柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

仲間外れ

長太郎が仲間外れにされたのは第11話。長太郎といつも遊ぶ友人達がしつけ教室に通い出し、長太郎を仲間外れにした時だった。この時は公一も皆と同じ行動をとり長太郎を仲間外れにした。

「僕たちはね、君みたいに暴力を振るう子は、もう仲間に入れないって決議したんだよ」

正彦が長太郎に言い、ヒトミちゃんにも言われる。

「そうね、あなたが喧嘩をしない優しいいい子になったら、また、友達になってあげてもいいけど。無理ね」

その後夕方の買い物帰りに長太郎から声をかけられてもヒトミちゃんは長太郎を無視した。この時、長太郎は強がってはいたが心の中はかなり傷ついていたと思う。
この第11話では露骨に皆で長太郎を仲間外れにしているが、これ以後はそうした意地悪での仲間外れはしなくなっていく。だが、ヒトミちゃん達が長太郎を抜きにした事は何度かあった。

第22話で勉強の出来ない長太郎を心配して、佐々木先生の所へ遊びに行くと騙して勉強をさせるために正彦達が結託した時だった。この時は長太郎を心配しての行動ではあったが騙された長太郎は深く傷ついてる。これに対してはどんな理由であれ長太郎を騙した行動をした正彦達を佐々木先生は叱っている。人に騙されたり無視をされるというのは体は傷つかないが、心に激しいショックをつけ深い傷をつける。これはかなり堪える。人の精神を傷つけるのはかなり罪が深いと私は思う。この傷は目には見えないがかなり長く尾を引いてその人の心を長く苦しめるから。

佐々木先生がそうした事を叱っていたのはそういう心の傷に対しての深刻さを分かっていたからではないか?と思う。人の心を傷つけたり、傷つけられたりする事はどんな人にでもある事だと思うが、自分達の狭い価値観の中だけで人を区別し仲間外れにすることの世界の狭さは集団の中では起こりがちなことかもしれない。そして集団の中にいるとそれの狭い考えが常識だと思い込んで、人を仲間外れにする事に対しての罪悪感が薄くなるのかもしれない。

第11話で正彦達が長太郎を仲間外れにしたのも、第27話で長太郎達がヒトミちゃんの従弟のサトル君を仲間外れにしたのも、第39話で恵子ちゃん達がヒトミちゃんを仲間外れにしたのもそうした狭い集団の中の常識というか掟から来たものだと思う。
正彦と長太郎は第27話でヒトミちゃんの従弟のサトル君を仲間外れにしたが、それを知ったら佐々木先生は怒っていたかもしれない。この時はヒトミちゃん、父ちゃんとてるほがサトル君を仲間外れにした長太郎の行動を批判している。てるほは「ああ、あんたのたった一つのいい所もなくなっちゃったわね」とあきれたように言っていた。

第11話で仲間外れにされて長太郎は寂しい思いをした。寂しい思いをしたからといって同じような思いを人にさせないと言う事はないのかもしれない。自分が違う立場になれば考え方も気持ちも変わってしまう所はあるだろう。しかし、一度でも同じような立場になった事があれば、その時の気持ちを思い出して相手の気持ちを考えてあげる事が出来るのかもしれない。長太郎がサトルに対し悪い事をしたなと思ったのはヒトミちゃんやてるほに批判されたのもあったかもしれないが、仲間外れにされた時の自分の気持ちを思い出したり、本来の優しさからくる罪悪感があったからだと思う。

特に親しくない人に無視されるのも辛いが、普段、仲が良くて当たり前の仲間達から無視されるのは、かなり辛い。人付き合いをしていて怖いのは知らないうちに仲間の中の掟に自分が背いている時だ。仲間外れ、村八分というのは人は一人では生きていけない存在だと言う事を思い知らされるもっとも手痛い仕打ちだと思う。だからこそ、かなりきついイジメなのだ。エンディングの「はっちゃく音頭」で「仲間外れも怖くない」と歌っているが、私は怖いものだと思う。長太郎はそういうのにも強いという意味もあるのだろうけど、そんな長太郎でもかなり堪えていた。

第11話からだいぶ経った第46話で長太郎がヒトミちゃん達が自分を除け者にして佐々木先生の所へ遊びに行った事を知って「俺を除けものにしやがって」と怒る。正彦達はそれを否定し誘いに行ったのに長太郎が留守だった事を言うが、長太郎は納得しない。この時に怒る長太郎にヒトミちゃんがにっこり笑って長太郎に教えてくれる。

「長太郎君、誰もあなたを仲間外れになんかしてないわ」

すると、長太郎は本当に嬉しそうな顔をするのだ。第11話で長太郎を仲間外れにし声をかけた長太郎を無視して長太郎に寂しい思いをさせたヒトミちゃんが今度は長太郎を安心させ気持ちを温かくしてくれている。第11話の時のヒトミちゃんの態度を思い出すとこの時のヒトミちゃんの言葉がとても嬉しく思えてくる。長太郎が仲間外れにされる存在から、「長太郎君、誰もあなたを仲間外れになんかしないわ」と言われる存在になったのはとても凄い事だから。