柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

ダサイ男の噺

昨日、『気まぐれ本格派』の第9話「ダサい男の噺」が見たくなって、『気まぐれ本格派』第3巻を見ました。『気まぐれ本格派』第9話は自転車を持っていない新ちゃんが友達から自転車を自慢され、サイクリングに誘われた時に「持っているさ、でも、パンクして今修理に出しているんだ」と嘘をついてしまったのを見た一貫が、新ちゃんに自転車を買ってあげる為に、お見合いを纏めるのが趣味のお茶の主人に取り入って見合いを纏めた人を紹介してもらい、その人に結婚衣装を貸し出してお金を稼ごうとする話で、一貫は色々と無理をします。

そんな一貫を見た袖子さんが新ちゃんに自転車を諦めて欲しいというのです。袖子さんは一貫が大好きな海の仕事を辞めて家の仕事をしてくれるから生活が出来るそれだけで充分なの、と新ちゃんに言うのです。楓さんはそれを聞いて「あそこまで言わなくてもいいのに……まだ、子供なんだから」と言いますが、袖子さんは「あの子には我慢させることを覚えさせなくちゃ、これからだってまだまだ厳しい事があると思うの」と答えます。

新ちゃんは少し不貞腐れますが、袖子さんの言葉を黙って聞きます。楓さんが新ちゃんに気を使って外に連れ出した時に、新ちゃんの為に必死に頑張る一貫の姿を見て、新ちゃんは「叔母ちゃん、僕ね、男と男の大事な話があるから」と一貫の所へ行って、自転車の事を諦める事を一貫に言うのです。

私はこの時、新ちゃんの為に自転車を買う事を楽しみに頑張っていた一貫の心を傷つけないように言葉を選んで、諦める理由を一貫に言う新ちゃんの優しさが好きです。一貫もその新ちゃんが言う理由が本当の理由ではないと聞きながら分かっていたと思います。

無理して笑顔を作る新ちゃんを見て一貫が言うのです「ダサいな、俺も」と。新ちゃんも一貫も不器用でダサい。ダサいんだけど、そのダサさが私にはカッコよく見えるのです。何故、第9話を見たくなったかというと、そのダサイ男の話を石立さんのファンの方のブログを読んで思いだしたからでした。

石立鉄男さんのファンの方のブログの中で、石立さんが童顔で年相応の役が出来なくて悩んでいた事、売れっ子になった後でも本当に好きな芝居が出来ていたのだろうか?というのが書かれていました。私はそれを読んだ時、同じように5年前のインタビューで年相応の役が出来ないのが悩みと答えていた吉田友紀さんの事を思い出しました。

でも、石立さんのファンの方のブログで、そこで私がいくら吉田さんの事を思ったからといっても、吉田さんと石立さんが何回かドラマで共演された事があったとしても、やはり、そこで吉田さんの事を持ち出してしまうのは気が引けて、そこのブログではコメントを差し控えました。(何だか吉田さんに対しても失礼な文章になっているような気がして申し訳ないと思います)

石立さんのファンの方は石立さんは色々な代償を払いながら、役者の道を選んでいた事を書かれていましたが、吉田友紀さんもそうだったようです。私が以前吉田友紀さんの事を調べていた時に、小学生時代に吉田さんが転校してきて、でも、ドラマの撮影で殆ど学校に来ることはなく、馴染む事が出来ないまま、転校していった事を書いた人のブログの中で、その人が吉田友紀さんが様々な代償を払いながら役者の道を歩んで行った。

それが彼の中の常識だったという一文を読んだ事がありました。それも、また私が石立さんと吉田さんを重ねてしまった理由の一つでした。『俺はあばれはっちゃく』の解説書にあるインタビューの中で「子役は大成しないと言われる中で、お互いよくやってきたよね」と島田歌穂さんは吉田友紀さんにメッセージを送っていましたが、それを読んでもなんというか役者の道を歩んで行った二人の姿が私の中では重なってしまいました。

もちろん、二人以外でもその道を長く歩んでいる方達がいる事は知っています。また、こちらが代償と思っている事も石立さんや吉田さんにとっては当たり前の事で代償なんて思ってもいないかもしれません。それでも、私は考えるのです。一時、売れっ子になって色々なドラマに出ていたのが、それが次第に少なくなっていく時、彼らは幸せだったのだろうか?と。

吉田さんに関してはそれが本人かどうか分からないけれど、私が去年見たツイッターでの最後のツイートが気になってそれが頭をよぎるのです。3歳の時からずっと役者を続けてきた吉田さんが「そろそろ引退します」と残した言葉には重みがあります。ずっと、役者を捨てないできた人がそれを捨てるというのは大変な事だからです。

なんというか、役者の道以外の道もあったかもしれない。色々な事を言う人が実際にいても、好きな道を進んで行った。それは、傍から見たらダサくて賢くない生き方に見えるかもしれない。それでも私はダサいと言われても、それがかっこ悪いとは思えないのです。

ただ、少しだけ切なく感じてしまうのは、あの最後のツイートと吉田友紀さんが所属事務所を辞めた事がどうしても気になって、また吉田さんに対しての子役で成功した者に対する偏見を目にした時に、私は切なく思うのです。吉田さんは幸せなのかなぁ…って。これが、私の馬鹿な勝手な考えで杞憂だったらいいなと思います。可哀想なんて思うのはとても失礼なことですから。

追記「気まぐれ本格派」第37話から
一貫:「お前がもう少し大きくなったらな。男同士でしか話せない悩みっていうのがあるんだよ」
新太:「悩みなら今でもあるよ。お小遣いが少ないこと」