原作をベースに築くドラマのオリジナリティ
「走れ!初恋」の回で登場する、たまえは原作『あばれはっちゃく』にも登場してきます。しかし、原作を読むと分かりますが、性格がかなり違います。ドラマでは、長太郎に恋するたまえですが、原作では違います。
脚本は市川靖さん、市川さんは5話から『俺はあばれはっちゃく』の脚本に参加されていますが、原作をしっかりと読み込み下地にして、原作にあるエピソードや人物を用いてドラマならではのオリジナル溢れる魅力ある話を書かれています。また、長太郎の男らしさを一番引き出しているのも、私の個人的な意見ですが、市川さんが一番だと思います。
本編
長太郎に好意を抱いている女の子は最初は、恵子ちゃんの役目でしたが、それもこの時期になるとなくなっていて、長太郎を好きになる女の子の登場は久しぶりになります。これで、ヒトミちゃんがしっかりとやきもちを妬いているんですね。これは、後にノリコちゃんが出てくるまでないので、かなり貴重なといいますが、『あばれはっちゃく』の恋愛要素を扱った話としては、面白い話ですよね。
長太郎がヒトミちゃんに弁解していて、ヒトミちゃんが許してあげるところなんて、長太郎とヒトミちゃんはいつからそういう関係になっていたの?と思ってしまいます。
「私が長太郎君の彼女ですって!?」
って言っていたのは何だったのでしょうか?女心って分かりませんね。私も女ですが。すぐに長太郎の家に押しかけて夕食の支度や夕飯まで食べてしまうたまえにてるほも怒ってます。ああ、弟の嫁の心配までする姉てるほ。たまえがお嫁にきたら、てるほがとの小姑関係が心配ですね。
その前に、長太郎がたまえを相手にしませんが、この話では長太郎が5年連続のマラソン大会1位を目指すのと、たまえに自分を諦めさせるためにワザと負けようとするので悩みます。
それにしても、長太郎の空想の中の正彦の余裕って、この回の正彦は長太郎のクラスにクラスが違うのに押しかけてきたたまえに自分をアピールするなど、女の子なら誰でもいいのかいっていうプレーボーイぶりを見せています。この正彦のプレーボーイ振りは後の話でも登場してきます。正彦は、東京からの転校生ですが(初代の舞台は神奈川県)
「東京にいた頃は、ちょくちょくね(女の子とデートしていた)」
と言っています。
さて、マラソン大会の当日、計画通りにワザと遅く走って、たまえに
「人間のクズや」
って言われて計画の成功を喜ぶも、やはりワザと負けることが悔しく感じる長太郎、たまえの言葉、父ちゃんの言葉で腹を決めて巻き返しをはかります。この長太郎の巻き返しがかっこいいですね。たまえでなくても惚れ直します。この話でも公一がコメディーリリーフとしていい味を出しています。さて、ゴールで待っている女子たち。
「わたし、長太郎君がトップだったら許してあげよ」
うん。ヒトミちゃん、完全にこの時期から確かに長太郎のことを好きになっていますよね。この話は歴代の校長先生の名前もマラソン大会の賞状から分かったりして、いろいろと情報が満載なんですよね。
この話のラストで、たまえのバンダナがいい小道具として生かされていて、話の締めくくりもとてもいいんです。この話もDVDを買って見返す前に覚えていた話で、懐かしく感じました。