柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

あばれはっちゃくの視聴率

昨日の記事で制作者側が3代目『熱血あばれはっちゃく』の終わりの頃から人気の頭打ちを感じていたのではないか、と書きました。その一つの客観的な一つの目安として、視聴率があります。そこで、分かる範囲で歴代の視聴率について、各代のDVDBOXの解説書に記載されていた視聴率を基にして語っていきたいと思います。

まず、初代『俺はあばれはっちゃく』(1979年2月から1980年3月)の視聴率について、これはDVDBOX2の解説書の吉田友紀さんのインタビューの中で次のように語られています。

『はっちゃくはもともと26本だったんです。子供ながらに視聴率を気にしてまして、1話目が5.4%で、第2話が5.0%で…それが10話を超えるあたりから10%に届いて、20話の頃には20%をうかがえる位置に来たんです。何しろ『クイズダービー』が36%もあった時代だし、江川が巨人に入団した年でしたから…(中略)江川が登板すると数字がガクッと下がるんです。それでも10%を切ることはなかったんですね。それで、番組延長が決まって、そのご褒美が伊豆ロケだったんです。』

初代は1979年2月3日に放送が開始されました。10話が放送されたのが4月7日。それを超えるあたりから10%に届いたという事は、2ヶ月で5%台の視聴率を2倍にしたという事になります。

20話の放送が6月16日で、そこで20%をうかがえる位置に来て、4ヶ月で裏に強力な番組を持ちながら、(当時はTBSで『巨泉のクイズダービー』が36%、江川卓氏が入団した年で巨人戦が日テレで高い視聴率を誇っていました)4倍の視聴率を獲得して番組延長とシリーズ化を実現させました。(ご褒美ロケの話は第25話の『ガマン旅行だ』7月21日放送の話です)

その後に続いた2代目『男!あばれはっちゃく』2年間(1980年3月から1982年3月)平均視聴率15.7%、最高視聴率は21.7%(視聴率の数字は『男!あばれはっちゃく』DVDBOX解説書より)3代目『熱血あばれはっちゃく』の1年間(1982年4月から1983年3月)平均視聴率15.7%、最高視聴率は19.7%でした。(視聴率の数字は『熱血あばれはっちゃく』DVDBOX解説書より)

2代目は初代の人気の勢いを引き継ぎ、最高視聴率で20%を超えて、2年間のシリーズ最長放送となりました。3代目は最高視聴率こそ、20%を超えることはありませんでしたが、平均視聴率は2代目と同じ15.7%を維持し1年間の放送を終えました。

しかし、2代目の2年間での平均と3代目の1年間の平均が同じで、最高視聴率を3代目が20%を超えられなかった点を見ると、数字の上では、良く言えば安定、悪く言えば頭打ちというように見えます。3代目が始まる前には、2代目からの橋渡しのスペシャルがあり、この頃は当時の私の記憶の中でも、シリーズの人気が最高潮になっていたように感じていました。

2代目と3代目の平均視聴率が同じところから、特定のファン層が確実に出来ていたというのも想像が出来ますが、初代のような新たなファンを新規に取り入れるという人気の更なる広がりはなかったのかな、と思ってしまいます。

そこで、4代目を始めるにあたり、制作側で昨日の記事微妙な変化(ドラマを見て分かる設定93) - 柿の葉日記に書いたような微妙な変更と初代長太郎役の吉田さんのセミレギュラーが行われたのではないか?と思ってしまうのです。それが功を奏したのか、4代目『痛快あばれはっちゃく』の最高視聴率は20.2%と20%を超えることが出来ました。

しかし、平均視聴率は13.4%(視聴率の数字は『痛快あばれはっちゃく』DVDBOX解説書より)となり、2代目、3代目の平均視聴率の15.7%よりは、2.3%下がってしまいました。4代目の放送期間1年と10ヶ月(1982年4月から1983年2月)の長さを考えると20%超えもし、健闘したと思います。それでも、制作側では平均視聴率の落ち方には、危機感を感じたのではないでしょうか。平均が下がるということは、ついていた固定のファン層が離れてきた証拠だと思えるからです。

そこで、5代目で大幅な設定の見直しをしたのではないか?と考えられるのです。5代目『逆転あばれはっちゃく』DVDBOXの解説書には、現存する企画書についての記載があります。

『企画意図の冒頭で強調されているのは「マンネリの打破」であった。(中略)最初の問題提起は、シリーズが重なるにつれて、はっちゃくが「かわいい子」「良い子」になってしまっているのではないかというもの。これに対する回答として、はっちゃくをもう一度、本来の「手のつけられない暴れん坊」に戻そうという提言がなされている。暴れん坊ゆえに四面楚歌状態になり、そこらから見事に「逆転」する。本作品のタイトルはこうした企画意図に沿ってつけれたものだった。(中略)そして「はっちゃく」に欠かせないのは先生とマドンナ。これについて企画書の段階では、たとえば先生は従来のシリーズより厳しく、マドンナは従来より「高嶺の花」という設定になっている。』

企画書の中で『はっちゃくが「かわいい子」「良い子」になっている』という記述には、4年前に私が書いた二代目はブタゴリラ - 柿の葉日記と同じだと感じました。私は折に触れ、初代の長太郎を含めて、初代のレギュラーの子ども達、ヒトミちゃん、公一、正彦、恵子ちゃん、明子、小百合はいい所だけの性格の持ち主ではなく、意地悪で、狡賢い所もある、善悪ごちゃ混ぜな面を性格に併せ持つという内容の事を書き、それが、2代目の途中あたりから、子ども達の善悪がはっきりしてきて、特に長太郎が善人、正しいのが強くなってきていると感じて指摘しブログ内でも書いてきました。

それが今回の企画書の内容を知って、作り手もそうだったのかと確信しました。また、それだけでなく、シリーズが進むにつれて、見ている方が主人公側に肩入れしすぎて、主役は『完全な善』という見方をしてしまうというのは、自分の体験からの事実だと思っています。

制作側がマンネリ打破と逆転を狙って送り出した『逆転あばれはっちゃく』は(1985年3月から9月)、そういう事実から真正面に立ち向かいシリーズの更なる飛躍を狙っていたと感じます。結果は、残念な結果になりましたが、その意気込みと魂は、今、発売されているDVDを通して伝わっていくのではないか?と私は思います。

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