柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

マイナースポーツが好きか大人気だから好きかで分かれる長太郎の人物像

 

ユヴェントス

初代長太郎が21話と30話で着ている青い服と2代目長太郎が1話で着ている服は同じ服です。このことは、過去にこちらの記事で取り扱いました。

kakinoha.hatenadiary.com

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左「俺はあばれはっちゃく」21話より、右「俺はあばれはっちゃく」30話より

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「男!あばれはっちゃく」1話より

この初代と2代目が着ている服について、9年前に下記の記事のコメント欄からひでさんに情報を頂きました。

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ひで

こんにちは。
確かに、この時期は、野球の方がサッカーよりポピュラーだったと思います。
野球帽をかぶる男の子が結構いたと思いますが、長太郎や友達たちはかぶっていませんね。

長太郎はどちらかと言うと、サッカー好きだったのでしょうね。
それを証明!?しているのが、サッカー関係のTシャツを着ていることです。 たとえば、Juventusユベントス(イタリアの有名なサッカークラブ)のTシャツを21話と30話で着ています。 これは、サッカー通でびっくりしました。 と言うか、これは、母ちゃんが買った物かもしれませんが。

 このコメントを頂いた後に私自身もユヴェントスについて調べ、以下のコメントを返しました。

柿の葉 (id:kutsukakato)

ひでさん、こんばんは。お詳しいですね。イタリアの有名なサッカークラブ。私は知りませんでした。長太郎の着ていたご指摘のTシャツは青いTシャツでしたね。確かにこのTシャツのロゴは「JUVENTUS FC1897 FOOTBALL ITALIA」ってありますね。サッカーは昔から世界では人気の高いスポーツですが、この頃の日本では珍しい方ですね。「俺はあばれはっちゃく」でも第39話で野球帽をかぶっている子がいるんですが、西武ライオンズの帽子でした。多分、この子一人だけだったかな、と思います。作品全体でみると「俺はあばれはっちゃく」の世界では野球はあの時代には珍しく人気があるスポーツだったという印象を受けないですね。

もし、Tシャツを母ちゃんが買ったとしたら、母ちゃんも相当のサッカー通ですよね。「JUVENTUS」について調べてみましたが長太郎のTシャツにある1897年に創設された伝統のあるクラブなのですね。「俺はあばれはっちゃく」の放映時の1979年頃はこのクラブの全盛期だったようです。長太郎、もしくは母ちゃんはこの時期にこのクラブを好きになったりしたのでしょうか?それでも当時の日本でと考えるとやはり余程のサッカー通だと言えると思います。

 このように、初代と2代目長太郎が着ている服に書いてあるロゴは「JUVENTUS FC1897 FOOTBALL ITALIA」イタリアの有名な歴史あるサッカーチーム。

創立が1897年なので、ロゴにある「1897」は創立した年のこと。

「FOOTBALL ITALIA」はイタリアのサッカーチームの意味、「JUVENTUS」はチーム名。

2代目になるとサブタイトルイラストの長太郎の着ている服がその「JUVENTUS FC1897 FOOTBALL ITALIA」のロゴのある服になっています。

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「男!あばれはっちゃく」より

あばれはっちゃく』とサッカーというと、3代目『熱血あばれはっちゃく』(1982年4月~1983年3月)の長太郎は「黄金の足」の異名を持つサッカー少年の設定になりますが、初代でも長太郎はサッカーボールで遊び(32話、41話)、38話では中学生とサッカー対決をしています。

2代目長太郎も最終回で、寺山先生に中学にいったら、サッカー部に入ることを話しています。

3代目が始まる頃になると、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた少年漫画『キャプテン翼』(1981年~1988年)が1983年10月からテレビアニメ化され、サッカーが子ども達の間で人気スポーツになっていきますが、それ以前の段階で初代『俺はあばれはっちゃく』(1979年2月~1980年3月)、2代目『男!あばれはっちゃく』(1980年3月~1982年3月)の初代、2代目長太郎はサッカーに興味があることを着ている服やサッカーボールで遊ぶ姿、中学の部活にサッカーを選ぶというさりげなく見せていたのです。

 当時を知らない人達との認識の差異への恐怖

日本のサッカーは1968年メキシコシティオリンピックで銅メダルに輝きますが、1970年代、初代『俺はあばれはっちゃく』が放送中だった1979年~1980年では、日本国内での人気は野球に比べて低かった時代でした。

私が体感した記憶では、1981年から『週刊少年ジャンプ』で連載され、テレビアニメ化された『キャプテン翼』の人気がサッカー人気に繋がり、1990年代になってJリーグ発足へと繋がり、ワールドカップの中継や認知度が日本国内で高まっていったと覚えています。

余談ですが『あばれはっちゃく』を初代から5代目まで脚本家として参加されていた三宅直子さんは、最初の1983年10月にテレビアニメ化された『キャプテン翼』でも脚本家として多く作品に参加されていました。

時期的には『熱血あばれはっちゃく』(1982年4月~1983年3月)が終わった後です。

サッカーが日本ではまだマイナースポーツだった『あばれはっちゃく』の時代、3代目の時代でも、まだ日本国内ではマイナーなスポーツのサッカーに目を向けていたというのは、当時を知る者からすると先見があると思いました。しかし、その時代を知らない1980年代後半以降に生まれた若い世代の人達、私より5歳年下の人達がどのように受け止めるだろうか、と考えました。(具体的な年齢を書くと現在40歳以下の人達)

ひょっとすると、小学生の男児がサッカーをするのも部活にサッカー部を選ぶのも当たり前の定番中の定番だと受け止めるのではないかと思います。

バンダイが昨年(2019年)行った小中学生のスポーツに関する意識調査では、好きなスポーツで男子2位にサッカー、3位に野球、男女総合では2位にサッカー、4位に野球でした。

1970年代では男の子がなりたい職業にプロ野球選手が2位になっています。

crd.ndl.go.jp

上記リンク先のデーター1970年にはサッカーはプロ化されていませんが、当時の子どもの野球人気を示す一つの目安になります。また、プロ野球中継がテレビ、ラジオで多く放送されていた時代であり、少年野球や甲子園が人気だった時代でしたが、現在は少年野球が減り、TBSラジオは野球中継を2017年に終了させました。

1993年にプロ化されJリーグが発足した後に生まれた世代、その時代に幼少期を過ごした世代とそれ以前の世代では、サッカーと野球に対する認識に違いがあると思います。

 サッカーがマイナーだったスポーツ時代に長太郎がサッカーが好きと思うのと、大人気なスポーツだから好きだと思うのでは、長太郎に対する人物評価が変わります。

人気に関係なく、マイナーなスポーツでも自分が好きだから好きだと独自の道を行き貫く長太郎が私が思う長太郎です。でも、サッカーのマイナーだった時代を知らない世代がそのように長太郎を認識するとは思えないのです。

本放送当時の社会を実際に体験して、記憶している人間がその時代を知って見返す『あばれはっちゃく』と生まれていなくて全くその時代の社会を体験しない世代の人達がDVDやCSの放送で『あばれはっちゃく』を見ても違う印象を持ってしまうだろうし、映像で飛び込んでくる情報のインパクトで、父ちゃんや先生が長太郎を殴る場面を見て、話の内容も理解せず、父ちゃんや先生の気持ちも考えることなく、安易に批判してしまう人もいるんじゃないかなって心配しています。

そういう心配は杞憂の方が嬉しいです。