柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

佐々木先生の名前の由来とモデル(ドラマを見て分かる設定87)

山際監督のインタビューの記事を頂いた大河さんから貴重なお話を伺いました。『あばれはっちゃく』『俺はあばれはっちゃく』に登場した山内賢さんが演じた長太郎の良き理解者佐々木先生のモデル。それは、『ウルトラマン』等で有名な脚本家佐々木守さんだという事です。

山際監督のインタビューの時に佐々木先生の名前に引っかかった大河さんが「先生の『佐々木』というネーミングはひょっとして?」と尋ねると、監督は笑って「アレはもうね、山中さんとか僕がお遊びで名前をつけたようなもんでね。なにせ佐々木さんはいつだって、ニヒリストだから自分が正面で子ども達に対してちゃんと教育というものを差し出さない。『コメットさん(67年)』の時の彼はそういう部分がとてもストレートだったんですがどうも彼は大島渚とかそういう方向へどんどん進んじゃってね。だからあえて教師の名前に使ってみたんですよ(大意)」と、答えたそうです。

ここで、『コメットさん(67年)』が登場してきますが、調べてみると『あばれはっちゃく』の原作者の山中恒さんは『コメットさん(67年)』の脚本家として作品に参加され、また、山際監督も、佐々木守さんもそれぞれに監督、脚本家として参加されていたりします。3人、そしてTBSの橋本氏、教育評論家の阿部進さんやラジオ電話子ども相談室で御馴染みだった無着成恭氏等と共に横の繋がりがあり、交流があったようです。佐々木守さんの事を調べてみると、明治大学時代に児童文学研究部に所属され、また、後に阿部進さん達と共に「現代こども研究会」(のち、「こどもセンター」)を創立をされていて、当時、そうした子ども番組に関わってきた人である事が分かります。

佐々木先生は既に原作の『あばれはっちゃく』に佐々木治郎という名前で登場してきますが、この時点『あばれはっちゃく』の原作が書かれた1970年で既に交流のあった佐々木守さんがモデルであったようです。原作の佐々木先生はドラマ『俺はあばれはっちゃく』の佐々木先生(佐々木信二郎、佐々木賢一郎)と比べてあまり深く長太郎に関わっていません。その佐々木先生を原作者の山中さんと山際監督は、『あばれはっちゃく』をドラマ化する際に原作以上に長太郎にとって大切な教育者として深く関わっていく、重要な主要人物まで押し上げて設定されたようです。

佐々木先生は長太郎の良き理解者で子どもの頃の私の憧れの先生でしたが、原作でさほど長太郎の良き理解者になっていなかった佐々木先生があれ程までに理想の先生であったのはモデル(名前を頂いた)ニヒリストの佐々木守さんに対しての裏返しであったんだなと思います。なんというか、同じ時代を生き子ども番組に関わり、子ども達に夢や理想や未来をそれぞれに関わった作品を通して伝えてきた仲間たちの心の繋がりを感じました。山中さんや山際監督の佐々木守さんに対する思いも悪い感情はなく、そういう方向へ(ニヒリストで子ども達に対してちゃんと教育というものを差し出さなくなっていった)いった仲間に対してちゃんと心情を理解していて、しょうがないなと思いつつも温かく仲間意識を持っていたのではないのかなと思います。佐々木先生のモデルが佐々木守さんとなると、佐々木先生は原作では「治郎」ドラマでは「信二郎」と「賢一郎」の名前を持っていましたが、もう一つ「守」という名前も持っていたりする事になるのかなと思いました。

当時、『あばれはっちゃく』以外にも多くの児童文学を原作とした児童ドラマがあり、子どもを対象とした『ウルトラマン』を始め多くの特撮がありました。それに関わり、横に繋がりを持ち、それぞれに影響を受けながら子ども作品に関わってきた人達の裏話を知ると、その作品に出演していた子役の人達、それを見てきたあの時の子どもであった私達を当時の大人たちはどんな思いで見つめ、どんな気持ちで作品を生みだしていたのかなって思います。私は、いろいろと人生経験を積んで尚、子どもたちを温かく包みこんで見ていたんじゃないかなって思うのです。

吉田友紀さんがDVDの付録のインタビューで「今、この年になって思うのは、大人がいかにフォローしてくれていたかってことですよね。(中略)東野さん、久里さん、山内さんには感謝しています」と語っていますが、役者さんを含めて作品に関わった大人の人達が常に子どもたちをサポートしていたのだと思います。それは、ドラマ制作に関わらず、私が子どもの頃を振り返ってみても大人達に守られていた事があったなと思いだされる事からも感じる事です。ふと、その大人達からメッセージを受け取り、大人になった私たちはあの頃の大人たちのように子ども達をサポートする側になっていたりするのだろうか…?と考えたりします。

「当時、ご覧になっていた方でお子さんがいらっしゃる方は、子供と接する時に是非はっちゃくのことを思い出して欲しいです。自分は教育者ではないですが、やはり大人がしっかりしないと子供に教育が出来ないと思うんです。子供をもっと遊ばせて、自由に選択肢を与えてあげて欲しいですね」『俺はあばれはっちゃく』DVDBOX2付録吉田友紀さんのインタビューより。

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