柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

正体を明かせない辛さ

 魔女っ子やウルトラマンパーマンは親しい人達とその正体を隠して付き合っている。時に彼らはその正体を隠しているがゆえにもどかしい思いをしているのではないかと思う事がある。それでも、同志がいればその思いは少し軽減されるし心強い。そう思うと仲間にすら自分の正体を明かす事がなかった『鉄人タイガーセブン』の剛はとても孤独な立場だったと思う。タイガーセブンに変身して戦っている時は剛の姿で同時に同じ場所にいる事は出来ない。

 それ故に仲間から(主に北川さんから)卑怯者扱いされてしまう。また、剛達は敵であるムー原人の脅威を世間に訴えていても、世間はそれを認めず挙句の果てにはムー原人のやったことを自分達がやったと思われ殺人の容疑まで掛けられてしまう。世間からも否定され、仲間からも否定された剛の心はどれだけ孤独だっただろうか。(第19話の北川さん厳しすぎる)剛は一度死んで父親から人工心臓をとりつけてもらって蘇っているが、それには有効期限があった。否定され続ける孤独と戦いの恐怖と空しさと僅かな命を前にして剛は戦いから逃げ出してしまう。

 いくらタイガーセブンになったと言っても剛は元々人間なのだから、そういう心の弱さがあっても当たり前なのだと思う。『タイガーセブン』はヒーローものの暗黙の了解というものをことごとく否定して、これでもかと剛を傷めつけていたが、こうした最後まで称賛されなかったヒーローって他にいたのかな。弱い人間の剛が言うからこそあの時に次郎にいった言葉が響くのだろうな。

「しかしな、次郎。本当に強いってことは違うんだぞ。本当に強いって人とは正しいと信じることを勇気を持って実行する人の事なんだ。誰にどんな事を言われても絶対にくじけない人の事を言うんだ。分かるか」

 世間や仲間に否定されても、理解されなくても、一度は逃げても戦いに戻り戦った剛は弱い人間ではあったけど、強いヒーローでもあったと思う。