柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

智之の存在理由

「すぐやる一家青春記」に登場した智之は相馬家の末っ子。上の兄二人とはかなり年が離れていている。上の兄二人の恋愛関係、同居人の武志さんの恋愛関係、父親の雄作さんの恋愛関係、お祖父ちゃんの恋愛関係が描かれる中で、正直、智之はいてもいなくてもいいような存在だと言える。それでも、智之は長兄の一郎さんや雄作さんだけでは進展しない彼らの恋愛を、かき乱す事で(一郎さんが好きな紀子さんに喧嘩を売ったり、その紀子さんの恋人だと思われた叔父のせいじさんの事を智が普通に喋ったり、雄作さんの相手になるお千代さんとその娘の由香ちゃんと仲良くなって、お千代さんの気持ちをそれとなく雄作さんに伝えてその気にさせるなど)二人の恋愛を促していたように見える。

智之は自分自身が兄や父親たちと違って恋愛の渦中にいなかったのと、まだ子供だという事で恋愛の感情に縛れて強がったり、意地を張ったりして身動きが取れない大人達の潤滑油のような役割をもっていたように思う。特に智之は父親である雄作さんの恋愛の為に必要だったのではないか?雄作さんのような真面目な市役所のすぐやる一課の課長が、流れ者のお千代さんと一緒になるには小学生の母親のいない子供に母親が必要であるという建前みたいなものが必要だったのではないか?上2人息子の若い男女の恋愛とは別に、小さい子供を持った男女の恋愛を描く為に智之と由香ちゃんは必要だったのではないか?と思う。

「すぐやる一家青春記」ではそれぞれの世代の恋愛が描かれていた。一番、若い世代の智之の相手はそのままドラマを見ていれば由香ちゃんだと思うが、これは恋愛というよりは兄としての気持ちが強く、智之の相手はどちらかというとお千代さんの方だったのではないか。それもやはり女性ではなくこちらも母親としてという感じがする。智之が欲しかったのは母親がいる家族で、好きな人と最初っから作り上げる家庭ではなかったのかもしれない。

相馬家の中で唯一母親との思い出が少なく、母親がいる家庭というのを一番焦がれていたのは智之だったのかもしれない。他の家族は父親と母親が揃った家庭を智之よりはよく知っている。だから、彼らはそれぞれに好きな人とそんな家庭を作り上げたいと考えたりしたと思うが、智之にはその基盤がないから、父親の雄作さんが由香ちゃんのお母さんのお千代さんと再婚する事で自分自身の基盤が欲しかったのかもしれない。だから、由香ちゃんのお母さんとお父さんの依りが戻り、雄作さんとの再婚がなくなった時に「由香ちゃんのお母さんいい匂いだったのにな」と呟いたのかもしれない。

それでも、智之が泣きすがって由香ちゃんとの別れを拒まなかったのは、由香ちゃんがお父さんがいない事で苛められた時に体を張って守ったからではないか?智之は由香ちゃんが本当のお父さんと暮らす事でもう苛められないと思ったから、由香ちゃんとの別れを受け入れたのではないか?前にも書いたが智之はまだ小学生だったけど、自分の気持ちよりも由香ちゃんの幸せを一番に考える事が出来た男だったと思う。相馬家の中では女に対して未練がましかったり、振り回されたりはあまりしなかったのが智之だったような気がする。唯一、振り回されたのは、由香ちゃんが迷子になった時だけかな。

智之は自分の恋愛の為ではなくて人の(特に父親の)為に存在していたような気もするが、彼は彼としてあのドラマの世界で生きていたと思う。