柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

造語

あばれはっちゃく』の意味には、山中恒著『あばれはっちゃく理論社に以下のように紹介されています。

「はじめに 作者より 「あばれはっちゃく」というのは、手のつけられないあばれものという意味だそうです。知り合いのおばあさんが教えてくれました。そのおばあさんの田舎の方言だそうです」

理論社あばれはっちゃく』より


以前、「あばれはっちゃく」と「はっちゃける」の語源、言葉の意味を紹介しました。原作本に書いてある山中先生の文章(上記引用写真参照)と、山中先生の故郷北海道にある言葉を元に推測して書きました。詳しくは過去記事にて。
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それに対して、「はっちゃける」は「ひらめいた」の意味の造語だという意見を頂きました。確かに、4代目の長太郎は、それまで先代達が使っていた「ひらめけ、ひらめけ、ひらめいた」の代わりに「はっちゃけ、はっちゃけ、はっちゃけた」という言葉を使っていますので、4代目における「はっちゃけ」は「ひらめけ」の意味に値すると思います。

では、なぜ、「ひらめけ」が「はっちゃけ」になったのか。それは、やはり「あばれはっちゃく」から来たのではと思うのです。
ドラマの中で長太郎は、「あばれはっちゃく」と呼ばれていましたが、次第に簡略化した「はっちゃく」という呼び方が多くなりました。

また、長太郎は元気が有り余っていて、時に無謀なことや、大人たちにとってやっかいなこと、また、張り切りすぎて行き過ぎた行動をすることも多々ありました。そんな長太郎を見ていくと、原作本の「はじめに」にあるように、また、2代目の第28話まで長太郎が説明していたように「手に終えない暴れん坊」という意味はこういうことかと自然に分かっていきました。

4代目までくると、既にアバンタイトルでの説明がなくても、「あばれはっちゃく」「はっちゃく」という意味が浸透してきた頃でしたし、その中で「ひらめけ」を馴染みが深くなった「あばれはっちゃく」の簡略化の「はっちゃく」から発展して、「はっちゃけ」という言葉を使ったのではないでしょうか。大元の意味は、その基礎になった。

北海道の方言の「はっちゃき」「はっきゃちこく」の懸命に頑張るさまだと思います。そもそも、「あばれはっちゃく」でなければ、「ひらめけ」を「はっちゃけ」という「あばれはっちゃく」「はっちゃく」と近い言葉に置き換える必要はないですし、以前にもマンネリ化からの危機感からマイナーチェンジをしてきたことを書きましたが、その一つとして3代目までで聞き馴染んだ「はっちゃく」を「ひらめけ」の代わりに使うことにしたのではないかなって思うのです。

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今、ネットを中心に「はっちゃける」という言葉が使われていて、その言葉の意味は、「張り切りすぎて、とんでもないことをする」とか「いらいらを忘れて思う存分はしゃぐこと」とか「はりきること」として紹介されていて、これを2000年代に生まれた言葉として紹介しています。

でも、これらの意味と使われ方を見てみると多少の違いは出てきても、『あばれはっちゃく』を知っているものからすれば、『あばれはっちゃく』が存在していて、また、「はっちゃき」「はっちゃきこく」という方言の意味があっての「はっちゃけ」「はっちゃける」の言葉だと思うのです。

4代目の中では、「ひらめけ」の意味も持ち合わせていたと思いますが、それだけでなく、『あばれはっちゃく』からくる大元の意味も含まれていたのではないでしょうか。それまでの「ひらめけ」の中に「一生懸命頑張って、何かアイディアを出さなきゃ」という必死さが入ってきての「ひらめけ」プラス「はっちゃき」「はっちゃきこく」での「はっちゃけ」となると、やはり指摘どおりの造語なのかな。

参考に、4代目『痛快あばれはっちゃく』では最終回で転校するヒロインまゆみちゃんに長太郎がこの言葉を送り励ましています。そこからは「元気」という意味もあるような気がします。

「まゆみちゃん!島のやつらに負けんじゃねぇぞ。はっちゃけろよ!ほら、ほら、泣くな、泣くな。笑え、笑え」

ちなみに、「はっちゃき」「はっちゃきこく」には揶揄の意味もあるそうです。初代『俺はあばれはっちゃく』第1話で長太郎に父ちゃんがと長太郎の会話にこんなのがありました。

「お前のことを、隣近所の年寄りがなんて呼んでいるのか知っているのかい?」
あばれはっちゃく、だろ」
「はっ、得意になってら」

ここで、ドラマの中でも、あまり褒められた言葉ではない言葉だということと、呼んでいるのが年寄りというところから、古い言葉だと推測が出来ますし、原作本で山中先生が書いた文章とも一致します。揶揄の言葉があっても、初代長太郎(2代目の長太郎は第28話まで)はアバンタイトルで「俺はかっこいいと思っているんだ」と言い続けてきましたので、受け取り方次第かもしれません。

でも、最近のネットでの言葉の使い方の意味を読んでいくと、本来の揶揄の意味が強くなっているようにも思います。常識を打ち破って、行動を起こす(ついでに問題も起こしてしまう)という長太郎が与えた『あばれはっちゃく』の意味は少なくなってきたかなと感じます。

とにもかくにも、4代目も含め、5人いる長太郎達が作り上げたイメージが言葉のイメージをより強固にしていったのだと思うのです。ここまで、書きましたが、これは、あくまでも私の推測(妄想)にすぎないことをお断りしておきます。