柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

乙女心

長太郎はヒトミちゃんが大好きである。傍から見ても分かるほどで佐々木先生も公一もそれを知ってからかうほどである。では相手のヒトミちゃんの気持ちはどうだろうか。長太郎が5話で調子に乗ってヒトミちゃんを「自分の女の子」呼びした時にヒトミちゃんは怒っている。

「私が長太郎君の女の子ですって!いつから!」

41話で長太郎が正義の王子様になり、悪の王子正彦からヒトミ姫を救ったという夢の内容を話せば、こう言いきる。

「言っときますけどね、長太郎君。例え正彦君が悪い王子様だとしても、正彦君なら喜んでさらわれていくわ」

ヒトミちゃんは長太郎を嫌いではないようだが、長太郎が思っているような「好き」という感情はまだ持ち合わせてなく、そうした対象にされたりする事に物凄い嫌悪感を感じているようだ。(例え持っていたとしても本人の自覚がないか、自覚していてもそうした感情を嫌悪している為に自分の中で否定しているようにも見える)ヒトミちゃんは正彦とも仲良くして長太郎はよく焦りや焼きもちを妬くが、ヒトミちゃんからしてみれば同級生と仲良くして何が悪いの?といったような感じである。

とにかく長太郎側から見ればヒトミちゃんの気持ちはつれなく一方的な片思いようにしか見えない。そんなヒトミちゃんだが長太郎が他の女の子と仲良くしていると焼きもちを妬く。まず、第3話で長太郎と恵子ちゃんがじゃれあっていたのを目撃した時。

「恵子ちゃんと…、そうだったの。よく分かったわ」

これはその前に公一が事前にこれを吹き込んだなのも原因かもしれない。

「長太郎君だったらねぇ、メガネ豚ちゃんとウシィシィ」

17話でタマエが教室に押し掛けて来たときも、両手で頬づえをつき膨れ面をして長太郎を睨んでいる。恵子ちゃんとタマエの時は長太郎が必死に弁解し、誤解を取ろうと躍起になっていた。タマエの時の弁解の場面はまるで2人が恋人同士のように見えたりした。

恋人同士に見えたのは、長太郎の必死の弁解にヒトミちゃんが許してくれた時、長太郎が摘んできた花の匂いを嗅いだヒトミちゃんに珍しく長太郎が素っ気ない態度にもある。

この他にヒトミちゃんが焼きもちを妬いたのが41話で登場したノリコちゃんの時だ。長太郎はノリコちゃんとの事を同級生達には話していなかったが、公一が勝手に調べてヒトミちゃんに報告している。この報告を聞いた時のヒトミちゃんの顔は不安で寂しそうだったが、気が強いヒトミちゃんは公一を問い詰め、公一と共に長太郎とノリコちゃんの前に現れていきなり初対面のノリコちゃんに言う。

「ノリコちゃん。私、長太郎君に付きまとわれて困っていたの。これで助かるわ、せいぜい仲良くしてあげてね!」

そこからは長太郎とノリコちゃんに対して怒りすら感じる。ノリコちゃんのとこに行く前のヒトミちゃんの不安そうな顔と長太郎とノリコちゃんの前での強気な態度を見ていると、長太郎の心が自分から離れていくような不安感がヒトミちゃんから感じられる。

ヒトミちゃんがノリコちゃんに言った言葉が真実とは思えない。彼女のプライドがそう言わせたと思う。本当に迷惑をしていたのなら、その後、彼女が元気がなくなることはないと思うからだ。空元気になる人もいるかもしれないが。

恵子ちゃんやタマエの時と違ってヒトミちゃんの立場が弱い。前の2例と決定的に違うのが長太郎がヒトミちゃんに弁解をしない事である。しかもノリコちゃんに尋ねられた長太郎の言葉が決定的だった。

「あの子の事、好きだったの?」
「もう、嫌いだよ」

その後の別の場面での、この公一の報告にも、長太郎は関心がなかった。

「ヒトミちゃん元気がないみたいだよ」

公一からノリコちゃんの家の事情を聞き、ヒトミちゃんは長太郎との仲を戻す。ヒトミちゃんはこうして焼きもちを妬き、そして、いざという時は長太郎を頼りにする。(第20話、第39話など)長太郎の気持ちに迷惑はしていても、きっと嫌ではなかったと思う。第27話では長太郎に似ている従弟のサトルを好きだと言っている。

なによりも最終回でのヒトミちゃんの言動がそれを証明している。別れの時に空港で長太郎を捜すヒトミちゃんの目、見つける事が出来ず涙で曇った目。そして、長太郎のメッセージを見つけて輝いた目。ヒトミちゃんは長太郎ほどストレートではなかっただけだのだと思う。