柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

これは喧嘩じゃないぞ!スポーツだぞ

『俺はあばれはっちゃく』第5話(市川靖氏脚本)では、長太郎の勘違いから、正彦に暴力を振るった長太郎をヒトミちゃんが非難した事から、ヒトミちゃんに見直してもらおうと長太郎が『誓約書』を書いて暴力を振るわない事をヒトミちゃんと約束します。ヒトミちゃんはその誓約書の内容をクラスの皆に知らせるといい、長太郎はそれを了承します。

しかし、世の中は上手くはいかないもので、その約束の後で長太郎は、ヒトミちゃんを気に入った隣の小学校の番長の茂に絡まれてしまいます。最初は、いつもの調子で、茂達を相手に闘おうとする長太郎ですが、ヒトミちゃんとの約束を思い出して、怒りを静めて喧嘩を避けます。そんな長太郎を馬鹿にして詰る茂達の言葉も相手にせず、立ち去ろうとする長太郎を茂は「おい、まだ帰っていいなんて言ってないぞ。帰りたかったら俺の股を潜って『ワン』と言え」と命令をします。長太郎は悔しさを堪えて、茂の言うままに茂の股を潜って「ワン」と言葉通りに従うのです。それを見ていたのが公一。長太郎は公一に詰め寄り、「誰にも言うなよ。例え、お前の母ちゃんにでもだぞ」と約束をさせるのです。この口止めは、私は格好悪いとこを見られたからではなくて、それで同情されて、喧嘩をする約束を破っても、免除される事を長太郎が嫌ったからではないかな、と思うのです。

長太郎はどんなに悔しくても、辛くても、言い訳が実際に出来る立場にあっても、それを言わず平気な顔をして「なんでもないよ。ヒトミちゃん。約束はちゃんと守ってる」と明るくいうのです。そんな長太郎をいぶかしく見ているヒトミちゃん。長太郎が暴力を振るわないと誓ったのは、ヒトミちゃんから非難され、てるほから「本当に強いものは滅多に吼えない」と言われたから。長太郎はどんなに馬鹿にされても、プライドを壊されても「するが堪忍、我慢するが堪忍」とグッと堪えるのです。それでも、不愉快な感情は湧き上がる長太郎。そんな長太郎を待っていたのは、会社で嫌な事があって早引きをした父ちゃん。不機嫌に戸を閉める長太郎を怒鳴る父ちゃんに「この家を建てのは誰だ。父ちゃんじゃないか!大工なら自分で造り直せばいいじゃなぇか!」と言い返すと、例のごとく父ちゃんの鉄拳が飛んでくるのです。暴力を振るわないと誓った長太郎は口で言い返します。「生憎とな、父ちゃんのこさえた安普請と違って、こちとら丈夫に出来てるんだ。会社で嫌な事があったからってな、子どもに当たるなんて大の大人がする事じゃねぇよ!」この言葉は、長太郎側にいた子どもの頃と、今、大人になった現在で聞くと、かなり感じ方が違います。逆転の感情を抱いてしまうのです。

翌日、長太郎が学校に行くと、宣言どおりヒトミちゃんが長太郎の誓約書の内容をクラス中に言いふらしていて、それを知った佐々木先生が「これはなかなか出来る事ではない」と長太郎を褒めます。その後も長太郎は諦めの悪い茂に絡まれているヒトミちゃんを守る為に喧嘩をしそうになる場面が出てくるのですが、ヒトミちゃんとの約束を守って喧嘩をしないのです。喧嘩をしないで茂と勝負をつける方法を長太郎は考え、部屋に貼ってあったボクシングのポスターを見て、ボクシングで茂と対決をします。初対面で、茂と喧嘩をしそうになった時に、茂の子分が「お、やるのか。茂はボクシングをやってるんだぞ」と言っていて、実際に茂はファイティングボーズを取っています。ここで、少し脇道に逸れますが、原作ではボクシングをやっているのは正彦のほうで、また、この第5話に登場する茂は6年生と言っており、これは原作で、長太郎とヒトミちゃん、正彦が6年生に絡まれて、喧嘩を売られた話を元に再構成して、描かれた話なのだと言う事に気がつきます。私は過去日記にはっちゃくクイズを出題し、原作をベースにした話はどれかという問題を作りましたが、この時にこの第5話を入れませんでした。今回、第5話について書こうと再度見直した時にその事に気づき、ああ、はっちゃくファンとして駄目だなと思ったのです。

閑話休題。長太郎は自分で作ったであろうグローブをはめて、誰の応援もない孤軍奮闘の中、本物のグローブをはめて、本格的にボクシングをしている茂に一方的にやれていきます。それを見ていたのがお馴染み公一。公一がヒトミちゃんに知らせ、ヒトミちゃんが皆に知らせて担架をもって長太郎が闘っている場所に駆けつけます。心配そうに応援するヒトミちゃんを見ながら、ダウンした長太郎が心の中で呟くのです。

「ヒトミちゃん、これは喧嘩じゃないぞ。スポーツだぞ、約束は守っているぞ」

誤解され非難され、ヒトミちゃんを助ける為に駆けつけても、ビンタされて、ボロボロになってもヒトミちゃんとの約束を守り通そうとする長太郎。それは本当に佐々木先生の言うように「なかなか出来る事」ではありません。長太郎なら、喧嘩で解決する事は簡単に出来ます。でも、そうした安易な方法に(自分が得意な方法)頼る事なく、意志を貫くと言う事はとても辛い事だと言う事がこの話から伝わってきます。ヒトミちゃんの応援を受けて、パワーを取り戻した長太郎は立ち上がり、茂を倒します。闘いが終わった後でヒトミちゃんは長太郎から受け取った誓約書を破り捨てて、「こんなの貴方には似合わないわ」といいます。これは、ヒトミちゃんが長太郎の暴力を肯定したから出た言葉ではなくて、その誓約書は、長太郎から長太郎らしさをなくしてしまうという事に対しての言葉だったのではないかなと私は思うのです。

約束を守る事、自分らしさを維持していく事。それはどちらも難しい。長太郎の喧嘩、暴力というのは好き好んでむやみに使っているものではありません。この話の冒頭の正彦への暴力も、正彦がヒトミちゃんに意地悪をしたと長太郎が思い込んだのが原因で、長太郎が暴力を振る時は、たいていその根底に理不尽で許せないという感情があります。ただ、それが早とちりだったり、勘違いだったりする事も、また多い。理不尽な相手に対して腹を立てて怒るのは人として正しいと思いますが、ヒトミちゃんのいうように、よく知りもしないで相手に手を出すのも、また良くはない。長太郎が自分らしさを失わず、てるほの言うように、むやみやたらに噛み付かず、必要な時に大切な人を守るためにその力を使い、時には堪えることが一番難しく、大切な事なんだろうなと私は思うのです。

追伸:ブログへのコメントありがとうございます。来年になってしまいますが、コメントの返信はしていきますので、しばらくお待ちください。このブログを読んで下さる皆様、いつもありがとうございます。それでは、良いお年をお迎えください。 

柿の葉

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