柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

教室205号を見て

昨日、かかかかさんから頂いた情報を元に東京国立近代美術館フィルムセンターへ行き『教室205号』を見てきました。映像が思っていたよりも綺麗で、とても37年前の物とは思えず、大切に扱われてきたんだなと思いました。

母親の死と父親の再婚にひねくれてしまった小6の洋太(小松陽太郎さん)と、鍵っ子で中学生に絡まれているのを助けられて洋太に懐いている小2の明君(吉田友紀さん)足が少し不自由で私立中学受験の為、どちらかというと母親の為に勉強を頑張る友一(梅地徳彦さん)、体育が得意で大らかな健治(岡野すすむさん)この4人が体育倉庫の地下にある部屋の秘密を共有する事で絆を深めていきます。

最初、健治と友一は性格が合わず取っ組み合いのケンカをするのですが、2人が秘密を共有するようになると、お互いがお互いの為に自分が不利になっても、相手の為に助け合うのです。それは、洋太が教室にあった目標を教室205号の掟として掲げたからでした。

「正しいと思う事は実行しよう」「互いに助け合おう」

洋太の読み上げた目標に健治が反応すると洋太が切り返します。

「なんだ、教室にあるやつじゃないか」
「そうだよ。これをここでは本当にやるんだ」

教室にある飾りの目標を教室205号の4人の仲間は実践する。それが彼らの結束を強くしていきます。友一は体育が苦手で体育倉庫で健治とケンカをして倉庫に倒れてしまい、跳び箱のテストが受けられず、それで体育の成績が下がる事を心配して、健治に話し健治は体育の先生に正直に事情を説明します。

最初は無断で授業をサボったと友一を怒っていた先生も庇い合う2人を見て、特別に追試をしてくれる事になります。それを知った洋太と明君も加わり、4人は友一が5段の跳び箱を跳べるように一致団結するのです。この時、健治が友一に跳び箱を跳ぶコツを教えますが、そのコツが結末の彼らのこれからの生き方にも通じるような気がしました。

「真っすぐ前を見て」友一は何度か跳び箱にぶつかってそれでも、めげずに練習し、家でも両親に馬跳びで練習相手をしてもらい、見事テストで5段跳びに成功します。練習で友一が跳び箱にぶつかると明君は肩を竦めて目を瞑り、両手で顔を覆っていました。その姿が可愛かったです。

4人の最年少の明君は3人に可愛がられていました。秘密の部屋を教室205号と名付け、食料や本、机や椅子を運び込んで生活出来る空間を作り上げていく時に明君が缶から一つだけお菓子を口に入れて嬉しそうな顔をして口を両手で隠すのが可愛かったです。

お菓子を包装していたピンクのリボンを健治が明君の首に巻いてあげたり、洋太は共働きで両親に相手にされない明君の家に行って一緒にお風呂に入って背中を流してあげたり、この時明君は凄くくすぐったがって楽しそうに笑ってました。友一からは算数を教わって明君は一生懸命でした。そのかいがあって明君は40点しか取れなかった算数のテストで100点を取るのです。

明君は喜んで「にわ、にわ、にわ」と母親の働く喫茶店を探して母親にテストを見せるのですが、母親は面倒臭いように明君を見て、追い払うのです。母親を見つけた時の明君の嬉しそうな顔が戸惑いから、悲しみに変化し、明君はその帰りに交通事故にあって死んでしまいます。

明君は3人のお兄ちゃん達と一緒の時が一番楽しそうでしたが、100点を一番に知らせたかったのは自分を相手にしてなかった母親だったのかなあ。その母親に冷たくされて傷ついた心のまま死んでしまった明君。それがとても可哀相で……悲しかったです。

明君を失い100点を取らせなかったらと自分を責める健治と友一。冷静に明君の両親の心を分析する洋太。その洋太も父親との確執から、友一は家庭の経済的理由から2人は教室205号に家出をし、健治はそれをサポートします。しかし、騒ぎが大きくなり、健治が秘密を隠しきれない事を2人に告げると、2人は逃げていた現実の問題に顔を上げて向かって行こうと、薄暗い倉庫の地下室から健治と共に出ていきます。倉庫の扉を開けた時の白い光がまるで3人の未来を照らしている光のようでした。そして、他の心配して来た級友達も3人を囲み、物語りは幕を閉じます。

互いを思いやる心、逃げていてもいつかは立ち向かっていかなければいけない事、子供でも自分の意志を持って親の為でない自分の人生を歩む責任と自覚の大切さを教えてくれた映画だったと私は思いました。映画のテーマソングも明るく力強く、険しい道をいく心を励ましてくれる歌で、かつて、ひろくんさんがこの歌を今でも口ずさめると語った気持ちが分かりました。この映画を見れて本当に良かったです。かかかかさん、改めて上映の事を教えてくれてありがとうございました。

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