柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

サヨナラ!あばれはっちゃく

『逆転あばれはっちゃく』の最終回を見ました。1話の頃は茨城からきた長太郎が笑われたり、卑劣な暴力を伴ったいじめを受けていた長太郎を見ているのが辛かったです。転校生の長太郎がいじめを受ける、はめられる、クラスメイトからあからさまな差別を受けたことで辛い思いをするのは、2代目も同じですが見ていて厳しかったのは、5代目のほうでした。5代目は放送当時に見ていませんでしたが、年齢からすると小学生の頃の(4、5年生)の自分に近く、私自身が父親が転勤族で転校も多かったのもあり、5代目の1話に対して、自分の小学生時代を重ねて見てしまったせいかもしれません。

また、先生が後には長太郎の理解者になりますが、歴代の中では厳しい面が強調された先生だったのも、母ちゃん(5代目では母さん)が厳しかったこと、それと、父ちゃん(5代目では父さん)が優しいけれど、気持ちが弱くみえたのも、長太郎がクラスで孤立しても、頼もしい頼れる大人が『逆転あばれはっちゃく』の最初のほうでは感じられなかったのもあると思います。2代目でもみゆきちゃんは早々に長太郎の味方になってくれて、5代目でもヒロインのあかねちゃんは1話目から長太郎に優しいのですが、大人が長太郎にとって安心できる拠り所になっていると感じることが、最初で感じ取れなかったのが、私が5代目が2代目よりも、厳しさや辛さを感じてしまったところだったのかな、って思いました。

そんな、酒井一圭さん演じる5代目長太郎でしたが、最終回では、クラスメイト達の信頼が厚くなり、頼られる存在になっています。長太郎はクラスの中心となり、リーダー的な役割を持つようになっていました。長太郎達の学校では、クラス対抗戦の練習のために、野球のノックやサッカーのゴールキーパーをして、クラスのみんなの指導をしていて、みんなからも頼りにされています。帰り道、長太郎が「男も女も5年3組優勝だ!」と言えば、クラスメイトもその後に続いて「優勝だ!」と声を合わせます。途中、あかねちゃんに呼び止められます。

「優勝できたら、お礼にわたしの家に招待するわ」
「俺だけ?」
「そう、私がうんとご馳走してあげる」

そんな二人を見たクラスメイト達からは冷やかしの声が飛んできますが、それは、長太郎を馬鹿にした冷やかしではなく、あかねちゃんと長太郎の仲を快く認めている仲間たちの、信頼と親しみからくるものでした。家につき食事の席で長太郎は、母さんと姉のカオルに「母さん、どうして俺ってこんなにもてるのかな」「姉貴、どうしてだと思う?」と得意気に言います。カオルが「もてるって、誰によ?」と問い返すと、「俺は5年3組のみんなから信頼されているんだぞ」と答えます。

「ああ、しょってる」とあきれるカオルですが、母さんは「やっと、みんなから信頼されたんだから裏切らないようにね」と言います。そこへ、父さんが肩を落として帰ってきます。「ご飯先にしますか」の母さんの言葉に「いや、飯は後でいい。それより、みんなに大事な話がある」と切り出し、父さんが九州、宮崎の動物園に転勤するために、家族で宮崎にいくことを話します。長太郎は「みんな父さんといけ、俺、一人で留守番してら」とこの時点では暢気に答えます。母さんも美容室のお店をどうするか店でブラシを手入れしながら思案しているところへ、父さんがきて二人は会話をします。

「なあ、母さん、いろいろ考えたんだが、母さんはこのお店を続けてくれ」
「それどういうこと」
「せっかく、苦労して持った店だ続けて方がいい」
「父さん」
「長太郎の言うように、九州には俺一人でいく単身赴任だ」
「でもね」
「3年したら、戻れるようにしてもらうさ。それが一番いい。な、そうしよう」
「本当にそれでいいの?」
翌朝の朝食の席で、母さんは長太郎に引っ越すことを決めたことを話すと、長太郎が反発します。家族全員が引っ越すことを仕方がないと長太郎に説き伏せますが、長太郎は抵抗してテントを張って、ドン次郎と家出します。しかし、長太郎の家出の場所を知られ家に連れ戻されてしまいます。母さんに嘆かれると長太郎は言います。

「俺は東京にきて、やっとみんなと本当の友達になれたんだ。そのみんなとの約束を裏切るわけにはいかないんだ!」

長太郎のいう約束は、クラス対抗戦での優勝のこと。母さんが友達から受けた信頼を裏切らないようにと言われたことを長太郎は守っているのです。それと、あかねちゃんとの約束もあります。ただ、家庭の事情で長太郎が転校することで、信頼を不可抗力で裏切る形になってしまうという皮肉。父さんが優しく長太郎を説得しますが、長太郎は自分だけ置いていってくれと懇願します。大人の都合に振り回される長太郎の気持ち。長太郎は、みんなの顔を思い浮かべながら、涙を流します。学校まで走っていき教室の机に彫った自分の名前を消します。そこへ、先生がきます。

「長太郎、お前の気持ちは痛いほどよく分かる。先生だって別れるのは辛いんだ」
「俺、自分で決心していきたいんだ」
「自分で決心して行きたい?」
「でも、まだ、俺、みんなのことが思い切れないんだ」
「長太郎、辛いのはお前だけじゃないんだぞ。クラスの誰もが桜間長太郎と別れるのが辛いんだ」
「その辛い思いを切っちゃわないと、九州にいく決心がつかないんだ。先生、どうしたら、みんなのこと思い切れるんだ?先生、教えてくれよ!教えてくれよ!」
しかし、先生は答えることが出来ません。そこで、長太郎は自分で最後のひらめきをします。先生には転校のことを秘密にしてとお願いし、みんなにわざと嫌われること。長太郎の傍若無人な振る舞いで、みんなは長太郎を非難しますが、親友のワタルとあかねちゃんは長太郎がどうして、突然、そんなことをするのか心配して事情を聞きますが、その二人にも長太郎は悪態をついてしまいます。それでも、あかねちゃんは長太郎を信頼し、長太郎を非難するクラスメイト達から長太郎を庇います。でも「長太郎を庇うなら、お前も仲間はずれにするぞ」と言われてしまいます。それでも、あかねちゃんは「長太郎君が本心から、あんなことをしたと思えないの」と言って先生に事情を話します。それを聞き先生は、あかねちゃんに長太郎の転校のことを話します。それを聞いたあかねちゃんは、長太郎の転校とみんなから嫌われる行動をした理由をクラスメイトに伝えると、それを聞いたクラスメイトは「そうだったのか!」「転校?」とみんなで引越しの荷造りをしている、桜間家に押しかけます。

「長太郎君、出てきて!相談があるの」
「桜間、みんなでお別れパーティをしようって決めたんだ。出てきてくれよ」
「お別れパーティなんかしてくれなくていい。せっかく、九州にいく決心がついたのに、余計なこというな!」
「長太郎君」
「長太郎君ったら!」
「長太郎君、私達、このままお別れしたくないの」
「長太郎君!長太郎君!」

それを見ていた先生がみんなに言います。

「みんな、先生のいうことを聞いてくれ。長太郎の決心がグラついてはいけない。長太郎の意志を尊重しよう」

その言葉に泣きながら、みんなは帰ります。

そして翌日、桜間家の人達は、東京駅に向かい、住み慣れた家を後にします。そこへ、先生が一人見送りにきて、みんなから長太郎に渡してと頼まれたものを手渡します。長太郎が、新幹線の中で、もうすぐ多摩川に差し掛かる頃、窓を見ると5年3組のみんなが待っていました。新幹線の長太郎から見えるように作った看板の前に集まって、手をいっぱいに振っていました。

『サヨナラ!あばれはっちゃく
それに気づいた長太郎は、窓に向かって、みんなのほうへ向かって叫びます。

「あ、あかねちゃんたち!おーいここだ!」

『サヨナラ!あばれはっちゃくの看板が見えたときに流れた、BGMは初代から4代目まで使われてきた主題歌『タンゴむりすんな』でした。この場面を見た時に思い出したのが、初代『俺はあばれはっちゃく』の最終回でした。あの時は、長太郎が一人、飛行機で北海道に引っ越すヒトミちゃんから見えるように、大きな文字を並べて「ヒトミちゃん、いっしょにあばれよう!」と一人だけで手を振り、ヒトミちゃんを見送りました。5代目では、立場が逆転して長太郎がみんなから見送られます。長太郎が先生から手渡された手紙には、5年3組のみんなの写真と声のカセットがありました。ここは、2代目『男!あばれはっちゃく』で邦彦が九州へ引っ越す時に、みゆきちゃんが長太郎に託し邦彦に渡したカセットを聴く邦彦の姿を思い出しました。

『サヨナラ!あばれはっちゃく

この言葉は九州へ転校する長太郎へのメッセージと共に、この5代目までの長きに渡って放送されてきた『あばれはっちゃく』シリーズ全体の、歴代の長太郎、あばれはっちゃく達へのメッセージにも受け取れました。5代目の長太郎がどれだけの思いで、みんなの信頼を勝ち得て、別れを惜しまれる存在になったのか。それを思うだけでも、胸がつまります。そして、最終回、転校が決まり、別れの決意をしていくなかで、長太郎は大粒の涙を流していました。最終回の長太郎は殆ど泣いている印象が強かったです。過去に初代長太郎だけが、ヒロインと同じ学校を卒業できないのが可哀相だと書きましたが、5代目長太郎もあかねちゃんとの約束を果たすことなく、別れてしまうのは切なく感じました。

5代目の酒井さんは、長太郎に憧れて、役者の道を目指したかたです。自分の代で『あばれはっちゃく』が終わってしまう悲しみも演じていた中であったのだと思います。だから、私には、5代目の長太郎の涙と『サヨナラ!あばれはっちゃく』を見た酒井さんの長太郎の胸に迫る、寂しさと悲しさが大きかったのではないか?と思うのです。歴代の中で、5代目『逆転あばれはっちゃく』の印象は小さいですが、今、一度、DVDも発売されていますので、ぜひ、見ていただきたいシリーズ最後を飾る『あばれはっちゃく』です。

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