柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

山本さんと長太郎先生(ドラマを見て分かる設定49)

第6話で父ちゃんと喧嘩して長太郎が家出をします。長太郎はドンペイと一緒に夜の公園に行くのですが、そこで警官の山本さんと会います。山本さんは長太郎を見つけると嬉しそうに寄ってきて、「えがった、えがった、丁度えがった。朝ばから分からない言葉があったんだ。教えてくれ、教えてけろ」と言いながらノートを持ってきて長太郎を掴みます。長太郎は少し呆れたように「またかよ」と答えながらも、山本さんの質問に答えています。

f:id:kutsukakato:20200214130139p:plainf:id:kutsukakato:20200214130130p:plain
『俺はあばれはっちゃく』6話より

「へへ、飛んでる女ってなんだ?」
「飛んでる女?(チラッとノートを見て)ああ、進んでる女だよ」
「進んでる。進んでるってなんだ?」
「歩く事」
「あ、歩いてる事なんだ。飛んでる事は歩く事なんだ」
「まあ、そういう事だ。女の事は皆、俺に任しておけよな」

これを見ると長太郎は山本さんにこの時だけでなく言葉を教えてくれている、山本さんの言葉の先生のような立場にいるようです。この後、山本さんは夜の公園に小学生の長太郎がいる事に気がついて、警官として長太郎に「はっちゃく!なしてお前、こんな晩にこんな所さいるんべさ」と聞いてきます。(なんか順序が逆のような気がしますが……)長太郎が「ちょっとやらかしてな」と答えると、山本さんは楽しそうに「また、お前父ちゃんからごしゃがって」と言って長太郎を小突きます。

山本さんの言った「ごしゃがって」という言葉は東北(仙台弁)の方で使う言葉なので、山本巡査は東北出身の人なんだろうなと思うのです。「ごしゃがって」会話の流れからみると相手を怒らせる事を意味する言葉なのだと思います。(調べてみたら、叱られるという意味がありました)山本さんは東北から上京してきて、美玉市の警官になったのだと思うのですが、言葉の面で苦労しているのではないかなと思います。

私自身も長野から横浜、横浜から福島、福島から長野と親の転勤で引っ越しをしましたが、言葉の面ではとても苦労しました。特に福島から長野(松本)に引っ越した時は言葉のギャップに苦労した思い出があります。発音、アクセント、言葉自体の意味が全く違っていて、語尾を強く強調する松本の言葉は最初に聞いた時は、普通に話していてもまるで怒られているようでした。本当にその言葉に慣れる為に自分で耳で聞いた言葉をなんとかそのまま言葉にして、なれるという荒治療でその言葉を覚えました。

だから、山本さんも言葉の違う土地に来てかなり困ったんじゃないかなと思うのです。そこに長太郎がやってきて山本さんに色々と親切に言葉を教えてくれていたんじゃないかなと思うのです。もしかしたら、長太郎は最初は面白半分で山本さんに言葉を教えていたのかと思うのですが、それでも長太郎を見つけて嬉しそうにノートを持って長太郎の言葉をメモしている山本さんを見ると、長太郎の教えで山本さんは色々と助かったんじゃないかな?と思うのです。

長太郎は山本さんに公園にいた理由を聞かれて「親の言う事を聞くのも辛いよな。腹は減るし、寝る所はないし、いっそかっぱらいや脅してでもやって非行グループにでも入ろうかな?」と言って山本さんをからかい驚かせて心配させます。山本さんはそれを聞いて「はーぁ、ひつけた事言って!こら、はっちゃく」と長太郎をベンチの上に立たせると長太郎は「なんだべや!先生にむかっと!」と怒ります。

ここでは言葉を教える長太郎と教わる山本さんという間柄の二人と地域の小学生と警官という関係の二人の間のそれぞれ異なる人間関係を同時に見る事ができます。その内で言葉を教える教わる二人の関係を見ていると、以前にも上手い事言うなぁ - 柿の葉日記で書きましたが、長太郎が最初の頃にいろんな言葉を作り出していました。その度に山本さんが感心していたのはそうした言葉を教える教わる関係であったのもあったんじゃないかな?と思ったりします。