柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

語る話から広がる話

ヨットを小道具として生かす巧さ

『俺はあばれはっちゃく』21話「切手コレクションマル秘作戦」は、それ以前に出てきた長太郎のヨットを小道具として、巧く生かした話だと思いました。長太郎のヨットが本格的出てくるのが、2話「優等生フンサイマル秘作戦」からです。

ヒトミちゃんが長太郎を恵子ちゃんの誕生日パーティに呼びに来た時に部屋に通して、長太郎はヒトミちゃんに飾ってあるヨットについて、去年の誕生日に父ちゃんが手作りしてプレゼントしたものだと説明をしています。

この2話の脚本は山根優一郎さんです。21話の脚本は安藤豊弘さんです。またヨットは小道具として18話「友情と引っ越しソバマル秘作戦」でも使われています。ヨットは長太郎にとって、大工として腕のいい父ちゃんが自分の為に作ってくれた世界に二つとない自慢のヨットであり、腕のいい大工の父ちゃんを長太郎が尊敬していて、大好きであることの象徴になっているのです。

だから、18話ではそのヨットを使って、父ちゃんの大工としての確かさを吉井部長に伝えているし、大好きで世界で一番すごい大工の父ちゃんが自分の為だけに作ってくれたヨットを長太郎がヒトミちゃんの為にペペールさんに差し出すことが、どれだけの思いであったかが分かるようになっているのです。

2話で得意げにヒトミちゃんに話す長太郎から、どれだけの思いが父ちゃんからもらったヨットに込められているのかを使って、安藤豊弘さんは、18話と21話でヨットをキーアイテムとして使ったのではないかなって、私は思っています。

これは、毎週見ていると長太郎の部屋にヨットがあり、2話でのことや18話でのことを思い出すと、21話で長太郎がヨットを持ち出してペペールさんに頼み込むことがどれだけのことかが、より分かるようになっています。けれども、2話や18話でのことを忘れても、あるいは21話から見ても長太郎の思いが伝わるように話が構成もされているから、21話だけ見ても話が成立しています。

過去にヨットに関しては、記事を書いているので、そちらも合わせて読んで頂けると嬉しいです。

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ドラマに描かれない長太郎達の話はもっとたくさん

長太郎のヨットに関する話は、こうしたメインの話の中で、長太郎の話として語られるだけだったりして、ドラマの一つの話として存在していませんが、長太郎がヒトミちゃんや吉井部長、ペペールさんにヨットについて語る時、そこから、父ちゃんが長太郎の為に本物のヨットを観察して作り上げた姿や、それを誕生日にもらった長太郎の喜んだ日の桜間家の風景があり、そこに桜間家のドラマでは見ることが出来ない話があるのです。

ドラマの中では描かれないけれども、登場人物の語る過去の中にも、長太郎達のドラマが存在する。例えば、それは正彦の亡くなった母親のこと、公一の亡くなった父親のことなども含めて。それは初代『俺はあばれはっちゃく』に限らず、後の代の『あばれはっちゃく』シリーズにも言えて、ドラマの話以外にも、長太郎達の話は存在していて、長太郎達の話はもっと、ずっと奥が深く広がっているのだと、私は感じています。