柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』2話と『熱血あばれはっちゃく』2話

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左『男!あばれはっちゃく』2話より、右『熱血あばれはっちゃく』1話から2話予告より

自分か否か

『男!あばれはっちゃく』2話「リスを探せマル秘作戦」と『熱血あばれはっちゃく』2話「消えたオカリナマル秘作戦」は共に山根優一郎さんの脚本です。この2つは、それぞれに新しく始まった『あばれはっちゃく』の2話に該当し、話の大きな粗筋もその結末も同じです。

違いとしては、なくなったものがリスからオカリナ。疑われた人が長太郎からヒロインのあけみちゃんに変更になったというところが、2代目と3代目の違いだと思います。2代目からは長太郎が転校生になり、その人柄を周囲に理解されていない上に、1話で悪印象からこれからのクラスメイトの仲間と出会っているということで、2話でも引き続き嫌われ者扱いになっているのが、2代目以降の『あばれはっちゃく』の最初のストーリーになっています。

これは、3代目に続く4代目、5代目も同じで、そこから少しずつ長太郎を理解する人達が増え、見直されていく展開になっていきます。また、いずれ別の記事で取り上げるつもりですが、周囲にとって初代長太郎以外は、長太郎は外部から来た新たな得体のしれない存在として、物語の舞台に参入してくる存在です。

この違いが初代と2代目以降で視聴者とドラマの長太郎達の周囲との認識の違い、温度差になっていたなと今なら思ってしまいます。このことについては、またいずれ整理して書けたらいいなって思います。

2代目は周囲からリス泥棒の汚名を着せられた長太郎が自身の無実を晴らすために奮闘し、3代目は泥棒の疑いをかけられたあけみちゃんの為に奮闘します。長太郎が自分自身のプライドの為か、好きな女の子の為に動くかで、少し長太郎の印象が違うなと感じました。3代目の2話では、あけみちゃんの為に動くことで、同時にあけみちゃんへの長太郎の気持ちも表現したのだろうと感じました。

また、長太郎が自分の為に動いてくれたことで、あけみちゃんも長太郎に協力しますが、ここでもあけみちゃんの優しさ人柄を出したんだなって思います。2代目は長太郎の男としてというよりは人間として譲れない部分の強調、3代目は自分には関係ないけれども大事な人の為にその人を信じる長太郎の気持ちを強調したんじゃないかなって、私は感じました。

疑われる相手が変わっただけで、長太郎の中で何を一番に重んじているのかが変わって受け止められるのは、面白く感じましたし、2代目も3代目もこの先で話が進むことで、2代目の長太郎も3代目の長太郎も同じ部分を大事にしていることが分かってくるので、この2話だけで決めつけるものでもないんだなってことも分かってきます。

ただ、最初の方で描かれると、今度の長太郎の場合は大事にしているのは同じであっても一番の基盤はここにあるのかなって、こうして大人になってDVDでまとめて見返すと思うようにはなってくるのですね、少なくとも私は。

纏めると2代目2話と3代目2話は、泥棒だと疑われたのは長太郎か否かによって、誰の為に長太郎が事件を解決するかから、長太郎が何を一番に重んじているのかの違いが分かるようになっているのかなって思いました。2代目の長太郎もまた人の為に動く人物であることは、もちろんこの2話以降でちゃんと見えてくるようになっています。

無視された持ち主の心

盗まれたものは2代目では長太郎のクラスで飼っていたリス。3代目では京子ちゃんのオカリナです。犯人の正体はそれぞれに学校に行くことが出来ない幼い妹、近所の弟代わりの男の子の為にリスとオカリナを盗っていきました。

長太郎からしてみれば、どちらも盗んでいったようなものですが、ここでも2代目は明確に盗んだという認識があるのに対して、3代目は公園のとこに置いてあったのを拾ったという認識の違いがあります。

この結果は同じでも微妙な盗った人間の認識の違いは、なんとなく、どんな理由があるにせよ、盗むという行為があまり好ましくないということに対する視聴者からのクレームをかわすために、こう2代目とは違う感じにしたのかなって思いました。なんといいますか、今もそうですが、『あばれはっちゃく』放送当時でも『あばれはっちゃく』がけしからんという意見があったことは、放送当時に出版されていた東野英心さんの本や昨年出された三宅直子さんの本にも書いてありましたから。

さて、犯人の犯行動機が分かった後の長太郎の対応は2代目も3代目も同じなのですが、私はここで同じ対応でありながら、3代目長太郎の対応に対しては、とても腹が立ったのです。どちらの長太郎も事情を聞いて、それぞれにリスとオカリナをその犯人に譲渡し、その代わりに自分達のお小遣いをはたいて、代わりのリス、オカリナを用意します。

けれども、私は3代目の長太郎のしたことは許せなかったのです。なぜなら、そのオカリナは長太郎の物ではなく、京子ちゃんの大事なオカリナです。それを持ち主の京子ちゃんの承諾もなく、勝手に譲渡したことが私は許せませんでした。代わりのオカリナを用意したとしてもです。せめて、京子ちゃんには報告して、その上で自分が代わりのオカリナを買ってやるからと言ってあげたらよかったのにって思いました。

私がそう思うのは、新卒で実家を離れて一人暮らしをしていた頃、実家の両親が私が子どもの頃から大事にしていたぬいぐるみ達を私の承諾もなく勝手に近所の子ども達にタダで配ったからです。私は近所の子ども達にタダで配ったのが嫌だったわけではありません。私にとって思い出があり、それぞれに名前を付けて大事にしていたぬいぐるみ達が私の全く知らないところで勝手に処分されていたのが、とてもとても悲しかったのです。

どうして一言でも、私に近所の子ども達にあげてもいいと電話一本でもくれなかったのでしょうか。6体ほどあったぬいぐるみ達にそれぞれに幼い頃からの思い出があり、寂しい時、辛い時、怖い時に常に寄り添ってくれていたぬいぐるみ達は転校が多く、仲良くなった友達と離れて行ってしまう私にとっては、引っ越し先でも常に一緒にいてくれた大事な友達でした。

私はこの悲しい出来事を大人になってから経験しましたが、その時の衝撃と悲しみは大げさかもしれませんが、計り知れなく大きくて、3代目の2話を見た時にその時の感情が蘇ってきて、京子ちゃんが可哀相でなりませんでした。

3代目の長太郎がオカリナを渡したのは長太郎の優しさだと思いますし、京子ちゃんの為にオカリナを買ってあげたのも、それを見つけたふりをしてあけみちゃんの無実を晴らしたのも長太郎の優しさだと思いますが、オカリナの京子ちゃんの気持ちを無視したことが私には許せなかったのです。

2代目も長太郎と洋一以外のクラスメイトの気持ちを無視はしているのですが、なんというかクラス全体のリスと個人の京子ちゃんがお父さんに買ってもらったオカリナでは、なんか意味合いが違うなって私は感じます。

話の構造は同じでも

2代目2話と3代目2話は、長太郎が何を大事にしているか、その優しさが見える話になっていて、同じ構造の話だから同じように感じる部分と、微妙に違うところがあって、また違って感じる部分がありますが、私はどうしても、上記に書いた個人的な理由で、3代目の2話に関しては、やはり素直にいい話だなって思うことが出来ないのです。

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