見ると、5代目松本源之助さんの写真を拝見することが出来て、47話に登場した松本源之助さんにとてもお顔が似ているのですが、5代目松本源之助さんは、昭和26年(1951年)のお生まれで、当時は28歳か29歳とお若く、ドラマに登場された源之助さんと年齢が合わないので、ドラマに登場されたのは、5代目の父親である4代目になります。

ちなみに、4代目松本源之助さんに関する著書がアマゾンで販売されています。その表紙ににある4代目松本源之助さんの写真を見ると、『あばれはっちゃく』に出ていた源之助さんだ!とすぐに分かりました。

もう一つのエミリー台風

『俺はあばれはっちゃく』47話より

さて、47話のサブタイトルは「エミリー台風」なのですが、1968年10月12日~1969年1月4日まで『台風娘がやってきた』という大阪の朝日放送で制作放送されたテレビドラマがありました。内容はアメリカから来たエミリという少女が日本にきて騒動を巻き起こすもので、なんだか、47話「エミリー台風」と話が重なりませんか?

私は今回の記事を書くにあたって調べてみて、『台風娘がやってきた』というドラマを初めて知ったのですが、アメリカからきたエミリーという少女の名前と長太郎も面食らう騒動を巻き起こした『あばれはっちゃく』のエミリーの姿と『台風娘がやってきた』のあらすじ紹介が重なってしまって、とても、無縁とは思えないんですよね。

ちなみに『台風娘がやってきた』のドラマには城森静子さんの原作があって、1967年に出版されています。

 

『台風娘がやってきた』の存在を知った私は確証はありませんが、ドラマのオリジナルストーリーである『俺はあばれはっちゃく』47話は、『台風娘がやってきた』のドラマをヒントにして書かれた話だったりするのかなって思いました。

ちなみに、『台風娘がやってきた』のエミリはハーフの女の子で、演じたのは鳩山邦夫さんの妻となる、高見エミリーさんです。ちなみに、この作品は漫画家の望月あきら先生によって、小学館の『小学5年生』に『ハローエミリ』というタイトルで連載されていました。『ハローエミリ』は、現在kindleで購入可能です。

日米関係に関する複雑な思い

そういえば、47話でエミリが長太郎が襲われていると勘違いして、門松の竹を持って、松本源之助さんを襲う場面があるのですが、その姿に第二次世界大戦時代に竹槍を持って、米兵を攻撃しろと指導された戦時中の日本人の姿を彷彿してしまって、それが攻撃されているのが日本の伝統文化を伝える松本源之助さんで、攻撃しているのがアメリカ人の少女という、日米が逆転しているのが、なんとも言えない複雑な感情を生みました。

『俺はあばれはっちゃく』47話より

子どもの頃は勘違いして襲い掛かるエミリーのハチャメチャさに笑いましたが、大人になって見ると、いろいろと複雑な思いを感じてしまいます。

この47話は、アメリカ人のエミリーが来たことで、アメリカかぶれしたヒトミちゃんのママの被害にあったヒトミちゃんとヒトミちゃんのパパを通して、日本の食文化や伝統文化、日本の昔からの遊びの良さを伝えていて、エミリーがそれに関心を持って好きになってくれる姿もあって、日本っていいなって思わせてくれる話です。

これ以上の私の感情について詳しく書くことを省きますが、この話は戦後の日本とアメリカの関係に対して、話の表層を見ただけでは分からない、かなり複雑な感情が盛り込まれていた話だと思いました。