柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

現実と重ねて

石立鉄男さんと杉田かおるさん

パパと呼ばないで』(1972年10月4日~1973年9月19日・日本テレビ)は、20数年前に再放送を見て好きになったテレビドラマです。杉田かおるさんの子役時代の代表作であり、世代によっては広く知られている人気ドラマです。杉田かおるさんと石立鉄男さんのドラマと言えば、この『パパと呼ばないで』を挙げる人が多いと思います。

私はこのドラマがとても好きで、このドラマが本放送時代に放送されていた枠で一連のユニオンシリーズのドラマで杉田さんと石立さんが共演していた『雑居時代』(1973年10月3日~1974年3月27日・日本テレビ)も好きなのですが、このドラマの共演で築かれた杉田さんと石立さんの関係が、ドラマの枠を超えて、とても好きなのです。

石立さんが亡くなられた時に、テレビのワイドショーのインタビューを求められた杉田さんが、「石立さんが、私なんかのために、ご自身の信念を曲げてまで、番組に出てくださって……」と言われて泣き崩れた姿を覚えています。かなり、昔の記憶なので、細かい言葉の間違いはあると思いますが、杉田さんが石立さんが自分の為に、尽力されたことに感謝をして、泣いていたことはよく覚えています。

石立さんは売れっ子の俳優でしたが、バラエティなどには出演せず、あまりプライベートを見せなかった俳優さんだったと記憶しています。コミカルな役も多く演じたけど、石立さんには俳優としても人としても生真面目で演技はとても巧いけれども、生き方は不器用だった人なんだという印象があります。

杉田さんが不遇時代に、石立さんが一緒にバラエティ番組に出演されるようになり、杉田さんが世間から叩かれていた時期に、石立さんが杉田さんの複雑な家庭環境のことを知りもせず杉田さんを非難するマスコミや世間に対して、庇う発言をされていたことを知り、改めて二人の絆と関係性に涙しました。

石立さんは杉田さんの学業を優先させて自身のスケジュールを組んでいたり、または、子役の杉田さんに対して、公私のけじめをしっかりつけさてていたこと等も知り、杉田さんにとって石立さんは、『パパと呼ばないで』の右京(石立さんが演じた役)とチー坊(杉田さんが演じた役)との関係と同等、それ以上の掛け替えのない存在だったのだなって、私は勝手に思うのです。

たまに、ドラマに現実の人間関係を持ち込んでしまう私ですが、それでもドラマと現実、実在の役者との関係は別物で、ドラマに現実の人間関係を持ち込むときは、メタ的に捉えているつもりの私でも、『パパと呼ばないで』と『雑居時代』に関しては、どうしても、私の中で現実とドラマの石立さんと杉田さんの関係をシンクロをさせてしまって、切り分けることが出来ず、主題歌を聞くだけで、ボロボロと涙がこぼれます。

雑居時代』で、杉田さんが演じる阿万理が寂しい思いをした時に、石立さん演じるジャックが優しく杉田さんを慰めている場面を見た時に、この優しい瞳は演技を超えていたんだろうなって感じてしまいます。石立さんほどの名優であれば、それは紛れもなく素晴らしい演技だったのでしょうけれども、現実でのお二人の関係を知るにつれ、演技ではないという、名優に対して失礼なことを思ってしまうのです。