柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

人に優しくするにも用心が必要?

アバンタイトル

教室で恵子ちゃんと腕相撲をしている長太郎。クラスメイトに囲まれて恵子ちゃんに勝利した後、今度はヒトミちゃん。ヒトミちゃんの柔らかい手ににやける長太郎はあっさり負けて、見ていた正彦から「わざと負けた」を口火にクラスメイト達から非難されるも、机の下に入ってにんまり。好きな子の手を握るだけで喜ぶのが微笑ましいアバンタイトルですね。

本編

模型売り場にいる長太郎と公一、正彦の3人。正彦が電卓片手に品物を見ながら計算をしています。結構な額で、長太郎が正彦に長太郎が聞きます。

「そんなに買うのかよ」

「違うよ、この中から選ぶんだよ。パパのボーナスが出たら買ってもらうんだ」

 時は、もうすぐクリスマス。長太郎たちがいる店内にもジングルベルのBGMが鳴っています。長太郎の父ちゃんも正彦の父親と同じところに務めているので、長太郎の家にももうすぐボーナスが来るのに長太郎が気づき、実家で八百屋を経営している自営業の公一はボーナスが出るサラリーマン家庭の長太郎と正彦の家を羨ましがっています。

場面は変わって、てるほと母ちゃんがデパートの着物売り場に来ています。母ちゃんとてるほもボーナス特別セールの着物を見ています。

このデパートは父ちゃんが務めている向ヶ丘遊園ダイエー。てるほは、少し高めの着物に尻込みしている母ちゃんに社員割引を勧めますが、こういうのは出来ないと母ちゃんがいい。だったら、ボーナスで買えばいいんじゃないと勧めます。母ちゃんも着物は、ずっと新調してなくて、お正月に久しぶりに着物を買いたいとてるほの勧めにボーナスで買ってもいいかと父ちゃんの了承を受けてから、買うことを決めます。

家計のことや父ちゃんの意見を聞いてから、買いたいものを買う判断をするところが母ちゃんらしいというか、今、2017年に見返してみると、古風な感じがします。この父ちゃんの意見をまず優先するという母ちゃんの姿勢を覚えておくと、この後の母ちゃんの行動がより面白味を持っていると感じます。

母ちゃんとてるほがいる着物売り場から、父ちゃんが働いている同じデパート内の従業員の仕事場に場面は移り、不景気からボーナスが出ないという話が出ています。

そして、その日の夜の桜間家の夕食。母ちゃん、てるほ、長太郎はボーナスで欲しいものを買ってもらおうと父ちゃんの機嫌を取りますが、父ちゃんはボーナスが出ない話を聞いているので、3人に言います。

「馬鹿野郎!え!勝手な事ならべやがって。もし、ボーナスが出なかったらどうする気だい?」

 それを聞いて、驚く3人に父ちゃんは事情を話します。『俺はあばれはっっちゃく』の中では、この時代1979年を景気があまり良くないという言葉が他の話でも出てくるのですが、(37話『父ちゃん社長だ』の回など)『俺はあばれはっちゃく』前後のドラマ、例えば吉田友紀さんが『俺はあばれはっちゃく』の前年にレギュラー出演されていた『気まぐれ本格派』でも、不況だという会話が出てきて、この時代の経済があまり良くなかったのかなって思われます。

私は当時、5歳でそうした不況、不景気を感じなかったのですが、一緒に見ていた両親は、父ちゃんや母ちゃんの気持ちに共感を感じながら見ていたりしたのかなって思ったりもします。

さて、ドラマの話に戻って、父ちゃんが聞き返してくる長太郎とてるほにボーナスが出ない可能性を話して聞かせます。

「嘘だろ」

「ボーナスが出ないなんて!」 

「なきにしもあらずだ。え、スーパーだのが進出してきてな。いろいろデパートも大有り名古屋だ」

 父ちゃんの勤め先で『俺はあばれはっちゃく』のロケ地でもあった、向ヶ丘遊園ダイエーは現在も残っていますが、私が『俺はあばれはっちゃく』が放送していた頃に買い物によく行っていた仙台のダイエーはイオンに変わってしまい、他にも多くのダイエーがイオンに変わってしまいました。

そうした未来から、父ちゃんの言葉を聞くと、なんかこう時代の移り変わりというか、そういうのを感じますね。ダイエーのような大きな店が消えていくのを目の当たりにする日がくるなんて、当時は考えもしませんでした。

父ちゃんは、自分のボーナスを当てにしないで、欲しいものは自分で買えといい、母ちゃんはヘソクリで買うことにするのです。学校では長太郎が正彦にボーナスが出ないことを伝えると、正彦もがっかり。母ちゃんは目当ての着物が売り切れていてがっかり。

下校の時に、恵子ちゃんの家に着物を着たおばさんがいて、恵子ちゃんの母親に話があるとのこと。

可哀想な身の上を聞いて泣く恵子ちゃんと恵子ちゃんのママ。着物を買ってほしいという話に、決まった呉服屋でしか買わないというのと、恵子ちゃん同様、ふくよかな恵子ちゃんのママは特別仕立てじゃない着物じゃないと断ってしまいます。

気の毒だと見ていた長太郎とヒトミちゃん。ヒトミちゃんのママは着物を着ない主義で、長太郎は母ちゃんが着物を欲しがっていたと思い出し、デパートから着物が買えなかった母ちゃんと出会って、着物を売りに来た女の人を連れてきます。

女の人の可哀想な身の上話。さっき長太郎が恵子ちゃんの家で話したのと話が少し違うのを突っ込みながら、てるほも母ちゃんも女性の話に同情して、言い値よりも2,000円色をつけて買って、缶詰も渡します。

ここで、長太郎が話の矛盾を指摘しているのが伏線で、この後で、巡査の山本さんが来て、盗品を売りさばいている女詐欺師のことを話し、さっきの人が女詐欺師だと判明します。

父ちゃんの会社では、ボーナスが出る話が出ていて、出ないというのは士気を高めるため。いつもより、多くボーナスが出せるということで、父ちゃんもご機嫌で着物を買ってやると言うのですが、詐欺にあったばかりな長太郎達は、そわそわ。そこへ、何も知らない山本さんが来て、父ちゃんに詐欺にあったことがばれて、父ちゃんに3人が起こられてしまいます。

母ちゃんを除いて、それぞれが互いに責任を擦り付け合います。てるほが父ちゃんを強く責め立てます。父ちゃんが母ちゃんをもっと大事にすればいいのに!という言葉に父ちゃんも買い言葉で、母ちゃんを責めてしまい、黙っていた母ちゃんも終に怒ってしまいます。

内緒にされていたのを怒る父ちゃん、女詐欺師の可哀想な身の上話に同情した母ちゃんの気持ちを否定された事に悲しむ母ちゃん。母ちゃんが父ちゃんの意見を尊重して、自分の欲しいものを買う判断をしていて、常にそれまでも、父ちゃんを立てている母ちゃんが、父ちゃんに対して怒るのは、大事にされていると思っていたのが、父ちゃんの照れ隠しと怒りから出た言葉で、そうじゃないと感じてしまったから。

翌日、頭が冷えた父ちゃんが母ちゃんに謝るも、母ちゃんはツン。てるほは、長太郎にどうしようか?と尋ねます。そこで、父ちゃんに母ちゃんと仲直りをするきっかけを作ろうと、てるほと長太郎は父ちゃんをデパートに呼び出します。すると、そこに女詐欺師の姿が。長太郎が気づいて追いかけて、万引きしているのも見つけて大声を出して、屋上まで追いかけていきます。父ちゃんや警備員の人達も後を追いかけて、女詐欺師を捕まえます。

父ちゃんが女詐欺師を取り押さえたときに言う言葉に、母ちゃんへの愛を感じます。

「母ちゃんを騙しやがって!」 

 不況の時代、専業主婦の母ちゃんが父ちゃんにもしものことがあったらと最悪なことを考えて、家計のやりくりからヘソクリを作り、明日は我が身になる人の身の上を聞いて、手を差し伸べる母ちゃんの他人に対する優しさ。

その優しさに付け込む詐欺師。「騙されるほうがバカ」と、父ちゃんは言いましたが、騙すほうが一番悪いのです。人に優しくするのに用心しないといけないなんて、寂しいですが、そうした現実もあることを知っておくのも、身を守るには必要なのかもしれません。