柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

弱い人間でも

妹と風呂敷がたためる作者は誰という話になり、いろいろな作家さんの名前が出た中で私が頭に浮かんだ一人が藤子先生だった。妹が話の風呂敷をたためる事が出来る人は登場人物の未来の姿をちゃんと想像できる人だと言っていた。『ドラえもん』は未完になってしまったが、実はちゃんと『ドラえもん』は最終回が描かれている。それは、『ドラえもん』が学年誌に連載されていた都合上3月号で一区切りの最終回を描かなければいけないという事情で描かれた日本テレビでアニメ化された際に最終回の話として使われた、のび太が自転車に乗れるようになった話とか、あの有名な「さよならドラえもん」とかがあるのだが、それとは別に藤子先生は作品の中でちゃんとドラえもんのび太の終わりが来る事を描いている。

ドラえもん』の話の中では未来ののび太が登場してきてその時に既にドラえもんのび太の傍にいない事が分かる。そこで、読者はドラえもんのび太がいずれ別れる事になっているんだという未来を知る。それでも、のび太は大人になり、子どもを育て年を取っておじさんになっていってる事も知る。ドラえもんと別れてものび太がちゃんと大人になった姿を藤子先生は私達に見せている。そして、大山版ドラえもんの最終回で使われた『45年後……』の45年後から来たのび太にこんな台詞を言わせている。

「一つだけ教えておこう。きみはこれからも何度もつまずく。でも、そのたびに立ち直る強さも持っているんだよ」

ドラえもんに頼りきりののび太。でも、時に勇気を見せるのび太。でも、また、くじけてしまうのび太。そんな弱いのび太でもちゃんと大人になれるんだよ。そうした未来の姿を藤子先生は見せてくれる。私たちはのび太ドラえもんの思い出の日々を繰り返し見ながら、遠い先の藤子先生が見せてくれた未来に向かっているのだなと思う。

ドラえもんはギャグ漫画でいつからかこうした人情物漫画にさせられたきらいはあるが、私は子どもに向けて温かいメッセージを伝え続けてきた藤子先生のドラえもんが大好きだし、大人になって振り返った時に癒してくれる帰っていける故郷としてのドラえもんが今でも好き。完璧な人間なんていない。でも、つまずきながらちゃんと人は成長していける。どんなに弱虫でもちゃんと生きていっていいんだよという優しさがそれが甘えと言われようと私はとても好きだ。