柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』35話「返せ!自転車」感想

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『男!あばれはっちゃく』35話より

1980年11月22日放送・脚本・田口成光さん・松生秀二監督

アバンタイトルから

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『男!あばれはっちゃく』35話より

35話より登場する加納章は、ドラマ本編より先にアバンタイトルに登場してきます。『あばれはっちゃく』は順撮りではないので、アバンタイトルからの撮影ではないと思いますが、視聴者にしてみれば、この長太郎の隣にいる男の子は誰?状態だったでしょうね。

初代から見ていくと、アバンタイトルだけに出てくるゲスト出演者もいますので、まあ、特に疑問も持たず受け入れて、注意深い視聴者だけが本編を見て、あれ?この子さっき?って思った人もいたかもしれませんね。

キャラクターの印象づけ

今回の話は自転車がきっかけで長太郎と章が最悪な形で出会い、やがて自転車を中心に友情が芽生える話でした。

私、この話好きです。章が長太郎のクラスに転校してきたことで2人は再会するのですが、夕食のすき焼きの材料と一緒に章に自転車を盗まれた長太郎は休み時間に章に殴りかかり、邦彦やみゆきちゃん達が止めに入ります。

この辺は、初代『俺はあばれはっちゃく』2話で長太郎が転校してきたばかりの正彦に喧嘩を売ったのと通じるとこはあるのですが、その理由に違いがあるのが初代長太郎と2代目長太郎の性格の違いになってるなって思います。

初代長太郎が正彦をいけすかない奴だと思うのも心情的に理解出来るものの、正彦に悪い理由がなく一方的にいいがかりをつけられたのは、正彦が気の毒でしたね。けれど、正彦の返しというか、対応が正彦のキャラクターを印象づけて面白さを出してました。

今回の章も長太郎の自転車をとった理由を話した時の対応も周囲の笑いを誘い、またこれまで私達が知る2代目長太郎の性格も示していて良かったなって思います。

正彦にしても、章にしても、途中から登場してきて、1話である程度、こういうキャラクターだと印象づける必要があって、それがどちらも綺麗にされてるなって思いました。

自転車が繋ぐ

今回は自転車が重要なアイテムになっていて、長太郎は章の話を聞いて、章の盗まれた自転車の代わりに捨てられた自転車を修理して、その自転車を章にプレゼントします。しかし、落とし物を勝手に使ったことでお巡りさんに咎められ、自転車を捨てたおばさんのとこへ。

このおばさんを演じたのは、初代で正彦の伯母を演じた新村礼子さん。初代を知って見ていると、初対面の2代目長太郎に対する暴言や修理され、綺麗になった自転車欲しさに捨てたことを撤回する意地悪さなどがより面白く感じられました。

私がこの話が好きなのは、単純に長太郎が捨てられた自転車を修理して、章に自転車をプレゼントして終わったのではなく、おばさんに自転車を取り上げられた後で、長太郎が自分の自転車を章にやると言った時に、章が自分のために頑張ってくれた長太郎に感謝して友達だと長太郎に言ったからです。

章は父親の仕事の都合で、これまで5回も転校していて、友達がなく、いつも自転車に乗っていた話を長太郎にして、それを聞いた長太郎が章のために自転車を用意した訳ですが、章にとっては間違いとは言え長太郎の自転車をとった自分のために長太郎が一生懸命になってくれたことが嬉しかったんだろうなって思います。

章にとっては自転車の問題ではなく、自分のことを思って行動してくれる存在が大事で、それが長太郎だったんだなって……。自分のために頑張ってくれる人がいる、その行為に対してしっかり感謝してお礼を言う。人を大切にし、人の行為に感謝する、そこから始まる長太郎と章の関係が私はとてもいいなあって思ったのです。

今に通じる言葉

また、今回の話でお巡りさんが長太郎に諭す言葉も心に響きました。この言葉は、言葉の暴力で悪と決めた人に制裁をする現在の私達こそが肝に銘じないといけない言葉だと思います。

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『男!あばれはっちゃく』35話より

「きみ、きみ、ちょっと、まちたまえ、あのな、個人的な感情でそうやって暴力振るっちゃいけない。裁きは法律が決めてくれるから」(『男!あばれはっちゃく』35話より引用)