私が架空のドラマや小説、漫画、劇などの話で弱いものというのが、「誰にも理解されず嫌われている人間が、たった一人にたった一度だけ親切にされたのが嬉しくて、その人の為に自分の何もかも命までも捨てて尽くしてしまう」という設定。その優しくした人にとっては当たり前で息をしたのと同じくらいの出来事なのに、された方にとっては貴重で大事な出来事であるという。
例を出すと『のび太と海底鬼岩城』のバギーちゃんと静香ちゃんの関係とか、現実の話だと最近読んだ中山千夏さんの『ぼくらが子役だったとき』の弘田三枝子さんの対談に出て来た友人の話とか…。弘田さんは子役時代に学校でいじめにあっていたのですが、天使のように優しくて頭が良くて綺麗な子が転校してきて弘田さんをいじめから救ってくれたのだそうです。出れない授業のノートを取ってくれていたり。
彼女は自分以外の友人を作らなくてその理由について、弘田さんが訊ねた時、友人はこう答えてくれたのです。
「私に最初に声をかけて友達になろうといったじゃない。だから、ずっと友達だよ」
弘田さんの友人の方は転校してきて不安だった時に弘田さんのその言葉がすごく嬉しくってだから、ずっと弘田さんの味方でいてくれていたのかなぁ……。と思うとホロリときました。
たった一つの親切がその人にとって宝石のようにキラキラした宝物で大事で、だからこそその親切にしてくれた人に対して尽くしても尽くしても尽くしきれない好意を抱く。世界中が敵になってもその人だけは守りたい。その人だけには嫌われたくないという切ない心や立場に私は弱いです。コンプレックスを持っている人間のコンプレックスをそんなのはどうってことないよ。君は自分でそこまで卑下するような人間じゃないよといって、普通に接してくれる人に戸惑いを感じるものの、その態度が本物だと分かるとその人の為に恩義を尽くすというのにも弱い。
自分なんかは人に親切にされる立場になった時は、私なんかそんな親切にあやかれるような大層な人間ではございませんと思って、ぶっきらぼうな態度を取ってしまうのですけど。
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