柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

いつまで覚えている?

「わたし、お友達がいないの。お友達になっても、すぐにお別れしなくちゃなんないしさ」
「どうして?」
「わたし、日本中を廻って歩いているからなの。次郎君も東京に帰ったらわたしの事をすぐに忘れちゃうんでしょうね」
「忘れないよ!僕」
「本当」
「うん、約束するよ」

『鉄人タイガーセブン』第25話で次郎は冬子ちゃんと友達になる。冬子ちゃんはサーカスの子で各地を廻って転校を繰り返している為、仲の良い友達が出来ない。次郎とも仲良くなるが、その次郎もいずれ自分を忘れてしまうと言う。
そんな冬子ちゃんに次郎は約束する。「忘れないよ!」と。しかし、冬子ちゃんは死んでしまう。次郎は冬子ちゃんをいつまで覚えていてくれるだろうか?

「忘れないよ!」

 子どもの頃の約束はいつまで有効なのだろうか。この時は本気で本心からそう思い誓った言葉でも大人になるにつれていろんな出来事を経験し、やがて子どもの頃の思い出は遠く霞のようにおぼろげになっていく。

 私事で恐縮だが私自身も転校が多かった。そして、子どもの頃に鮮明に覚えていた事や人の顔の記憶が今ではかなり薄れている。あんなにはっきりしてた事があやふやになっている。幼稚園や小学校のクラスメイトの全員の顔を覚えていたのに特に親しかった友人の顔以外は今では思い出す事が出来なくなってきた。きっと、向こうもそうかもしれない。

 思いだけは残っていて忘れないでいても、詳しい事を思い出せなくなってきている。記憶には限界があって全て覚えていたら脳がパンクしてしまうのかもしれない。でも、思い出は脳だけではなく心でも覚えているものだとも思う。だから、例え普段忘れていてもある日ふと心で思い出す事もある。

 次郎は父親や冬子ちゃん、高井戸博士、そして剛とも別れを経験する。(父親とは第1話が始まる以前に既に死別しているが)それは、相手の死による別れで決して再会出来ない別れ。その強烈な別れは幼い次郎の心に残り、彼の心の中で忘れられない、忘れる事の出来ない思い出として残っていくのだと思う。

『俺はあばれはっちゃく』第41話でも長太郎はノリコちゃんに約束している。

「君の事絶対忘れない」

次郎も長太郎も心を亡くさない限りいつまでも忘れないでいると思う。