柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

子どもでも

 『鉄人タイガーセブン』はヒーローものでありながら、主役が称賛されるということは殆どといってない。タイガーセブンは父親の敵であるだけでなく、人間に恨みを持ち脅威をもたらすムー原人から見知らぬ人間たちを守るために闘っているのだが、誰もそれを信じない。信じてもらえないだけでなく、気違い扱いされ、殺人の容疑までかけられる。さらには、仲間にもなじられる。挙句の果てには最終回で敵を倒しても、結局、主人公は死んでしまうという。ある意味、救いのない話であった。

 主人公である剛ことタイガーセブンの運命はあまりにも過酷であったが、この『鉄人タイガーセブン』は主人公剛だけではなく、まだ7歳の子どもであった次郎にも過酷な運命を背負わせている。ろくろ原人にろくろウィルスを注入され生死を彷徨ったり、(次郎の父親もまた同じウィルスによって亡くなった)ムー原人の事を同世代の子に話せば気違い扱いされ、剛を助けるためにミノムシ原人に果敢に立ち向かっていくもののミノムシ原人に操られて剛の敵になったりと、大変な目にあっている。

 ムー原人からみれば敵であるタイガーセブンの仲間に大人も子どももない訳で、敵の弱いところをついて攻撃するのは当り前。いくら負けん気が強くて敵に立ち向かっていく勇気のある次郎といえども、まだ幼い次郎とその姉であるジュンは攻撃しやすい相手なのだから、遠慮なく攻撃してくる。これは、タイガーセブンの仲間であるが故の仕方がないことで、同じ仲間である北川さんや三平も、北川さんは父親を殺され、三平は自身がハエ原人にさせられるという目にあい、高井戸博士は剛の代わりにムー原人の司令官ギル太子と闘ってその命を落としている。

 こうして、レギュラー陣は数少ないタイガーセブンの仲間として散々な目にあうのだが、せめて、第25話の幼い次郎と冬子ちゃんの小さな可愛い恋のエピソードくらいは救いがあるのかな?と思いきや、そこは流石の『鉄人タイガーセブン』でそうは問屋が卸さない。前にも書いたように、子供であろうと容赦はない。次郎と仲良くなった冬子ちゃんはムー原人の戦闘隊長、黒仮面に殺される。次郎は好きな女の子も守れず、ただ、ただ、その亡骸の前で泣くことしか出来なかった。第6話で剛が警察に殺人の容疑で連行されて、一緒に取り調べを受けた次郎が警察署から出てきた時に言う一言がある。

「畜生、早く大人になりたいな。そうしたら、やつけてやるのに」

 まだ子どもだった次郎は誰よりもその悔しさを味わった人物だったのかもしれない。