柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

ヨットと父ちゃんと長太郎

「俺はあばれはっちゃく」の長太郎の宝物はヨットの模型。これは父ちゃんが長太郎の誕生日に造ってくれたもの。大工の父ちゃんが全て一から本物のヨットをじっくり調べて造ってくれたこの世に二つとないたった一つのヨットだ。第2話でこのヨットの説明を得意気にヒトミちゃんに話し父ちゃんの事を自慢する。(その後で、正彦の父親が父ちゃんの上役だと友人たちが知った時の長太郎の気持ち、その正彦の父親に叱られ頭が上がらない父ちゃんを見た時の長太郎の気持ちを考えると悔しかったろうなと思う)

第18話では正彦が引っ越す事になった家を父ちゃんが手直しすることになったが、この時父ちゃんが手抜きをしていると正彦の父親から疑われ、これを知った長太郎が正彦の父親に手紙を持って抗議に行く。長太郎はヨットを造ってくれた父ちゃんの姿勢を通していかに父ちゃんが大工として誇りを持って仕事をしているか、真剣に正彦達の家を直してくれているかを訴えている。マユミちゃんをあやす時にもヨットを持ちだしてきている。

長太郎にとってヨットは尊敬し、自慢できる父ちゃんの象徴みたいなものだ。

そんなヨットを長太郎が手放そうとする話がある。第21話だ。ヒトミちゃんの貴重な切手コレクションを長太郎が預かっているヤギが食べてしまった為、長太郎は同じ切手を足を棒にして探し回り、終にフランスのぺペールさん(ヨーロッパ貿易機構の一番偉い人)が持っている事を突き止める。このぺペールさんに無謀にも長太郎は切手を譲ってくれと懇願する。この時に長太郎は切手とヨットを交換してほしいと頼むのだ。「お金だって払うよ。足りない分は毎月でも払うよ」と。この時、ぺペールさんは自分も亡くなった父親から造ってもらった船を出して、ヨットを手放す決心をした長太郎の気持ちを汲み取り長太郎に切手をプレゼントしてくれる。

ぺペールさんは自分も長太郎と同じ立場にいたから(父親に造ってもらった大切な宝物を所有しているという立場)、ヨットを手放そうとした長太郎の心を分かってくれた。そして、見ている私(達)はそれまでのヨットにまつわる長太郎の父ちゃんの尊敬と自慢の気持ちを知っているからこそ、長太郎の決意が分かる。(そもそも、小学生がぺペールさんに会う為に単身で乗り込んでいくという時点で充分分かるのだが)それを伝えるだけの大きな存在だったのがあのヨットだった。

長太郎は父ちゃんを尊敬している。第14話で父ちゃんの恩師の大熊先生に子供の頃の父ちゃんの事を聞いて皆に笑われた時も長太郎は父ちゃんを軽蔑しない。

第4話で父ちゃんに急な仕事が入り約束していた動物園に行かれなくなった時、目に涙を溜めて父ちゃんに抗議した長太郎。あの時は大人の勝手に振り回される長太郎が可哀相にも思えたが、今の私の(一応、社会人として働いている)立場からすれば、あの時なにも言えなかった父ちゃんの気持ちが痛いほどよく分かる。どんなに理不尽で嫌なことであっても、家族の為に仕事を辞めることは出来ない。この辛さ。自慢している父ちゃんが上司に頭が上がらないのを見て長太郎も悔しかったと思うが、この時の父ちゃんの方がもっと悔しかっただろう…と今の私ならそう思う。

そんな父ちゃんも第37話で短気をおこして会社を辞めて桜間工務店の社長になるが、この時に父ちゃんも長太郎も現実の厳しさを知る。(母ちゃんとてるほ、特にてるほは良く分かっていて深刻に受け止めている)この時は正彦の父親も自分が上司とはいえ1人では何も出来ない事を思い知る。仕事は1人の力では出来ないし、当たり前のように仕事があって、安定してお金をもらって、働く場があるというのは有難いことなのだと、互いに助けたり、助けられたりして働ける事を感謝しなければいけないのだと感じた。

長太郎の考えにも気持ちにも子供の頃と同じように賛同できる事もあるが、大人になってからは父ちゃんの気持ちも少しではあるが理解できて一方的に約束を破った父ちゃんを責める見方はなくなった。