柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

切手コレクション

アバンタイトル

スーパーマンの格好で大砲に入って、空を飛ぶことを目指す長太郎のアバンタイトルからスタート。長太郎の空を目指す挑戦は、かなり大掛かりになってきました。

本編

長太郎がヤギを学校に持ってきて、大騒ぎ。佐々木先生の言葉も納得です。ヤギ飼いのアルバイトらしいのですが、なんでそんなイレギュラーのことをするのかと。

休み時間に、コレクションの切手を正彦に鑑定してもらっているヒトミちゃん。この2人以外にも長太郎以外のいつもの面子、恵子ちゃん、公一、明子、小百合達の間では、切手がブームになっていて、盛り上がっています。

切手一枚に高い値がついているということに、信じられない長太郎ですが、切手の価値を聞いて、ヤギのバイトよりも儲かると売ることをヒトミちゃんに勧めますが、ヒトミちゃんは拒否。

そんなことをしている間に長太郎のヤギがヒトミちゃんの切手を食べてしまうという事件が発生。もうね、今回のヤギのバイトという無茶は、ヒトミちゃんの切手を食べる事件を起こすためにあったといっても過言ではない。

ヒトミちゃんの切手は、フランスの古い切手でコレクション価値の高い貴重なものであるというのもあるのですが、ヒトミちゃんが誕生日に両親からもらった大切な幸福の切手という価値があって、ヒトミちゃんの落ち込みが大きくなっています。

長太郎は、ヒトミちゃんの切手を取り戻すために、公一と一緒に切手探しに奔走して、フランス人のフランスの大臣を務めたペペールさんが持っているらしいことまで突き止め、たまたま来日しているというぺペールさんのとこまで公一と行きますが、途中で公一は逃げてしまいます。公一の気持ちも分からなくもない、

「都合のいいときだけ、親友なんだから」

って言いながら、長太郎にここまで付き合っただけでも、えらい。しかし、長太郎はつまみ出されてしまいます。諦めかけたときに、家に戻ってヤギに餌をあげていると、首輪にヒトミちゃんの切手を発見。

喜び勇んで、ヒトミちゃんに届けにいって、めでたし、めでたしだと思いきや、返した後でヤギに食べられてしまうという展開に。ああ、ヒトミちゃんに謝るためとはいえ、またヤギを連れてくるから。

ヒトミちゃんは泣き出すし、買い物から帰ってきたヒトミちゃんのママに長太郎は大根で叩かれるし……。
幸福な切手がヤギに食べられたことを聞いて、ヒトミちゃんのママは、ヒトミちゃんを怒った後で、

「あなたに怒ってもしょうがないわ。はっちゃくのせいね、ああ、幸福の切手が食べられるなんて、不吉な出来事の前触れだわ」

なんて言っちゃうし。それに対してヒトミちゃんが

「よして、たかが切手一枚で、人が幸福になったり、不幸になったりするわけないわ。迷信よ」

ヒトミちゃんは、切手を食べられて落ち込んだり、泣いたりしたけれども、長太郎を責めることはこの話の中で一度もしていません。

それどころか、必死で切手を探してヒトミちゃんを気遣う長太郎に対して、優しさを見せています。ヒトミちゃんのママが、全部を長太郎のせいにしたら、ちゃんとママに対して怒っているし、長太郎に対しても

「切手を持ってきた自分の責任」

と言っています。ヒトミちゃんは、本当に相手が悪いことをしていて、原因の時は相手のことを強く責めますが、そうでない時には人を責めないし、なんでもかんでも長太郎のせいにする人達に対しても、反論して長太郎を庇ってくれます。

これは、原作のヒトミちゃんも同じで、ドラマもこの辺りからヒトミちゃんの優しさと正義感がより原作のヒトミちゃんに近づいてきたように思います。

この話は、ドラマオリジナルですが、ヒトミちゃんが持つ正義感というか、ヒトミちゃんが生きていくうえでのポリシー、筋の通し方、心の持ちよう、信念は原作のヒトミちゃんに近づいていると感じます。

切手一枚で人が幸せになったり、不幸になったりなんて、確かにヒトミちゃんのいうように迷信だと思いますが、この話ではそれで落ち込んだり、喜んだりしていて、ヒトミちゃんと長太郎の感情を大きく揺さぶっています。

本当に切手を食べられて、長太郎はもう一度、ぺペールさんに頼みにいきます。長太郎の宝物、父ちゃんが誕生日の時に作ってくれたヨットを持ち出して、お小遣いも全財産持ち出して、毎日、一生かけて足りない分を払っていくということまで言って、ぺペールさんにお願いします。ぺペールさんは、「困ります」と言って、車を出して去ってしまいますが……。

どんなにお金を出しても、お気に入りのヒトミちゃんと同じ切手を手放さないと言っていたぺペールさんでしたが、翌日長太郎の家にやってきます。ぺペールさんは長太郎の優しさに感動して、切手をプレゼントしますと長太郎に切手を渡します。

今回は、ヤギ飼いのアルバイトで勝手にヤギを預かったことや、今回の切手騒動でかなり長太郎に対して厳しく怒っていた父ちゃんですが、訪問してきたぺペールさんと意気投合しています。ぺペールさんは、小さな船の模型を持ち出し、亡き父親の思い出を語ります。

長太郎が父ちゃんにヨットの模型を作ってもらったのと同じように、ぺペールさんも少年時代に父親に船の模型を作ってもらって、大事にしていたのです。父ちゃんがその船の模型を見て、しっかりと細工されて作られている船に感心をしています。父ちゃんが感心するほどの精巧な模型。

「もう、父は亡くなってしまいましたが、これは(船の模型)僕の一番大事な物です。はっちゃくもこのヨットは世界に2つとない宝物といいながら、それを人のために手放そうとした。その気持ちに僕も感動しました」

ぺペールさんはお金では買えないものを長太郎にもらった事が嬉しかった。切手も、ヨットもお金では買えないもの。いや、買えるものではあっても、今では同じものが手に入りにくかったり、同じものがこの世にはないものだったり、そこに人の思いや歴史があって、市場価値でははかれない個人的な価値がある時に、かけがえのない物だったりすると、お金で買える問題ではなくて、人の心を動かすのは、人の思いやりの心や自分以外の人間のために動いた結果なのだなって思います。

「日本にきて、初めて日本人の真心に触れました」

今回は、話作りに無理を感じたりしましたが、お金では買えない大事な物の存在を教えてもらったように思います。

子どもの頃には、ぺペールさんの父親ことを話す時に、愛おしく船の模型を見つめる目が遠い昔の過去を懐かしみ、私にとってその言葉が遠い未来の言葉に感じていましたが、私自身が既に父親を亡くしていて、父との思い出も遠い昔になって、父ちゃん役の東野さんもこの世にいない今となっては、父親を懐かしむぺペールさんの言葉が身近に感じてしまって、子どもの頃には感じなかった、そこはかとない寂しさも感じます。

長太郎は、ヒトミちゃんが長太郎を気遣った言葉を思い出して、手製の芋版切手を使って、手紙と一緒に封筒に入れてヒトミちゃんの家のポストに投函してヒトミちゃんに切手を渡します。ぺペールさんの名前を使って手紙を書いた長太郎。
それをヒトミちゃんの部屋に持ってきたのは、ヒトミちゃんのママ。

「同じ切手じゃない、親切な人ねぺペールさんって、誰かしら」

字は明らかに子どもの字。ヒトミちゃんだけでなく、ヒトミちゃんのママもある程度、予測はついていると思うのですが、こうやってとぼけてくれているところに優しさを感じます。

翌朝、登校途中で長太郎に声をかけるヒトミちゃん。

「ありがとう。ぺペールさん」

切手一枚で人が幸せになったり、悲しんだり、国や年齢を超えて友情が芽生えたりした、素敵な話でした。