柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

『男!あばれはっちゃく』22話「探せ!海賊の宝」感想

 

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『男!あばれはっちゃく』22話より

 1980年8月16日放送・脚本・市川靖さん・松生秀二監督

 続き

今回は前回に続いて寺山先生の田舎での話。父ちゃんが前回来ていましたが、今回は母ちゃん、信一郎、カヨちゃん達まで来て一緒に楽しんでいますね。父ちゃんは魚釣りを楽しんでいて、初代の父ちゃんもそうだったんですけど、父ちゃんはシリーズを通して、釣りや将棋を嗜んでいたり、拘っていたりする姿が出てくるので、父ちゃんの人物像の中にシリーズを通して、釣りや将棋が趣味というのがあるのかなって感じたりします。

今回は、前回登場した寺山先生の親友のヤマザキさんが騒動のきっかけを作り出しています。歴史を調べ、海賊が隠した宝を探し出そうとする。長太郎以外はそれを信じないのですが、次第に夢物語と馬鹿にしていた皆がむきになって、徐々に宝探しに参加していく姿がコミカルで面白く感じました。

特に、常に冷静沈着で現実的な信一郎が実は一番、宝探しに関心があって動いていたのが面白かったですね。長太郎とは対照的な人物として存在している信一郎ですが、やはりそこは長太郎の兄なんだなって思いました。

歴史が残したロマンに憧れる

信一郎はよく図書館で宿題をしにいくことが多いですが、勉強だけでなく本もよく読んでいるんだと思います。中でも歴史書や郷土資料なども読んでいて、実は今回登場したヤマザキさんと同じ傾向を持っていたんじゃないかなって、今回の話を見て思いました。次第に皆が宝に目がくらんでも、信一郎だけは冷静かなって思っていたのが、長太郎とヤマザキさん以外で宝探しに関心を示していたのは信一郎でしたから。

本も持ってきて熱心に読んでいた姿からは、下手をすると長太郎よりも先に関心があったと思えてなりません。信一郎が読んでいた本を見て驚き、宝の存在を確信する父ちゃん達の姿に信一郎に対する信頼の高さが伺えます。

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『男!あばれはっちゃく』22話より

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『男!あばれはっちゃく』22話より

日ごろの行いとリアルタイム

長太郎の方は馬鹿にされながらも、少しずつ証拠を集めていくことで、最初は信じなかったみんなに「もしかしたらお宝が存在しているかもしれない」と考えを変えていきました。一方で信一郎の方は日ごろの彼の態度や考え方、行動から信一郎が関心を持っているのなら、お宝があるかもしれないと思わせました。父ちゃんと母ちゃんが同じ息子を信じるに対しても、長太郎と信一郎ではその経緯というか、信じ方の成り立ちが違っていて、これが普段の長太郎と信一郎の性格、個性の違いでもあるんだなって感じました。

夢か現実か

人に信じてもらう、自分の言葉や行動を信じてもらう、相手のことを信じられるというのは、やはりその人のこれまでの生き方や信じてもらえない時の行動が鍵なんだなって感じて、これは長太郎と信一郎のパターンだけでなく、今回は寺山先生にも当てはまることなんですよね。ヤマザキさんが、なぜ海賊のお宝の存在を信じているのか、寺山先生が長太郎達に説明をして、寺山先生は説明した時点ではお宝は存在しないと話すのですが、長太郎はそれを信じず、邦彦は寺山先生の言葉を信じている。

そこで寺山先生は複雑な顔をしていて、それが邦彦がお宝がないという寺山先生の言葉を信じていると伝えた後なので、なんか変な感じがしたんですが、それはお宝はないと言いながらも、寺山先生のどこかにお宝が存在していたらいいなっていう気持ちが少しだけあって、だから邦彦の言葉に子どもなのに夢がないと感じてがっかりしたのかなって思いました。信じてもらえることは嬉しいことに、素直に喜べないから複雑な顔をしたのかなって。

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『男!あばれはっちゃく』22話より

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『男!あばれはっちゃく』22話より

寺山先生を信じるか、ヤマザキさんを信じるか、やはりそこは良く知っている寺山先生の言葉を信じるのが普通で、しかも荒唐無稽な話だったら、なおさら現実的な寺山先生の話を信じる方が確かですよね。長太郎も寺山先生を信頼していますが、やはり夢やロマンを感じる方を信じ、邦彦は現実を信じたのが、長太郎と邦彦の差だったのかなって。

寺山先生から見たら、夢を持ってくれる長太郎だけど自分の言葉を信じてくれない、自分の言葉を信じてくれるけど夢がない邦彦の二人に人や教師としての在り方の難しさを感じたのかなって思いました。

不自然な矢印

長太郎とヤマザキさんが宝を示す地図の欠片を探していく時に目印になっている場所を見つけていくのですが、それが誰かが作ったのではないかと思えるのが多いのが面白かったですね。昔のお宝の地図のありかを教えるものなのに、いかにも最近作っているというか、長い間で人の手によって消されていてもおかしくない物だったりとか。特に小石で道先をし示した矢印なんかは、そこになぜそれがずっとあったのか、と疑問に感じなかったのって思いました。

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『男!あばれはっちゃく』22話より

観光スポットがいっぱい

前回もそうでしたが、今回も観光スポットがいっぱい出てきて、楽しんでいましたね。この話を見て、行ってみたいと思った視聴者の子ども達も多かったのでないでしょうか。初代『俺はあばれはっちゃく』も25話で伊豆にロケに行っていて、この時はロケにファンの視聴者の子達が来てくれて嬉しかったことを吉田友紀さんがDVD付録のブックレットのインタビューで答えていました。

また、このロケは新聞紙に取材されていて、その記事を『あばれはっちゃく』のファンの方が、ファンサイトで紹介していたのですが、現在はそのファンサイトさんを見つけることが出来ないので、残念です。記事には深夜まで撮影していたことが写真付きで書かれていました。

初代は視聴率が20%目前になっての(当初は視聴率5%台だった)ご褒美ロケだったとのことですが、時期的に考えて26話で終わる予定だったのが、シリーズ化が決まったことも含め、夏休みであることも合わさってのロケだったのだと思います。人気が出た『俺はあばれはっちゃく』のロケにファンが来て、新聞の取材が来るのですから、人気が安定してさらに大きくなった2代目『男!あばれはっちゃく』のロケがどこで行われるのか世間の関心は高くなり、自分達の住むところに来てくれたらいいのになとか、ロケ先に行ってみたいと当時の多くの子ども達の視聴者は思ったことでしょう。

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『男!あばれはっちゃく』21話より

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『男!あばれはっちゃく』21話より

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『男!あばれはっちゃく』22話より
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『男!あばれはっちゃく』22話より
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『男!あばれはっちゃく』22話より